エルダー2025年11月号
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エルダー53いて、本当にそこには嫌なものばかりが並んでいるのか見てみましょう。よく見たら嫌なものに見えていただけなのかもしれません。もともと嫌だと感じていたけれど、よく見たらよかったことに対しては、脳がすごく働きますし、やる気にもなります。「いつものパターン」を外して「いつものパターン」を外して見方を変える見方を変えるミドル・シニア世代の人にとって、自分が嫌だと思うことのなかに入ってみることは、とても大切です。自分が否定しているものに近づくということは、自分の常識を疑うことでもあります。「自分のいままでのやり方がいいと思うなよ」と自分自身に言い聞かせ、客観的に見ることで、いままでとは違うことを知ることができます。自分の記憶系の脳番地にこびりついた「いつものパターン」をちょっとだけ外し、見方を変えてみると、急にやる気が出てくることもあります。「いつものパターン」を外して脳に刺激を送るためには、若い人たちから学ぶことも効果的です。できれば最低20歳ぐらい年の離れた人、ミドル・シニア世代であれば、30代の人でもいいので、そういう若い人たちと話すのは、すごくよいことです。若い人たちの感覚、見ている世界は本当に違います。さまざまなメディア媒体があるなかで生まれ育った若者と、インターネットもない時代のわれわれ、ましてや戦中・戦後の人たちとでは、比較すらできないことが多いものです。そういうジェネレーションギャップをはっきりさせながら若者から学ぶことは、脳への刺激につながるのです。認知機能は「脳貯金」できる、学び続け認知機能は「脳貯金」できる、学び続けることで「人生100年」を楽しくることで「人生100年」を楽しく日々の過ごし方を工夫し、脳を活性化させることは、認知症予防の観点からも重要です。じつは認知機能というのは、「貯金」ができるのです。生涯学習は認知機能を高めます。学び続け、脳を活性化させ続けることで、認知機能が貯金されるということです。認知機能を多く「脳貯金」していて、もともとの認知機能が高い人は、仮に認知症になって機能が下がっても、もともとの機能が高いため、そうではない人と大きな差が出ます。脳の成長はいくつになっても右肩上がり。「人生100年時代」を楽しく過ごすには、健康な体、丈夫な足腰や体力も必要ですが、学び続けて脳を活性化させ、「貯金」をコツコツと蓄積し続けることも大切です。(取材・文 沼野容子)とも、睡眠の質の向上、十分な睡眠時間の確保につながるのです。そもそも運動は、脳全体を活性化させる起爆剤になるものですから、日ごろから日中に歩くなどして活動量を増やすことは大事です。座りっぱなしの時間が長い人などは、20分に1度は立ち上がるなどの工夫をし、座っている時間を減らすことが必要です。「好奇心」、「興味」を学びに活かす「好奇心」、「興味」を学びに活かす生活リズムに加え、脳の活性化で大きな役割をになうのが「好奇心」です。日々の生活のなかで、自分の好奇心をくすぐるような、ちょっとしたネタ、あるいは人物などを見つけると、脳は非常に活性化します。例えば、ちょっと興味があるなと思った人の名前、読みたいなと思った人の本などをインターネットで検索してみると、その人の話している動画などが出てきて、それを見ると親近感が湧くでしょう。こうした興味、好奇心を学びに活かすことで、物事を習得しやすくなります。感情系の脳番地、共感性を活かした学びということです。逆に、自分が「嫌だ」と感じること、「できない」と思うことを見直すのも、脳の活性化につながります。自分が否定しているものに近づ

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