株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2026.354第65回今回は、「ILO(国際労働機関)」について取り上げます。なんとなく聞いたことがあるものの、実際にはよくわからないという方も多いと思いますが、じつは経営者・労働者双方にとってかかわりの深い組織です。ILOとはそもそもなにかILOはInternational Labour Organizati‑onの略称で、日本語訳では「国際労働機関」といいます。1919(大正8)年6月に設立された国際連合の専門機関※1で、創設100年以上の長い歴史を誇っています。本部はスイスにあり、現在187カ国が加盟しています。日本は設立当初からの加盟国です(1940〈昭和15〉年に脱退し、1951年に再加盟)。また、日本はILOの通常予算に対する第3位拠出国で米国・中国に次ぐ位置にあります。これらにみられるように、まずはILOと日本のかかわりは深いことを押さえておいてください。では、ILOとはそもそも何をする組織なのかについてみていきましょう。国際連合広報センターのサイトには、ILOとは「世界中のすべての人が、自由、公平、安全、人間としての尊厳が確保された条件のもとで、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を促進すること」を使命とした機関とあります。ILO駐日事務所によると、幅広い労働の問題に全力で取り組む国際機関であり、次の主要な四つの戦略目標を数々の手段を用いて実現していくとあります。• 仕事の創出…必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事をつくり出すことを支援。• 社会的保護の拡充…安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備。社会保障の充実。• 社会対話の推進…職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進。• 仕事における権利の保障…不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利の保障、尊重。ILOが特徴的なのは、社会対話の推進のところにあるように、政府(政)・労働者(労)・使用者(使)が対等に参加する「三者構成」で運営されている点といわれています。これは国際機関のなかでも唯一の運営体制といわれており、労働問題を解決していくためには、もっとも切実な利害関係者である労働者と使用者の参画が不可欠とされているからです※2。※1 国連の専門機関とは、経済・社会・文化・教育・保健その他の分野で国際協力を推進するために設立された国際機関。よく知られている機関では、WHO(世界保健機関)、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)がある※2 日本労働組合総連合会(連合)ホームページ「労働法制の決定プロセスと三者構成原則」より。https://www.jtuc-rengo.or.jp/rengo_online/2023/07/20/1563/「ILO(国際労働機関)」
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