エルダー7特集年金入門総 論はじめにはじめに1公的年金の制度は、その時代の日本国民の暮らしの実態の変化への適合をくり返していかねばなりません。そのような変化とは具体的に何であるのかといえば、もっとも根本的なものは、高齢期の人々の肉体的な若返りといえるでしょう。若返りを医学の角度から科学的に研究した成果の一つが、2017(平成29)年の「高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言」です。同提言においては、「現在の高齢者においては10~20年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延」していること、すなわち「若返り」が指摘されています。同時に、国民の働き方や家族のあり方も、高齢者や女性の就業が劇的に拡大するなど、最近の10~20年できわめて大きく変化しています。加えて、インフレーションが定着する可能性も出てきました。こういう新しい時代において、年金制度と人々のライフプランニングの関係をどう考えたらよいのでしょうか。高齢者と女性の就業の増加による高齢者と女性の就業の増加による年金制度の「若返り」年金制度の「若返り」2近年、生産年齢人口(15~64歳)は年に50万人前後のペースで減少しています。2010年の8103万人から2023(令和5)年の7395万人へと、13年間で708万人減、年に約54万人の減少です※1。これに着目して「年金制度は維持できない」という悲観的な見方も出※1 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2025年)※2 総務省「労働力調査」新しい時代の年金制度とライフプランニング新しい時代の年金制度とライフプランニング大妻女子大学短期大学部 教授 玉たま木き伸のぶ介すけされました。ところが、この間の就業者数は、2010年の6298万人から2024年の6781万人へと、14年間で483万人、年に約35万人も増えています※2。悲観的な見方の根拠は大きく揺らいでいるのです。65歳以上の年齢階層別就業者数(男女計)の推移を見てみましょう。図表1(8ページ)を見ると、2010年代前半から65~69歳の就業が増加しています。これは、ベビーブーマー(出生率が上昇した1946〈昭和21〉年から1964年に生まれた世代。1948年生まれは2013年に65歳)が65歳を超えて多く働いたからです。2020年ごろにベビーブーマーが70代に入ると、今度は70~74歳の就業者数が増えました。ベビーブーマーは働き続けたのです。さらに、75歳以上の
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