エルダー2025年12月号
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エルダー63「新しい材料が出てきたり、経験したことのないものを依頼されたりすることもありますから、つねに勉強するようにしています。毎日のように挑戦できることが、この仕事の魅力かもしれません」仕事をするうえで大切にしていることが二つある。一つは顧客の要望にできるかぎり応えること。そしてもう一つは家族の絆だ。会社は家族で経営しており、同社のもう一つの工場も弟の家族が運営している。じつは「繁光堂」という社名は、渡辺さんの父が、2人の息子の名前から名づけたもの。息子の匠たくみさんが入社してからは、一緒に仕事をしながら技術の継承を進めている。「家族あっての仕事なので、これからも家族の絆を大切にしながら、箔押の技術を次の世代へ引き継いでいきたいと思います」有限会社繁光堂箔押印刷TEL:03(3260)2941(撮影・羽渕みどり/取材・増田忠英)が必要になる。経験とセンスが求められ、「箔押の肝きも」となる技術だという。また半自動機では、箔押しする紙などを手差しで出し入れするため、その位置決めも重要になる。紙の場合は「見当」という道具を使い、紙を置く位置を正確に決める。同じ紙に異なる箔を押すケースもあり、その際はそれぞれの箔の位置がずれないように、位置決めにはかなりの精度が要求される。渡辺さんはこれらの技術を駆使し、やわらかい布への箔押や、複数の箔を組み合わせるなど、これまで数々の難易度の高い箔押を成功させてきた。家族の絆を大切に技術を継承していくこのように、箔押は経験が大きくものをいう仕事であり、渡辺さん自身も、まだまだ経験が足りないと考えている。幅80㎝までの箔押ができる半自動箔押機。面積が広ければ広いほど、箔を均一に定着させるためのムラ取りの難易度が増し、調整に時間がかかる四代目にあたる息子の匠さんの作業を見ながらアドバイスをする。匠さんは「父の豊富な経験に学ぶことは、まだまだ多い。生涯現役で続けてほしい」と期待を寄せる箔押の準備①:箔押に不可欠な版は、製版会社に外注する。この版を箔押機の盤につけ、熱と圧力で箔を紙などの素材に転写する箔押の準備③:ムラ取りができたら、箔押をする紙を置く位置の見当をつける。(①、②の図柄は渡辺さんの母校の小学校の校章)箔押に用いる箔のロール。同じ色でも、裏に付着している接着剤によって複数の種類があり、転写する素材との相性で選ぶ箔押をした製品の一例。箔押は文具、パッケージ、ポスター、カタログなど、さまざまな製品に用いられている箔押の準備②:①の版を使って、試しに箔押ししたもの。箔が転写されていない白い部分(=ムラ)をなくす必要がある vol.358

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