2026.320山﨑 何十年もキャリア設計シートに取り組んできているので、自分の価値観ややりたい仕事については、シニア期以前から習慣的に考えられているということですね。青木 シート自体は以前からあるのですが、2023年に一部内容を見直し、価値観のところから書いていただくような仕様にしています。どう書けばよいか戸惑う方もいるので、セミナーなどを試験的に実施したり、キャリア設計シートを書く時期の前に個別相談会などの取組みも実施しています。また、キャリアなどについて、よりカジュアルに話せる場として、「蔵前おとな未来カフェ」といった取組みも行っています。山﨑 先ほどジョブ型の話も出ましたが、こういったメンバーシップ型のよさがしっかり活かされていることが、両社の離職率の低さにもつながっているのかなと思えます。岸田先生は、こうした取組みについてどう思いますか。岸田 両社とも、とても先進的な取組みだと感じました。キャリアを考える機会を「仕組み」として用意している点が特に重要だと思います。つねに考え続けるのはたいへんですが、イベントなどの節目で立ち止まって考える時間があることは大きな意味があります。これは、山﨑先生が示されている「価値観を自覚し、表現るようですね。「関係性向上プログラム」などはどのように運営されているのですか。青木 関係性向上プログラム運営中は、受講された管理職の方にバディとなる人を立てていただいて、その方と対話をくり広げるというプログラム構成にしていました。また、全社的な取組みとして「キャリア設計シート」を用いて、年に1回キャリアの自己申告をして、そのシートをベースに自身の上長とキャリア面談を行う仕組みがあります。定年後再雇用を希望するかどうかは、そのキャリア設計シートを使って55歳時点でヒアリングをしています。このキャリア設計シートには、将来希望する部署だけではなく、自分が仕事で大事にしている価値観や、退職後の暮らしも含めてどんなことをやってみたいかを記載する場所を設けています。そして、仕事経験で工夫したことやコンピテンシーも測っているので、その人の強みをデータ的にも定量的に転記いただく箇所があります。そういった自身の将来の希望の背景に一体どんな思いがあるのかということも、こちらのシートを見ながら面談することで、相互理解が進むような仕組みにしており、定年後再雇用でその方にどのような仕事を任せるのか、上長が判断する際の一つの材料にしてもらっています。できる場づくり」そのものです。最近よくいわれる「キャリア自律」も、言葉だけでなく、実際に支える仕組みや支援があってこそ成り立つものだと思います。さらにいえば、マネージャーの育成も欠かせません。上司がメンバーと向き合う姿勢やスキルを高め、関心を持ち、リスペクトする。そうした関係性がある職場こそ、働く人にとって幸せな環境だと感じました。個人と組織の成長を同期させる人事戦略山﨑 では最後のテーマです。「健康・幸福・生産性のバランス」についてうかがいたいのですが、サスティナブル・キャリアでは、健康や幸福に加えて「生産性」を重視している点が特徴で、ここには組織の視点が入っています。三菱UFJ信託銀行では、個人のキャリアだけでなく、事業のニーズとのマッチングを意識されている点が印象的なのですが、このあたりをもう少し教えていただけますか。中村 人事戦略と事業戦略をどう同期させるか、という点を起点に制度設計を行ってきました。生産性を高めていくためには、必要なポストや業務に最適な人が就くことが、会社にとっても社員にとっても一番自然な状態だと考えて
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