エルダー2025年11月号
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特集Ⅱ企業の沿革・事業内容社会福祉法人福寿会は1995年に創立し、特別養護老人ホーム(ショートステイ併設)と東串良町委託事業のデイサービスセンター、在宅介護支援センターの3事業を開始。地域の人々から「あってよかった」といわれるケアに努め、信頼され親しまれる法人を目ざし、事業を拡大してきた。現在では居宅支援事業所、認知症対応グループホーム、訪問介護事業所、生きがいデイサービスなどの事業を展開し、職員数は創立当初の30数人から131人に増えている。「人は財(たから)である」という考えのもと、職員を「人財」として育て、大切にしていくことをモットーとしている。Ⅲ高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方職員数131人のうち、60歳以上は38人で全体の約3割を占めている。一方で、将来この地域の介護を支えていく人財を育てるため新卒者の採用にも力を入れ、毎年、大学や高校の新卒者を採用している。また、働きながら介護の資格取得を支援する制度を整えており、異業種からの転職者も積極的に採用し、10代から70代まで幅広い世代の職員がそろっている。高齢者雇用の取組みは、2016年に厨房業務の洗い場の仕事をシルバー人材センターに委託したことがきっかけとなった。シルバー人材センターの高齢者の誠実な働きぶりや豊かな人生経験を感じさせる姿勢が、若い職員にとってよい刺激を与える様子が見られたため、「高齢者に働いてもらうことがさまざまなプラスをもたらす」と考えた。以降、就業を希望する高齢者や長く働きたいという職員の希望に応えるため、年齢に関係なく働き続けられる職場づくりに取り組んでいる。Ⅳ改善の内容(1)制度に関する改善①継続雇用を就業規則に明文化定年年齢を65歳と定めていたが、継続雇用の規定はなく、本人の意思を確認して運用によって雇用を延長してきた。そこで2017年4月に定年後の継続雇用を就業規則に定めた。継続雇用は1年更新とし、雇用の年齢上限は定めず、本人との面談によって働き方を相談して決定する。定年後の働き方は、①役職をそのまま継続、②役職のみ外れフルタイムで継続、③勤務日数・時間を短縮して継続のいずれかで、本人の希望で決めている。定年後も働き続けられることが制度化されたことで、定年の65歳が定年後の業務内容や働き方を考え直す分岐点となった。定年後の賃金は、役割や業務内容によって見直している。また、就業規則の改定をきっかけに、65歳超の高齢者をフルタイムで採用するなど、働く意欲のある高齢者の採用が進んでいる。②短時間勤務や配置替えなどに柔軟に対応長く働き続けられる職場を目ざして、体力や健康状態、ライフスタイルに合わせて、できるだけ本人の希望に沿う勤務となるよう、短時間勤務や配置替えなどに柔軟に対応している。また、1時間単位の有給休暇の取得を可能とした。こうした対応により、職員のワーク・ライフ・バランスが改善し退職者が減少したうえ、高齢職員の知識と豊富な経験を活かした業務を継続することができ、質の高い介護サービスが提供できるようになった。エルダー45令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト社会福祉法人福寿会が運営する介護老人福祉施設「ルーピンの里」

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