エルダー2026年1月号
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諸外国のエルダー51ンス共和国(以下、「フランス」)にも、日本のような法定定年年齢は存在しません。加齢にともなう仕事からの引退においてフランスで基準となる年齢は、①「法定年金支給開始年齢(L'âge légal)」である64歳、②「満額受給年齢 (L'âge du taux plein)」である67歳、③「雇用主による退職勧告可能年齢 (Mise à la retraite d'office)」である70歳です。①は本人が希望すれば年金を受給して引退できる「最低」の年齢です。②は保険料納付期間が不足していても、満額で年金を受給できる年齢となります。③は雇用主が雇用者本人の同意なく一方的に退職させることができる年齢です。多くの労働者が年金受給資格を得た段階(64~67歳)で自発的に引退を選択するため、70歳まで働くケースは稀です。2023年、マクロン政権による大規模な年金制度改革が実施されました。この改革は、年金財政の均衡とともに、フランスに長年根づいてきた「早期引退文化」の見直しを目的としています。具体的には、法定年金受給開始年齢が、従来の62歳から、2023年9月以降、受給対象者の生年月日に応じて段階的に引き上げられ(2030年までに64歳へ引上げ)、年金を満額で受給するために必要な保険料拠出期間の延長が2027年までに実施されることとなりました(2035年から前倒し)。また高齢者雇用を促進するための政策として、①従業員数300人超(当初は1000人超)の企業に対し、自社における高齢従業員の雇用状況や取組み(雇用維持、研修など)に関する「シニア雇用指数(Index seniors)」の公表義務づけ、②60歳以上の長期失業者を無期雇用(CDI)で雇用する企業に対し、助成金を支給する「CDIシニア(Contrat à durée indéterminée "senior")」制度の導入が実施されています。フランスの60~64歳層の就業率は2001年の10・8%から2023年には38・9%にまで、4倍近くに上昇しています。この推移には2023年の年金制度改革に先行する、法定年金受給開始年齢の引上げや満額年金の受給要件となる被保険者拠出期間の延長が反映されていると推測されます。ただ、フランスの60~64歳層就業率はEU平均より約12ポイント低く、マクロン大統領が目標とする「2030年までに65%」とはまだかなりの開きがあります(JILPT 2024)。【参考文献】Destatis (Statistisches Bundesamt) 2024 Erwerbstätigkeit älterer MenschenJILPT(労働政策研究・研修機構)2024「高年齢者の労働力率が50年ぶりの高水準に」奏功したと見ることができます。ただ2024年には「63歳からの年金」の新規申請が約30万件に達し、前年から大幅に増加するなど、早期引退の傾向も未だ根強く、1950年代半ばから1960年代半ばに生まれた「ベビーブーマー世代」が労働市場から退出していくなかで、いかに労働力確保を実現していくかという課題に直面しています。また、60代後半の定年年齢を超えて働く層の多くはフルタイムではなく、非正規雇用や「ミニジョブ」と呼ばれる短時間労働に従事しているケースが多く、貧困リスクが高い状況にあります。仕事からの引退にかかわるさまざまな年齢仕事からの引退にかかわるさまざまな年齢基準と高齢者就業の促進――フランス基準と高齢者就業の促進――フランスドイツと並ぶヨーロッパの主要国であるフラ図表 標準年金受給開始年齢の段階的引上げ :ドイツ出典:ドイツ年金保険(DeutscheRentenversicherung)ホームページ受給対象者の生年支給開始年齢(年齢+月数)1958年66歳0カ月1959年66歳2カ月1960年66歳4カ月1961年66歳6カ月1962年66歳8カ月1963年66歳10カ月1964年~67歳0カ月

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