(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み①人事評価評価委員会を設置して、毎年常勤の全職員を対象に、自己評価と上司評価による人事評価を実施。継続雇用者の場合、評価結果は3月の賞与に反映される。なお、評価結果は、面談を通じてフィードバックしている。また、評価結果をふまえ、毎年3~5人を優秀職員として表彰している。優秀職員賞と新人賞の二つの賞があり、両賞ともに年齢、勤務形態に関係なく受賞対象となっており、職員のモチベーションアップと職場全体の士気向上につながっている。②技術・技能継承の役割小規模な部署ではベテランの高齢職員が教育的立場を務めることが多く、比較的大きな部署では中堅職員がその役割をにない、高齢職員はアドバイザー的な役割をになっている。いずれの場合も、豊富な経験と知識を持つ高齢職員の存在により、組織全体のスキルや知識の底上げが図られている。③能力開発のための取組み介護の考え方や手法は時代とともに変化し進化しているため、技術の標準化、均質化を図る研修が必要となる。そこで、オンラインでの動画研修によるリスキリングを実施している。高齢職員は、新しい環境に適応するために必要な情報や介護支援の方法の習得などにも活用している。動画研修はくり返し視聴できるメリットもあり、サービスの質の向上に役立っている。④IT化への対応キーボード操作を苦手とする職員に配慮して、タブレットを利用した音声入力や、血圧計などの計測機器と連動した自動入力のシステムを導入。各部署に操作を支援する推進員を配置し、相談できる体制を整えた。これらにより、作業の効率化と負担軽減につながっている。操作に不安があった高齢職員には、推進員による支援を通じて操作技術の向上が図られている。(3)雇用継続のための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①負担を軽減する機器などの積極的な導入自動床洗浄装置、天井・床走行型リフト、車いすのまま入浴できるチェアインバスなど、介護職員の負担を軽減する機器を積極的に導入。人を抱える動作は職員の身体に負担がかかるが、機器を用いることで身体的負担が大幅に減少した。利用者も自力での移動や起き上がりが少なくなり負担が減少し、利用者の安心感を高めている。高齢職員は、機器があることで、安心して仕事を続けられるようになった。②安全運転装置つき車両の導入新たに車両を導入する際は、衝突被害軽減ブレーキ、急発進防止装置や全方位カメラなどの安全装置が装備された車両を選定している。③見守り支援システムの導入鹿児島県の「介護ロボット導入支援事業」を活用して、利用者の睡眠状況をリアルタイムに把握できる見守り支援システムを導入した。モニターやタブレットで利用者の睡眠状態が把握でき、夜間の巡視の回数が導入前の約10回から約3回に減り職員の負担が大幅に軽減できた。④食器洗い場の動線改修工事洗浄機で洗う工程を横一線で上げ下げなく作業できるように改修工事を行った。特に高齢職員が担当することが多い仕事なので、身体の負担軽減や時間的な効率化を図ることができた。⑤福利厚生の充実法人が全職員の会費を負担して、外部福利厚生サービスを活用している。健康管理や健康相談、慶弔見舞金の支給、職員の資質向上のための研修、旅行など多様なサービスが受けられるため、職員から喜ばれ、雇用安定や、新規採用時の強みにもなっている。また、施設利用者には管理栄養士が監修した栄養バランスのとれた献立を提供しており、同じメニューを職員に一食300円で提供し、弁当を持参する職員以外はほぼ全員が利用している。(4)高齢職員の声中なか山やま和かず則のりさん(68歳)は自衛隊を退職後に入職した。54歳からデイサービスセンターに勤務して送迎や介助、入浴介助などを担当している。社会福祉法人 福寿会2025.1146
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