エルダー2025年11月号
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特集「自衛官として家を離れていたときに両親を亡くしました。親にできなかったことをいまここでさせてもらっている、そんな気持ちで勤めています。働けるうちは働きたいです」と話す。中山さんは、万全な体調で利用者と接することができるよう健康維持に気をつけており、2019年に優秀職員賞を受賞した。杉すぎ山やま由ゆ里り子こさん(60歳)は、40歳のときに入職し勤続20年になる。介護福祉士として介護老人福祉施設「ルーピンの里」に勤務し、職場のリーダーを務めている。利用者に対しては、「心地よく過ごせるケア」に努め、職員に対しては「相談しあえる関係づくり」を大切にしている。「リフトやボードなどの機器を導入して、抱えない介護を実践していますので、おかげで腰痛が緩和され、リフトを利用して行う移乗は利用者さまにとって安心につながっています」と職場環境について話し、「定年後も身体が続くかぎり仕事を続けていきたいです」と思いを明かしてくれた。味み吉よし明あけ美みさん(63歳)は、35歳のときに介護職は未経験で入職。「ルーピンの里」で働きながら介護福祉士の資格を取得して、現在も同施設で介護職のリーダーとして勤務している。杉山さんと味吉さんは、ほかの職員とともに日勤、早番、遅番、夜勤を交代でこなし、月4回夜勤を行う。日々の業務について、「利用者さまに笑顔が出るように気持ちを込めて行うことを心がけています」と味吉さん。「チームワークのよい職場です。あと1年半ほどで定年の年齢になりますが、身体が続くかぎり、いまと同じように働いていたいと思っています」と語ってくれた。(5)今後の課題 同法人では、3人の障害者が介護職などに就いて長年仕事を続けている。福ふく留どめ利とし郎ろう理事長は、「高齢者や障害者に働きやすい職場を目ざすことは、だれにとっても働きやすい職場づくりの実現につながることを実感しています」として、今後も人財を大切にした職場環境の整備に力を入れていく方針だという。さらに福留理事長は、「一生懸命働いている職員が不安を抱えることなく仕事ができるよう、事務局体制の充実も重要です。人事は当法人の心臓部です。定着率が高いのは、人事が職員をしっかり支えながら、現場と良好な関係を築いているからです。このことをこれからも重視していきます」と話す。だれもが長く働き続けられる職場環境の充実に努めていきたいと考えている。エルダー47令和7年度 高年齢者活躍企業コンテスト床走行式リフトを使用して安全に利用者をベッドから車いすへ移乗させる杉山由里子さん(60歳)介護老人福祉施設「ルーピンの里」でにこやかに入所者の食事を介助する味吉明美さん(63歳)デイサービスセンターの昼食後、利用者の立ち上がりを声をかけながら介助する中山和則さん(68歳)

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