2025.124関係資本の二つを蓄積し続けている人ほど経済資本を手に入れている人が多いです。逆に「半年間でこの二つをどれだけ貯めていますか」と質問すると、停滞している人ほど貯まっていません。半年間同じ仕事しかしていない、ネットワークも社内にかぎられる人が多いのです。―ビジネス資本と社会関係資本を、つねにアップデートしていくことが重要ということですね。田中 私自身も30歳までの初期キャリア形成期、45歳までの中期キャリア形成期にどんな資本を蓄積したのかを整理し、45歳から70歳までに自分が何をしたいのか、働くことを通じてどんなアウトプットを出していくのかという「後期キャリア形成期」の計画を立てアップデートしていますし、さらにその先の70歳から100歳までの「ポストキャリア形成期」のシート項目の作成も始めました。キャリア資本を貯める突破口としては兼業をおすすめします。資本を貯めていくという行動習慣を50歳から始めてほしいと思います。―ミドルシニアのキャリア資本の形成を支援していくために、企業にはどのような取組みが求められますか。田中 大企業の経営陣からも同じ質問を受けますが、私は「兼業」と答えています。社外がむずかしいなら「社内兼業」もおすすめです。社内兼業ができる仕組みを整備し、さらに異動先を自ら選べる公募制も拡充すべきでしょう。マインドセットも重要です。そのためにキャリア開発研修を実施し、そのなかでキャリア開発診断を受けることも有効です。私がつくった「キャリアAIドック」は60の設問があり、いまのキャリアの状態を点数化することができます。 そのうえで本人が自らのキャリアについて語る1on1による「キャリア対話」を重ねながら伴走し、キャリア開発のために社内兼業がよいのか、社外兼業がよいのかを考えたり、あるいは自身に足りない部分については自己学習をしたりします。eラーニングや対面型の学習講座によるトレーニングも効果的です。こうした取組みを半年間行い、もう一回キャリア診断を受けると点数も上がり、キャリアの状態も好転します。企業としてはキャリアの再設計のために一連の流れをパッケージで用意し、それをくり返し回していくようにすると、確実にパフォーマンスも上がってきます。―キャリア形成支援にたずさわる経営者や人事担当者にアドバイスをお願いします。田中 社員一人ひとりの可能性を最大化させるために、経営者や人事のみなさん自身がキャリア開発のプロデューサーになっていただきたいですし、プロデューサーに必要な知見を自ら学んでほしいと思います。例えばキャリアに関する最先端の理論を学ぶ、AIを使ってどのように個々人のキャリアに伴走するかも大切ですし、そこはつねにアップデートし続けることがとても重要です。そして人事担当者ご自身もぜひ「個人事業主化してください」 といいたいですね。社内・社外兼業の仕組みの整備が重要人事担当者自身の個人事業主化に期待(聞き手・文/溝上憲文 撮影/中岡泰博)法政大学 キャリアデザイン学部 教授田中研之輔さん
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