特集して、介護用の特殊浴槽や床走行・移動式スタンディングリフト、膝当て手すり、吊り上げ式スリングシート等の作業に介護ロボットを導入した。使用頻度の高い機器類においては随時、使用方法が簡単なものに更新している。②健康管理インフルエンザ等の感染症の予防については、介護施設という観点から高齢職員の意識が高く、ほとんどの職員が予防接種を受けており、費用は全額法人負担としている。③安全管理ヒヤリハット報告の雛型用紙を、壁面や共有の机に配備して、情報収集し迅速に共有することで事故防止を図っている。いつ、どこで、どのようなヒヤリハット事例があったなどの詳細を分析し、状況に応じた対応策を具体化している。④福利厚生2018年に、子どもや孫の世話が必要な職員のために定員19人の企業主導型保育施設を開設した。職員枠を設けて安価な費用で利用ができる。保育園を併設した大型複合施設の利点を活かし、高齢職員と施設入居者や利用者が保育園児と帯同しての季節行事イベントへの参加、毎日のあいさつ運動、野菜づくりなどを行い「多世代でともにふれあう楽しさ」を共有している。(4)その他の取組み2024年11月に開催された「第11回かがわ介護王決定戦」に参加して、2年連続の香川県知事賞(総合成績部門)・(入浴介助部門)をダブル受賞している。参加者は全員が外国籍の職員で、大会の開催2カ月前から高齢職員を中心に指導してきたことが結実した。高齢職員の高い経験値と技術はOJTによって若手職員はもちろん、すべての職員に浸透し、高齢職員はあらゆる技能の伝承者として大きな役割を果たしている。一方、2023年には就労継続支援B型事業所を開設、同法人のさまざまな福祉用具のメン テナンスを中心に行っている。この施設でも多くの高齢職員が指導員として障害者とともに働いている。利用者の送迎も高齢職員が行っており、人間力が成熟した高齢職員ならではのていねいな指導力が大きな成果をもたらし、利用者は増加傾向にある。(5)高齢職員の声 Aさん(68歳・女性)は現在、通所施設で看護職員として週28時間の勤務をこなしている。以前Aさんは約13年間、正規看護職員として勤務していたが離職し、事業所への再訪問をきっかけに「もう一度ここで働きたい」という強い思いがめばえ復職に至っている。「復職当初は戸惑うことも多々ありましたが、自身もこのように年を重ねていくのだと考えると、毎日が学びの日々です。数年間のブランクがある自分を受け入れてくれた仲間や利用者に感謝しています」と明るく語った。(6)今後の課題専門職をはじめとする高齢職員の「優れた知識と高い経験値」はますます重要になってきている。今後はさらに法人全体で一丸となり「関わるすべての人に喜びや感動を提供する」を合言葉に、すべての人が活き活きと働き続けることができる職場づくりを目ざしていく。将来的には高齢者の介護支援のみならず障害者支援にも重きを置き、障害の有無にかかわらず地域のなかでともに生きていくことがあたり前となるような「共存型社会」の実現を、地域に根づいた社会福祉法人の使命として取り組んでいく。エルダー39令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト「かがわ介護王決定戦」に参加し、優秀な成績をおさめた
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