2025.122法政大学 キャリアデザイン学部 教授田中研之輔さんではなく、一人ひとりが自分で考えて新たなキャリアにチャレンジしなければいけない時代といえます。ミドルシニア世代のキャリア形成においても大きな転換期を迎えているととらえています。政府もそのことに気づいて副業・兼業をすでに推奨していますし、大企業も副業・兼業の解禁だけではなく、何歳からでも新しい仕事にチャレンジできる社内公募制度の拡充にも力を入れています。―企業も“社員一人ひとりがキャリア自律しなければ企業も成長しない”と気づいたということでしょうか。田中 企業が何に直面したかといえば、“優秀な人材を獲得しても長年仕事を任せていると停滞してくる”という事実です。この停滞を「キャリアプラトー」と呼んでいます。ポテンシャルの高い人たちが経験を積んでプロフェッショナルとして長年働いていれば、本来はできることが増えていかなければいけま―「キャリア自律」という言葉に代表されるように、働く人が自身のキャリアを自ら切り拓くことが求められてきています。なぜキャリア自律が必要なのでしょうか。田中 まず働く期間が長くなってきたことがあげられます。健康寿命も延びていますし、いま50歳であれば、70歳まで働くとしても20年もあるわけです。一方で、私たちが思っている以上に、生成AIに代表されるようにテクノロジカルイノベーションがものすごいスピードで進んでいます。この変化に対応し生涯現役で働き続けるためには、一人ひとりがキャリアを自分で考えるキャリアオーナーシップを持ち、自分のビジネススキルを磨きながらキャリアを形成していくことがとても重要な時代になっています。これまでは組織にキャリアを預け、評価されて昇進し、50代半ばで役職定年を迎える、というのが一般的なキャリアの歩みでした。ですが、いまは組織にキャリアを預ける時代せんが、組織での役割が限定され、固定化されるようになり、キャリアプラトーに陥ってしまうのです。それを打破するためには、副業・兼業や公募制など新しい行動に自ら挑戦するキャリア自律の支援が不可欠になります。―実際に働くミドルシニアは、どのようなキャリア上の悩みを抱えているのでしょうか。田中 例えば、50歳前後には非管理職の人も多いですが、「がんばっているのに組織のなかで評価されなくなる」、つまり客観的な評価を受けづらくなることがあげられます。あるいは、部長職に昇進している人のなかにも「その先が見えない」という悩みを抱えている人がいます。また、「自分の能力が高まっているのかがわからない」と悩む人もいます。例えば100m走であれば、いまの15秒という記録を来週までに14・5秒に縮めるという目標を立て、そのための練習プログラムは簡単につくることができますが、ビジネスの世界ではむずかしいのです。50歳の人が「来週までに能力を上げよう」といったときに、何のどういう能力なのかをだれも規定してくれないので、キャリアプラトーに陥ってしまいます。 人間は本人が思っている以上に能力が高組織にキャリアを預ける時代から自ら考えキャリアを開拓する時代へ
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