エルダー2025年11月号
54/68

 ミドル・シニア世代の“学び直し”を、最新の脳科学からひも解いた本連載。最終回は「日々 ミドル・シニア世代の“学び直し”を、最新の脳科学からひも解いた本連載。最終回は「日々のちょっとした工夫で脳が活性化する方法」について、1万人の脳を診断してきた脳内科のちょっとした工夫で脳が活性化する方法」について、1万人の脳を診断してきた脳内科医・医学博士の加藤俊徳先生にお話しいただきました。何歳になっても学びを続け、日々医・医学博士の加藤俊徳先生にお話しいただきました。何歳になっても学びを続け、日々の生活で脳を活性化させることはとても重要で、認知症の予防などにもつながるという の生活で脳を活性化させることはとても重要で、認知症の予防などにもつながるという ことです。ことです。ちょっとした工夫で脳が活性化する方法株式会社脳の学校 代表/加藤プラチナクリニック 院長 加か藤とう俊とし徳のり最終回2025.1152脳の活性化のためには脳の活性化のためには「自然の摂理に逆らわない」こと「自然の摂理に逆らわない」こと日々の生活のなかで、脳を活性化させようとするとき、一番に意識すべきは生活のリズムでしょう。生命の起源を考えると、宇宙が最初にできて、その後に生物が発生しているので、われわれ生物は宇宙の仕組みのなかにあるといえます。そのわれわれが一番感じる宇宙の仕組みというのが「昼と夜」。そして、その要因である太陽の動きです。つまり太陽の動きが、私たちの血圧、覚醒の時間などの原点になっていて、それらをコントロールしているといえます。脳を元気に働かせたければ、自然の摂理に逆らってはいけないということは、とても大切です。日中はしっかりと体を動かし、夜はしっかり睡眠時間をとることが、学びの基礎体力をつくるためにもっとも大切なことになります。楽しく学ぶためには健康である必要があって、日中の時間の過ごし方や睡眠の質、食事の時間、そういったものがじつは学びのための脳の体力を支配しているのだということを、知っておいてください。「眠気を取る」「眠気を取る」「「2020分に1度は立ち上がる」分に1度は立ち上がる」効果的な学びのためには、睡眠を見直し、脳が活性化しやすい基礎を整えることが重要です。しっかり睡眠がとれていないと、日中は眠気に悩まされることになるでしょう。この「眠気」という不快感があると、集中力をつかさどる思考系脳番地の働きが極端に低下して眠気の前後1時間は非効率な脳の使い方になります。そのため、眠気がなくなるだけで、脳のパフォーマンスが格段に上がり、脳全体がしっかり動くようになるのです。年齢を重ねると、「入眠しにくい」、「中途覚醒してしまう」、「寝ても疲れがとれない」など、睡眠をめぐる悩みを抱える人が増加しますが、眠れなくなるのは加齢のせいではありません。私自身、以前は中途覚醒することもあったのですが、睡眠時無呼吸を治療したり、睡眠の時間設定を明確にしたり、睡眠前に電子機器に触らないようにするなどして、60歳を超えてから3年ほどかけ、平均睡眠時間を約6時間から8時間50分まで延ばしてきました。さらに、朝は1時間程度のウォーキングを習慣にしています。日中に体をしっかり動かすこ

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る