アはやりがいを得るという好循環が生まれました。逆に、同じような提案に対して「そんなの必要ない」と突き放した上司もいました。その職場ではシニア社員が萎縮し、結局新しい工夫は生まれませんでした。上司の姿勢ひとつで結果が大きく変わるのです。また、ある病院のシニア清掃員は、自分の仕事を「患者さんの療養を支える大事な役割」と考えるようになり、誇りを持って働いています。こうした事例は、ジョブ・クラフティングが日常の仕事に誇りと意味を与えることを示しています。シニア社員が自分らしく働き続けるためには、ジョブ・クラフティングを「自分だけの工夫」に終わらせず、組織として支援することが欠かせません。マネジメントは伴走者として方向を示し、研修は小さな工夫を始めるきっかけと継続支援を提供します。「年を重ねたからこそできる工夫は何か?」、この問いかけに答えることが、シニア社員のキャリアを支え、組織の未来を強くしていくのです。「雑談を増やす」という小さな工夫を取り入れ、周囲の反応を見ながらコミュニケーションのあり方を変えていきました。また、当初「職務の幅を広げたい」と大きな目標を掲げていたシニア社員も、研修を通じて「まずはいまの業務を楽しんで取り組むことから始めよう」と目標を調整しました。これは拡張的ジョブ・クラフティングと縮小的ジョブ・クラフティングをうまく組み合わせた実践であり、シニア社員が無理なく新しい役割を見つけていくプロセスそのものです。このように、上司を巻き込み、仲間とつながる仕かけをつくることで、ジョブ・クラフティング研修は単なる学びの場にとどまらず、職場で持続する行動変容へとつながることが確認できます。おわりにおわりに5ジョブ・クラフティングは大きな改革ではなく、日常の小さな工夫です。シニア社員がそれを続けるためには、上司の理解や同僚の協力が欠かせません。例えば、ある再雇用社員が「自分の強みを活かして若手に資料作成を指導したい」と提案したとき、上司が「ぜひやってほしい」と承認しました。結果として若手はスキルを学び、シニ【参考文献】★1 森永雄太(2023)『ジョブ・クラフティングのマネジメント』千倉書房★2 岸田泰則・大野瑠衣(2025)「ジョブ・クラフティング研修の実践的課題の検討」日本労務学会第55回全国大会エルダー41ジョブ・クラフティング入門
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