エルダー2026年1月号
46/68

並行して、安全に働ける職場づくりに注力し、配達業務をになう高齢社員の安全確保のための定期的な確認や、工場内の設備を現場の声を聞いて見直し、例えば、巻き込まれ災害や転倒災害防止などについて安全設備を随時新しいものにしていく、検品は人の手によらない金属探知機を導入するなど、安全の確保や作業負荷の軽減に努めている。一人ひとりにデリケートな課題がある一人ひとりにデリケートな課題があるそれぞれにどう対応するかが大事それぞれにどう対応するかが大事3「各地方、各業種によって人手不足はどうしても生じるとは思いますが、当社では高齢者の働きやすい職場づくりを行うことで、人材が不足しない状況ができています。地方の中小企業ならではの最適化といったものができるということを、2009年のコンテスト受賞を通して思いました」と高田社長。また、高田社長は制度や職場環境の改善だけでなく、社員とコミュニケーションをとることを大事にしていると強調する。必要に応じて個別に面談しており、「話すことは人によってまちまちですが、売上げ目標や生産性を上げようという話はしません。社員にも家族がいるなか、年末年始の繁忙期も働いてくれています。感謝の気持ちがまずありますから、面談でもその思いを伝えます」「福山市という人口46万人ほどの地方都市においてはボリュームゾーンの年齢が上がっていて、労働力のボリュームゾーンもスライドしています。昔に比べて元気で、会社に対するコミットメントが強い方が多く、私の感覚では、60代前半は働き盛りにみえるのです。だから、働いていただく。60代から十数年働けるという選択肢として、75歳定年にしたと考えています」と高田社長は指摘する。ときには、自分はもっと働きたいけれど体がついていかない、頭が追いつかないといった悩みを打ち明ける社員もいるという。相談を受けた後、退職した社員がいたが、しばらくして繁忙期だけ仕事を手伝ってくれるようになった。「シンプルな仕事であればできるといってきてくれました。ありがたいです。一人ひとりに異なるデリケートな課題がありますから、そこにどう対応するのがよいのかということで、葛藤することもあります」75歳定年制を導入してから、2025年で7年になる。「生産性をそれほど追い求めないのが当社のやり方で、2人で1人分の仕事を行うという働き方にも対応しています。1人あたりの生産性は高くはないかもしれませんが、売上げは微増ながら成長しています。そういう意味では、よいかたちでここまで来ているといえるでしょうか」と高田社長。社員と話していると、社会とつながりができる、という言葉がよく聞かれるということで、「社会との接点として、この職場で何か世の中の役に立つことができれば、という気持ちで仕事をしている人が多く、逆に私が学ぶことが多いですね。60歳以上で採用した社員も含めて、それぞれが積み重ねてきたものを提供していただいていることに、リスペクトを持って接しています」と高田社長は高齢社員との関係性を語る。第17代当主を務める、高田海道代表取締役社長(写真提供:株式会社虎屋本舗)2026.144

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る