エルダー2026年1月号
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2026.110代わって出てきた案は、積立金を用いるなどして基礎年金を底上げする案だったのですが、きわめて複雑な内容で、結局は今回の制度改正では実現していません。ただ、次回の財政検証で実施する可能性をかなり残す附則が制度改正法に加えられました。低年金の高齢者を減らすことは、間違いなく必要です。そのための自然な手段は、45年加入のほか、被用者保険の適用拡大によって、短時間労働者や個人事業所で働く方々に報酬比例部分が給付されるようにすることです。今後も粘り強く進めていく必要があるでしょう。注目すべき公的年金の注目すべき公的年金のインフレ耐性インフレ耐性72022年以降、インフレの状況が続いています。特に、米をはじめ食料品の価格上昇が急激なので、庶民の生活が脅かされています。多くの国民が不安を感じているところでしょう。インフレのもとで、老後の年金はどうなるのでしょうか。年金は基本的に、物価や賃金に連動していくので、インフレ耐性は強いといえます。ただ、当面は、以下のようにインフレ連動は不完全です。インフレで物価も賃金も上昇し、しかも賃金上昇率の方が高い(実質賃金が上昇する)場合はまた、基礎年金の大きさは厚生年金の所得再分配効果の大きさに強く関係しています。厚生年金では、保険料が報酬に比例しますが、給付額については、賃金に比例する厚生年金部分と、定額の基礎年金部分で構成されます。イメージとして、月給60万円の人は20万円の人の3倍払いますが、基礎年金は定額なので、20万円の人は、60万円の人の1/3しか払わずに同じ基礎年金を受給できることとなります。これが再分配効果であり、低所得者の強い味方です。ところが、経済が好調に推移しない場合、将来の基礎年金の水準が低下すると見込まれています。その理由は少なからずテクニカルなのですが、デフレ期に、物価下落以上に賃金が下がったことが根底にあります。この結果、基礎年金を底上げすべきという議論になっていきました。基礎年金を底上げするのにもっとも自然な方法は、45年加入です。45年加入とは、いまの40年加入を45年に延ばし、基礎年金を相似形で45/40倍にする(保険料も給付も同じ比率で増える)というものであり、80万円強の基礎年金を約10万円増やすというものでした。しかし、この案は、次期年金制度改正の議論が本格化するなかで検討対象から落とされてしまいました。5年間の国民年金保険料の約100万円の負担増というネガティブイメージが先に広まってしまったのです。物価上昇率から、賃金上昇率の方が低い(実質賃金が低下する)場合は賃金上昇率から、スライド調整率をそれぞれ差し引いて給付を改定します。差し引く分だけ、連動が不完全になります。スライド調整率※7は、現役世代の減少率と高齢者の平均余命の伸び率を元にして設定し、2025年度の給付額の設定においては▲0・4%でした。また、マクロ経済スライド※7は永久に続くのではなく、今後100年の年金財政のバランスを一定範囲内に収めることができると判断された時点で終了します。老後資産を形成できた人も、インフレで資産の実質価値が目減りすることを完全に防ぐことは至難の業です。加齢によって認知機能が低下すれば、実質価値を維持できる運用など到底不可能になるでしょう。公的年金のインフレ耐性の強さは、ライフプランニングにおいて、注目に値します。おわりにおわりに8公的年金制度を取り巻く環境は激変しています。制度自体も変化しています。少子高齢化で「年金は破綻する」、「あてになどできない」と即断するのではなく、冷静にライフプランニングに活かしていくべきでしょう。※7 マクロ経済スライド…… 公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、マクロ調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するもの。2004(平成16)年年金制度改正で導入

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