エルダー2025年12月号
14/68

2025.1212図表2 高齢社員の思い※ 筆者作成高齢社員の思い背景と説明① 経験を活かしたい長年つちかった知識やノウハウが発揮できないと、「自分の存在価値がない」と感じやすい② 周囲から 大切にされたいかつて部下だった若手が上司になるケースもあり、人間関係の変化に戸惑う。命令系統は変わっても必要とされたい③ 正当に評価されたい「定年後だから同じ評価はむずかしい」という扱いは、やる気を大きく削ぐ要因となる。行った仕事は正当に評価してほしい④ 自分のペースで 働きたい加齢による体力の衰えに応じた働き方を選択したい。会社一途の働き方でなく、生活全体の一部として考えたい⑤ 将来への不安年齢や収入減への不安を抱えながらも、「働けるうちは社会の一員でいたい」と願うが高まります。③ ポジティブなフィードバックを意識する注意や指摘ばかりでは、だれしも意欲を失います。特に高齢社員は「もう若くないから仕方がない」と自ら制限をかけてしまうことがあるため、上司からの前向きな声かけが不可欠です。「助かっています」、「その経験を若手に伝えてください」といった言葉が、なによりの励みになります。④ 話を聴き、存在を認める「自分の話を聴いてもらえる」、「自分の経験がだれかの役に立っている」と感じることが、働く意欲を高めます。日常のちょっとした相談や会話のなかに、その姿勢が表れるようにしましょう。聴く力のある組織は、年齢を問わず人が育つ組織でもあります。5高齢社員のワーク・エンゲージ高齢社員のワーク・エンゲージメントを高めるポイントメントを高めるポイント① 強みを活かす仕事設計をするピーター・ドラッカー(Peter F. Drucker)は「人は自身の強みからのみ成果を上げることができる。弱みの上には成果を築けない。マネージャーの仕事は、人々の強みを有効にし、弱みを『関係ないもの』にすることである」と述べています。高齢社員も同様で、高齢社員の意欲齢社員の自己効力感を損ない、結果的に職場全体の士気を下げてしまうことがあります。まずは、高齢社員がどのような気持ちで日々を過ごしているかを理解することが、適切なマネジメントの第一歩です(図表2)。このような思いに共感し、言葉や行動で「あなたを必要としている」というメッセージを伝えることが、エンゲージメントを高める土台となります。4高齢社員に対して組織メンバーが高齢社員に対して組織メンバーが心がけること心がけること① 尊敬の念を持って接する高齢社員は、組織の「歴史そのもの」を知る存在です。時代の変化をくぐり抜けてきた経験は、単なる知識以上の価値を持ちます。若手社員が困難に直面したとき、過去の知見や判断力が大きな助けとなることも少なくありません。だからこそ、年齢ではなく「組織の財産」として尊敬の気持ちを持って接することが大切です。② プロセスや努力を認めて褒める成果だけを見て評価するのではなく、そこに至る過程をていねいに見ることが重要です。「根気よく後輩を支援してくれた」、「顧客との信頼関係を長年維持してくれている」など、日々の積み重ねを評価することで、本人の自己肯定感の役に立ちたい」、「経験を次世代に伝えたい」、「得意なことを活かしたい」といった“内面的な意義”がモチベーションの中心になります。したがって、管理職は「年齢を重ねた社員の価値観の変化」を理解し、それに応じた支援を行うことが求められます。3高齢社員の立場・考え方を高齢社員の立場・考え方を理解する理解する管理職のなかには「再雇用だからそんなに期待しない」、「若い人の成長を優先すべき」と考える方もいます。しかし、そうした認識は、高

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る