エルダー2026年1月号
54/68

株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2026.152第63回今回は、「労働基準監督署」について取り上げます。特に経営者や人事部門の担当者には「労ろう基き署しょ」や「監督署」という略称で通じるくらい、行政機関のなかでも身近な存在であるともいえます。労働基準監督署は第一線機関※1労働基準監督署は、労働関係法令(労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法等)を遵守するように監督・指導する行政機関です。これらの行政機関には最上部組織として労働関係法令の制定・改廃や各種施策の企画・立案を行う厚生労働省労働基準局があり、その下部組織として都道府県労働局という各都道府県の実情をふまえた労働行政を行う機関、その下部組織として、労働条件の確保・改善の指導、安全衛生の指導、労災保険の給付などの業務を行っている第一線機関としての労働基準監督署があるという構造になっています。これらは上部組織が下部組織を指揮・監督する関係になっており、都道府県労働局が全国47カ所に設置されているのに対して、労働基準監督署は321カ所(本稿執筆現在)で、労働基準監督署ごとに定められた管轄地域※2にある事業場(工場・事務所等)の監督・指導を受け持っています。各労働基準監督署の業務を概観するために、その内部組織をみていきましょう。署の規模等により構成が異なる場合はありますが、労働基準法などの関係法令に関する各種届出の受付や相談対応、監督指導を行う「方面(監督課)」、労働安全衛生法などに基づき、働く人の安全と健康を確保するために、機械や設備の設置にかかる届出の審査や職場の安全、労働者の健康の確保に関する技術的な指導を行う「安全衛生課」、労働者災害補償保険法に基づき、働く人の業務上の事由、通勤による負傷などに対して被災者や遺族の請求により事業主から徴収した労災保険料をもとに保険給付を行う「労災課」、会計処理などを行う「業務課」に分かれています。労働基準監督署には大きな権限があるここからは方面(監督課)のおもな業務である監督・指導について詳細をみていきます。というのも、法に定める労働条件や安全衛生等の基準を事業主が遵守し、労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図るために調査・指導し、改善を求める重要な役割を果たしているからです。これらの一連の行為を臨りん検けん監督といい、厚生労働省に属する専門職である労働基準監督官がにないます。法令違反があった場合に具体的な改善まで求める立場であるた「労働基準監督署」※1 第一線機関……直接担当し、もっとも活動する位置にある機関※2 例えば東京都の場合は、管轄地域ごとに17労働基準監督署と1支署がある(本稿執筆時点)

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る