2025.1222ていく可性能があります。重量物などの運搬における作業姿勢の改善、休止、休憩時間の確保といった高齢社員の特性を考慮した「作業管理」を行うことは腰痛症の防止とその悪化を防ぐことに効果があると考えられます。②加齢にともない感じやすい疲労を予防する措置(1) 加齢にともなって自覚的な疲労感は増大しやすく、回復に時間を要するようになります。短時間勤務、短日数勤務、残業や休日勤務の免除などを従業員自身が選択できる制度を設けることで疲労回復を助けることができる可能性があります。(2) フレックスタイム、時差出勤、自宅から近い勤務地への配置転換、テレワークの導入を高齢社員の希望にしたがって行うことができるよう、制度設計して、周知することもできます。疲労が蓄積しやすく、体力低下傾向に対して、業務負担の軽減を図り、公共交通機関、自家用車による通勤負担への配慮、例えば時差出勤制度も実施できます。③加齢にともなう体力低下や持病に応じた業務負担への配慮(1) 定年後の再雇用者(有期雇用)であっても、正社員の場合と同じように、治療と仕事の両立に役立つ病気休暇・休職制度を設けることで離職を防ぐとともに会社に対する信頼と安心をもたらすことができます。④高齢社員の健康の保持・増進の知識とスキルを意味する「ヘルスリテラシー」の向上を目ざした健康教育や健康増進活動の実施(1) 高齢社員を対象とした、運動習慣、食生活見直し、禁煙、節酒と睡眠を取り上げたセミナーを産業医、保健師などの方々に依頼して、継続して実施していくことができます。病気の予防だけでなく、日々の体調が改善し、コンディションがよくなっていくことは、ワーク・エンゲージメントに好影響を与えます。上述の「疲労を予防する措置」や「体力低下や持病に応じた業務負担への配慮」を平行して行うことで、先述の内発的報酬を高め、そのことでより健康的な生活習慣を継続できる可能性が高まります。そうした状況からワーク・エンゲージメントを持続的に維持、改善するという好循環に結びつけることも可能です。(2) 加齢によって低下しがちな運動機能のチェック、例えば、中央労働災害防止協会による「転倒等リスク評価セルフチェック」を実施するなどの体力測定を通じて先述の転倒災害の防止を推進することができます。その際に定期健康診断後の結果通知からの保健指導と同じように、測定、チェックのやりっぱなしでなく、いかに改善に結びつけるのかを産業医、保健師などの方々の支援を仰ぎながら、労使で取り組んでいくことができます。(3) 骨の問題(骨こつ粗そ鬆しょう症しょう)、関節軟骨などの問題(変形性関節症)、筋肉などの問題(サルコペニア)を背景とする痛み、関節の動きにくさ、柔軟性と筋力とバランス能力の低下、姿勢の変化から、移動がむずかしくなる問題を総称する「ロコモティブシンドローム(通称、ロコモ)」のチェックを行うことが可能です。例えば、40㎝の台に腰かけ、片足で立ち上がり、3秒維持するという「立ち上がりテスト」を実施することができます。ヘルスリテラシーの一つとしての運動習慣の習得と維持のための動機づけにもなり、退職後のフレイル(身体的、精神的、社会的虚弱)から介護へと続く流れの防止にも役立ちます。ただし、上述の体力測定とともに測定の際に高齢社員がけがをしないよう十分に注意する必要があります。
元のページ ../index.html#24