エルダー9特集高齢社員のワーク・エンゲージメントの高め方図表3 加齢にともなう仕事・学習関連の態度変化※筆者作成5.0〜29歳30〜39歳40〜54歳55歳以上4.54.0注:筆者のデータによる(回答者は、日本企業(複数・多業種)に勤務する正規社員)n = 1,089(〜29歳=368名、30〜39歳=368名、40〜54歳=197名、 55歳以上=156名)仕事満足度仕事へのエンゲージメント自律的学習回答スコアあることが示されています。顧客が離れにくい、利益や売上げが伸びやすい、欠勤や離職が少ない、安全や品質のトラブルも起きにくいという結果が一貫して見られます。特に、エンゲージメントの高い職場(上位四分位)は、低い職場(下位四分位)に比べ、利益、顧客ロイヤルティ、生産性(売上げ)が、それぞれ+23%、+18%、+10%高いと報告されています★2。これは「たまたま起きた差」というより、多くの現場で確認される傾向だと理解して差しつかえありません。すなわち、エンゲージメントの高い職場は、価値の土台が厚いといえます。個人レベルでも、多くの研究がタスク・パフォーマンスと周辺行動(協力・支援など)に対する有意な関連を示しています。ジョブ・エンゲージメントの系譜からも、役割への自己投入がタスク成果や協力行動を通じて成果に結びつくことが示されています。ここで強調したいのは、エンゲージメントは個人の一時的な気分ではなく、仕事の進め方・役割の受けとめ方にかかわる「働きぶりの質」を表している点です。したがって、評価や配置に直結させるというより、業務とチーム運営の改善に活用するのが適切です。また、従業員満足(近縁概念)と企業価値の関係を市場データで検証したある研究では、従業員満足度が高い企業の長期的な超過収益が確認されています。人への投資が持続的価値につながる経営が、経営学とファイナンスの双方から観測されています。ここでも、短期の数字の上下ではなく、数年単位の傾向としてとらえる姿勢が求められます。なぜ「高齢社員×エンゲージメント」なのか4高齢社員は四つの価値に関して、いくつかの強みを持ちます。第一に、加齢とともに情動の自己調整が進み、意味のある活動や関係を選ぶ傾向が高まることが示されています。筆者の研究でも、年齢が高いほどエンゲージメントが高まる傾向が報告されています(図表3)。職務上の困難があっても、落ち着いて対処し、重要度の高い事柄に意識を集中できることが、信頼性の維持や顧客対応の安定に寄与します。第二に、経験知の統合です。技術や規格が変わっても、「どこでミスが起きやすいか」、「お客さまが何に困るか」といった実践知は、信頼性と顧客価値の基盤になります。経験知は単に伝えるだけでは定着しません。要点を言葉にし、手順に落とし込み、実務の場面で使ってみて、修正をくり返すことが大切です。この流れのなかで、役割の自覚があるほど、どの要点を伝承すべきか、どの順序で教えるべきかが整理されます。ここでもエンゲージメントがかかわります。第三に、現実の緊張です。役員を除く65歳以上の雇用者では非正規割合が76・9%と高く、役割や処遇の連続性が揺らぎやすいという構図があります★1。人手が足りないから「活用する」のではなく、価値創出の主役にふさわしい役割像とその期待を言葉にして迎え入れられるかが問われます。役割が明確で、期待が伝わっているほど、エンゲージメントは保たれます。肩書きの変更や雇用区分の違いがあっても、求めら
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