諸外国のエルダー53基本法です。同法は「雇用主が特段の理由なく雇用を終了できる年齢(LAS年齢)」を規定しており、このLAS年齢が事実上の定年として機能しています。近年、高齢者の働く権利を強化するため、LAS年齢の上限引上げが断続的に行われており、2020年には67歳から68歳へ、2023年には68歳から69歳へと引き上げられました。またスウェーデンでは、平均余命に連動した「目安年齢(Riktålder)」という概念が導入されています。目安年齢は社会保険庁が毎年算出しており、公的年金の受給開始年齢や、失業保険・疾病手当の給付終了年齢などが、この年齢やその周辺年齢に自動的にリンクします。これにより、社会保障制度全体が整合性を持って「就労延長」へとシフトする設計になっています。さらに、2007年には年金をもらいながら働くことのメリットを大きくする目的で、「勤労所得税額控除(Jobbskatteavdrag)」が導入され、勤労所得に対する税率が年金所得に対する税率よりも低く設定されるようになりました。ノルウェーでは、2015年に労働環境法(Arbeidsmiljøloven)が改正され、雇用主が一方的に雇用契約を終了できる「一般年齢制限(aldergrense)」が、70歳から72歳へと引き上げられました。もっともこの改正の後も民間企業では、健康・安全上の理由などを根拠に就業規則で「70歳定年」を定めることが認められていました。しかし、2026年1月1日に一般年齢制限が官民問わずに72歳に統一され、企業における70歳定年は廃止されています。高齢者に関連した制度におけるノルウェーの特徴として、年金を受給しながらどれだけ働いて稼いでも、年金が減額されない点をあげることができます。ノルウェーでは62歳から75歳の間で自由に年金の受給開始時期を選ぶことができ、開始が早いほど受給月額はより少なくなりますが、「62歳で年金を受給しつつ、フルタイム勤務を継続し、給与と年金を得る」という選択も可能です。この仕組みは高齢者の労働供給のモチベーションを強力に刺激すると同時に、早期受給による受給額低下(長生きリスク)を個人に負わせる仕組みともいえます。【参考】Halvorsen, B. E. (2021)“High and rising senior employment in the Nordic countries”Marold, J. and Larsen, M. (2009) “How “flexicure” are older Danes?”を受けられる制度)」が2011年に改革され、受給期間が5年から3年に短縮されました。これら政策転換の効果もあり、デンマークの55~64歳の雇用率は2000年の56%から2020(令和2)年には71%へと伸びました(Halvorsen 2021)。もっともフレキシキュリティ・モデルに基づくデンマークの労働市場においては解雇が比較的容易で、高齢者もその対象となりうるのですが、高齢者が一度職を失うと、長期失業に陥るリスクは若年層よりも高く、「シニア・プレカリアート(不安定雇用高齢者)」となる懸念が指摘されています(Marold and Larsen 2009)。「ワーク・ライン」の徹底「ワーク・ライン」の徹底――スウェーデン・ノルウェー――スウェーデン・ノルウェー一方、スウェーデンとノルウェーは、「働ける人は皆、福祉に頼るのではなく、労働を通じて社会に貢献し、自立するべき」という、「ワーク・ライン」(スウェーデン:Arbetslinjen ノルウェー:Arbeidslinja)の原則が、社会政策・労働政策において貫かれている点で共通しており、高齢者の雇用・就業にかかわる政策にもこの原則が反映されています。スウェーデンの雇用保護法(LAS Lagen om anställningsskydd)は、解雇規制についての
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