エルダー2025年12月号
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2025.128図表2 エンゲージメント概念の整理※筆者作成経営的視点エンゲージメントー身体的ー認知的ー情動的ー活力ー熱意ー没頭心理的視点職務パフォーマンス向上ウェルビーイング増進ジョブ・エンゲージメントワーク・エンゲージメント役割遂行への自己投入前向きな心理状態る組織行動(経営学)の研究者、ウィリアム・カーンは、個人の「役割」に注目する「ジョブ・エンゲージメント(Job engagement)」という概念を提唱します。これは、「個人が身体的・認知的・情動的エネルギーを役割遂行にどれだけ投入したか」をさす概念です。つまり、個人が組織で果たすべき役割に、①実際に手と体を動かし(身体的)、②頭の中を集中させ(認知的)、そして③熱意を持って楽しく(情動的)遂行できている状態が、ジョブ・エンゲージメントの高い状態といえます。本稿では、ワーク・エンゲージメントとジョブ・エンゲージメントの重なる部分を「エンゲージメント」(図表2)と定義します(以降、両者を区別する必要がある場合を除き、エンゲージメントと記します)。二つの見方を合わせて考えると、ワーク・エンゲージメントは心身の健康の維持や注意の持続により効果的な働きをし、ジョブ・エンゲージメントは手順の正確さ、処理の速さと質、協働の円滑さにより効果的な働きをします。両者が同時に一定水準にあると、健康と職務パフォーマンスの両立が現実的になります。その結果として、信頼性(止まらない・事故が少ない・欠陥が少ない)、顧客価値(対応の速さと質、継続利用)、知の継承と改良(要点の言語化と更新)、組織のしなやかさ(異常時の判断と回復)にかかわる行動が増え、日常の運用として定着します。エンゲージメントの効果―量的根拠をもとに3ここで、エンゲージメントが組織や個人にどのような効果をもたらすのかを確認します。米国の世論調査会社ギャラップの研究では、11万を超える事業・職場単位の分析を行い、エンゲージメントの高い職場は、そうでない職場に比べて、総合的なパフォーマンスが明らかに良好で考になります。これらは部門を問わず、製造・サービス・バックオフィスでも読み替え可能です。いずれも単一の指標では測りにくいものですが、組織の収益・評判・持続性を背後から支える重要な価値に相当します。エンゲージメントによる「価値」の創出2昨今、「エンゲージメント」という言葉を日本の職場でもよく耳にするようになりました。学術的には、大きく二つの流れがあります。一つめは、健康心理学の流れを汲むもので、1990年代後半にバーンアウト(燃え尽き症候群)の反対の概念としてエンゲージメントという言葉が使われ始めました。その後、2000年代初頭に、当時、オランダのユトレヒト大学に所属していた組織心理学者のウィルマ―・B・シャウフェリが「活力・熱意・没頭の3側面からなる、前向きで充実した仕事への心理状態」として定義し、測定尺度も開発されました。これが「ワーク・エンゲージメント(Work engage ‑ment)」です。一方で、経営学者も1990年代初めごろに、職場におけるエンゲージメントについて論じ始めています。アメリカのボストン大学に所属す

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