2025.1262手差しで1枚ずつ加工する半自動箔押機。版を付けた熱板で、箔と紙などの素材に圧力をかけることによって、素材に箔を定着させるの技術が認められ、2024(令和6)年度の「新宿ものづくりマイスター」に認定された。豊富な経験をもとに最適な温度・圧力を見出す同社は渡辺さんの祖父が1939(昭和14)年に創業。渡辺さんは高校卒業後、同業他社での修業経験を経て、三代目として家業に入った。「祖父の時代は手動の機械を使っていました。私が小学生のころ、父が電気化された全自動機・半自動機を導入したこともあり、親の代で終わりにしてはもったいない、という気持ちが生まれました。仕事を始めてからは、とにかく“見よう見まね”で覚えましたね」当時導入された機械が、現在も活躍している。近年は数量の少ない仕事が多いため、一度セッティングすれば自動で大量に処理できる全自動機よりも、1枚1枚手差しで加工する半自動機を使うことが多い。その理由は、細かな調整が効くためだ。箔押は、加熱した版に圧力をかけて箔を素材に転写する。紙などの材質と使用する箔の組合せ、さらにはデザインによって、転写時の最適な温度や圧力が異なってくる。そのため、温度や圧力の微妙な調整が重要になる。それを可能にするのが、昔ながらのアナログ制御の半自動機であり、最適な温度・圧力を見つけるには、長年の経験がものをいう。「特に最近は、箔押しする素材の予備が少ないことが多いため、試し押しの段階から、できるだけ失敗しないことが求められます」また、顧客が求める品質のレベルも以前よりも高まっているため、検品しながら進めるうえでも半自動機が適しているという。準備段階では、箔を紙などに均一に定着させるための「ムラ取り」「むずかしい仕事を手がけて、お客さまから『よかったよ、渡辺さん』と喜んでもらえると、職人冥みょう利りに尽きますね」
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