エルダー2026年1月号
15/68

エルダー13特集年金入門遺族厚生年金の支給対象(遺族基礎年金の対象になる子がいない場合)現在: 女性で30歳未満=5年間女性で30歳以上=無期男性で55歳未満=なし男性で55歳以上=60歳から無期*いずれも年収850万円未満の場合のみ支給改正後: 男女とも60歳未満=5年間+継続給付男女とも60歳以上=無期(現行どおり)*5年間の給付には収入要件なし*現行制度よりも給付を増額(老齢年金にも)*改正時に40歳以上の女性や受給中の人は改正の適用対象外図表5 現役期の遺族厚生年金の見直し※ 筆者作成2022年度末時点では、65歳以上で在職中の厚生年金の受給権者308万人のうち、50万人が減額の対象ですが、この改正が適用されると約20万人に減少する見込みです。保険料や年金の計算基礎となる保険料や年金の計算基礎となる月給の上限を引上げ月給の上限を引上げ4第三の改正点は、標準報酬月額の上限の引上げです。標準報酬月額は、保険料や年金額の計算基礎となる、月給をいくつかの等級に区分した金額です。現在の上限は、年金額の格差を抑えるために、平均額の2倍を目安として65万円になっています。しかし、上限の該当者は、給与に対する保険料の割合がほかの加入者よりも低くなる、という問題があります。2024年には、上限に該当する人が、男女合計で約7%、男性だけで見ると約10%に達しています。今回の改正では、上限に該当する人を男女合計の4%程度に抑えるため、上限が75万円へ引き上げられます。ただし、企業への影響などに配慮して、2027年9月から段階的に引き上げられます(12ページ図表4)。遺族厚生年金を男女共通化遺族厚生年金を男女共通化(原則5年化や加算など)(原則5年化や加算など)5第四の改正点は、現役時に死亡した場合の遺族厚生年金の見直しです。これまでは、男女の就業環境の違いに配慮して、受給の要件などに男女差がありました。しかし、近年の就業環境に合わせて、20年をかけて男女共通の仕組みに変更されます。見直し後は、遺族厚生年金の役割が「生活を再建するためのもの」と位置づけられ、60歳未満に対しては、原則として5年間の給付になります。その際、現行制度で設けられている収入要件がなくなり、現在の遺族厚生年金の水準に加算がつきます。また、5年以内に十分な生活再建に至っていない人に配慮して、所得や障害の状態に応じた給付が、最長で65歳まで継続されます。加えて、給付期間が短縮されることへの配慮として、婚姻中の夫婦の厚生年金の加入記録を分割する形で、残された配偶者の老齢厚生年金に加算がつきます。なお、遺族年金の対象になる子がいる受給者は、子がいる期間は現行制度と変わりがなく、子が成長するなどして遺族年金の子の要件から外れた場合には、その時点から前述した有期給付などが適用されます。また、改正時に40歳以上の女性や受給中の人には、この見直しが適用されません(図表5)。今後の検討課題今後の検討課題6これらの見直しが改正法の本則に規定された一方で、次の4項目は、議論すべき課題が残っているために、附則で政府に検討などを義務づける内容にとどまりました。◆厚生年金のさらなる拡大第一の検討課題は、厚生年金のさらなる対象拡大です。今回の改正で拡大が進みますが、パート労働者の労働時間の要件や個人事業所の事業所規模の要件は、今後も残ります。パート労働者の時間要件については、所定労働時間が週20時間以上という現在の基準を、2028年に施行される改正後の雇用保険と同じ週10時間以上にすることが検討課題となってい

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る