エルダー2025年11月号
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特集別休暇制度」(ばあちゃんの(じいちゃんも)出番制度)を導入した。制度の利用者は50人を超えており、安心して働ける職場づくりの構築につながっている。52010年に、新規採用した職員とベテラン職員がペアとなって3カ月間一緒に就労しながら指導するという「エルダー制度」を導入した。このOJTによる新人教育によって、職員間の知識と技術の共有が円滑に進んだ。Ⅱ企業の沿革・事業内容1995年に設立された職員数280人の社会福祉法人で、大分県国東市内に高齢者施設4カ所、サポートセンター1カ所、地域健康センター1カ所を運営している。1996年に特別養護老人ホームを開設、介護事業による地域貢献を目ざして、地域密着型特別養護老人ホーム、ショートステイ、グループホーム、居宅介護支援事業、地域密着型デイサービスなどを積極的に展開してきた。その取組みは高い評価を受けており、2002年に大分県精神障害者社会適応訓練事業による「職しょく親しん」を受託、2009年に「おおいた子育て応援団(しごと子育てサポート企業)」の認証を受け、2010年には「仕事と子育て両立支援モデル企業」に指定された。同法人の介護・子育てと仕事の両立支援事業は、2011年の「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰(子育て・家族支援部門)」において内閣総理大臣表彰を受賞した。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方職員数280人のうち、60歳以上の高齢職員は109人(男性31人、女性78人)で、全体の約39%を占める。最高年齢者は87歳の男性で、施設内外の定期巡回、施錠開錠などの軽作業を担当している。60歳以上の高齢職員109人のうち、定年後の継続雇用者は20人である。立地する地域社会は人口減少と高齢化が進み、なかでも若年労働力の減少が顕著で、地域を支えるにない手の確保が急務となっている。こうしたなか、現理事長は約10年前から同法人で活躍している高齢職員がこれまでつちかった知識や経験を活かせる雇用環境の整備・拡充に着手した。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①定年制と継続雇用制度の改定2024年10月に就業規則を改定し、継続雇用の年齢上限を65歳から70歳に引き上げた。また、70歳を超え、法人が必要と認めた場合は、年齢にかかわりなく継続雇用する制度とした。法人としては「勤務が可能な間は働いてほしい」と考えており、業務内容や本人の体力に応じて高齢職員を適切に配置している。②賃金制度、勤務形態の見直し定年後に継続雇用に切り替わっても、賃金の水準は原則変わらないが、役職者は定年到達時に役職を離れるため役職手当が支給されなくなり、年収は下がる。また、賃金の支払いも、月給制から日給制に切り替わる。勤務形態も短日・短時間勤務を選択することができ、高齢職員の希望に応じて、勤務形態を決めている。職員の健康状態や勤務負担に配慮し、夜勤回数を減らすなど、少しでも長く働き続けられるように柔軟に対応することで、高齢職員の活躍を支援している。③「アクティブシニア制度」の導入現役を退いた70代の高齢者などを対象に、1日2~3時間程度の食事の配膳や清掃などの業エルダー41令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト社会福祉法人安岐の郷が運営する、特別養護老人ホーム「鈴鳴荘」

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