諸外国のエルダー45後に再雇用契約を申し出る義務を企業に課しており、その期間は5年です。マレーシアでは「2012年最低退職年齢法」により、民間企業における法定最低定年年齢は60歳と定められており、年齢を理由とした60歳未満の解雇は原則禁じられています。ベトナムでは2021年施行の改正労働法に基づき法定定年年齢の段階的な引上げが行われており、現在は男性が61歳6カ月、女性が57歳です。最終的に、男性が2028年に62歳、女性が2035年に60歳となります。フィリピンでは、労働法302条と共和国法第7641号により、「強制定年年齢」が65歳に定められており、企業はこの年齢に達した従業員に対し、定年退職を義務付けることができます。法定定年年齢のないタイでは、ヨーロッパ諸国と同様に、公的年金の受給開始年齢が企業における定年設定の目安となっており、現在は55歳を定年とする企業が多くを占めます。同じく法定定年年齢のないインドネシアでも、年金受給開始年齢が実質的な定年の基準として扱われています。この年齢は2022年に58歳に決められ、以降3年ごとに1歳ずつ引き上げられており、2043年に65歳になる予定です。東南アジア諸国の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、タイが約15%、シンガポールが約14%、フィリピン、ベトナム、マレーシアは5~9%台と、東アジア諸国に比べると高齢化は進行していません(世界銀行 2024)。ただ、タイやシンガポールはすでに高齢社会(高齢化率14%以上)に突入しつつあり、出生率も急速に低下しつつあることから、これから東アジア諸国と同程度かそれ以上のスピードで高齢化が進むことが予想されています。東南アジア諸国の政府は来たる超高齢社会(高齢化率21%以上)に向けた制度的基盤を整えつつある段階といえますが、今後は①高齢者が生計に必要な収入を得ることができる年金制度や労働市場の整備、②リスキリングなど労働市場全体としての生産性向上への取組み、③より若い年齢層の雇用・就業機会とのバランスの確保が、どの国においても重要な課題になると見られています。低賃金水準に達していません(ハンギョレ新聞 2025)。こうした就業状況から生じているのはシニア層の高い貧困率(国民の所得中央値の半分に満たない人々の割合)で、66歳以上の貧困率は40・4%とアメリカ(22・8%)や日本(20・0%)の約2倍に達しています(OECD 2023)。高い貧困率や雇用と年金の非接続への対応として、労働組合は法定定年の65歳への延長を求めています。しかし経営者側は定年延長が実現した際の人件費増加を懸念しており、再雇用制度の活用や賃金ピーク制の拡大を強く主張しています。高齢化に向けた制度基盤整備進む高齢化に向けた制度基盤整備進む――東南アジア諸国――東南アジア諸国一方、東南アジア諸国で法定定年制を実施しているのは、シンガポール、マレーシア、ベトナム、フィリピンなどです。タイやインドネシアでは、法定定年年齢は設けられていません。シンガポールでは「退職・再雇用法」が、55歳になる前に雇用されたシンガポール市民、永住権保持者に適用されます。現在は63歳が法定定年年齢で、2030年までに65歳まで引き上げられることとなっています。また退職・再雇用法は、健康で意欲のある労働者に対して定年【参考文献】OECD(2023)"Pensions at a Glance 2023"ジン・ソンジン(2024) 「高齢者労働市場の現状と教育訓練」、北東アジア労働フォーラム報告世界銀行(2024) 'Population ages 65 and above - Country rankings'https://www.theglobaleconomy.com/rankings/elderly_population/South-East-Asia/ハンギョレ新聞(2025) 「『退職を余儀なくされ自営業へ』50歳以上の半数、最低賃金も稼げず」、2025年3月24日紙面
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