ニュース ファイル
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行政・関係団体
厚生労働省
「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更を閣議決定
 政府は2024(令和6)年8月2日、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更を閣議決定した。大綱は、「過労死等防止対策推進法」に基づき、おおむね今後3年間における取組みについて定めるもので、今回で3回目の変更になる。
 おもな変更のポイントは次の通り。
◆上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導、フリーランス等対策を強化
・2024年4月から、工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師等にも時間外労働の上限規制が適用されたことから、その遵守徹底を図るとともに、商慣行・勤務環境等をふまえた取組みを推進
・過労死等を発生させた企業に対する再発防止対策を実施
・2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の周知・広報および法施行後の履行確保などフリーランス等が安心して働ける環境の整備
・勤務間インターバル制度の導入促進
◆業務やハラスメントに着目した調査などを充実
・過労死等が多く発生しているまたは長時間労働等の実態があるとの指摘がある職種・業種(重点業種等)に、芸術・芸能分野を追加し、過労死等事案の分析や労働・社会分野の調査・分析を実施、など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41932.html
厚生労働省
「令和6年版厚生労働白書」を公表
 厚生労働省は、「令和6年版厚生労働白書」(令和5年度厚生労働行政年次報告)を公表した。
 白書は2部構成で、その年ごとのテーマを設定している第1部では「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」と題し、こころの健康を損ねる背景にある「ストレス要因」に着目し、幼年期から老年期までにいたるライフステージに沿って、現代社会のストレスの多様さについて考察したうえで、こころの健康に関する対策や支援の現状、今後の方向性を提示している。例えば、地域組織(ボランティア、町内会など)への参加種類数と、高齢者のうつの発症リスクには関係があり、参加する組織の種類が多い人ほど発症リスクは少ないといった調査結果を紹介(コラム「高齢者の社会参加とうつ予防に関する研究」)。孤独・孤立の予防が、こころの健康保持にも有効であることがわかってきたという。また、職場におけるメンタルヘルス対策について、工夫を凝らした社員の健康づくりの取組みや、テレワーク勤務者へのメンタルヘルス対策の取組み、休日や休暇を含む勤務時間外に、仕事上のメールや電話への対応を労働者が拒否することのできる「つながらない権利」などについて紹介している。
 第2部は、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめている。
 白書は、厚生労働省のWebサイト「統計情報・白書」のページからダウンロードできるほか、全国の政府刊行物センターなどで購入できる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42715.html
厚生労働省
「近未来健康活躍社会戦略」を公表
 厚生労働省は2024(令和6)年8月、「近未来健康活躍社会戦略」を公表した。
 少子高齢化・人口減少が進むとともに、デジタル化、グローバル化といった大変革期にあるなか、健康で有意義な生活を送りながら活躍できる社会(健康活躍社会)の実現に向けて、今後どのような方向性で政策を進めていくのか、同省として推進していく近未来の政策方針を取りまとめたもの。
 戦略は、国内戦略と国際戦略の2本柱で構成されている。国内戦略では、「医療・介護DXのさらなる推進」、「医師偏在対策の推進」、「後発医薬品の安定供給体制の構築」、「女性・高齢者・外国人の活躍推進」、「イノベーションを健康づくり・治療に生かす環境整備」、「創薬イノベーション」の六つのテーマをかかげている。
 「女性・高齢者・外国人の活躍推進」から高齢者の活躍についてみると、「諸外国に比べて高齢化が進んでいる知見を生かし、高齢者が長く活躍できる社会の実現を目指す」として、次の取組みを打ち出している。
◆介護予防・日常生活支援総合事業の充実等により、効果的な介護予防に向けた取組みを推進
◆高年齢労働者の身体的な不安を取り除き、安心して働ける環境の整備
◆認知症の方に関する国民の理解促進、社会参加の機会確保や、認知症・軽度認知障害の早期発見・早期対応のための支援モデルの確立に向けた実証プロジェクトを推進
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42966.html
厚生労働省
「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」を公表
 厚生労働省は、「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」を取りまとめ、「高年齢者活躍企業事例サイト」特設ページ(※)で公表した。
 事例は、高齢者の人事・給与制度の工夫(役職定年・定年制の見直し、ジョブ型人事制度の導入等)に取り組む企業(14社)にヒアリングを実施し、企業が役職定年・定年制の見直し等を検討する際の参考となるよう、まとめたもの。
 シニア職員が意欲的に働ける制度の導入を検討し、大手生命保険会社で初となる65歳定年制および70歳まで働ける継続雇用制度の導入や役職定年の廃止などに取り組んだ「太陽生命保険株式会社」、役割等級の導入にあわせて役職定年制度の廃止に取り組んだ「沖電気工業株式会社」、定年到達後の正社員としての再雇用区分「エルダー社員」を創設し、再雇用後もになう役割が変わらなければ処遇も均等・均衡を確保するなど、年齢を問わず能力や意欲に応じた挑戦ができる就業環境の整備を進めた「イオンリテール株式会社」など、年齢にかかわりなく高齢者が活躍できるよう、スキルに応じた処遇を進め、役職定年や定年制の見直し等に取り組む14事例を掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43828.html
※「高年齢者活躍企業事例サイト」特設ページ
https://www.elder.jeed.go.jp/topics/katsuyaku_jirei_r6.html
(同サイトは、当機構〈JEED〉が運営しており、高齢者雇用に関するさまざまな情報を発信しています)
内閣府
「高齢社会対策大綱」を閣議決定
 政府は2024(令和6)年9月13日、「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。大綱は、政府が推進する高齢社会対策の指針となるもので、1996(平成8)年7月に最初の大綱が策定されて以降、経済社会情勢の変化をふまえた見直しが行われており、今回は6年ぶりの改定となる。
 新たな大綱では、「年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築」などを基本的な考え方としている。分野別の基本的施策から「就業・所得」の分野をみると、①高齢期を見据えたスキルアップやリスキリングの推進、②企業等における高齢期の就業の促進、③高齢期のニーズに応じた多様な就業等の機会の提供、を図るとしている。公的年金制度については、「働き方に中立的な年金制度の構築を目指して、更なる被用者保険の適用拡大等に向けた検討を着実に進める」。
 「健康・福祉」の分野では、「生涯にわたる健康づくりの推進」として、企業などに対し、「相互に協力・連携しながら、労働者、構成員、地域住民等が自発的に健康づくりに参画することができる取組の実施を促す」。また、仕事と介護を両立することができる雇用環境の整備の推進や、『仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン』(経済産業省)の普及を進めるとともに、企業の経営層が両立支援の知見を共有できる仕組みづくりや、地域のなかで中小企業の両立支援を支えるモデル構築・普及等を行うなどとしている。
https://www8.cao.go.jp/kourei/measure/taikou/r06/hon-index.html
総務省統計局
「統計からみた我が国の高齢者」を公表
 総務省統計局は、敬老の日にあわせて、「統計からみた我が国の高齢者」を公表した。
 人口推計によると、2024(令和6)年9月15日現在の総人口は、1億2376万人で、前年に比べ59万人減少した。また、65歳以上の高齢者(以下、「高齢者」)人口は、3625万人と、前年(3623万人)に比べ2万人増加し、過去最多となった。総人口に占める高齢者人口の割合は29.3%となり、前年(29.1%)に比べ0.2ポイント上昇し、過去最高。年齢階級別にみると、70歳以上人口は2898万人(総人口の23.4%)で、前年に比べ9万人増(0.2ポイント上昇)、75歳以上人口は2076万人(同16.8%)で、前年に比べ71万人増(0.7ポイント上昇)、80歳以上人口は1290万人(同10.4%)で、前年に比べ31万人増(0.3ポイント上昇)となった。
 2023年の高齢者の就業者数は、2004(平成16)年以降、20年連続で前年に比べ増加して914万人となり、過去最多。15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.5%で、前年に比べ0.1ポイント低下。就業者のおよそ7人に1人を高齢就業者が占めている。
 高齢者の就業率は25.2%で、前年と同率。年齢階級別にみると、65~69歳は52.0%、70~74歳は34.0%、75歳以上は11.4%と、いずれも過去最高。産業別に高齢者の就業者数を10年前と比較すると、最も増加しているのは「医療、福祉」の63万人増加で、10年前の約2.4倍となっている。
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1420.html