エルダー2025年11月号
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特集研修の内容は、福祉車両の使用方法や虐待の防止、介護器具類のメンテナンスなどを取り上げている。5手書きによる記録、報告、伝達業務による作業負荷が多いことをふまえて、2017年度からICT化に着手している。ICTの操作方法も動画で撮影して共有しており、高齢職員も、ICT化による大幅な業務負担の軽減を感じている。Ⅱ企業の沿革・事業内容2004年に設立された株式会社プランナーは、2005年に介護付き有料老人ホーム「ネムの木」と同時に居宅介護支援事業所プランナーを開設した。2011年には社会福祉法人光志福祉会を設立、2014年に株式会社プランナーが光志福祉会と経営統合して以来、着実に業容を拡大して、現在は300人を超える職員を擁している。香川県内の丸まる亀がめ、観かん音おん寺じ、高松地域に介護付き有料老人ホーム、デイサービス、居宅介護支援事業所、グループホーム、ショートステイサービス事業、就労継続支援B型事業所、企業主導型保育施設、共用型デイサービス、広域型特別養護老人ホームなどを幅広く展開、介護事業を通じて地域に貢献することを目ざしている。高齢職員がつちかってきた柔軟な対応力や経験の伝承を通じ、幸せを提供できる施設として全職員が一丸となって邁進している。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方現在300人を超える陣容のなかで60歳以上の職員の割合は31%を占め、最高年齢者は80歳である。高齢職員は、児童デイサービス以外の事業所に配置されており、特に特別養護老人ホームで勤務する高齢職員の割合が高い。2021年以降、人材不足に直面したのがきっかけで、高齢職員の活躍の場を設けることに力を入れた。高齢職員が働き続けられる職場環境の構築を目ざし、フレックスタイム制の導入、勤務時間や勤務日数の調整など、高齢職員ばかりではなく、すべての職員のニーズに対応する制度を次々に導入していった。 さらに、50歳を超えると健康状態に個人差が出てくることをふまえ、職員に対するヒアリングを随時行い、それに応じた就業規則の見直しを行うなどの対応をしていった結果、高齢職員が全職員の3割を占める状況になった。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制と継続雇用制度正規職員、非正規職員ともに、定年は65歳。希望する職員には70歳までの再雇用制度を適用するとともに、70歳以降も業務上の必要性に応じて年齢上限なく継続雇用している。②賃金制度・人事評価制度継続雇用制度のもと、65歳の定年後も基本給は変わらないように職種ごとに賃金テーブルを整備した。定年後は非正規雇用に変わるが、賞与や昇給もある。非正規雇用は、基本的に1年ごとの契約更新となるものの、業務の制限(選択)が可能になるため、例えば「立ち仕事がつらくなった」場合には、その業務を減らすといった対応をして、職員がなるべく長く働いていける環境を整備した。また、継続雇用の契約更新時には、所属長等が高齢職員との個人面談を実施して、賃金および雇用条件、業務内容や健康状態、家庭事情等について確認し、職員それぞれのワーク・ライフ・バランスに合わせた調整を行っている。さエルダー37令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト社会福祉法人光志福祉会が運営する介護付き有料老人ホーム「ネムの木」

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