という判断には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要と解釈しています。定年後2カ月で「更新なし」と合意したことについて判断した裁判例2東京地裁令和7年5月30日判決で、定年後の継続雇用において2カ月間という短期間を定めたうえで、「更新なし」として有期労働契約を締結し、2カ月間の期間満了を理由として雇止めを行った事案について、その有効性に関して判断されました。定年退職後の再雇用契約締結に至る経緯に関して、使用者から継続雇用することはできない旨を労働者に伝えたところ、労働者より転職活動をするための時間が必要と求められ、定年退職日を延長する提案を行い、2カ月間の有期労働契約をもって、それに対応し、労働者も当該2カ月という期間や「更新なし」という条件を含めて了承したというのが、使用者からの主張です。労働者においては、退職することをほかの従業員にも挨拶して回っていたという事情も使用者から主張されています。労働契約法第19条においては、有期労働契約の雇止めに関して、①反復更新されて無期労働契約に対する解雇と同視できる場合、または、②更新されると期待することについて合理的な理由があると認められる場合には、解雇と同様に、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が認められないかぎり、有期労働契約を終了させることはできないとされています。通常の有期労働契約であれば、初回の契約締結である以上、①の無期労働契約との同視はできず、有効期間が2カ月で「更新なし」と明記されている場合であれば、②における合理的な理由に基づく更新への期待も認められないことが一般的です。しかしながら、当該裁判例では、厚生労働省が定める継続雇用に関する指針を参照しつつ、「高年法の定め及び本件指針の内容を踏まえると、使用者において定年後再雇用の継続雇用制度が採用されている場合、解雇事由又は退職事由に該当しない限り、…定年による雇用契約終了後に再雇用契約を締結した労働者には、定年後再雇用の上限まで契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があって、再雇用契約の締結又は更新を拒否することについて、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これを拒否することはできないと解するのが相当である」と判断しました。この判断は、継続雇用制度の期間中は、解雇事由または退職事由がないかぎりは、65歳まで継続雇用されるという期待が、労働契約法第19条に基づく合理的な理由に基づく更新への期待として保護されるということを示しています。厚生労働省が継続雇用に関する指針として定めている解雇事由または退職事由がある場合には、継続雇用をしないことができるが、客観的に合理的な理由および社会通念上の相当性が必要であるという解釈は、裁判所においても同趣旨で採用されていることには留意する必要があります。裁判例におけるその他の事情3当該裁判例においては、定年退職前に、同僚が、友人としてのアドバイスと前置きしつつ、定年後に辞めるべきだと思う旨、就職活動をする期間がないので退職日を延長するべきと思っており、出勤は一切しなくてもいい、延長して、給料を満額払います、という扱いをすべきと思っている旨を伝えるなどしています。この同僚の方がどういう意図があったのかということまでは明確ではありませんが、投げかけている提案を見るかぎりは、退職勧奨に該当するような提案の仕方になっています。こういった働きかけのもと、真意としても退職を選択したのであれば、合意退職が成立していたということになるのであろうと思われます。しかしながら、真意をくみ取らずに無理に合意退職にしたり、裁判例のように短期間のエルダー49知っておきたい労働法A&Q
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