エルダー2025年11月号
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2025.1156や情報提供だけでなく、一緒に歩んでいただいている存在です」と深い信頼を寄せていました。今回は、豊富な経験を活かして園の重要な役割をになう、お二人の高齢職員にお話をうかがいました。ベテランの知恵と経験が光る児童福祉の現場「相談支援事業所ムーミン」で相談支援専門員として働く佐さ野の充みつ保やすさん(73歳)は、県の福祉専門職を退職後、同園に入職しました。渡邊園長が佐野さんのいままでの経験とスキルを高く評価し、肝いりで迎え入れた人物です。「相談支援事業所の立上げの中心となってほしい」という園長の期待にを実施するなど、約1年間にわたる継続的な支援のなかで、「定年65歳。基準該当者70歳、法人が認める者は年齢上限なく継続雇用」という提案を行ったそうです。退職金制度なども含めて同法人の状況を総合的に検討し、渡邊園長と何度も話合いを重ねた結果、「定年60歳。希望者全員65歳・基準該当者70歳までの継続雇用、法人が認める者については年齢上限なく継続雇用」という現在の制度に落ち着きました。「制度と実態の乖離を解消し、高齢職員が安心して働ける職場づくりを支援しました。もとより高齢者だけでなく、女性が多い職場で結婚・出産後も働き続けることのできる、全世代にやさしい制度設計でした。こうした柔軟な勤務制度や勤務時間の変更などの工夫や仕組みをさらに制度化し、ルールとして確立するよう助言しました」(内田プランナー)渡邊園長は内田プランナーについて、「イエス、ノーをはっきりいってくれる専門家として、率直なアドバイスをいただけることに感謝しています。制度改定により、65歳以上の職員からは『まだ働けるのですね』という喜ぶ声が出ています。体力的にフルタイム勤務がむずかしい職種でも、2時間や3時間といった短時間勤務でも、パフォーマンスを発揮できる環境が提供できるようになりました。内田プランナーは法改正への対応資源として運営の基盤を支えています」安心して力を発揮できる高齢者雇用制度同法人では、定年60歳、希望者全員65歳・基準該当者70歳までの継続雇用制度を整えており、さらに法人が認める者については継続雇用の年齢上限を撤廃しています。この制度改定を支援したのが、内田プランナーです。内田プランナーが最初にひかりの家を訪問したのは、2024年春、山梨県の働き方改革支援事業がきっかけでした。それ以来、数回にわたって訪問し、就業規則の大幅な見直しを支援するなかで、高齢者が実際に活躍している状況と既存の制度に乖かい離りがあることに気づいたといいます。「正規職員においては、いままでに定年を迎えた方が1人のみで、定年後再雇用の実績が少ない状況でしたが、短時間勤務者に目を向けると、70歳を超えた職員が元気に働き、戦力として活躍していました。同法人として能力と意欲がある高齢者に長く働いてほしいと考えてはいるものの、制度がそれに追いついていないという状況でした。そのため法人を訪問し、定年制度についても本格的な見直しを行うことになりました」(内田プランナー)雇用力評価ツールを活用して課題を分析し、賃金制度見直しや評価制度の運用など具体的な助言保護者の相談に乗る佐野充保さん

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