エルダー2026年3月号
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2026.310なっていますが、個別配置は依然としてむずかしく、手上げ式がある一方で、会社にも事情があるので、会社都合による配置も外せません。いかに個人のキャリアと会社事情を橋渡しするか、この二つが大きな課題です。日本型雇用システムには、個人とキャリアの適合による継続性に適さない組織要因が含まれています。そんななか、私の研究チーム3人で行っている伝統的日本企業研究からわかったことを紹介したいと思います。50代後半の方々にキャリア展望をインタビューしたところ、その傾向は大きく三つに分かれました。「ドリフト・モラトリアム型」、「リセット心機一転型」、そして「コーリング型」です。特に注目したいのが、「リセット心機一転型」です。会社都合の人事異動をくり返された方々には、疲弊を感じている人が一定数おり、これ以上会社都合で仕事をアサインされるのではなく、一度立ち止まってゆっくり自分の人生を考えたいという方々がいらっしゃったことが、この研究の重要な発見でした。このため、60代以降のキャリアの選択肢として一時停止を望む方々に対して、例えばサバティカル制度※2のような自己を見つめ直す制度設計も重要かもしれません。もう一つは尺度開発です。これまでサスティりました。3点目が生産性です。これは企業の目線になりますが、一人ひとりの生産性が高いからこそ利益率の高い経営が可能になり、個人のキャリア支援も可能になります。個人目線では、いかに生産性の高い仕事ができるか、言い換えれば、エンプロイアビリティの高い仕事をしていくかが重要な視点です。この三つを達成できるよう、組織の責任を説いているのが、サスティナブル・キャリアの特徴です。これまでキャリア支援は個人の目線に偏りがちでしたが、組織側の責任を説いている点で意義があります。だからこそ、本日、サスティナブル・キャリアという考え方を紹介する意味があると考えます。日本型雇用システムとの課題残念ながら、日本型雇用システムは、サスティナブル・キャリアに対していくつか課題があります。サスティナブル・キャリアの研究では、キャリア配置の個別化が重要とされていますが、日本の定年退職は年齢で区切られており、個別対応がなかなか行われていない点が課題の一つです。もう一つが、自身の価値観の自覚と表現が重要だという点です。研究上明らかにナブル・キャリアに関する心理尺度はありましたが、ジョブ型に対応したものでした。そこで、われわれ研究チームで日本人を対象としたキャリア尺度を開発しました。その結果、制約環境下での適応力、社会関係資本、主体的な態度という三つの要素が抽出され、この三つの能力がサスティナブル・キャリアをどう形成していくのかについても、今後研究を進めていきます。これらをふまえ、組織としての取組みを5点あげます。「キャリアのマルチステージ化への支援」、「配置・処遇・働き方の個別化」、「価値観を自覚し表現できる場づくり」、「心理尺度の実務的活用」、そして「費用対効果の検討」です。これらについては、このあとのパネルディスカッションで、ご登壇企業のみなさまがどのように対応されているのか、詳しくお聞きしていきたいと思います。私からの基調講演と問題提起はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。※2 サバティカル制度……長期休暇制度

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