【表紙】 令和8年2月1日発行(毎月1回1日発行)第48巻第2号通巻555号 Monthly Elder 2026 2 高齢者雇用の総合誌 エルダー 特集 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けた シンポジウム〜開催レポートT〜 リーダーズトーク 65歳になったら食生活の見直しを行いメタボ予防からフレイル対策にギアチェンジ 社会医療法人令和会熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター長、リハビリテーション科部長、栄養管理部部長 吉村芳弘 【前ページ】 申込不要・いつでも視聴可能!JEED CHANNELで公開中 −令和7年度− 高年齢者活躍企業フォーラム 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム  2025(令和7)年10 月に開催された「高年齢者活躍企業フォーラム(高年齢者活躍企業コンテスト表彰式)」と、オンライン配信で開催された「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」の模様をアーカイブ配信しています。  基調講演や先進企業の最新事例発表など、お手元の端末(パソコン、スマートフォン等)でいつでもご覧いただけます。 YouTubeにて (JEED CHANNEL) アーカイブ配信中 視聴方法 JEEDホームページより STEP.01 機構について STEP.02 広報活動 (SNS・メルマガ・啓発誌・各種資料等) STEP.03 JEED CHANNEL(YouTube動画) STEP.04 「高齢者雇用(イベント・啓発活動)」の欄からご視聴ください ※事前申込不要(すぐにご覧いただけます) 以下の内容を配信中です 2025年10月3日(金)開催 高年齢者活躍企業フォーラム ●表彰式 ●事例発表 ●基調講演 ●トークセッション 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム ●基調講演等 ●事例発表 ●事例発表者とコーディネーターによるパネルディスカッション 2025年10月16日(木)開催 これからのキャリア形成支援 自律的キャリアはなぜ難しい? ――ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか 2025年10月24日(金)開催 シニア社員を活性化するための人材マネジメント 組織の活性化に貢献! ――シニア社員を活かす持続可能な人材マネジメントの仕組み お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 高齢者雇用推進・研究部 普及啓発課 TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550 JEEDのYouTube 公式チャンネルはこちら JEED CHANNEL 検索 https://youtube.com/@jeedchannel2135 【P1-4】 Leaders Talk リーダーズトーク No.129 65歳になったら食生活の見直しを行いメタボ予防からフレイル対策にギアチェンジ 社会医療法人令和会熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター長、リハビリテーション科部長、栄養管理部部長 吉村芳弘さん よしむら・よしひろ 2013(平成25)年より熊本リハビリテーション病院に勤務。2014年同栄養管理部部長、2015年リハビリテーション科副部長を経て、2020(令和2)年より現職。  健康の維持・増進は、働いていくうえでの重要な要素の一つ。読者のみなさまのなかにも、メタボにならないよう、食事を中心に生活習慣の改善に取り組んでいる人も少なくないのではないでしょうか。ただし高齢期になると、太っていることよりも痩せていることがリスクになります。  今回はリハビリテーション医として、多くの高齢者の診療にたずさわる吉村芳弘先生に、高齢期における食事・栄養の重要性についてお話をうかがいました。 フレイル・サルコペニアの予防が重要 60歳になる前から健康“貯筋”を ―高齢期にはフレイル・サルコペニアの予防が重要といわれています。まず「フレイル」と「サルコペニア」の定義や症状について教えてください。 吉村 「フレイル」とは「虚弱」を意味し、老年医学では「介護は必要としないが、日常生活動作や認知機能に衰えが見られる状態」のことで、いわば要介護の予備軍です。フレイルには「身体的フレイル」、認知機能の低下やうつなどの心理面が問題になる「精神・心理的フレイル」、社会的な孤立や食事環境・生活環境の制限が問題となる「社会的フレイル」の三つがあります。それぞれ、病気やけが、ストレスに対する耐性が低下した状態です。同じ病気や同じ場所を骨折した場合であっても、フレイルの方は元の生活に戻りにくく、肺炎などのちょっとした病気でも寝たきりになりやすいといえます。  「サルコペニア」はギリシャ語のサルコ(筋肉)とペニア(減少)を合わせた造語で「筋肉減少症」という病気です。以前は身体機能が低下した状態もサルコぺニアとされていましたが、国際的なガイドラインでは「筋肉量」と「筋力」のいずれも減少した状態をさします。身体機能の低下はその結果によって起こるものであり、身体的フレイルの中心的要素がサルコペニアと考えられています。筋肉量を測る代表的なものが「インボディ測定」と呼ぶ体組成分析装置です。筋肉量や体脂肪量、水分、ミネラル、タンパク質の量などを測定でき、いまでは病院やジム、自治体でも普及しつつあります。筋力は握力計で測ります。男性で28kg、女性で18kg未満だと筋力低下によるフレイルと考えられています。  筋肉量は加齢によって減少し、30歳をピークに、なにもしなければ1年間に1%ずつ減ります。10年間で10%、80歳になるとピーク時から50%も減ることになります。高齢者が寝たきりになると、1日で1%程度筋肉量が減るという研究結果もあります。 ―サルコペニアになると、身体機能にどのような影響を及ぼすのでしょうか。 吉村 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という病気は骨密度が低下した状態ですが、サルコペニアはその筋肉版といえます。筋肉が落ちてくると転びやすくなるのですが、それが一番の問題です。どんなに骨が固くても何度も転べばそのうち折れてしまいます。筋肉は車でいうと体のエンジンにあたり、サルコペニア自体がフレイルの大きな要因になります。  また、病気の回復も遅くなります。肺炎にかかった場合、あるいは大きな手術を受けた後などは、筋肉量が多い人は回復が早く、筋肉量が少なく体が細い人はなかなか回復しないですし、合併症も起こりやすくなります。65歳を過ぎると持病を抱えている人も多くなりますが、病気の回復だけではなく、薬の効き方にも影響します。特に糖尿病はサルコペニアとの関係が深く、糖は筋肉に取り込まれて蓄えられますが、サルコペニアになると糖を蓄えられなくなり、糖尿病がどんどん悪化することが近年わかってきました。  このように、筋肉はきわめて重要であり、高齢になる前から蓄えることが肝要です。私は「健康“貯筋”」と呼んでいます。企業向けの講演などでは、「従業員に筋トレをさせてください。お金も大事ですが、筋肉はもっと大事ですよ」と呼びかけています。 食生活を見直し体重・筋肉の維持・増加を特に重要なのは肉・魚などから摂るタンパク質 ―65歳からはメタボリックシンドローム予防の「過栄養対策」から、フレイル予防の「低栄養対策」へのギアチェンジが重要となるそうですね。食事や栄養と筋肉の関係について教えてください。 吉村 高齢期に大事なことは、体重と筋肉の維持・増加です。50代までは「太らない=健康」という考え方でもよいのですが、65歳以降は痩せていることが健康リスクになります。  肥満や血糖値を気にして糖質制限をしてきた人は、まず制限を解除しましょう。例えば、太らないためのメタボ対策として最初に野菜を食べる「ベジファースト」という言葉がありますが、それだと満腹になりあまり食べられなくなります。フレイル対策としては、最初に肉・魚・卵などを食べる「プロテインファースト」に切り替え、三大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質をしっかり摂って体重を維持することがとても大切です。そのうえで重要になるのが筋肉の材料となるタンパク質の摂取量を増やすことです。タンパク質の必要量は青年期に比べて多くなり、成長期の子どもと同じくらい、1日に体重1kgあたり1・5〜2g程度必要とされています。体重60kgの人なら90〜120g程度です。  牛乳コップ一杯が約6〜8g、卵1個約6〜7g、納豆1パック約6〜7gのタンパク質が含まれていますが、これだけで90g摂るのはむずかしいので、肉や魚を含めてタンパク質をどのくらい摂取しているのかを一度イメージしてほしいと思います。  そして朝からしっかり食べてください。ときどき「夕食をしっかり食べているから大丈夫」という人がいますが、やはり朝起きたらタンパク質を含む栄養素をしっかり摂ることが大切です。厚生労働省では、朝食でタンパク質20gを摂ることを推奨しています。筋肉量を増やすには90g以上のタンパク質が必要になりますが、高齢者の方は増やすよりもまずは維持することを大事にしてほしいと思います。 ―筋力をつけるには運動も大事でしょうか。 吉村 日々の食生活だけではなく、運動も大事です。以前まではメタボ対策として「1日1万歩のウォーキングをしましょう」といわれていましたが、歩くだけでは筋肉の維持には不十分で、やはり筋トレは欠かせません。例えばスクワットをゆっくり10回3セット、つま先立ちと片足立ち、それぞれ10秒間の3セットがおすすめです。スクワットがむずかしければ、いすからの立ち上がりでもかまいません。これらは室内で安全にできるので高齢者におすすめできる運動ですが、個人差もあります。できる人はウォーキングでの早歩きやジョギングなどももちろん有効です。90代でもマラソンをしている人もいます。 シニア世代の健康の維持・増進に向け職場でできる支援の拡充を ―65歳以上の働く人が増えている一方で、高齢者の転倒による骨折などの死傷災害が業種に関係なく増加傾向にあります。企業として留意すべき点とはなんでしょうか。 吉村 女性の方が男性よりもサルコペニアになりやすいことがわかっています。サルコペニアの女性が一度転倒し、骨折すると職場復帰がむずかしくなります。また、男性であっても、例えば脚立から落ちて骨折した場合、打ちどころが悪いとそのまま要介護になってしまうこともあります。もちろん転倒しないような職場環境の改善が大切なのですが、ふだんからの健康管理やフレイル対策も重要です。“健康貯筋”のためにジムや体組成計機を設置する企業も徐々に増えています。食生活でも、例えば社員食堂に年齢を重ねた人のための「高タンパク定食」というネーミングのメニューがあってもよいかもしれません。  そしてなによりも大切なのは、従業員に自分の健康は自分で守るという意識を持ってもらうことです。一方的に「やれ」といわれても能動的に行動しなければ健康を保つことはできません。それを支援するのが会社の役割だと思います。 ―治療を続けながら働く高齢者も少なくありません。治療と仕事の両立を継続していくために大事なことはなんでしょうか。 吉村 65歳以上でなんらかの疾患を抱えていない人はほとんどいません。大事なのは「前向きで逃げないこと」が一番です。病気があるからと、ネガティブにならず、病気とがっぷり四つに向き合い、「どうせなら治してしまおう」という気持ちでつきあってほしいと思います。もちろん会社のサポートも重要です。病気になるとうつ病などを併発し、仕事に対する意欲や気力が失われます。従来の精神医学や心理学ではネガティブな気持ちを普通の状態に戻す治療が中心でしたが、いまはポジティブ心理学という、自発性をより高めて活き活きと過ごせるようにする考え方が主流になりつつあります。職場環境も大切で、例えばレクリエーションの実施や職場にリラックスできる開放的な空間を設けたり、昼休みに心地よい音楽を流したり、癒やしになるような環境を整備することも有効です。 ―最後に健康で長く働き続けるための秘訣について教えてください。 吉村 「食事制限」について、一度立ち止まって疑う姿勢を持つことですね。例えば「コレステロールが高いので体重を落としましょう」といわれ、どんどん痩せてしまうのは要注意です。血液検査の数値が改善しても体が衰えてしまっては意味がありません。65歳を超えたら、病気だけではなく、食事・運動を意識しながら、しっかりと食事を摂り、筋肉を蓄え、生活の質を豊かにすることが、長く働き続けるためにもっとも大切だと思います。 (聞き手・文/溝上憲文 撮影/中岡泰博) 【もくじ】 エルダー エルダー(elder)は、英語のoldの比較級で、“年長の人、目上の人、尊敬される人”などの意味がある。1979(昭和54)年、本誌発刊に際し、(財)高年齢者雇用開発協会初代会長・花村仁八郎氏により命名された。 ●表紙の写真:PEANUTS MINERALS/アフロ 2026 February No.555 特集 6 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートT〜 2025年10月16日開催 「これからのキャリア形成支援自律的キャリアはなぜ難しい? ーミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」 7 基調講演 自律的キャリアはなぜ難しい? −ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか 株式会社パーソル総合研究所 主席研究員 執行役員シンクタンク本部長 小林 祐児 11 事例発表@ 企業主導型の社外兼業制度の導入と導入から得られた知見 トヨタ自動車九州株式会社 人財開発部キャリア自律推進グループ グループ長 松岡 義幸 13 事例発表A “やってもいい”と思える職場をつくる 〜ミドル・シニア社員のキャリア自律支援 西川コミュニケーションズ株式会社 人事広報部長 神谷 昌宏 15 事例発表B 自律的キャリア形成に向けた取り組み 株式会社三菱UFJ銀行 人事部企画グループ次長 昇高 慶 17 パネルディスカッション 「これからのキャリア形成支援自律的キャリアはなぜ難しい? −ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」 1 リーダーズトーク No.129 社会医療法人令和会熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター長、リハビリテーション科部長、栄養管理部部長 吉村芳弘さん 65歳になったら食生活の見直しを行いメタボ予防からフレイル対策にギアチェンジ 23 新連載 立川談慶の人生100年時代の歩き方 【第1回】 人生100年時代の歩き方 〜ともにダメなもの同士〜 24 偉人たちのセカンドキャリア 第14回 歌舞伎の歴史に名を刻む偉大な初代 市川團十郎 歴史作家 河合 敦 26 高齢者の職場探訪 北から、南から 第162回 静岡県 医療法人社団同仁会 中島病院 30 高齢者に聞く 生涯現役で働くとは 第112回 株式会社あさ出版 相談役会長 佐藤和夫さん(74歳) 32 高年齢者活躍企業コンテスト 受賞企業の軌跡 【第2回】 株式会社東急コミュニティー 36 知っておきたい労働法Q&A《第91回》 死亡時退職金の支給対象者、求人票と異なる条件での内定通知 家永 勲/木勝瑛 40 諸外国の高齢化と高齢者雇用 【第3回】 イギリス 藤本 真 42 いまさら聞けない人事用語辞典 第64回 「インターンシップ」 吉岡利之 44 特別寄稿 「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査」結果概要 公益財団法人産業雇用安定センター 48 労務資料 令和7年「高年齢者雇用状況等報告」 厚生労働省 職業安定局 高齢者雇用対策課 54 BOOKS 56 ニュース ファイル 58 「令和8年度高年齢者活躍企業コンテスト」のご案内 60 次号予告・編集後記 61 技を支える vol.360 書の研鑽から生まれる「間合い」の美 印判師 長澤 豊さん 64 イキイキ働くための脳力アップトレーニング! [第104回] 魔方陣3×3 篠原菊紀 【P6】 特集 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 〜開催レポートT〜 2025年10月16日開催 「これからのキャリア形成支援自律的キャリアはなぜ難しい?−ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」  JEEDでは、生涯現役社会の普及・啓発を目的とした「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」を毎年開催しています。2025(令和7)年度は、企業の人事担当者のみなさまにとって特に関心の高いテーマで2 回にわたり開催し、学識経験者による講演や、先進的な取組みを行っている企業の事例発表、パネルディスカッションなどを行いました。  今号では、2025年10月16日に開催された「これからのキャリア形成支援自律的キャリアはなぜ難しい?―ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」の模様をお届けします。 【P7-10】 2025年10月16日開催 基調講演 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 「これからのキャリア形成支援」 自律的キャリアはなぜ難しい? −ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか 株式会社パーソル総合研究所 主席研究員 執行役員シンクタンク本部長 小林(こばやし)祐児(ゆうじ) ミドル・シニアの学びは、仕組みづくりで変わる 本日は「自律的なキャリア形成がなぜ難しいのか」をテーマに、特にミドル・シニア層の学びやリスキリングをどう引き出していくかについてお話しします。  私は社会学を専門とし、NHK放送文化研究所で世論調査を担当した後、市場・従業員調査を経て、近年は雇用やマネジメントに関する調査・研究を行っています。一つの軸として特にミドル・シニア領域の研究をずっと続けてきました。現在所属している株式会社パーソル総合研究所は研修関係の事業などを提供していることもあり、大人の学びの領域などについても研究をしています。  国際的に見ると、日本のミドル・シニア層(おおむね40歳以上〜60代)は自発的な学びからもっとも遠いところにいる、というのが現状です。2022(令和4)年に「リスキリング」という言葉がブームのように用いられはじめてから3年が経過しました。この間、人材育成のあり方も含め、リスキリング・学び直しに取り組む企業を見てきましたが、「うまくいっている」とはいえないのが現状ではないでしょうか。  企業側の視点で見ると、eラーニングの仕組みや自己啓発のための制度を整備しても、学んでほしい人ほど学ばない、変わってほしい人ほど研修に参加しない、といった具合に、「機会を用意しても人は動かない」という現実に直面した3年間だったといえるのではないでしょうか。これが会社側が抱えている課題です。  一方で、従業員の視点で見ると、「忙しくて時間がない」、「成果が求められるなかでリスキリングをする余裕なんてない」という声が多く聞かれます。しかし、じつは残業時間と学習時間には明確な相関はなく、残業時間が0時間の人はほとんど学ばないということがわかっています。残業時間との関係でいうと、残業40時間くらいの人がもっとも学ぶ時間が長いのです。残業時間が60〜80時間になると、さすがに学びの時間が少なくなります。また、「なにを学んでよいかわからない」と考えている人が多いこともあります。その結果、従業員側もなかなか学ぶ機会がなく3年が過ぎた、ということです。  日本における学びの文化について考えてみましょう。バブル崩壊後、日本の企業は非正規雇用を増やして育成の対象外にしたうえで、人材投資をどんどん縮小し、教育は現場のOJT頼みの状況でした。こうした状況に対し、人的資本といった考えが生まれ、リスキリング、人材育成、組織開発といった領域が盛り上がりつつあるのが、現在の状況です。 世界でもっとも「学ばない」日本のミドル・シニア  われわれが行った調査※1で、社外学習や自己啓発などを「何もやっていない人」の割合を調べたところ、日本人は52.6%で、ほかの国の平均の3倍近い数値となっています。日本人が学びに費やしている時間は圧倒的に少ない、というわけです。さらに年齢と学びの関係を見てみると、ミドル以降、学ばない人の割合は右肩上がりで増えていきます。1カ月あたりの学習時間でいうと、30歳前後をピークに大幅に減ってしまいます。その理由が、日本におけるキャリアの特徴にあると考えています。  日本のキャリアの特徴は、非常に平等主義的・競争主義的である、ということです。端的にいえば、職務にかかわらず、がんばればだれもが出世できるという平等主義的なキャリア構造を持っています。そして、同期・同年代との競争のなかでキャリアを築いていくわけです。昔は「青空の労務管理」といわれたこともありますね。戦後の復興期に「社員一丸となって」といったスローガンのもと、「みんなでがんばっていこう」というムードが経営側にもあり、それはいまでも残っているといえます。そのため、昇進はゆっくりと、職務横断的に行われるのが日本に多いキャリア構造といえます。  これを欧米的なキャリアと比べてみると、欧米はもっとエリート主義的となります。各国とも大卒者が増えてきて、「大学院に行かないとキャリアが開けない」という感覚の国が増えています。例えばアメリカのビジネス・ラウンドテーブルでは、98%くらいの人が修士号・博士号を持っています。ノンエリートの場合は、職務ごとにキャリアの天井がわかりやすいということでもあります。つまり、自ら学んでいかないとキャリアアップができない構造となっており、選抜主義的な構造をしているのです。  みなさんは日本型と欧米型、どちらがよいでしょうか。なかなか簡単には答えを出せないと思いますが、日本型のキャリアにはさまざまな副作用があると考えられます。一つは商業的アイデンティティが育ちにくいこと。社命による異動が多いので、キャリアへの主体的な意思が発生しにくくなります。配属後のOJTでその職場におけるノウハウをキャッチアップする、というのが日本人の学びの姿であるといえます。合理的に学びが職場に偏るということです。そこには出会いもあるし、新しい領域に触れることになるので、学んでいる感覚もあるのですが、自分のキャリアのために大学院で学ぼうといった姿勢は生まれにくい、という状況になっています。  また、私たちの調査※2によると、自分の職業人生が「運に作用される」と思っている人がとても多いことがわかりました。それによって、学びの意識、実際に学ぶための行動にマイナスの影響が出ています。  では、どうすれば変わるのでしょうか。第一に、教育・訓練の機会を拡充することですが、先ほどもお話しした通り、学びの機会だけを提供しても、学びの行動にはつながりにくいというのも事実です。そこで、学びを個人任せにしない仕組みを整える必要があります。そこで重要になるのが、定常的・連続的なキャリアの対話です。上司との1on1や、同僚同士で話し合うなど、キャリアについて話すのがあたり前という状況をつくっていく必要があると思います。それによって、学ぶための意思が創発されていくのではないでしょうか。  逆にいえば、現在のように社命異動で職場・職種が決まり、キャリアについての対話や研修が薄い状態だと、学ばないミドル・シニアが再生産され続ける、ということです。  いまのミドル・シニア層は、かつてキャリア自律を掲げた世代でもあります。その彼らが「学ばない世代」といわれるのは皮肉ですが、これは個人の怠慢ではなく構造の問題です。学びを個人の責任にせず、社会全体で支える仕組みが求められています。 学びの「コミュニティ化」 ──「炭火型」で学びを広げる  私はここ数年、学びの「コミュニティ化」を提唱しています。心理学では内発的動機づけが重要といわれますが、それを個人単位でうながすのはむずかしいものです。多様な個人に一人ずつ火をつける「ろうそく型」の発想では限界があります。もちろん、関心があり、興味があり、メラメラと燃えるような意志がある状態というのは、もっとも学習効果があるわけですから、これ自体を否定するものではありません。ですが、ダイバーシティのもと、多様なキャリアを許容・推進してきたなかで、一人ひとりに会社が火をつけていくという発想では手づまりになります。  だからこそ、「炭火型」でいきましょう。集団単位で火をつけ、隣の火から燃え移る「もらい火的」な学びの広がりをつくるのです。これは私が3年間提唱してきた考え方です。実際、成果を出している企業は、例外なくこの「もらい火」を仕組みとして取り入れています。  日本人は内発的動機づけが弱いといわれますが、それは弱点ではなく資源です。自己主張よりも調和を重んじ、他者の意見を柔軟に受け入れられる。この「共鳴しやすさ」こそ、日本人の強みです。環境の影響を受けやすいからこそ、関係性のなかで変化が起きやすいのです。  一方、「ろうそく型」は、欧米的な強い個を前提としたモデルです。やりたいことや関心を起点に自己決定し、理想と現実のギャップを学びで埋める。たしかに王道ですが、日本ではむしろ「やりたいことを出発点にしない方がうまくいく」ケースが多いと思います。人とつながり、刺激を受けて動き出す、学びはじめれば情報が増え、おもしろさを感じる、この循環をどう起こすかが鍵です。  ちなみに、こういう話をしていると「いまの若い世代は、自律的にキャリアを考え学んでいるのではないですか?」と聞かれることがあるのですが、じつはまったく逆で、学習行動から遠ざかっているのです。20代を中心に調査すると、個はむしろ弱まっています。  炭火型の発想で、他者との関係性のなかで学びが深まっていくと、意欲とは関係なく、学習時間が2倍以上になるという調査結果※3もあります。自律的な人材を理想として追い続けた20年を見直し、関係性から学びを再構築する時期に来ています。 人的資本より「社会関係資本」を  最近は「人的資本経営」という言葉が流行していますが、私はそれ以上に「社会関係資本」を重視すべきだと思います。人的資本と社会関係資本は1970年代までは近い概念でしたが、いまは分断されています。孤立が進む社会だからこそ、人とのつながりを再び資本としてとらえる必要があります。  課題は、ただでさえ学ぶことの少ない日本の大人は、「こっそり勉強」していることです。学んでいることを人に話さないのです。これでは火が広がらない。この状態だと、コミュニティ・ラーニングの取組みはなかなか広がっていきません。  ただし、学びのための仕組み自体はたくさんあります。コーポレート・ユニバーシティやピアツーピア学習、越境学習、副業など、他者と学ぶ仕組みは増えています。今後はそれらを「人的資本」ではなく「社会関係資本」として育てていく視点が欠かせません。  私たちは現場の工夫を150例ほど集め、効果的な100件を抽出しました※4。例えば「ミドル・シニア層のために学びの場をつくっても集まらない」というのはありがちな悩みですが、学ぶ側ではなく教える側として参加してもらう方法も有効です。キャリアや技能伝承の話などをしてもらうことで、学びのコミュニティに巻き込んでいくのです。50分話すのはむずかしいかもしれませんが、10分くらいであれば話せるものです。若手も交えて少人数での「キャリア座談会」のような形で話をしてもらうだけでも、意識は変わります。こうした小さな場づくりが、キャリア意識の向上につながります。  また、シニア層を巻き込むには「役割」を明示することが重要です。「社内講師」、「メンター」、「アンバサダー」など、インフォーマルな肩書きを与えるだけで居場所意識が生まれます。報酬ではなく、社会的承認が動機づけになります。  学びを広げる際、管理職研修に依存しすぎる傾向もあります。私の著書『罰ゲーム化する管理職』(集英社インターナショナル)のなかでも紹介しているのですが、組織課題を「管理職を鍛えれば解決する」と考えるのは危うい発想です。「1on1をやろう」と管理職だけに学ばせても、全員がかかわる仕組みにはなりません。研修はできるかぎり全社員が同じ土俵に立てる形で行うべきです。むずかしければeラーニングや動画配信でもかまいません。重要なのは、特定層だけに責任を押しつけないことです。 意識変革より仕組みづくりを  学びをうながす仕掛けは、意識改革よりも仕組みで動かす方が効果的です。「まず意識から変えよう」、「危機感を持たせよう」というアプローチは、一見正論ではあるのですが、その人の人生ともいえるキャリア感を、外からの言葉で変えるのは、そうとうむずかしいでしょう。逆に心理的抵抗を覚える人もいるでしょう。だからこそ、意思がある人を支援しつつ、意思がない人も自然に巻き込めるような仕組みを、組織として整えることが大切です。  最後に強調したいのは、ミドル・シニア層を「変わらない集団」として扱わないことです。人事や経営のなかにも、「あの世代はもう無理だ」と切り離す感覚がありますが、それは関係を断つ発想です。「キャリア自律が大事」という側が、自律的に学んでいないケースも少なくありません。そうした二重構造こそ、組織の停滞を生む要因です。  大切なのは、彼らを味方にし、ともに学び、変わっていく姿勢です。キャリア自律も、学び直しも、対立ではなく共創の関係性のなかでこそ育ちます。ミドル・シニアが再び組織の「火種」になるような、包摂的な仕組みづくりこそ、これからの人的資本経営の土台になると考えています。 ★「令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」基調講演は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。 こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=4jOHsi6KzJ4 ※1 パーソル総合研究所「グローバル就業実態・成長意識調査」(2022年) ※2 パーソル総合研究所・中原淳「転職に関する定量調査」(2024年) ※3 パーソル総合研究所「学び合う組織に関する定量調査」(2024年) ※4 パーソル総合研究所「学び合う組織づくりの100のツボワークショップPLAYBOOK」 【P11-12】 2025年10月16日開催 事例発表@ 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 「これからのキャリア形成支援」 企業主導型の社外兼業制度の導入と導入から得られた知見 トヨタ自動車九州株式会社 人財開発部キャリア自律推進グループ グループ長 松岡(まつおか)義幸(よしゆき) 管理職を離れた社員のやりがい低下と課題  本日は、当社で導入した「社外兼業制度」と、そこから見えてきた学びについて紹介します。  当社は1991(平成3)年、トヨタ自動車株式会社が100%出資して九州に設立しました。福岡県宮若(みやわか)市に本社があり、苅田(かんだ)・小倉(こくら)を含め3工場体制で事業を展開しています。現在の従業員数は約1万人。創立当初は1300人で、車種や機能を増やしながら規模を拡大してきました。  2021(令和3)年の創立30周年を機に、経営陣から「地域にもっと貢献していきたい」という話がありました。一方で、人事面では50代・60代の管理職が後進にポストを譲り、専門職として働くケースが増加しており、役職を離れると業務負荷が下がり、チームを率いる機会も減るため、やりがいを失うという声が出てきました。「長年会社を支えてきた人たちが力を持て余している。そんな状況は会社にとっても本人にとってももったいない」と感じていました。  当社では、定年は60歳、再雇用で65歳まで働けますが、その後のキャリアを描けない不安もあります。多くの社員は新卒からトヨタ一筋で、転職経験も少なく、社外との接点もかぎられています。そのため「自分はこの環境でしか通用しないのでは」と思い込むケースが多く見られました。  そうした社員に、もう一度自分の強みを見つけ、地域で活躍してほしい。会社としても「地域密着経営」を次の段階に進めたい。こうした思いから2022年4月、「地域のパートナー制度」を立ち上げました。 「地域のパートナー制度」の創設と運用  地域のパートナー制度は、希望する社員が地域の中小・中堅企業に入り、課題解決を支援する、という仕組みです。県と連携協定を結び、プロフェッショナル人材センターなどから支援先企業を紹介してもらっています。特徴は、短期成果を求めるコンサルティング型ではなく、企業と同じ目線で寄り添う「伴走型支援」である点です。対象は、トヨタで長年現場を率いてきた元課長や元部長などの経験者で、現場でつちかった知恵を地域に還元します。  もう一つの特徴は、企業間での業務委託契約であること。個人の副業ではなく、会社の業務として出張扱いで行うため、手続きが簡単で就業時間内に活動できます。副業にともなう心理的負担を減らし、挑戦しやすい仕組みです。  制度は社命ではなく、社員の自主応募制です。支援先の業界は、食品、介護、不動産、ホームセンターなど幅広く、自動車関連は約70社中1社のみです。導入前のヒアリングでは「キャリアは会社が用意するもの」、「社外で役立てる自信がない」との声が多かったため、まずキャリア研修を実施しました。自分のキャリアを言語化する機会を設けたことで、新たな気づきが生まれました。  導入後、実際に参加した社員からはさまざまな反応がありました。例えば、地元の食品メーカーを支援した元課長の社員は、「自分の経験がこんな形で役に立つとは思わなかった」と話していました。生産効率や安全管理の知識を共有するなかで、相手企業の若手社員から感謝の言葉をもらい、自信を取り戻したそうです。  一方で、初めて社外の会議に参加した際、「自分の言葉が通じるか不安だった」という社員もいましたが、数回の打合せを経るうちに「外の風を受けることで視野が広がった」と話していました。こうした体験を通じて、自分の強みや役割を再認識する社員が増えています。  制度開始以降、事務局が企業の課題をヒアリングし、マッチングをていねいに進めています。自分から動けない人が自律していくには、時間をかけてていねいに寄り添うことが大切です。事務局では、依頼のあった企業から話をしっかりと聞き、求めている内容を細かく整理します。そのうえで、社員とのマッチングの際には何度も同行し、双方の調整役として支援します。また、企業見学会など、気軽に参加できる場も設けています。  平均3〜4回、このような調整を重ねて派遣が実現します。期間は6カ月間が基本ですが、評価によって継続もあり、これまで68件を支援しました。最長で4年間続けた後、65歳で再就職につながった例もあります。 行動から生まれる学びと挑戦する文化  この取組みを通じて感じたのは、「行動を起点にした学び」が非常に効果的だということ。社内研修などのように「学んでから動く」のではなく、まず行動することで、自分の強みや課題がわかります。外に出て初めて、社内であたり前にやっていたことが他社では価値があるものになるとわかり、自信や意欲が高まるのです。支援先で新しい課題に出会った社員が、社内に戻って専門部署に相談し、学び直してまた現場に活かすという循環も生まれています。最近では、兼業を経験した社員が社内研修の講師を務めたり、若手との面談で自身の経験を語ったりするケースも増えています。「外に出たからこそ、自分の職場のよさや課題が見えた」という声も多く、学びを次世代に伝える動きが社内に広がっています。こうして、個人の挑戦が組織全体の学びへとつながる好循環が生まれています。  また、「この年齢で新しいことを覚えるのはむずかしい」と話していた社員が、実際に現場に出て「ありがとう」といわれた瞬間から表情が変わり、「まだ自分にもできることがある」と語るようになった例もあります。その姿を見た周囲の社員が刺激を受け、「次は自分も挑戦してみよう」と手をあげるようになります。そうした小さな変化の積み重ねが、挑戦する文化を少しずつ根づかせています。  「一歩踏み出すことで景色(未来)は必ず変わる」。これは制度を立ち上げるきっかけになった人の言葉です。私自身も、社外を知ることで、自分の経験の意味を再確認しました。行動のなかでこそ、新しい気づきと成長が生まれると感じています。「できない理由」はいつでも見つかりますが、大切なのは一歩を踏み出すことです。こうした仕組みを通じて、人材を地域へ輩出し、社会とともに成長する企業が増えることを願っています。 ★「令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」事例発表(トヨタ自動車九州株式会社)は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=-BCvg-Dkf3w 【P13-14】 2025年10月16日開催 事例発表A 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 「これからのキャリア形成支援」 “やってもいい”と思える職場をつくる 〜ミドル・シニア社員のキャリア自律支援 西川コミュニケーションズ株式会社 人事広報部長 神谷(かみや)昌宏(まさひろ) リスキリングの現実課題と心理的な壁  当社は1906(明治39)年に創業し、2026(令和8)年で120周年を迎えます。もともと印刷事業からスタートしましたが、現在はBPOやDXといった領域を中心に、企業の課題解決を支援しています。私たちは「伝えることで社会をよりよく」というパーパスを掲げ、コミュニケーションを通じて価値を生み出すことを目ざしてきました。  まず、リスキリングに取り組むうえで私が特に感じている課題は、“時間の確保がむずかしいこと”です。日々の業務と学びを両立させることは容易ではなく、どの企業にも共通する悩みだと思います。さらに、新しい技術や知識を学ぶことに抵抗感を持つ人も多いものです。これは特定のだれかというより、私自身を含めて多くの人が感じる自然な不安だと思います。もう一つは、“何を学ぶかの選択のむずかしさ”です。世の中には無数のコンテンツがありますが、そのなかから自分や会社にとって最適なものを見きわめるのは容易ではありません。  こうした課題は制度や仕組みを整えることで一定の解決はできますが、制度をつくったからといって、すぐに行動につながるわけではありません。私たちの会社でも、仕組みは整っているのに、なかなか動き出せないという声がありました。なぜなのかを社内でていねいに聞いていくと、「いまさら自分が変われるのか」、「これまでの経験が無意味になるのでは」、「失敗が怖い」、「学んでも会社で活かせるのかわからない」といった心理的な壁が見えてきました。結局のところ、仕組みだけでなく、こうした“心のハードル”をどう解消するかが大切なのだと感じました。 強制せずに後押しする仕組みと文化の設計  私たちは変化を強制しないという考え方を大切にし、きっかけをつくることを重視してきました。まず、社員がどんな分野に興味を持っているのかをアンケートで把握し、経営側がそれを可視化しました。どの領域に関心があるのかを共有することで、同じ興味を持つ社員同士が自然と集まり、学びの場が生まれていきます。制度面でも、資格手当や学習時間の確保などの支援を整えました。興味を示した社員には、上司や人事が声をかけて「では少しやってみませんか」と背中を押すようにしています。こうした小さな後押しが、挑戦の第一歩につながります。  重要なのは、変わることを「義務」にしないことです。「変わらなければならない」ではなく、「変わってみたい」と思えるような環境をつくる。社員が安心して踏み出せるように、私たちは心理的な安全性を重視してきました。  ここで一つ、印象的な事例をご紹介します。製版部門にいた40代後半の社員が、AI分野への挑戦を通じて新しいキャリアを切り開いた例です。きっかけは社内アンケートで「AIに興味がある」と答えたことでした。会社から提案したのは一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)の「G検定(ジェネラリスト検定)」という資格です。まずは基礎的な部分から始め、彼は見事に合格しました。この成功体験が自信となり、次はより難易度の高い「E資格(エキスパート向け)」に挑戦することを決意します。半年間の勉強を重ねて受験し、最初は不合格でしたが、さらに半年間努力を続け、二度目の挑戦で合格を果たしました。現在はグループ会社でデータサイエンティストとして活躍しています。  本人に話を聞くと、製版の仕事でつちかった「工程を細かく整理する力」や「段取りの設計力」がAIの学習にも活かせたと話していました。制度面での支援、つまり学習時間の確保や費用補助、資格手当などもモチベーションを支えたといいます。また、この方は子育て中でもあり、家族ときちんと話し合い、勉強時間を確保していたそうです。家庭の理解も挑戦の大きな要素だと感じました。そして、G検定に合格した経験が「やればできる」という自己効力感を生み、その感覚がさらに前へ進む力になったとのことでした。挑戦の設計には、こうした段階的な成功体験が欠かせないと実感しました。  もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。社内で立ち上げたプログラミング学習チームでは、最初は意欲的にスタートしたものの、次第に「何を目ざすべきかわからなくなった」との声があがりました。技術リーダー不在のなかで目標が定まらず、各自の進め方がばらばらになってしまったのです。それでも業務の自動化が進んだり、学びが業務に活かされたりと、一定の成果はありました。結果として「やってよかった」という声も多く、試行錯誤そのものが次への学びになりました。挑戦の成果だけでなく、その過程をどう評価するかが重要だとあらためて感じています。  また、心理的安全性を高めるための文化づくりにも力を入れています。例えば、管理職が毎週、自分の感情や価値観を言語化して共有する「EQレター」という取組みがあります。これは上司の自己開示を通じて寛容な職場の雰囲気をつくる試みです。また、全社員が自分の強みを診断し、少人数で対話する「クリフトンストレングス○R(★)※」も実施しています。お互いの違いを弱点ではなく強みとしてとらえ、補い合う風土を育てています。さらに「サンクスポイント」という感謝を送り合う社内プラットフォームもあり、部署を越えたポジティブなつながりを生んでいます。 「いまだからこそ」個人の挑戦を組織の力へ  ミドル・シニア層には、知識や経験を活かす力、いわゆる結晶性知能があります。にもかかわらず「やってもよいのかな」とためらう気持ちが、行動を止めてしまうことがあります。だからこそ、会社が「やってもよい」と思える環境を整えることが必要です。キャリア自律とは、決して一人でがんばることではありません。本人の意欲とともに、会社の支援、そして周囲の共感があってこそ成り立ちます。  ミドル・シニアの方が「もう一度、自分のキャリアを描いてよいのだ」と思えることがなにより大切だと感じています。私たちとしても、その後押しにしっかり取り組んでいきたいと思います。 ★「令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」事例発表(西川コミュニケーションズ株式会社)は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=LkoCFxw--og ※ Gallup(ギャラップ)社が開発したオンライン才能診断で、個人の思考、感情、行動の特徴(=才能)を測定するツール ★ 「クリフトンストレングスR」は、米国Gallup社の登録商標です。 【P15-16】 2025年10月16日開催 事例発表B 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 「これからのキャリア形成支援」 自律的キャリア形成に向けた取り組み 株式会社三菱UFJ銀行 人事部企画グループ次長 昇高(しょうたか)慶(けい) 職務に基づく実力本位の登用への転換  当行は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の一員として、国内外で幅広い事業を展開し「世界が進むチカラになる。」というパーパスのもと、信頼のグローバル金融グループを目ざしています。2019(平成31)年から、人事制度改革を本格的に進めてきました。背景には、年功序列や減点主義といった旧来の仕組みでは、多様化する価値観や働き方に対応できず、社員一人ひとりの能力や挑戦意欲を十分に活かせないという課題がありました。  そこで私たちは、職務に基づく実力本位の登用、挑戦と成長を重視する加点型評価、そして多様で柔軟なキャリア形成支援を柱とし、社員ができるだけ自律的にキャリアを描ける組織への転換を進めています。  評価制度は「能力評定」と「業績評定」の二軸で構成されています。能力評定では人間力と専門スキルを中長期的な視点で評価し、昇格や登用に反映します。業績評定は単年度の成果を基準に賞与へ反映します。二つを明確に区分することで、個々の課題や成長領域を可視化し、的確な指導と能力開発につなげています。また、社員と上司のキャリア対話を年1回実施し、一定職位以上には360度フィードバックを導入しています。こうした制度の整備を通じて、社員が自らの強みを見つめ直し、学び続ける文化を根づかせています。 キャリア選択の拡大と働き方の柔軟化  2024(令和6)年4月から、キャリアの自律性を高める二つの改革を実施しました。一つめが「資格EX制度」です。これは、従来のように幅広い部署を経験してキャリアを築くスタイルに加え、特定分野に特化した専門職としてのキャリアを歩む選択肢を提供するものです。例えばシステム、マーケット、M&Aなど、自ら希望する領域で専門性を磨くことができ、給与水準も外部市場と連動します。システム分野であれば外部業界水準に合わせて設定し、銀行内にいながら専門業界並みの待遇を選べる仕組みとしています。  二つめが「プロフェッショナル職」の創設です。総合職とビジネススペシャリスト職の垣根をなくし、同じ業務を行う社員が職種に関係なく成果に応じて評価される仕組みに変えました。従来は職種によって給与や昇進に差が生じていましたが、この垣根を取り除き、実力に基づく評価が可能になりました。また、勤務地の選択制も導入し、転居の有無を本人が選べるようにしています。家庭や地域とのバランスを保ちながら、自らの成長を継続できる柔軟な働き方を整えています。  今後の計画として、2026年4月には初任給および若手・中堅層の定例給与を引き上げ、2027年には定年を60歳から65歳へ延長する予定です。年齢を基準にした給与調整を見直し、職務と成果を重視する体系に移行します。また、退職給付や企業年金制度の再設計も進め、若手からシニアまであらゆる世代が挑戦できる環境を整えます。 学びと挑戦を支える企業文化の形成を目ざす  リスキリングの仕組みとしては、行動変容プログラムを導入しました。「自律的キャリア形成」、「変化への挑戦」、「活躍機会の獲得」の三段階で整理し、各ステージに応じた学びと実践の機会を提供しています。  また、新入社員からシニア層までを対象に、階層別・テーマ別の研修を設け、業務スキルのみならず、思考力や教養を育むカリキュラムも整備しました。  若手層には自己理解と強みの見える化をうながし、40代・50代にはキャリアイニシアティブセミナー、あるいはディベロップセミナーを実施し、例えば40、45、48歳という節目に人生の棚卸しと再設計を支援するキャリアセミナーを実施しています。  さらに、銀行・信託・証券の枠を超えたリーダー育成や、AI・デジタル分野の専門研修を通じ、グループ全体での人材育成を推進しています。  また、上司と部下の対話を制度化した「1on1面談」は重要な取組みとして非常に力を入れています。月1回30分を基本とし、キャリアや業務上の課題について対話を行うことで、信頼関係の構築と意欲の向上を図っています。またガイドブックや動画教材を活用し、質の高い対話を支援しています。こうした積み重ねを続けて努力をしているところです。  チャレンジ施策も拡充しています。社内公募制度「ジョブチャレンジ」には年間約2000人が応募し、半数が異動を実現しています。若手を抜擢する「ポジションチャレンジ」、異業種派遣や留学を支援する「チャレンジリーブ」、社内起業にあたる「ポジションメーカー」など、多様な挑戦の場を設けています。  特に、女性リーダーの育成は重点施策の一つです。経営陣が女性社員をそれぞれ3人ずつメンタリングし、さらにそのメンタリングを受けた女性社員が、次の世代の方々を3人ずつメンタリングしてその輪を広げていくというプログラムを実施しており、女性の活躍の場を広げています。  また、現在、産休・育休を取得中の1750人が円滑に復帰できるよう、12の支援メニューを整備し、早期復職の実現に力を入れています。  そして、リスキリングの推進において特に感じるのは、コーチングの世界でもよくいわれるように、「水飲み場まで連れていくことはできても、水をなかなか飲んでくれない」ことです。だからこそ、水を美味しくする、すなわち学びを魅力的に感じてもらう工夫が欠かせません。  一方で、私たちが本当に目ざすのは、MUFGの広大なビジネスフィールドで社員が思いきり挑戦し、その経験を持ち帰って自然に学びを吸収できる環境をつくることです。そうした世界観の形成が、真のリスキリングを実現する鍵だと考えています。 ★ 「令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」事例発表(株式会社三菱UFJ銀行)は、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=smJOGWmhacE 【P17-22】 2025年10月16日開催 パネルディスカッション 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム 「これからのキャリア形成支援」 「これからのキャリア形成支援 自律的キャリアはなぜ難しい?−ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」 コーディネーター 株式会社パーソル総合研究所 主席研究員 執行役員シンクタンク本部長 小林祐児氏 パネリスト トヨタ自動車九州株式会社 人財開発部キャリア自律推進グループ グループ長 松岡義幸氏 西川コミュニケーションズ株式会社 人事広報部長 神谷昌宏氏 株式会社三菱UFJ銀行 人事部企画グループ次長 昇高 慶氏 自律的キャリア形成の多様なアプローチ 小林 パネルディスカッションでは、事例発表3社の取組みを深掘りしていきたいと思います。3社まったく異なるアプローチでした。  トヨタ自動車九州株式会社は元管理職への副業マッチングを会社が伴走支援していました。副業がなかなか広がらないなかで、会社がここまで支援する発想は興味深いです。  西川コミュニケーションズ株式会社は、まさに「学び直し」に関するストレートな取組みをされており、支援の手厚さが印象的でした。  株式会社三菱UFJ銀行は総合的で、たいへんな気概を感じました。全社をあげた取組みで、一つひとつの粒度が非常に細かいと思います。  それぞれが異なるアプローチですので、これから深掘りしていきたいと思います。  まず各社の課題感について、お聞きします。トヨタ自動車九州の松岡さんからお話しいただけますか。 松岡 本日のテーマである「学び」ということですと、当社もeラーニングであったり、社外研修であったりを準備していますが、先ほど小林さんからお話があったように、学んでほしいと思っている人たちはなかなか学んでくれないものです。ただ、そういった方たちが60歳、65歳を迎えた際に、会社のなかで本来の力を発揮できないままではもったいない。実際に65歳以降にたいへんな思いをされている方もいらっしゃいます。そうした一定数の方たちにどう学んでもらい、自分のよさに気づき、それを活かせると実感してもらうかということのむずかしさを感じています。  そこで、自分に求められることを知ってもらうため、副業プログラムに挑戦してもらうことにしました。現場で自分に足りないものに気づき、会社に戻って学ぶという流れです。課題という意味でいうと、なかなか学んでもらえない状況がそうだったと思います。 小林 副業は元管理職がメインターゲットですね。役職定年、ポストオフは今後の大きなテーマです。高齢化が進むなか、組織の新陳代謝を考えると元管理職の人が必然的に生まれる。役職を離れると会議に呼ばれなくなり、居場所を失ってキャリアの迷子になる方も多いと思います。ここをターゲットにされたねらいはなんでしょうか。 松岡 おっしゃる通りで、ポストオフ、役職定年という制度自体は当社にはありませんが、ちょうど若手の管理職が増えてきているところですので、先ほどおっしゃった新陳代謝という観点で、50代中盤以降、役職を離れる方がたくさん出ました。  私が50代を過ぎて役職を離れ、「好きなことをやっていい」といわれたとき、先輩たちのことも自分のことも考えて、「こういう制度があればよい」と思い、副業制度をつくりました。 小林 松岡さん自身が副業で実践され、それを制度化して広めていったわけですね。「好きなことをやっていいよ」といわれて困る人が多いなか、そこで動かれたのがすごいと思います。  続いて西川コミュニケーションズの神谷さんはいかがでしたか。 神谷 人材育成を推進するというところは、長く取り組んできていますが、小林さんのお話にもあったように、自分で考えて自分で道を見いだしていくことがむずかしい方はやはりいらっしゃいます。日本の企業の仕組み上というか、年功序列的な昇進をしますし、異動もあります。自分の専門性がどこにあるのかを自信を持っていえる方は少ないと思っています。  しかし、会社としては時代が変わっていくと、新しいデジタル技術などは覚えていっていただかないといけません。それをどういうふうに意欲的に取り組んでいただくかが非常にむずかしいと感じています。  仕組みを整えるというところはお話しさせていただいた通り、さまざまな仕組みを導入しており、また、学ぶ意欲をどう引き出すかというところに注力をしてきました。 小林 興味アンケートやボトムアップで伴走していくというアプローチですね。多くの企業はこうしたことをやっていません。社員の興味を可視化して、そこに向けた支援をするわけですね。 神谷 そうですね。社員のみなさんがプライ ベートも含めて、どういったことにもともと興味を持っているのか、会社はわかりません。意外な分野の勉強をされていたり、勉強というよりは趣味で活動をされていたり、例えばゲームの開発をしていたりとか。そういった、本人が会社に伝えていなかった取組みがアンケートによって可視化されると、その隠れたスキルを活かして「こんなことに社内で取り組んでみませんか」と、新たな活躍の場が見つかることがあります。 小林 経営の立場だと「これは当社にメリットがあるの?」という学びもありますよね。例えば、ワインや日本酒、ヨガなどは盛り上がりやすいテーマですが、経営視点では疑問符がつきます。そのバランスはどう取られていますか。 神谷 そういった部分については、グルーピングができるかどうかの観点で、取捨選択をするときに会社の方向性に合っているかフィルターを一回通します。 小林 会社の方向性でフィルタリングを行うのですね。具体的なテーマはなんですか。 神谷 取り組んでいるものとしては、AIの領域であったり、プログラミング、システム開発のような分野であったり、マーケティングですね。これも結局デジタルを使っていく話にはなります。あとは自社でさまざまなプロダクトを開発していますので、「そのなかのどれかに興味がありますか、BtoCの何かですか」などを確認しながらピックアップしていきます。 小林 三菱UFJ銀行の昇高さんには、メガバンクならではの課題についてお聞きしたいと思います。銀行は他企業とは違うキャリアの業界というイメージがあります。非常に複合的かつ総合的な施策をされていますが、もともと感じていた課題について教えてください。 昇高 重要なのはモチベーションです。当社も役職定年は設けていませんが、実際にはキャリアの予見可能性が高くなれば高くなるほど、安心感が生まれる一方で、緊張感はなくなっていきます。例えば、「あと5年でこうなるのなら、わざわざ新しいことを覚えなくてもいいかな」という気持ちになってしまいます。でも、本来は年齢や性別などの諸条件から解き放たれれば、だれもが学びたくないわけではなく、学べないわけでもないのです。学ぶモチベーションさえあれば、いつでもリスキリングすることができますし、もう一回成長すること、つねに成長し続けることはできます。それが私たちの考え方の根本にあることです。 小林 平均的には、日本人は42.5歳でキャリアのピークを感じ、44〜45歳で終わりを考え始めます※。でもそこから20年以上キャリアは続くわけです。銀行ならではの単一的なキャリアパスが見えすぎるゆえのしぼみ感が課題だったということですね。それにしても施策の量と統一感はどこからきているのでしょうか。 昇高 そうですね。これは2019(令和元)年から時間をかけて、いままで築き上げてきた歴史もありますから、いきなり変われといっても、中にいる人たちもついていけません。そういう意味で、一発で変えるのではなくて、時間をかけながら徐々に組織を変えてきましたし、中にいる人たちの意識も変えてきたのです。先ほどお話しした手上げの社内FA制度も、最初はまったく手があがりませんでした。しかし、ちょっと行き過ぎくらいに「チャレンジしてね」とメッセージを送り続けることで、ようやく心理的安全性が確保されていったのだと思います。 企業文化・社風が生み出す施策 小林 続いて「学びの意思をどう引き出すか」についておうかがいしたいと思います。まさに心理的安全性の話が出ましたが、制度をつくったところで手をあげてくれないというのは、どの企業にも共通する課題だと感じました。そのなかで、西川コミュニケーションズの神谷さんは、かなり伴走的な発想をされていて、アンケートを見て「この資格、受けてみたらどうですか」と個別に声をかけていくとのことでした。ただ、正直なところ、私もいろいろな現場を見ますが、やはり担当者個人の寄り添い力に左右されてしまう面もあると思ってしまいます。御社としては、これをどういう発想で取り組まれているのですか。 神谷 そうですね、もともと当社には社員の意思を無視して何かをやるということを好まない社風があります。名古屋という地域性も含め、地域社会との連携や雇用維持、社員の生活を支えるという観点から、まず事業の存続が第一で、「利益が出ていればよい」という考え方とはだいぶ遠い会社ではあると思います。 小林 なるほど。そうすると、先ほどの話にもありましたが、「これが会社の業績につながるか、売上げになるか、利益になるか」のような話ではなくて、「やりたいと思っている人を支援し、あるいは伴走していこう」という考え方が自然に生まれてきたわけですね。 神谷 そうですね。もちろん、「収支的に合わないのではないか」という話が出ることもあり、厳しい判断をしていくことは当然ありますが、そこのところの幅がおそらく他社と比べるとだいぶ広いのだと思います。 小林 三菱UFJ銀行では、職務ベースの考え方がかなり浸透していますね。私は日本のジョブ型雇用について本も出していますが、専任性と専門性を混同している企業が多いと感じています。職務を区切る「専任性」だけでは専門性は積み上がりません。そこに学びが掛け算されて初めて、本当の専門性が育ちます。資格EXのようなエキスパート職のラダー制度も、継続的な学びがないとスキルの陳腐化に対応できず、形骸化してしまいます。御社では、この職務ベースの制度設計と社員の学びの意思を、どう結びつけているのでしょうか。 昇高 おっしゃる通り、ジョブ型雇用とメンバーシップ型のバランスは、非常に頭を悩ませている企業が多いのではないかと思いますし、われわれも同様です。ただ、やはりジョブ型要素は取り入れていかないと、まず競合他社に負けるというところもありますし、スペシャリストとして尖った人材を確保するためにも必要なことだと思っています。  ただ、これは別にジョブ型雇用でもメンバーシップ型でも同じですが、結局のところ、スキルが陳腐化したときに等級を下げられるか。それは、ちゃんとした評価をくだせるかどうかということにほぼイコールです。これがすべてだと思っていまして、最終的には、ジョブ型でもメンバーシップ型でもよいですが、むしろいまの課題として感じているのは、この大きな人事制度を動かしていくための納得感ある評価、ちゃんとした評価を管理職がくだせるかどうか、そのところの学びです。  先ほど小林さんの講演ですごく耳が痛かったのが、管理職への責任の集中です。やはり管理職にさまざまな責任が集中しているだろうというのは、おっしゃる通りなのですが、ここがワークしないとすべてが瓦解(がかい)してしまうので、運用上、大きなポイントだとは思っています。 学びと挑戦の支援のあり方 小林 三つ目のテーマは「ミドル・シニア支援のあり方」です。トヨタ自動車九州では地域のパートナー制度において、本人だけでなく、受け入れ先企業への説得も含めた支援をされていますね。正直、かなり手間がかかる取組みだと思うのですが、ここまでやろうとされている理由や原動力はなんでしょうか。 松岡 依頼をいただく企業さんから、依頼内容をきっちり決めるまで依頼が出せないという声が結構ありました。そこで、間に入ったプロフェッショナル人材センターや銀行に、「そういう悩みを書き出すところから一緒に入ります」という形でかかわらせていただいています。  というのも、依頼内容をそのまま社内に展開すると、当社の社員は、例えば五つのスキルが求められていたら、四つできても一つでもできなかったら自信がなくて手をあげないのです。だから、そうならないように事前に企業さんとお話をさせてもらって、「優先順位はこうだから、これ一つでもできる人」というような依頼内容に調整していただく。そうやって社内展開をしたら候補者が増えていきました。 小林 西川コミュニケーションズでは、ミドル・シニアに特化した施策ではなかったと思いますが、実際に運用してみて、年齢層による違いや、ミドル・シニア特有のむずかしさなどは感じられましたか。 神谷 全社的に取り組んできましたが、キャリアのとらえ方は年代で異なります。40代中盤以降や50代の方は「この先どうするか」という意識が、20代、30代とはだいぶ違います。それに対しては、「でもまだやれることはたくさんありますよね。会社としてもお願いしたいこともいろいろあるし、こういうこともやれると思うんですけれども、どうですか」というアプローチはしっかり考えて取り組んできました。 小林 三菱UFJ銀行のデジタルリテラシー周辺の施策を学びのところで説明していましたが、ものすごい規模感で行っていましたね。 昇高 これは金融業界全体の課題ですが、特に金融は他業態からのディスラプション(破壊的革新)が非常に大きかったものですから、その危機感はかなり早い段階から共有していたということです。  一方で、これはデジタルにかぎらない話ですが、スキルの伝授と、考え方を学んでもらうことは、しっかり分けていかなければいけないと考えています。スキル伝授は即効性がある反面、陳腐化も早いです。ここのところは運営しながらのアップデートが課題です。 ミドル・シニアの学び直しを促進する効果的な取組み 小林 続いて、ミドル・シニアの学び直しに効果的な取組みについて、知見を教えてください。 松岡 キャリア自律や学び直しの取組みでもっとも効果的だったのは、人事部門が発したものではなく、社内インフルエンサーが重要であると感じています。最初に始めた人の影響が大きく、部署ごとに見ると興味深いのですが、対象人数に対して兼業をしたり、学び直しをしたりする人数は、まるで比例していないのです。参加者が多いところには、インフルエンサーがいます。発信能力のある人がきっかけをつくることが重要だと思います。その人が声をあげることで、周りも動き出すのです。 小林 それを組織的に仕かけるには、社内ホームページへのインタビュー掲載なども考えられます。あるIT企業では、副業の学びを共有する勉強会を開いて、すべてオープンにする形で取り組んでいて、すごく効果が出ていました。 松岡 当社も兼業をうまくやっている人の記事をつくって社内に発信しています。本人のインタビューに加えて、支援先の経営者と上司のインタビューもセットで掲載しています。上司から「よかった」といってもらえると、若手でもシニア社員でも、話を聞かれること自体がうれしいようです。 小林 上司のコメントもつけるのはすばらしいですね。上司が認めてくれているという実感があるかどうかで、次の学びへの意欲も変わってきます。神谷さんはいかがですか。 神谷 もっとも効果的な施策をあげるのはむずかしいですが、これまでの施策をふり返ると、事業の方向性に合致しているものはうまくいくことが多いですね。会社が「こういうことをやりたい、進めたい」という方向性が明確で、それに沿って人を集めるものは、本人も会社の応援を実感できるので成果につながりやすいです。  クリフトンストレングスのグループセッションは、同じ部署や部門横断で1時間から1時間半実施しています。ファシリテーター経験者を配置し、参加者が自分の「取扱説明書」をつくって共有します。「こういうことが得意、苦手」と話し合うなかで、「あなたのこういうところは、じつはこういう場面で活きますよね」とお互いにフィードバックし合う場です。  参加者からよく聞くのは、「自分では価値がないと思っていたことが、他人から見ると『それができるのがすごい』、『自分もそうなりたい』と評価されていた」という気づきです。自分の強みがプラスにとらえてもらえる要素だと実感できることが、この取組みの効果だと感じています。 小林 では、昇高さんが考える外せないピースはなんでしょうか。 昇高 年齢や性別にかかわらない実力本位の組織を目ざしていますが、ミドル・シニア施策ばかりが注目されると、若手が不公平感を持ったり、シニアが過度な期待を抱いたりするむずかしさがあります。実力主義には温かい面だけでなく厳しい面もあります。  その両面を伝え、日々のコミュニケーションを通じて正しい評価への納得感を積み上げていくことが、一気通貫した取組みとして重要だと考えています。 小林 ありがとうございました。三社三様でまったく異なる施策のお話をうかがうことができ、視聴されているみなさまにとっても、何かしらのヒントが得られたのではないでしょうか。  ミドル・シニア領域の研究を続けていると、いろいろな相談を受けることが多いのですが、ミドル・シニアの不活性化であったり、「働かないおじさん」化している、などという話を聞くこともあります。ですが「ミドル・シニアは変われない」と会社側が決めつけてしまっては、何も変わらないのではないでしょうか。そういう課題感があるのであれば、きわめて単純に、ミドル・シニア自身に「どうしたらよいと思いますか」と聞いてもよいのではないでしょうか。  本日のお話のなかでもありましたが、社内のインフルエンサーのように、現場で課題感を持っているミドル・シニアを、一人でも多く巻き込んで取組みを進めることが、結果的によりよい会社、よりよい組織になっていくのではないかと思います。みなさま、本日はありがとうございました。 ★ 「令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」パネルディスカッションは、JEEDのYouTube公式チャンネルでアーカイブ配信しています。こちらから、ご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=AUvopjVwKY4 ※ パーソル総合研究所「働く1万人の成長実態調査」(2017年) 写真のキャプション 株式会社パーソル総合研究所 主席研究員 小林祐児氏 トヨタ自動車九州株式会社 人財開発部キャリア自律推進グループグループ長 松岡義幸氏 西川コミュニケーションズ株式会社 人事広報部長 神谷晶宏氏 株式会社三菱UFJ 銀行 人事部企画グループ次長 昇高慶氏 【P23】 立川(たてかわ)談慶(だんけい)の 新連載 人生100年時代の歩き方 第1回 人生100年時代の歩き方 〜ともにダメなもの同士〜  今回から連載を受け持たせていただくことになりました立川談慶です。私も2025(令和7)年11月16日をもちまして、還暦を迎えることができました。あと5年で高齢者の仲間入りであります。みなさま、何卒よろしくお願いします。  師匠談志(だんし)は、落語とは「人間の業ごうの肯定」とズバリ定義しました。「業」とは「人間の弱さ・醜さ」、つまりダメなものの総称です。談志曰く「人間、眠くなれば寝ちまう。やるなということほどやってしまうものだ。酒が人間をダメにするんじゃない。人間というものはもともとダメなものだということを酒は教えてくれるのだ」とのことでした。  落語を聴くと、「人間のダメな部分を笑い合うことで、そのダメさ加減を許容し合い、なんだ、私もあなたもじつはダメ人間同士じゃないか」とあらためて気づかされることになります。その証拠が落語会とセットになっている終わってからの打上げです。ついつい居合わせた観客同士、仲よくなって酒を飲みたくなり、いつの間にか笑いの輪が起きています。  世間はついつい、「がんばれば結果が出る」とか「よい成績を修めないとだめだ」みたいな風潮になりがちです。が、これでうまく行ったのは昭和までではないでしょうか? 平成以降景気の停滞が続いているのが何よりの証拠です。  だからこそそれをふまえて「がんばっても結果なんて出ないものだよ」と落語を聴きながら優しく労わりあうことで、高齢者を含めた人材にもおおらかなまなざしを向けることができ、それが結果として「ゆるやかな居心地のよいコミュニティ」へとつながっていくのではと私は確信しています。  落語「不動坊(ふどうぼう)」では、「アルコールを買ってこい」といわれてどこをどう間違えたのか「あんころを買ってきてしまう」信じられないドジを踏む登場人物が出てきます。彼らを笑うことで、同時に自らのしくじり、そして他人の失敗なども相対化されてゆくものと私は信じています。  落語を聴くことで人と人とが許し合える社会。それが未来につながりますよう。祈りを込めての連載です。ご期待ください。 【P24-25】 偉人たちのセカンドキャリア 歴史作家 河合(かわい) 敦(あつし) 第14回 歌舞伎の歴史に名を刻む偉大な初代 市川(いちかわ)團十郎(だんじゅうろう) 歌舞伎に革新をもたらした新星  歌舞伎に新風を吹き込んだ名優・市川團十郎(初代)は、1673(延宝元)年、14歳で初めて舞台にのぼります。このとき「四天王稚立(してんのうおさなだち)」という演目で坂田(さかた)金時(きんとき)(金太郎)役を演じましたが、その演技に観客たちは度肝を抜かれてしまいます。というのは、顔に紅と墨で異様な化粧をほどこし、斧を片手に舞台上で跳ね、飛び、廻りといった激しいアクションを披露したからでした。このような演出や躍動的な動きは、それまでの歌舞伎には一切見られないものでした。以後、團十郎の激しい演技は荒事(あらごと)と呼ばれ、たちまち江戸歌舞伎の人気俳優の仲間入りを果たしたのです。  29歳のとき、ようやく跡継ぎの九蔵(二代目團十郎)も生まれ、まさに飛ぶ鳥を落とすような勢いを見せた團十郎でしたが、それから数年も経つと、ぱたりと座元(興行主)から出演契約の依頼が来なくなってしまったのです。  原因の一つは、團十郎の尊大さにありました。人気俳優であることを鼻にかけ、座元や役者仲間に冷淡で、どうもひんしゅくを買っていたようです。ただ、最大の理由は、契約料の高騰でした。團十郎は座元と三百両で契約していましたが、当時として破格の高値だったので、座元たちは團十郎との契約を解除し、もっと安く使える女形や立役(成人した役者)と契約を結んで顔見世興行を華やかにしたほうが儲かると考えたのです。  これを知った團十郎は大いに反省し、次のような願文(がんもん)(神仏への誓約書)をしたためています。  「私はこの苦境を脱するため、これからは三宝荒神(さんぽうこうじん)、上野両大師、不動明王、愛染明王など神仏への参拝や参詣を怠らず、父母存命中は禁酒し、妻以外の女と交わらず、男色を断つことを誓う」  これを見ると、当時の彼の生活がいかに乱れていたかがよくわかります。ただ、偉いのは、初演から数えて20年(34歳)のベテラン俳優だったのに、己の運命を開くために思い切った行動に出たことです。團十郎は、拠点である江戸を離れることを決め、妻子や弟子を連れ、思い切って上方へ向かったのです。じつはこの時期の歌舞伎は、江戸より上方歌舞伎のほうが盛んでした。團十郎は歌舞伎の本場で己の力を試そうと考えたのです。 関西でスタートしたセカンドキャリア  1694(元禄7)年正月、京都の村山座(村 山平右衛門が座元)での團十郎の出演が決まりま した。すでに上方でも團十郎は名優として知られ ていました。だから噂を聞きつけ芝居小屋に20 00人が詰めかけたのです。演目「巡逢恋七夕(めぐりあいこいのたなばた)」の牽牛(けんぎゅう)役としての團十郎の演技は大いに評判となり、大坂や堺からも客が集まってきました。こうして上方で大当たりをとった團十郎は、江戸へ戻りました。短期間でしたが、團十郎は上方歌舞伎からさまざまなものを吸収し、演技もかなり変化したといわれています。  それだけではありません。上方歌舞伎に啓発され、三升屋(みますや)兵庫(ひょうご)というペンネームで次々と新作の歌舞伎脚本を書き、その作品を自分で演じるようになったのです。現在もよく知られている「不破(ふわ)」、「暫(しばらく)」、「象引(ぞうひき)」、「勧進帳(かんじんちょう)」なども、團十郎のオリジナル作品です。合作も含めると、作品数は60本を超えるといわれています。己の演技を一番よく知るのは自分自身。だからこそ、他人の脚本を演じるのではなく、自分に適した筋を書くことで舞台上で一番輝けるようにしたのだと思います。  團十郎は舞台装置にも工夫をこらすようになりました。1700(元禄13)年の森田座の公演では、はじめて「宙乗り」を披露し、客をアッといわせました。曾我兄弟の敵討ちで知られる曾我五郎役を演じた團十郎が、念を込めて息を放つと、なかから曾我五郎の分身が姿をあらわし、空中で自在に動くというものです。その分身役を演じたのは、九歳の息子・九蔵(くぞう)でした。大ヒットを連発したこともあって、團十郎の契約料もアップし、最終的に八百両まで上がったといいます。 45歳で早逝も、その演技と不屈の精神は後世へ  このように團十郎は、江戸歌舞伎で頂点に立った後、落ち目になった人気を挽回すべく、思い切って上方に進出し、そこで多くのものを学び、再び江戸で見事な復活をとげたのです。こうして絶頂期を迎えた團十郎でしたが、45歳のとき、にわかに亡くなりました。病死や事故死ではなく、殺害されたのです。  1704年2月19日、その日はやってきました。團十郎は市村座で自分の脚本(狂言)「移徒十二段」で佐藤忠信役を演じていました。忠信は源平時代に活躍した源義経の重臣で、最後は頼朝の軍勢に襲撃され京都で奮戦のすえ自害した人。そんな悲劇の武将を演じている最中、役者仲間の生島(いくしま)半六(はんろく)が團十郎に近づき、なんと、舞台上で刺殺したのです。  残念ながら、どんな殺され方をしたのかなどは一切記録に残っていません。殺された原因もはっきりしません。女性関係のもつれだとか、半六が不倫を團十郎に諫められて逆上したとか、半六の息子・善次郎を團十郎がいじめたからだなどといわれていますが、本当のところはわかっていません。これほどの名優が舞台で殺されたのに詳細がわからないのは、関係者が完全に口をつぐんだからだと思います。何か知られてはまずい重大な秘密があったのでしょう。いずれにせよ、あっけない幕切れでした。  ただ、團十郎の死は大いに惜しまれ、翌年には『宝永(ほうえい)忠信(ただのぶ)物語(ものがたり)』と題し、團十郎を追悼する書物が刊行されています。そのなかに同じ年に没した初代・坂東(ばんどう)又太郎(またたろう)があの世の賽(さい)の河原で新作をつくって興行を行うという話が登場します。服部幸雄氏によると、「名優が没すると、西方浄土の極楽芝居へ出演するために旅立ったとする追善の文章や死絵が制作されることが多い。この本はその早い例」(『市川團十郎代々』講談社学術文庫)だといいます。  さて、このとき九蔵(二代目團十郎)はまだ17歳でした。しかし、幼いころから父に舞台に引き出され、子役として第一線で活躍していたため、間近で父親の演技をみていました。けれど、やっかみもあったのか、父の死後は軽い役しか与えられず、かなり悔しい思いをしたようです。しかしめげずに精進と努力をかさね、最終的に父親を超える千両役者になっています。  悲惨な最期をとげた初代團十郎でしたが、己の演技と不屈の精神を息子に継承することができたわけです。以後、市川團十郎家は代々名優を輩出し、歌舞伎界になくてはならない存在となり、現在十三代を数えるまでになっています。 【P26-29】 高齢者の職場探訪 北から、南から 第162回 静岡県 このコーナーでは、都道府県ごとに、当機構(JEED)の70歳雇用推進プランナー(以下、「プランナー」)の協力を得て、高齢者雇用に理解のある経営者や人事・労務担当者、そして活き活きと働く高齢者本人の声を紹介します。 70歳を過ぎても柔軟な働き方で力を発揮し、地域医療に貢献 企業プロフィール 医療法人社団同仁会(どうじんかい) 中島(なかじま)病院(静岡県伊豆(いず)市) 創業 1912(明治45)年 業種 医療業、介護事業 職員数 74人(うち正規職員数61人) (60歳以上男女内訳) 男性(8人)、女性(10人) (年齢内訳) 60〜64歳 7人(9.5%) 65〜69歳 6人(8.1%) 70歳以上 5人(6.8%) 定年・継続雇用制度 定年65歳。希望者全員70歳まで継続雇用。運用により70歳超の勤務も可能。現在の最高年齢者は77歳  静岡県は日本列島のほぼ中央に位置し、相模灘(さがみなだ)、駿河湾(するがわん)、遠州灘(えんしゅうなだ)に沿った約500kmの海岸線と、富士山をはじめとする高い山々が地形を特徴づけており、富士川、大井川、天竜川などが県土を縦断し、温暖な気候のもと肥沃な土地に恵まれています。  JEED静岡支部高齢・障害者業務課の柿崎(かきざき)祐花里(ゆかり)課長は、県内の産業と支部の取組みについて次のように語ります。  「東部エリアは、世界文化遺産富士山や伊豆半島ジオパークを活かした観光業が盛んで、製紙業や医薬品関連の産業も発展しています。中部エリアは、県庁所在地で行政機能が集中するほか、静岡茶やみかんなどの農業、焼津(やいづ)漁港の水揚げなど地域に根ざした産業が活発です。西部エリアは、自動車、楽器、電子部品などの製造業が盛んです。当課では、労働局およびハローワークと連携し、三つのエリアごとにプランナーを配置し、事業所の実情にあった相談・助言活動に努めています。プランナーは事業主に寄り添い、十分なヒアリングを行ったうえで、自身の強みと蓄積されたノウハウを活かし、多様な業種や業態、規模の各事業所の課題を引き出します。そのうえで、就業確保措置の制度化や明文化の提案に加え、人事評価・安全管理など高齢者雇用に関する課題解決に向けた提案を行い、高齢者がより働きやすく、活躍できる環境づくりに取り組んでいます」  同支部で活動するプランナーの一人、稲葉(いなば)正久(まさひさ)さんは、特定社会保険労務士の資格を持ち、県内企業の労務上の課題などに寄り添い、解決や成長を支えています。プランナー活動には5年前からたずさわり、人事労務管理、職場改善を得意分野として豊富な専門知識と親切な対応で企業から信頼を置かれています。今回は、稲葉プランナーの案内で「医療法人社団同仁会中島病院」を訪れました。 地域医療に貢献して113年  中島病院は1912(明治45)年、医師の中島(なかじま)孝三(こうぞう)さんが地元の協力を得て開いた小さな医院がはじまりでした。以来、地域の医院として親しまれ、徐々に規模を拡大して、2000(平成12)年に医療法人化。病院、通所リハビリテーションに加え、訪問看護、居宅介護支援の介護事業も実施しています。2022(令和4)年には、全国で医療・福祉のネットワークを展開するSAITO MEDICAL GROUPに事業承継して、現在に至ります。  「地域医療に貢献する開院当初からの精神は、いまも変わりません。2022年から新体制となったことで、現在の齋藤(さいとう)浩記(こうき)理事長が大切にする『医食同源』の考えが新たに加わり、病棟の食事を見直すなどこれまで以上に『食』を重視した医療を行っています」と語るのは、中島病院の総務課長・運営施設課長の福西(ふくにし)剛(つよし)さん。事業承継は、「全国より高い水準で高齢化が進んでいるこの地域で、病院運営を将来も持続させること、人材を確保していくことを考えて必要な選択肢だった」とも話します。 65歳定年後、70歳まで継続雇用  2024年、それまで60歳としていた定年年齢を65歳に延長しました。同時に、希望者全員の継続雇用も65歳から70歳へ。「少子高齢化が進むなか、長年の現場経験に裏打ちされた技術力や判断力、多様な見識を持つ職員の力を、なるべく長く発揮していただきたいという考えから制度改定を行いました」と福西総務課長は話します。  稲葉プランナーは、この改定が行われた直後の2024年7月に同院を訪問しました。「制度の改定とそれにともなう独自の取組みがすでに行われており、現場の話をうかがうことができて、こちらのほうが教えていただいたような訪問でした。そのうえで、安全・健康対策に終わりはないことを伝え、いっそうの改善を目ざして中央労働災害防止協会の『エイジアクション100』※1の活用や、JEEDの70歳雇用推進事例集※2、高年齢者活躍企業事例サイト※3などをご案内しました」と稲葉プランナーはふり返ります。  同院では、65歳以上の職員は、それぞれの体力や事情などに応じて就労条件を決める柔軟な働き方が可能です。また、高齢職員には若い職員への技能伝承を期待しています。職場環境整備の面では、現場の声を受けて動きやすいナースシューズに変更し、転倒防止に努めています。  このような取組みについて福西総務課長は、「当院の現場で何年もかけてつちかってきたものはお金には代えられない価値のあるもので、一人ひとりの職員がとても大切です。柔軟な対応で勤務が続けられるなら、できるかぎり努力していきたい」と話します。60歳定年のときには、その前に転職する職員もわずかながらいたそうですが、いまは職員が安心して働いているように感じられるとのことです。  60歳以上の職員の採用にも積極的で、特に介護職では未経験者や異業種からの転職者も採用しています。3〜5年以上勤務すると介護福祉士、ケアマネジャーの資格を取得する職員もいて、そうした職員に対しても、長く安心して働ける職場環境を整備することが大切だといいます。制度はないものの運用により70歳を過ぎて働くことも可能で、就業条件は話し合って決めているそうです。  福西総務課長は「年齢が上がると健康や安全に関するリスクが高まるので、稲葉プランナーからご紹介いただいた『エイジアクション100』や、ほかの事業所の先進事例などが参考になっています。また、特に介護分野での人材不足が全国的に課題となっていますが、当院も同じ状況ですので、年齢に関係なく働けるモデルとなるような、理想的なケースやアドバイスなどについて今後も相談にのってほしいですね」と話していました。  今回は、作業療法士の加賀(かが)利美子(とみこ)さんと、同院の最高年齢者で生涯現役を実践されている院長の森(もり)博昭(ひろあき)さんにインタビューしました。 心の通うリハビリテーションで安心を提供  加賀利美子さん(63歳)は、36歳のときに入職して勤続27年。作業療法士として当初は病棟で、10年ほど前から通所施設で利用者のリハビリテーションを担当しています。60歳で定年を迎えて現在は継続雇用ですが、週5日のフルタイム勤務を続けています。福西総務課長は「責任者を降りて、いまは職場全体をフォローする役をになってもらっています。いろいろなことに柔軟に対応できる、欠かせない存在です」と加賀さんを高く評します。  加賀さんは、職場と仕事について「入職当時は子育てと両立していましたが、『お互いさま』という風土があり、子育てのしやすい職場で助かりました。いまでは、自分の年齢が利用者に近づいてきて、これまで以上に気持ちに寄り添えるようになってきた気がします。会話も大事にして、その方の思いをくみ取れるように接し、安心して通っていただける施設でありたいです。ほかの部署とも協力して、地域に選ばれる病院になるよう、この病院のために働けるかぎりは働いていたいです」と始終笑顔で思いを話してくれました。 生涯現役の秘訣は登山と体力維持の心がけ  院長の森博昭さん(77歳)は、東京都内の病院に長年外科一筋で勤務し、60歳からは茨城県内の病院に外科、内科医として勤務。そして2025年1月、中島病院の院長に就任しました。はじめに、同病院の高齢職員の働きぶりについてお聞きすると、「年齢を重ねるとあちこちに不便なことが生じますが、お互いにカバーをしながら働いてくれています。病院のほうも、私の着任以前から働きやすい環境づくりや、働く意欲と体力があれば年齢を問わず採用して、その人にあった柔軟な働き方ができるよう対応に努めており、すばらしい環境を実現しています。医療介護サービスは、多職種のチームワークで成り立っています。人員充足が課題ですが、まずは現有勢力でベストを尽くしています」と穏やかな表情で語ります。  ご自身の働き方は、以前の職場では週6日勤務でしたが、現在は週4日+1日の宿直です。内科医として勤務しており、蜂さされなどの救急対応や草刈りでのけがなどにも対応しています。患者の多い日もあれば少ない日もあるそうですが、「勤務中はつねに緊張しています」と医師の仕事を語ります。仕事で大事にしていることは、「患者さんの立場に立つこと。そして、話をよく聞くこと」。自身については、「健康と体力の維持を心がけています」と即答。登山が好きで、天城山にも何回か登っているそうです。一般的に往復10時間といわれるコースを、森院長は7時間で登る健脚の持ち主。それほどの体力の背景には、5kmのランニングを最低週2日と、施設内のエレベーターをいっさい使用せず、階段で移動して仕事中も足腰を鍛えるという日々の努力があります。また、気温が5度以下、30度以上では走らないなど科学的に判断して無理をしないことも大切にしています。  医師を志してそれを叶(かな)え、「人に接するこの仕事が好きです。これからも続けていきます」と生涯現役を宣言。明るい笑顔で、患者さんや職員をいつのまにか笑顔にしている森院長です。 誠実に、できることを精いっぱい行う  2024年の訪問時と今回の取材を通して稲葉プランナーは、「加賀さんと森院長、お二人のお話に感銘を受けました。取組みでは、現場で働いている職員の方々の話をよく聞いて、例えばシューズを替えるなどできることは即対応されており、そういう姿勢がすばらしく、職員が意見をいいやすい職場環境であることも大事なことだと思いました」と中島病院の取組みを評価するとともに、今後も支援を続けていくと話していました。  最後に、福西総務課長に今後についてうかがうと、「だれも差別せず、すべての人を平等に慈しみ、愛するという当院の理念である『一視同仁(いっしどうじん)』を守り、すべての人に誠実に対応すること、できることは精いっぱいやること。働きやすい職場づくりも、このモットーを大切して進めてまいります」としっかりした口調で語りました。 (取材・増山美智子) ※1 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00001.html ※2 https://www.jeed.go.jp/elderly/data/manual.html ※3 https://www.elder.jeed.go.jp 稲葉正久 プランナー アドバイザー・プランナー歴:5年 [稲葉プランナーから] 「プランナー活動では、中小企業の立場に寄り添い、地元企業の現状・課題に対して、同一労働同一賃金や健康管理・安全衛生などについて、専門的見地から情報提供を行うことを心がけています」 高齢者雇用の相談・助言活動を行っています ◆静岡支部高齢・障害者業務課の柿崎課長は稲葉プランナーについて、「訪問先企業などの取組みを確認したうえで、JEEDの事例集や事例サイト、『エルダー』などから他社の具体的な事例を紹介するなど、法人全体に対するさらなる改善につながる働きかけを行い、信頼関係を構築しています。今回の取材もそうした経緯から実現しました」と話します。 ◆静岡支部高齢・障害者業務課は、ポリテクセンター静岡内に所在しています。バス(しずてつジャストライン)では、静岡駅南口からみなみ線内回り乗車、「ポリテクセンター静岡」下車(所要時間は約15分)。車では、東名静岡インターまたは日本平久能山スマートインターから約10分、あるいは静岡駅南口からも約10分です。 ◆同県では、16人のプランナーが担当地域ごとに活動しています。2024年度は691件の相談・助言を実施し、そのうち220件の制度改善提案を行いました。 ◆相談・助言を無料で行います。お気軽にお問い合わせください。 ●静岡支部高齢・障害者業務課 住所:静岡県静岡市駿河区登呂3-1-35 ポリテクセンター静岡内 電話:054-280-3622 写真のキャプション 静岡県伊豆市 医療法人社団同仁会 中島病院 福西剛総務課長・運営施設課長 通所リハビリで、通所者とラジオ体操をする作業療法士の加賀利美子さん 入院患者さんに話しかける森博昭院長 【P30-31】 第112回 高齢者に聞く 生涯現役で働くとは  佐藤和夫さん(74歳)は、40歳を目前に出版社を起業し、現在まで出版業界を歩み続けてきた。若いときのさまざまな体験を本づくりに活かし、永遠の夢を読者とともに追いかけている、少年の心を忘れない佐藤さんが、生涯現役で本づくりに挑む醍醐味(だいごみ)を語る。 株式会社あさ出版 相談役会長 佐藤(さとう)和夫(かずお)さん 新聞少年が見た夢  私は北海道帯広市(おびひろし)で生まれました。父は雇われの菓子職人で職場を転々としていました。父の仕事の関係で4歳の時に釧路市(くしろし)に移り、高校を卒業するまでそこで暮らしました。  地元の高校を奨学金で卒業しましたが、地元では将来の希望がもてず、「とにかく家を出よう」と新聞奨学生として上京することにしました。急行列車を乗り継ぎ、青函(せいかん)連絡船で本州へわたり、上野へ向かいました。現在とは違って20時間以上かかる長旅でした。不案内な大都会へ出奔する私を心配した母が妹を連れて釧路駅まで見送りにきてくれました。そのときに母が流した涙を、いまでも覚えています。  上京してからは、新聞専売所に住み込みで働くことになりました。勤務先は杉並区(すぎなみく)の新聞専売所です。毎日の仕事は、午前3時に起床して朝刊を配達し、夕方には夕刊を配達、その合間を縫って、新聞代の集金や購読の勧誘まで行っていました。  新聞奨学生といいながら、新聞配達と受験勉強はなかなか両立しません。それでも、希望を持って勉強している相部屋の仲間がいたから、私も大学進学を果たせたのだと思います。友人とのよき出会いこそ、人生の宝物なのかもしれません。みんな、元気でいてくれるといいのですが。  佐藤さん創業の出版社は「日本でいちばん大切にしたい会社」という人気シリーズの出版で知られる。夢のある本づくりを目ざす凄腕編集者の原風景は、希望を胸に上京するという、歌謡曲で描かれるような世界であった。 学生演劇の世界へ寄り道  新聞奨学生の仲間の影響もあり、「大学へ行こう」と思い立って本気で受験勉強を始め、幸運なことに慶應義塾大学へ進学することができました。大学に通うためには、入学金や授業料は新聞社の奨学金を活用するしかありません。つまり、新聞配達の仕事は辞めることができない運命でした。違う新聞社の専売所に移り、入学してから1年ほど経ったころ、給付型の奨学金の存在を知りました。応募したところ、幸いなことに支給されることになり、住み込みから解放されて一人暮らしが実現しました。古いアパートでしたが、上京後にはじめて持てた自分の城でした。  奨学金のおかげでできた時間で、最初にやったことは学生劇団の立ち上げです。私は中学校時代から小説を書き始め、高校1年生のときには雑誌に掲載されたこともあります。つまり、文学青年でしたが、いつの間にか小説家になる夢は諦めていました。それでもどこかに冷めやらぬ思いがあって、演劇の世界へ足を踏み出させたのかもしれません。  佐藤さんが立ち上げた劇団は、一時は20人近い座員がいたという。素人劇団ながら稽古を重ねて公演も行った。「そのおかげで留年して、5年かかって、大学を卒業しました」と佐藤さんは少年のように笑った。 出版業という天職との出会い  大学時代にはじつにさまざまなアルバイトをしましたが、とにもかくにも卒業を決めて、実家に仕送りをしたいので、きちんと就職しようと考えはじめました。ところが、ちょうどオイルショックの時期だったので、景気は最悪で職探しに苦労しました。しかし、幸いなことに、あるビジネス書関連の出版社の雑誌編集部に採用されました。当時は、出版社の人気が高く、その年も100人以上の応募があったそうですが、編集部員の採用枠は一人で、そこに採用されたのです。最初は中小企業経営者向けの専門誌の編集を任されました。編集の経験はまったくありませんし、そのうえ経済や経営に関しては予備知識がありません。日本経済新聞も配っていましたが、読んだことはなかったのです。  入社して4年目にその専門誌の編集長に任命され、その後、ある社団法人の事務局長などを兼務しました。当初、会社はなかなかヒット作品を出せなかったのですが、その後ベストセラーが続出します。現在の「働き方改革」に逆行するようですが、当時は時間を忘れて働いたものです。  その出版社には16年間お世話になりました。同僚と職場結婚をして息子と娘を授かり、幸せを味わうこともできました。社内での地位も高くなって、充実した30代を過ごしましたが、同時に「独立して力を試したい」という気持ちが自分の中からふつふつと湧いてくるのを止められなくなりました。ちょくちょく仕事を変えていた父の影響もあったのかもしれません。思い切って会社に辞表を出し、一からスタートすることにしました。39歳の新たな旅立ちでした。 この道ひとすじに  1991(平成3)年、出版社を立ち上げました。社名は息子の名前から「蒼(あおい)出版社」としましたが、ある人から「社名がわかりにくい」といわれ、そういうことならば、わかりやすい平仮名にしようと考えました。それが「あさ出版」という社名の由来です。一日の始まりの「あさ」に加えて、「いまはどんなに暗くても、朝は必ずやってくる」という思いも社名に込めました。  たった一人で始めた出版社ですが、少しずつ仕事が増えてきたので、社員を募集することにしました。最初は女性一人、次に男性を採用して、まずは三人体制となりました。その後、社員が増えるにしたがって事務所も移転を重ね、現在に至っています。おかげさまで、総勢30人の陣容となりました。  会社を立ち上げてから35年になろうとしています。あさ出版が、少しは世間に知られるようになったのは、現在、8巻まで刊行中の『日本でいちばん大切にしたい会社』です。続巻も制作が進んでいます。著者の坂本(さかもと)光司(こうじ)さんといっしょに、2010年に「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を制定し、この賞には、ありがたいことに、厚生労働省からのご支援もいただいています。私はこの大賞を運営している「人を大切にする経営学会」の事務局長の任は終えたのですが、いまも大賞審査の仕事は続けています。  すでにあさ出版の役員を退任し、相談役となった私の勤務は、基本的に週3回の出勤です。ですが、変わらず本づくりにかかわっています。きっと仕事が好きなのでしょう。  本づくりは著者と一緒に夢を叶(かな)える仕事だと自負しています。経験が力になるので、生涯続けていける仕事です。いま、閉塞の時代といわれ、生きづらいことも多いですが、だからこそ私は「明けない夜はなく必ず朝がやってくる」という言葉に命を吹き込みたいと思います。 【P32-35】 高年齢者活躍企業コンテスト 受賞企業の軌跡 第2回 株式会社東急(とうきゅう)コミュニティー(東京都世田谷区)  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)と厚生労働省との共催で毎年開催している「高年齢者活躍企業コンテスト※」。高齢者雇用の推進に資する事例を広く募集し、優秀な事例を表彰しており、その内容は、毎年本誌で紹介しています。本連載では、かつてコンテストで厚生労働大臣表彰を受賞した企業を取材し、その後の取組みの進化・深化をレポートします。第2回は、2018(平成30)年度に優秀賞を受賞した株式会社東急コミュニティーを取材しました。 70歳超でも、いきいきと働ける職場づくりに取り組む 1 大臣表彰受賞を機に、社員の高齢者雇用への理解や意識が高まる  マンションやビルの管理を中心に大規模改修工事、リフォームなど幅広い不動産管理事業を手がける株式会社東急コミュニティー(木村(きむら)昌平(しょうへい)代表取締役社長)は、「平成30年度高年齢者雇用開発コンテスト」で厚生労働大臣表彰優秀賞を受賞した。  同社の社員は、管理運営・営業や事務をになう「事務員」、管理と建物の改修・工事を担当する「技術員」、ビル・マンションの管理を担当する「管理員」に大きく分けられ、このうち管理員の人数がもっとも多い。管理員はおもに契約社員で、他社を定年退職後に入社した者も多く、年齢が高いことも特徴だ。  同社の定年は60歳だが、現場の人材確保、高い技術や能力の保持を目的に、2017(平成29)年に技術員、2018年に事務員について、60歳到達時に、@65歳まで定年延長(一定条件あり)、A契約社員として再雇用、B退職のいずれかを選択できる制度を導入した。また、契約社員の年齢上限を、一定条件のもと、事務員70歳、技術員72歳、管理員75歳まで延長。さらに、高齢者の採用時に研修をていねいに行い、特に管理員の研修、フォローアップ体制の充実に努めているなどの取組みが高い評価を得たことが大臣表彰優秀賞の受賞につながった。  「受賞当時、当社の役員が表彰式に参加した様子と受賞内容をニュースリリースなどで社内外に周知しました。当社が高齢者雇用に力を入れていることと、その取組みが公に評価されたことが社内に広まったことで、社員の高齢者雇用への理解や意識が高まり、多様な人材活用を積極的に考えるよいきっかけとなったと感じます。また、社員のモチベーション向上につながり、長期的なキャリア形成についても意識するようになったと思います」と、同社経営管理統括部グループ人材戦略部人材戦略課の臺(だい)希巳枝(きみえ)主幹は、受賞当時をふり返る。受賞をきっかけに、「高齢者もいきいきと働ける会社」として対外的な評価も高まり、採用活動において年齢やキャリアに関係なく幅広い層からの応募があるなど、多様な人材活用が広く認知されるようになったとも感じていると臺主幹は話してくれた。  受賞から7年、同社の高齢者雇用のその後の軌跡を追った。 2 70歳以上の管理員が大幅に増加長く働ける職場づくりを進める  同社は1970(昭和45)年、東急不動産ホールディングスグループをはじめとした分譲マンションの管理を行う会社として設立された。その後、事業を拡大して東急不動産ホールディングスグループ以外のマンション・ビル管理も行うようになり、全国にその領域を広げた。同時に、建物改修工事も手がけるなど事業領域も拡大。現在では、マンション管理、ビル管理、公共施設管理、リフォーム事業などで実績を積み重ねており、総合不動産管理会社に成長している。2025(令和7)年の管理規模は、マンション管理約81万5000戸、ビル管理約1600件(東急コミュニティーグループ合計〈2025年3月31日時点〉)、公営住宅管理約25万7000戸(東急コミュニティー単体〈2025年4月1日時点〉)、となっている。  東急コミュニティー単体の社員数は1万1881人(うち正社員4448人)で、60歳以上は6682人(うち正社員118人〈2025年10月31日時点〉)。  60歳以上の社員数を7年前の受賞時と比べると、60〜64歳は1290人(受賞時は1506人)、65〜69歳は2718人(同3020人)、70歳以上は2792人(同705人)で、70歳以上の社員数が大きく増えていることがわかる。このことは、管理員を希望して同社に応募する人の年齢が、かつては60代半ばが中心であったが、ここ数年は、他社を定年後に65歳の再雇用まで勤務して退職した人たちなど、60代後半や70歳超の人が増えて、管理員の年齢が以前より高くなったことによるという。「管理員を希望される方には、他社を再雇用で65歳まで勤め、これからも社会とつながっていたい、健康のためにも働きたいという方が多くいらっしゃいます」と臺主幹は指摘する。  同社の高齢者雇用制度は、2018年の受賞時と大きく変わっていない。しかし、2026年に人事制度の大きな改定を予定しており、2030年には定年を60歳から65歳に引き上げることについて検討をしているという。  現制度の「定年延長」は、技術員および事務員の正社員を対象とした制度で、60歳の定年に達した社員で一定の要件を満たす者に65歳までの定年延長を認めるという内容だ。このほかに、契約社員として再雇用を選ぶことができる。毎年、定年に到達する社員の約95%は定年延長または再雇用をしており、内訳は約55%が契約社員としての再雇用、約40%が正社員のまま定年延長をしている。再雇用者のなかには、営業や事務を担当していた正社員から、希望して管理員になる人もいるという。  契約社員の雇用上限年齢は7年前から、事務員70歳、技術員72歳、管理員75歳としているが、管理員についてのみ2025年4月に75歳から76歳に引き上げた。さらに、76歳まで勤務した管理員は、その後アルバイトとして77歳までの勤務を可能とした。この見直しは、人材確保のためと、現場で働く管理員から長く働きたいという声を受けてのことだった。加えて、現在働いている管理員が知識や経験を活かしてより長く働ける職場環境を整えることに、以前にも増して重点を置くようになったという背景がある。  さらに、管理員を含む契約社員は、以前からフルタイム勤務のほか、週3日勤務、1日5時間勤務など柔軟な働き方を選ぶことが可能である。正社員とは異なるが評価制度もあり、一定の評価以上の者には、勤続年数により昇給する仕組みがあり、健康で長く働くことを奨励している。また、年齢にかかわらず、資格取得支援と資格取得者に対する報奨金があり、モチベーションの向上につなげている。  ちなみに、現在の最高齢社員は76歳で、管理員として活躍しているという。 3 1年間で688人のシニアを採用充実した研修とフォローを行う  同社では、60歳以上の契約社員を積極的に採用しており、2024年度は688人を採用した。内訳は、管理員579人、事務員68人、建築技術員2人、設備技術員39人。  高齢社員を対象とした研修制度は、7年前から充実させており、現在も入社時、基礎知識の習得を目的とした導入研修を継続して実施している。現在は、社員の年次や階級・役職に合わせて段階的にスキルアップを目ざす企業内大学「東急コミュニティービジネスカレッジ」があるので、カレッジの枠組みのなかで、マンション管理業の研修として管理員のための5日間の研修を実施している。これは入社後、研修センターでマンション管理員としての基礎を習得するもので、未経験者でも安心して勤務できるように経験豊富なスタッフや有資格者らが講師となり、ていねいに指導する。内容は、接遇マナー、マンション管理の基礎知識や窓口対応業務、清掃の実習、建物点検や設備などについて学ぶということだ。  また、初めての仕事に就くときは、管理員の基本業務に関する指導や教育、人材育成を担当するインストラクターがつき添い、その後は月1回程度インストラクターが訪問し、業務上の疑問や悩みに対してアドバイスやサポートを行ってフォローしている。  入社半年後の管理員には、フォローアップ研修を行い、より高度な知識習得のため、清掃・植栽管理の研修や「認知症サポーター講習」などを実施している。入社2年目以降は1年ごとに、さらなるスキルアップおよびクレーム対応力の強化を目的として、事例をもとにディスカッション形式の研修を実施。仕事のやりがいなどを見つめ直すきっかけにもなる内容だという。さらに、安全教育も随時実施。このように充実した研修を行うことで、長く継続して働く管理員が育っている。  70歳前後に入社する人も多い管理員研修では、受講した社員の手元に残る資料を作成して手渡し、学んだ内容をいつでも何度でも見返すことができるようにしている。また、管理員は基本的に現場では1人で勤務するが、同時期に入社した者同士で一緒に研修を受けてもらい、仲間がいることを感じてもらうようにしている。長く勤めている管理員は、「居住者さまからいただいた感謝の手紙や絵を大切に保管している方や、お住まいのお子さまたちの成長を見守るのが楽しみだとおっしゃる方がいらっしゃいます。また、業務で身体を動かすことにより、健康になったという報告や、洋服がサイズダウンしたと喜んでいる方もいらっしゃいます。みなさんそれぞれに、ご自身が楽しく働けるポイントを見つけて勤務されています」(臺主幹)という。  正社員向けの研修では2024年、東急コミュニティービジネスカレッジで、ミドル世代に向けて、「ライフキャリア形成セミナー」を始めた。以前から取り組んでいたセミナーの仕事に関する内容を充実させたもので、50代社員のキャリアの再考と新たなビジョンを考える機会の提供を目的としている。「過去の棚卸し」、「自己認識を深める」、「理想の60代を迎えるにあたって」などの内容で、受講者から「自分をふり返り、将来を考える機会となってありがたい」といった声が聞かれ、好評を得ている。 4 業界初の健康管理システムを導入 転倒リスクなどの軽減を目ざす  入社する人の年齢が上がり、長く勤めることを望む管理員が増えるなか、現在の管理員がより長く安全に活躍できる職場づくりに重点を置くようになった。そのためには、社員が自分自身の健康や体力に留意することも大切と考え、2025年2月、マンション管理業界では初となる健康管理システムを導入した。健康促進と業務中の転倒リスクなどを軽減し、安全に向けた注意喚起にも活用することで、マンション管理員がこれまで以上に働きやすい職場環境を整備することをねらいとしている。  導入したのは、身体機能の状態を把握する測定アプリで、タブレットのカメラ機能を活用して「足腰筋力・バランス力・柔軟性」など複数項目の測定ができる。測定結果は保存することができ、部署ごとの特徴や一人ひとりの経年変化を確認し、結果に応じた個別サポートを今後行っていくことが可能だ。  2025年9月末時点で、測定実施数2140人(実施率37%)。うち、ハイリスク率は5%。導入したばかりで目に見える効果はまだないものの、管理員の労働災害は減少傾向にあるそうだ。 5 多様な人材が長く活躍できる職場へ人事制度の改定に着手  「当社は、マンションや施設管理など多様な事業にたずさわるなかで、さまざまな人材が活躍できる環境づくりが企業成長やサービス品質の向上に不可欠であると認識しています。また、社会的なダイバーシティ推進への要請や、働き手の価値観の多様化、少子高齢化による人手不足への対応も背景となり、すべての従業員が安心して働ける職場づくりを強化する必要性を感じています」と臺主幹。  このような認識のもと、2025年に企業理念、コーポレートスローガンを刷新し、「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける職場づくりに取り組み、すべての従業員が心身ともに健康で満たされた状態をめざします」とする人材マネジメント方針を策定した。  臺主幹は、「この方針をもとに、2026年5月を目途に人事制度の改定を予定しています。だれもが長く安心して働ける環境をつくりたいという思いが根本にあり、短時間や週2、3回なら働けると望む声もありますから、働き方の選択肢をこれまで以上に増やすなど、いろいろな意見を聞きながら検討を進めているところです。年齢、性別に関係なく、多様な社員がいきいきと働ける職場の実現に向けて、そうしたことを支える制度になるように尽力します」と力を込めて語った。どのような制度になるのか、これからもその動きに注目していきたい企業である。 ※ 2020(令和2)年度までの名称は「高年齢者雇用開発コンテスト」 写真のキャプション 経営管理統括部グループ人材戦略部人材戦略課の臺希巳枝主幹 株式会社東急コミュニティーの本社(写真提供:株式会社東急コミュニティー) 管理員のために実施している研修の一コマ(写真提供:株式会社東急コミュニティ 【P36-39】 知っておきたい労働法Q&A  人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。 第91回 死亡時退職金の支給対象者、求人票と異なる条件での内定通知 弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲/弁護士 木勝瑛 Q1 従業員が定年を迎える直前に亡くなってしまった場合、退職金はだれが受け取るのでしょうか  定年を迎える直前に亡くなられてしまった従業員がいます。当社には、死亡時の退職金支給制度のほか、確定拠出年金(DC)、確定給付企業年金(DB)などの制度があり、これらから支給される予定があります。相続人を調査して支給する必要があると考えているのですが、どうすればよいでしょうか。 A  死亡時の退職金は、必ずしも相続人が取得する遺産になるとはかぎりません。会社の退職金規程など、各種規程の内容に即して、支給対象者を特定する必要があります。 1 死亡時退職金は遺産であるか  労働者に退職金が支給される予定があれば、潜在的には当該労働者が権利を有しており、死亡により相続が生じた場合には、その権利は相続人に移転すると考えるかもしれません。  しかしながら、死亡時退職金については、会社が定める規程の内容次第で、その性質が異なる場合があり、相続人に支給すべき相続財産ではないと判断される場合があります。他方で、生前に労働していた期間に対応する賃金については、相続人に支給すべき相続財産であるため、死亡時退職金と賃金は、それぞれ異なる人へ支払わなければならない場合もあります。 2 死亡時退職金に関して判断した判例  最高裁昭和55年11月27日判決(日本貿易振興会事件)において、会社に国家公務員退職手当法第2条の2と同様の定めが設けられていた事案について、死亡時退職金の受給権者に関する判断を行いました。  国家公務員退職手当法第2条の2は、以下のように定めています。 (遺族の範囲及び順位) 第二条の二 この法律において、「遺族」とは、次に掲げる者をいう。 一 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。) 二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの 三 前号に掲げる者のほか、職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族 四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの  この規定では、死亡時の退職金を受給する遺族の範囲について、@事実婚にあるもの(内縁者)を含めていること、A第3号が相続人であるとはかぎらない親族までも含めていること、B孫よりも父母が優先されていること、C生計を維持していない相続人の候補者(子、父母、祖父母、兄弟姉妹等)は、生計を維持されている親族よりも後順位とされていることなどが、相続により遺産を受領する場合とは異なっています。  なお、労働基準法施行規則第42条および第43条(遺族補償の受給者)や労働者災害補償保険法第16条の2(遺族補償一時金の受給者)などにも、類似の規定があり、これらのうちいずれかを、死亡退職金の受給者として、引用または同一の内容を退職金規程に定めている例も少なくありません。  最高裁は、「死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であつて、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となり、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われ、父母や養父母については養方が実方に優先すること、死亡した者の収入によつて生計を維持していたか否かにより順位に差異を生ずることなど、受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なつた定め方がされている」ことを指摘し、「専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当であり、そうすると、右死亡退職金の受給権は相続財産に属さず、受給権者である遺族が存在しない場合に相続財産として他の相続人による相続の対象となるものではないというべき」として、相続人が受給する相続財産ではないと判断しています。  この判例は、国家公務員退職手当法第2条の2と同様の規定を設けている場合にかぎらず、労働基準法施行規則第42条および第43条や労働者災害補償保険法第16条の2を引用している場合にも踏襲されており、相続人とは異なるような受給権者を定めている場合には、死亡時退職金は当該支給規定の順位通りに支給しなければなりません。  そのため、相続人から請求されたときには、まず自社の退職金規程を確認しなければならず、民法が定める相続と異なる順位などが定められている場合には、支払ってはいけません。 3 確定拠出年金や確定給付年金の取り扱い  確定拠出年金や確定給付年金を用意している企業も増えてきていますが、受給予定であった労働者が死亡した場合はどうなるのでしょうか。  確定拠出年金法第41条や確定給付企業年金法第48条においても、これまで引用した各法令と同趣旨の規定が設けられています。  最高裁の判例は死亡退職金に関するものですが、規定の内容からその趣旨が相続制度とは異なり、収入に依拠していた遺族の生活保障を目的としていることから、相続財産ではなく、遺族固有の権利であるという整理を行っていることからすると、確定拠出年金や確定給付企業年金についても、死亡退職金と同様の判断になると考えられます。  なお、遺族固有の権利であると判断される根拠とされている国家公務員退職手当法、労働基準法施行規則、労働者災害補償保険法、確定拠出年金法および確定給付企業年金法の規定は、まったく同一の内容というわけではなく、生計を維持していた親族を含んでいるか否か、養父母に関する順位を明記しているか否かといった相違点があるため、個別の判断においては、自社の退職金規程がどのような内容を定めているか、またはどの法令を引用しているかによって、支給対象者が異なることには、留意する必要があります。 Q2 求人票と異なる内容での採用に問題はありますか  先日、ハローワークに「雇用期間の定めなし(無期雇用)・試用期間2カ月」の条件で求人を出したところ、応募があったので採用面接をしました。内定は出そうと思うのですが、当社の正社員としての水準には達していないため有期雇用の条件で採用したいと思っています。求人票と異なる条件での採用となりますが、なにか問題はあるでしょうか。 A  求人票と異なる条件での内定である旨の説明を行わずに内定を出せば、求人票に記載の条件で雇用契約が成立したと判断される可能性があります。そのため、その後に求人票と異なる条件の雇用契約書を締結しても、当該契約書が労働者の自由な意思に基づいて作成されたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在しないかぎり、当該契約書による条件変更は認められない可能性があります。 1 はじめに  職業安定法第5条の4は、虚偽の労働条件の提示による労働者の募集を禁止しています。  また、求人票と異なる条件で雇用契約書を締結したとしても、求人票に記載の内容で採用したものと評価される可能性があります。この問題を検討するにあたっては、採用内定の法的性質から考える必要があります。 2 採用内定の法的性質  最高裁昭和54年7月20日判決(大日本印刷事件)は、採用内定の法的性質について、次の要旨の通り判示しています。  @採用内定の法的性質の判断については、内定の実態は多様であることから具体的事実関係に即してその法的性質を判断しなければならない。  A本件では、採用内定通知のほかには、労働契約締結のために特段の意思表示が想定されていなかったことからすれば、会社からの募集(申込みの誘因)に対し、求職者(学生)の応募は労働契約の申込みであり、これに対する会社からの採用内定通知は申込みに対する承諾であって、これによって両当事者間に始期付き・解約権留保付きの労働契約が成立している。  本判例は、契約が意思表示の合致、すなわち、契約の申込みの意思表示と承諾の意思表示の合致により成立する(民法第522条1項)との理解を前提に、求職者からの応募を労働契約の申込み、会社からの採用内定通知を承諾と評価することにより、採用内定通知により意思表示が合致して労働契約(始期付き・解約権留保付き)が成立したと認定しているのです。 3 合意による労働条件の変更について  前述の大日本印刷事件のように、採用内定通知の時点で労働契約の成立が認められれば、その後に求人票と異なる条件を記載した雇用契約書を取り交わしたとしても、それは労働条件の変更に過ぎないため、その有効性が問題となります。  労働契約法第8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定しています。  この点、最高裁平成28年2月19日判決(山梨県民信用組合事件)によれば、労働条件のうち重要な事項に関するものについては、労働者の同意の有無の判断は慎重になされるべきであり、諸般の事情に照らして、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から判断すべきものとされています。  合意による労働条件の変更は、このような厳しい判断基準によって、有効性が判断されることになります。 4 マンダイディライト事件  参考となる裁判例として大津地裁令和6年12月20日判決(マンダイディライト事件)があるので、見てみましょう。 (1) 事案の概要  本件は、2023(令和5)年6月20日に内定通知を受けて内定を受諾した後、翌日に求人票記載の条件(無期雇用・試用期間2カ月)と異なる条件(2カ月の有期雇用)が記載された雇用契約書を取り交わし勤務を開始したものの、2カ月の期間満了時に本採用を拒否されたため、原告が、被告に対し、無期雇用契約の成立を前提に、雇用契約上の地位の確認などを求めた事案です。 (2) 労働契約の成立について  裁判所は、まず、「本件内定通知時点において、被告により原告との労働契約締結に何らかの留保が付されていたことはうかがわれないことからすると、…本件内定通知は、原告の求人応募という労働契約の申込みに対する被告による承諾の意思表示とみることができ、本件内定通知により、原告と被告との間には、…始期付き労働契約…が成立したと解する」と判示して、求人応募を労働契約の申込み、内定通知を承諾と評価することで、内定通知時点での労働契約の成立を肯定しました。 (3) 成立した契約における契約内容  「原告は、本件求人票記載の内容で労働契約の締結を申し込んだものと認められるところ、…被告は、原告に対し、本件契約書作成時まで、雇用期間について説明することはなかったのであるから、被告は本件求人票記載の内容による原告の労働契約締結の申込みにつき、雇用契約に関して何らの言及なくこれを承諾したものといえ、本件始期付き契約は、求人票記載の雇用期間をその内容として成立したものと認めるのが相当である」とし、「本件始期付き契約…は、本件求人票のとおり…試用期間を2ヶ月とし、雇用期間は定めがないものとして成立したものといえる」と判示し、内定通知時点で成立した雇用契約における契約内容は求人票通りであるとしました。 (4) 労働条件の変更の有効性  そのうえで、「本件契約書の作成は、本件始期付き契約による原告と被告との労働契約の変更合意に当たると解し得る」と評価し、「原告に対し、そもそも2ヶ月の試行的有期雇用の先行につき、具体的な説明をせずに本件契約書を取り急ぎ作成させたか、2ヶ月の雇用期間については試用期間のような趣旨である旨の適切とはいえない説明をしたため、原告において有期雇用に切り替えることについて適切な検討をさせないまま本件契約書の作成に応じさせた可能性が相当程度存在する」として、「本件契約書の作成は、労働者の自由な意思に基づいて作成されたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するものとは認めがたく、これにより本件始期付き契約における雇用期間の内容が有効に変更されたものとはいえない」と判示し、結論として、期間の定めのない契約の継続を肯定し、原告の請求を認めました。 【P40-41】 諸外国の高齢化と高齢者雇用 第3回 イギリス 独立行政法人労働政策研究・研修機構 人材開発部門 副統括研究員 藤本(ふじもと)真(まこと)  世界でもっとも高齢化が進行している国が日本であることは、読者のみなさんもご存じだと思いますが、高齢化は世界各国でも進行しており、その国の法制度に基づき、高齢者雇用や年金制度が整備されています。本連載では、全6回に分けて、各国における高齢者雇用事情を紹介します。第3回は「イギリス」です。 定年制を年齢差別として禁止するも残る例外的取扱い  イギリスは同じヨーロッパのドイツやフランスとは異なり、現在は、定年制が年齢差別として禁止されています。  ただし、イギリスではアメリカと異なり、2000年代に入るまで、定年制は国家による介入が最小限に抑えられた「自由放任」の対象とされてきました。雇用主は、契約自由の原則に基づき、従業員との合意により定年年齢を自由に設定することができました。多くの企業は、ドイツやフランスにおける定年制の設定と同様に、公的年金の受給開始年齢(男性65歳、女性60歳)に合わせて定年を設定しており、この年齢に達したことを理由とする解雇は、正当なものとして扱われていました。年齢差別に対する法的保護はきわめて限定的で、高齢を理由とする採用拒否や昇進差別も違法とはされていませんでした。  しかしながらイギリスにおける以上の状況は、2000(平成12)年にEUで採択された「雇用および職業における均等待遇の枠組みに関する指令」によって大きく変わりました。この指令は加盟国に対し、年齢、障害、宗教、性的指向に基づく差別を禁止する国内法の整備を義務づけていたため、EUに加盟していたイギリス政府(労働党政権)も、2006年雇用平等(年齢)規則(The Employment Equality(Age) Regulations 2006)を施行し、年齢差別を原則として禁止しました。  2006年の年齢差別の禁止の際には産業界からの強い要請があり、雇用平等(年齢)規則の施行とともに、「デフォルト定年年齢(Default Retirement Age: DRA)」という仕組みが導入されました。このDRAにより、雇用主は65歳以上の従業員に対しては個別の能力評価や正当な解雇事由を示すことなく、定年による退職を強制することが認められましたが、従業員を退職させる場合には、退職予定日の6カ月から1年前の間に書面で通知し、従業員に対して勤務継続を申請する権利を与える義務が課されました。  その後、2010年に発足した保守党・自由民主党連立政権は、DRAの廃止に向けた政策転換を決断します。2011年4月6日より新たな定年通知の発出が禁止され、同年10月1日に2011年雇用平等(退職年齢規定廃止)規則(The Employment Equality (Repeal of Retirement Age Provisions) Regulations 2011)が施行され、DRAは廃止されました。  もっとも、DRAの廃止により、イギリス国内において定年制が消滅したわけではありません。2010年平等法は、「正当化される定年年齢(Employer Justified Retirement Age:EJRA)」を、雇用主が維持することを例外的に認めています。EJRAが認められるためには、当該EJRAが「正当な目的(Legitimate Aim)を達成するための、均衡を得た手段(Proportionate Means)である」ことを雇用主が証明しなければなりません。ここでいう「正当な目的」には、単なるコスト削減や企業の競争力強化といった個別の経営上の都合は該当せず、社会政策的な公共利益に合致する目的、例えば、労働市場への新規参入者のためにポストを空けること、若手従業員の昇進機会を確保することなどにかぎられます。一方、航空パイロットや消防士、警察官など、加齢による身体能力の低下が公共の安全に直接的なリスクをもたらす職種については、EJRAの設定が比較的広く認められています。 高齢者の就業促進政策における移行と就業の現状・課題  イギリス政府は、日本やほかの国々と同様、高齢化にともなう労働力不足と社会保障費の増大に対応するため、高齢者の就労促進を政策目標に掲げています。その実現に向けて行われてきたのが強制的な定年の廃止と、公的年金制度である「国家年金」の受給開始年齢(State Pension Age:SPA)の引上げです。20世紀半ば以降、イギリスのSPAは男性65歳、女性60歳で固定されていましたが、1990年代以降、EU法に基づく男女平等の要請もあって、一連の年金法(Pensions Acts)を通じて段階的な引上げが行われています。2025(令和7)年末時点での受給開始年齢は男女とも66歳ですが、2026年4月から段階的に引上げが始まり、2028年4月までにすべての人の受給開始年齢が67歳になります。  イギリスにおける高齢者の就労促進策は、長く働くことを一律に奨励・促進する段階から、個々の就業者の事情に応じて、「質の高い仕事(Good Work)」への就業をいかに保障するかという段階に移っています。イギリス政府は2022年から「50 Plus:Choices」という政策パッケージを本格的に展開し、個人の健康、スキル、財務状況に応じた多様な選択肢の提供を図っています。多様な選択肢の提供に向け、政府が主導しているのが、「Mid-life MOT」という40代から50代の労働者が、Work・Health・Moneyの3分野について現状と今後の見通しを診断するためのプログラムです。このプログラムは、労働者の将来に向けての計画策定を支援するものとして位置づけられています。  以上のような政策の効果もあり、イギリスにおける50〜64歳の雇用率は、2000年(1〜3月期)の60.4%から、2025年(1〜3月期)には71.4%にまで上昇しています。また65歳以上の雇用者も同期間に46.7万人から159.2万人へと3倍以上に増加しており、65歳を超えて働くことが例外ではなくなりつつあります※。ただ一方で、定年制がなくなったために、高齢従業員の退職にあたって能力やパフォーマンスに基づく管理をより慎重に行わなければならなくなった雇用主の負担増加や、デジタルスキル欠如の顕在化、個人の健康状態や居住地域による就労格差など、高齢者就業にかかわる新たな問題も浮上しています。 【参考】 ※ 雇用率、雇用者数ともにイギリス国家統計局(Office forNational Statistics)所収のデータセット"Employment,unemployment and economic inactivity by age group(seasonally adjusted)"より。 【P42-43】 いまさら聞けない人事用語辞典 株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 第64回 「インターンシップ」  人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。  今回は、「インターンシップ」について取り上げます。 インターンシップに関する重要な見直し  インターンシップとは、本稿執筆現在のインターンシップの考え方を示す『インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方』(文部科学省、厚生労働省および経済産業省)という資料によると、「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」と定義されています。学生のキャリア形成に主眼を置いた内容になっていますが、本資料では、企業等が実施する意義として、「実践的な人材の育成」、「大学等の教育への産業界等のニーズの反映」、「企業等に対する理解の促進、魅力発信」、「採用選考時に参照し得る学生の評価材料の取得」が掲げられています※1。後半の二つの意義には、インターンシップで企業が得た学生情報の採用広報活動(参加者への会社説明会の案内送付等)と採用選考活動(参加者への採用プロセスの一部免除等)への活用についても含まれていますが、生産年齢人口の減少による近年の人材確保の難化を背景に、この情報活用への期待がインターンシップを実施する多くの企業にあることは想像に難くありません。  学生情報の活用が可能とされたのは、じつは最近のことです。先述の資料が2022(令和4)年6月13日に改正され、2025年3月に卒業・修了する学生※2が2023年度に参加するインターンシップから適用されるようになりました。従来、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の間に「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」(三省合意)がありましたが、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)と国公私立大学のトップで構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」における意見交換をふまえた2022年4月の報告をもとに見直しをした結果、学生情報の広報活動・採用選考活動への活用が可能と6月13日の改正で初めて明文化されることになりました。 基準を満たしていないとインターンシップに該当しない  立場が異なる産学合意のもとで学生情報の活用が可能とされた意義は大きいといわれていますが、インターンシップに該当するのは一定の基準を満たした場合であることに注意が必要です。先の産学協議会の整理で、学生のキャリア形成にかかる産学協同の取組みを「タイプ1:オープン・カンパニー」、「タイプ2:キャリア教育」、「タイプ3: 汎はん用よう的能力・専門活用型インターンシップ」、「タイプ4(試行):高度専門型インターンシップ」に分けていますが、インターンシップに該当するのはタイプ3・4であり、タイプ1・2はインターンシップとは分類されずに学生情報活用は不可となります。インターンシップに該当するには就業体験要件・指導要件・実施期間要件・実施時期要件・情報開示要件を必ず満たす必要があります。図表に要件を載せていますが、一部抜粋のため、出典を確認してみてください。 インターンシップ実施における留意点  最後に、インターンシップにおけるおもな留意点について述べたいと思います。  一つめは、学生情報は広報活動・採用活動の開始時期以降にかぎりそれぞれ利用可能となる点です。内閣官房が公表している「2026(令和8)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」では、広報活動は卒業・修了年度に入る直前(一般的には3学年次)の3月1日以降、採用選考活動開始は卒業・修了年度(4学年次)の6月1日以降を原則としています。  二つめは、ハラスメントへの対応です。特にインターンシップ中にセクシュアル・ハラスメントを受けた者の割合は30.1%※3という調査結果があります。このようなことがあると学生にも企業にも深刻なダメージを与えるため、相談窓口をつくる、学生と従業員の個人的な連絡先の交換をさせない、面談の実施場所等に配慮するなど、企業側が対応を徹底することが必要です。  三つめは、労働者とみなされるかどうか(労働者性の判断)がある点です。タイプ3については企業と学生の間に雇用関係はないため、労働関連法令の適用外が原則です。しかし、就業体験や見学的要素が少ない、使用者からの指揮命令が強い、利益を生む生産活動に直接学生が従事しているなどのケースにおいては、企業と学生の間に労働契約があると判断され、労働関連法令の適用対象となる可能性があります。 * * *  次回は「ILO(国際労働機関)」について取り上げます。 ※1 本資料では、大学等および学生にとっての意義として「キャリア教育・専門教育としての意義」、「教育内容・方法の改善・充実」、「高い職業意識の育成」、「自主性・独創性のある人材の育成」があげられている ※2 学部生の場合は、2023年度に学部3年生に進学する学生 ※3 「職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」令和5年度、厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課 図表 産学協働による学生のキャリア形成支援活動〈4類型とその主な特徴〉※出典より一部抜粋 タイプ1:オープン・カンパニー タイプ2:キャリア教育 タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ タイプ4(試行):高度専門型インターンシップ 主な特徴 @目的 個社や業界に関する情報提供・PR 働くことへの理解を深めるための教育 就業体験を通じて、学生にとっては自らの能力の見極め、企業にとっては学生の評価材料の取得 就業体験を通じて、学生にとっては実践力の向上、企業にとっては学生の評価材料の取得 B就業体験 なし 任意 必須 ★(a)就業体験要件 学生の参加期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てる ★(b)指導要件 就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う 必須 C参加期間(所要日数) 超短期(単日) 授業・プログラムによって異なる ★(c)実施期間要件 (@)汎用的能力活用型は短期(5日間以上) (A)専門活用型は長期(2週間以上) ●ジョブ型研究インターンシップ:長期(2カ月以上) ●高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ:2週間以上 D実施時期 時間帯やオンラインの活用等、学業両立に配慮し、学士・修士・博士課程の全期間 (年次不問) 学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)。但し、企業主催の場合は、時間帯やオンラインの活用等、学業両立に配慮 ★(d)実施時期要件 学業との両立の観点から、「学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み) − E取得した学生情報の採用活動への活用 不可 不可 採用活動開始以降に限り、可 ★(e)情報開示要件:募集要項等に必要な情報(9項目。詳細は2021年度 報告書ご参照)を記載し、ホームページ等で公表 採用活動開始以降に限り、可 出典:採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2024年度報告書 【P44-47】 特別寄稿 「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査」結果概要 公益財団法人産業雇用安定センター  高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業確保措置が事業主の努力義務となるなか、いわゆる「ミドルシニア」世代におけるセカンドキャリア選択は、本人のみならず企業がシニア人材の活躍のあり方を考えるうえでも、重要になると考えます。  そこで、公益財団法人産業雇用安定センター(愛称:「ジョブ産雇(さんこ)」)では、従業員300人以上の企業に勤務する、45歳以上60歳未満の社員計900人を対象に、セカンドキャリアに関する意識調査を行いました。  本稿ではその調査結果を紹介し、ミドルシニア世代が60歳以降のあり方を見すえたセカンドキャリアの選択について考え、また、シニア人材の経験・能力の活用を考える企業が人材の確保と活用戦略を検討するにあたっての参考になればと考えます。 【本調査の対象者】 「60歳定年−65歳までの継続雇用制度」を有する従業員数300人以上の企業に15年以上勤務する45歳から60歳未満の計900人(45歳から5歳区分ごとの対象者は各300人となるように収集) 1 今後の働き方に対するイメージ  ミドルシニア世代の今後の働き方に対するイメージは、「まだ決めていない」(31.3%)がもっとも多い(45ページ図表1上図)。  それを除いた回答全体を100とすると、「定年前・定年時・雇用延長後に転職(独立)希望」(計32.9%)、「雇用延長後に退職希望」(34.5%)、「定年時に退職希望」(32.7%)がほぼ同率で、働き方の選択が三極化しています。年齢層別にみると、50代後半層では、「定年をもって働くのをやめたい」(22.9%)と考える層が他の年齢層に比べて少なく、「定年前」、「定年時」、「雇用延長後」のいずれかのタイミングで転職を希望する者が多いこと(39.3%)が特徴として表れています(45ページ図表1下図)。 2 定年前、または定年を機に転職を希望する者の転職動機  1で「定年前に転職(独立)したい」、または「定年を契機に転職(独立)したい」と回答した者の動機を年齢層別にみると、40代後半層は「スキル等を生かして活躍したい」(42.9%)、50代前半層では「新しい仕事に挑戦したい」(45.2%)がそれぞれ4割超で最多となる一方、50代後半層では、「新しい仕事に挑戦したい」(26.4%)と、「定年等によって処遇が大きく下がるから」(24.5%)がほぼ拮抗しました(45ページ図表2)。  全体としてセカンドキャリアを新しいキャリアの挑戦ととらえる者が多い一方で、処遇低下への不安などが転職希望に影響している様子もうかがえます。 3 定年後は同じ会社で雇用延長したいとする者の希望理由  1で「定年後に同じ会社(グループ)で雇用延長する」を選んだ者にその理由をたずねたところ、全ての年齢層で「自らのスキル・経験を生かせるから」がもっとも多いが、50代後半層では「転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから」(17.9%)など転職への不安を理由とする者(計46.4%)がほかの年齢層に比べて高かった(図表3)。 4 「今の会社で働くのをやめたい」とする層は中小企業等への挑戦をどう考えているか  1で「定年時に退職希望」、「雇用延長後に退職希望」、「まだ決めていない」と答えた者に中小企業、NPOへの挑戦の意向をたずねたところ、「今の会社で働くのをやめたい」(50.6%)が半数を占める一方、「自分の知識・経験が必要とされれば挑戦してもよい」(19.5%)、「自分に合った職場があれば挑戦してもよい」(18.4%)と中小企業等への挑戦に前向きな回答も4割近くあった(図表4上図)。中小企業への挑戦に前向きな回答は、企業規模が大きいほど多かった(図表4下図)。 5 転職(独立)に役立つと考える会社の支援  1で定年前・定年時・雇用延長後に転職(独立)を希望する者、および4で中小企業等に挑戦してもよいと回答した者に、転職(独立)に役立つと考える会社の支援をたずねたところ、「ライフセミナーの実施」(27.1%)、「出向を利用した転職支援などの制度」(25.4%)のほか、スキルアップ支援や、転職事例の提供、兼業・副業制度など幅広い項目に回答が分散した(図表5)。 公式キャラクター サイジョブさん ◆公益財団法人産業雇用安定センターホームページ https://www.sangyokoyo.or.jp/ 図表1 今後の働き方に対するイメージ 「まだ決めていない」が最多 他社への転職、定年時の退職、雇用延長後の退職を希望する者がほぼ同率 全体:n=900 単位(%) 全体 定年前に、転職または独立したい 5.3% 定年を契機に、転職または独立したい 9.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 7.3% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 23.7% 定年をもって働くのをやめたい 22.4% まだ決めていない 31.3% 単位(%) 全体(n=618)(まだ決めていない層を除く) 定年前に、転職または独立したい 7.8% 定年を契機に、転職または独立したい 14.4% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 10.7% 合計32.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 34.5% 定年をもって働くのをやめたい 32.7%※ほぼ同率 45〜49歳(n=201) 定年前に、転職または独立したい 9.5% 定年を契機に、転職または独立したい 11.4% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 9.0% 合計22.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 37.3% 定年をもって働くのをやめたい 32.8% 50〜54歳(n=203) 定年前に、転職または独立したい 6.9% 定年を契機に、転職または独立したい 13.8% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 8.4% 合計29.1% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 28.1% 定年をもって働くのをやめたい 42.9% 55〜59歳(n=214) 定年前に、転職または独立したい 7.0% 定年を契機に、転職または独立したい 17.8% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 14.5% 合計39.3%※他年齢層より高い割合 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 37.9% 定年をもって働くのをやめたい 29.9% 図表2 定年前・定年時に転職を希望する理由 「スキル・経験を生かして活躍したい」、「新しい仕事に取り組みたい」が多いが、50代後半層では「役職定年や定年で処遇が大きく下がる」が多くなる 単位(%) 全体(n=137) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 26.3% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 33.6% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 11.7% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 7.3% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 19.0% その他 2.2% 45〜49歳(n=42) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 42.9% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 31.0% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 9.5% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 2.4% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 14.3% 50〜54歳(n=42) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 16.7% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 45.2% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 16.7% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 4.8% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 16.7% 55〜59歳(n=53) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 20.8% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 26.4% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 9.4% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 13.2% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 24.5% その他 5.7% ※新しい仕事への挑戦意欲と処遇低下への不安が拮抗 図表3 定年後は同じ会社で雇用延長したいとする者の希望理由 「スキル・経験を生かせるから」が多いが、50代後半層では転職活動の不安を理由とする者が多い 単位(%) 全体(n=279) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 40.9% 働きやすい職場だから 19.0% 新しい職場に馴染めるか不安だから 12.5% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 6.1% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 10.8% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 10.4% その他 0.4% 45〜49歳(n=93) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 37.6% 働きやすい職場だから 25.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 18.3% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 5.4% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 6.5% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 6.5% 合計36.7% 50〜54歳(n=74) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 55.4% 働きやすい職場だから 10.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 10.8% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 2.7% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 16.2% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 4.1% 合計33.8% 55〜59歳(n=112) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 33.9% 働きやすい職場だから 18.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 8.9% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 8.9% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 10.7% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 17.9% 合計46.4% ※他の年齢層に比べて高い その他 0.9% 図表4 中小企業でのセカンドキャリア挑戦意欲 約4割が中小企業に挑戦してもよいと回答 単位(%) 全体(n=697) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 19.5% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 18.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.5% 今の会社をもって働くのをやめたい 50.6% 定年後は同じ会社で雇用延長し、そこで働くのをやめたい(n=213) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.5% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 23.9% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 16.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 37.6% 定年をもって働くのをやめたい(n=202) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 12.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 10.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 4.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 73.3% まだ決めていない(n=282) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.3% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 19.9% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 13.5% 今の会社をもって働くのをやめたい 44.3% 規模が大きい企業の社員のほうが挑戦意欲が高い 単位(%) 全体(n=763) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 20.8% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 21.1% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.1% 今の会社をもって働くのをやめたい 46.9% 300〜999人以下(n=259) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 16.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 20.5% 合計37.1% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 13.9% 今の会社をもって働くのをやめたい 49.0% 1,000〜4,999人(n=250) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 23.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 20.0% 合計43.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 8.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 48.4% 5,000人以上(n=254) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 22.8% 合計45.2% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.4% 今の会社をもって働くのをやめたい 43.3% 図表5 転職(または独立)に役立つと考える会社の支援 生活設計から転職支援まで多様な要望 全体:n=457 単位(%) 定年後の年金、資産管理などのライフセミナーの実施 27.1% リスキリングなどのスキルアップ支援 21.9% 労働市場の情報や求人情報、転職事例などの提供 22.1% 具体的な転職先の紹介、出向を利用した転職支援などの制度 25.4% 副業・兼業など多様な働き方が可能な仕組みの整備 21.7% OBや専門家による相談・支援サービスの整備 8.5% その他 0.2% 特にない 35.0% 【P48-53】 労務資料 令和7年「高年齢者雇用状況等報告」 厚生労働省 職業安定局 高齢者雇用対策課  高年齢者雇用安定法では、高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現を目的に、企業に65歳までの高年齢者雇用確保措置を義務づけています。また、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務づけています。  厚生労働省より、こうした高年齢者の雇用等に関する措置の実施状況(2025年6月1日現在)が公表されたので、その結果をご紹介します。集計対象は、全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業23万7739社です(編集部)。 集計結果の主なポイント ※[ ]は対前年差 T 65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況  65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%[変動なし] ・中小企業では99.9%[変動なし]、大企業では99.9%[0.1ポイント減少] ・高年齢者雇用確保措置の措置内容の内訳は、「継続雇用制度の導入」により実施している企業が65.1%[2.3ポイント減少]、「定年の引上げ」により実施している企業は31.0%[2.3ポイント増加] U 70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況  70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.8%[2.9ポイント増加] ・中小企業では35.2%[2・8ポイント増加]、大企業では29.5%[4.0ポイント増加] V 企業における定年制の状況  65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は34.9%[2.3ポイント増加] 1 65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況 (1)65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況  高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」注1という。)を実施済みの企業(23万7457社)は、報告した企業全体の99.9%[変動なし]で、中小企業では99.9%[変動なし]、大企業では99.9%[0.1ポイント減少]であった。 注1 雇用確保措置  高年齢者雇用安定法第9条第1項に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次に掲げるいずれかの措置を講じなければならない。  @定年制の廃止、A定年の引上げ、B継続雇用制度の導入※  ※継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度であり、平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」を対象としている。ただし、平成24年度までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた企業においては、当該基準を適用できる年齢を65歳まで段階的に引き上げる経過措置が令和7年3月31日まで適用されていた。本経過措置は令和7年3月31日をもって終了し、令和7年度からは、「希望者全員」の65歳までの雇用確保について全面的な義務付けがなされている。 (2)雇用確保措置を実施済みの企業の内訳  雇用確保措置を実施済みの企業(23万7457社)について、雇用確保措置の措置内容別に見ると、定年制の廃止(9367社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(7万3585社)は31.0%[2.3ポイント増加]、継続雇用制度の導入(15万4505社)は65.1%[2.3ポイント減少]であった。 (参考)経過措置適用企業における令和6年6月1日から令和7年3月31日までの基準適用年齢到達者の状況  上記1(1)の注1に記載する経過措置に基づく対象者を限定する基準があった企業において、令和6年6月1日から令和7年3月31日までに、基準を適用できる年齢(64歳)に到達した者(2万9630人)のうち、基準に該当し引き続き継続雇用された者は92.1%[0.4ポイント減少]、継続雇用の更新を希望しなかった者は6.6%[0.1ポイント増加]、継続雇用を希望したが基準に該当せずに継続雇用が終了した者は1.3%[0.2ポイント増加]であった。 2 70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況 (1)70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況  高年齢者就業確保措置(以下「就業確保措置」注2という。)を実施済みの企業(8万2748社)は、報告した企業全体の34.8%[2.9ポイント増加]で、中小企業では35.2%[2.8ポイント増加]、大企業では29.5%[4.0ポイント増加]であった。 (2)就業確保措置を実施済みの企業の内訳  就業確保措置を実施済みの企業(8万2748社)について措置内容別に見ると、報告した企業全体のうち、定年制の廃止(9367社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(6037社)は2.5%[0.1ポイント増加]、継続雇用制度の導入(6万7212社)は28.3%[2.7ポイント増加]、創業支援等措置注3の導入(132社)は0.1%[変動なし]であった。 注2 就業確保措置  高年齢者雇用安定法第10条の2に基づき、定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主又は65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主は、その雇用する高年齢者について、次に掲げる措置を講ずることにより、65歳から70歳までの就業機会を確保するよう努めなければならない。  @定年制の廃止、A定年の引上げ、B継続雇用制度の導入、C業務委託契約を締結する制度の導入、D社会貢献事業に従事できる制度の導入(事業主が自ら実施する社会貢献事業又は事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業) 注3 創業支援等措置  注2の就業確保に係る措置のうち、C業務委託契約を締結する制度の導入及びD社会貢献事業に従事できる制度の導入という雇用以外の措置を創業支援等措置という。 3 企業における定年制の状況  報告した企業における定年制の状況について、定年年齢別に見ると次のとおりであった。 ・定年制を廃止している企業(9367社)は3.9%[変動なし] ・定年を60歳とする企業(14万7864社)は62.2%[2.2ポイント減少] ・定年を61〜64歳とする企業(6923社)は2.9%[変動なし] ・定年を65歳とする企業(6万4765社)は27.2%[2.0ポイント増加] ・定年を66〜69歳とする企業(2783社)は1.2%[0.1ポイント増加] ・定年を70歳以上とする企業(6037社)は2.5%[0.1ポイント増加] 図表1 雇用確保措置の内訳 全企業 定年制の廃止 3.9% 定年の引上げ 31.0% 継続雇用制度の導入 65.1% 301人以上 定年制の廃止 0.7% 定年の引上げ 22.7% 継続雇用制度の導入 76.6% 21〜300人 定年制の廃止 4.2% 定年の引上げ 31.6% 継続雇用制度の導入 64.2% 図表2 雇用確保措置の実施状況 (社、%) @実施済み A未実施 合計(@+A) 21人以上総計 237,457(236,920) 282(132) 237,739(237,052) 99.9%(99.9%) 0.1%(0.1%) 100.0%(100.0%) 31人以上総計 177,035(176,492) 231(59) 177,266(176,551) 99.9%(99.9%) 0.1%(0.1%) 100.0%(100.0%) 21〜300人 220,203(219,860) 263(132) 220,466(219,992) 99.9%(99.9%) 0.1%(0.1%) 100.0%(100.0%) 21〜30人 60,422(60,428) 51(73) 60,473(60,501) 99.9%(99.9%) 0.1%(0.1%) 100.0%(100.0%) 31〜300人 159,781(159,432) 212(59) 159,993(159,491) 99.9%(99.9%) 0.1%(0.1%) 100.0%(100.0%) 301人以上 17,254(17,060) 19(0) 17,273(17,060) 99.9%(100.0%) 0.1%(0.0%) 100.0%(100.0%) ※( )内は、令和6年6月1日現在の数値。以下、各表において同様 ※本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳の積み上げが合計と一致しない場合がある。以下、各表において同様 図表3 雇用確保措置実施企業における措置内容の内訳 (社、%) @定年制の廃止 A定年の引上げ B継続雇用制度の導入 合計(@+A+B) 21人以上総計 9,367(9,247) 73,585(68,099) 154,505(159,574) 237,457(236,920) 3.9%(3.9%) 31.0%(28.7%) 65.1%(67.4%) 100.0%(100.0%) 31人以上総計 5,428(5,344) 52,611(48,348) 118,996(122,800) 177,035(176,492) 3.1%(3.0%) 29.7%(27.4%) 67.2%(69.6%) 100.0%(100.0%) 21〜300人 9,252(9,129) 69,662(64,711) 141,289(146,020) 220,203(219,860) 4.2%(4.2%) 31.6%(29.4%) 64.2%(66.4%) 100.0%(100.0%) 21〜30人 3,939(3,903) 20,974(19,751) 35,509(36,774) 60,422(60,428) 6.5%(6.5%) 34.7%(32.7%) 58.8%(60.9%) 100.0%(100.0%) 31〜300人 5,313(5,226) 48,688(44,960) 105,780(109,246) 159,781(159,432) 3.3%(3.3%) 30.5%(28.2%) 66.2%(68.5%) 100.0%(100.0%) 301人以上 115(118) 3,923(3,388) 13,216(13,554) 17,254(17,060) 0.7%(0.7%) 22.7%(19.9%) 76.6%(79.4%) 100.0%(100.0%) ※「合計」のうち企業数は、図表2の「@実施済み」に対応している ※「A定年の引上げ」は、定年年齢を65歳以上としている企業を、「B継続雇用制度の導入」は、定年年齢は65歳未満だが継続雇用制度の上限年齢を65歳以上としている企業を、それぞれ計上している 図表4 雇用確保措置における継続雇用先の内訳 (社、%) @自社のみ 自社以外の継続雇用先がある企業 A自社、子会社等 B自社、関連会社等 C自社、子会社等、関連会社等 D子会社等 E子会社等、関連会社等 F関連会社等 小計(A〜F) 合計(@〜F) 21人以上総計 145,993(150,803) 4,298(4,577) 1,589(1,592) 2,159(2,167) 343(308) 16(18) 107(109) 8,512(8,771) 154,505(159,574) 94.5%(94.5%) 2.8%(2.9%) 1.0%(1.0%) 1.4%(1.4%) 0.2%(0.2%) 0.0%(0.0%) 0.1%(0.1%) 5.5%(5.5%) 100.0%(100.0%) 31人以上総計 111,407(114,994) 3,831(4,074) 1,385(1,375) 1,962(1,971) 305(273) 13(18) 93(95) 7,589(7,806) 118,996(122,800) 93.6%(93.6%) 3.2%(3.3%) 1.2%(1.1%) 1.6%(1.6%) 0.3%(0.2%) 0.0%(0.0%) 0.1%(0.1%) 6.4%(6.4%) 100.0%(100.0%) 21〜300人 135,225(139,758) 3,038(3,256) 1,244(1,267) 1,388(1,389) 286(245) 14(13) 94(92) 6,064(6,262) 141,289(146,020) 95.7%(95.7%) 2.2%(2.2%) 0.9%(0.9%) 1.0%(1.0%) 0.2%(0.2%) 0.0%(0.0%) 0.1%(0.1%) 4.3%(4.3%) 100.0%(100.0%) 21〜30人 34,586(35,809) 467(503) 204(217) 197(196) 38(35) 3(0) 14(14) 923(965) 35,509(36,774) 97.4%(97.4%) 1.3%(1.4%) 0.6%(0.6%) 0.6%(0.5%) 0.1%(0.1%) 0.0%(0.0%) 0.0%(0.0%) 2.6%(2.6%) 100.0%(100.0%) 31〜300人 100,639(103,949) 2,571(2,753) 1,040(1,050) 1,191(1,193) 248(210) 11(13) 80(78) 5,141(5,297) 105,780(109,246) 95.1%(95.2%) 2.4%(2.5%) 1.0%(1.0%) 1.1%(1.1%) 0.2%(0.2%) 0.0%(0.0%) 0.1%(0.1%) 4.9%(4.8%) 100.0%(100.0%) 301人以上 10,768(11,045) 1,260(1,321) 345(325) 771(778) 57(63) 2(5) 13(17) 2,448(2,509) 13,216(13,554) 81.5%(81.5%) 9.5%(9.7%) 2.6%(2.4%) 5.8%(5.7%) 0.4%(0.5%) 0.0%(0.0%) 0.1%(0.1%) 18.5%(18.5%) 100.0%(100.0%) ※「合計」のうち企業数は、図表3の「B継続雇用制度の導入」に対応している 図表5 経過措置適用企業における令和6年6月1日から令和7年3月31日までの基準適用年齢到達者の状況 継続雇用者(基準に該当し引き続き雇用された者) 92.1% 継続雇用を希望しなかった者 6.6% 基準に該当しない者 1.3% 図表6 就業確保措置の内訳 全企業(34.8%) 定年制の廃止 3.9% 定年の引上げ 2.5% 継続雇用制度の導入 28.3% 創業支援等措置の導入 0.1% 301人以上(29.5%) 定年制の廃止 0.7% 定年の引上げ 0.9% 継続雇用制度の導入 27.8% 創業支援等措置の導入 0.1% 21〜300人(35.2%) 定年制の廃止 4.2% 定年の引上げ 2.7% 継続雇用制度の導入 28.3% 創業支援等措置の導入 0.1% 図表7 70歳までの就業確保措置の実施状況 (社、%) @70歳までの就業確保措置実施済み 定年制の廃止 定年の引上げ 継続雇用制度の導入 創業支援等措置の導入 A未実施 合計(@+A) 21人以上総計 82,748(75,643) 9,367(9,247) 6,037(5,690) 67,212(60,570) 132(136) 154,991(161,409) 237,739(237,052) 34.8%(31.9%) 3.9%(3.9%) 2.5%(2.4%) 28.3%(25.6%) 0.1%(0.1%) 65.2%(68.1%) 100.0%(100.0%) 31人以上総計 60,030(54,421) 5,428(5,344) 3,969(3,695) 50,524(45,276) 109(106) 117,236(122,130) 177,266(176,551) 33.9%(30.8%) 3.1%(3.0%) 2.2%(2.1%) 28.5%(25.6%) 0.1%(0.1%) 66.1%(69.2%) 100.0%(100.0%) 21〜300人 77,653(71,297) 9,252(9,129) 5,889(5,568) 62,402(56,484) 110(116) 142,813(148,695) 220,466(219,992) 35.2%(32.4%) 4.2%(4.1%) 2.7%(2.5%) 28.3%(25.7%) 0.1%(0.1%) 64.8%(67.6%) 100.0%(100.0%) 21〜30人 22,718(21,222) 3,939(3,903) 2,068(1,995) 16,688(15,294) 23(30) 37,755(39,279) 60,473(60,501) 37.6%(35.1%) 6.5%(6.5%) 3.4%(3.3%) 27.6%(25.3%) 0.1%(0.1%) 62.4%(64.9%) 100.0%(100.0%) 31〜300人 54,935(50,075) 5,313(5,226) 3,821(3,573) 45,714(41,190) 87(86) 105,058(109,416) 159,993(159,491) 34.3%(31.4%) 3.3%(3.3%) 2.4%(2.2%) 28.6%(25.8%) 0.1%(0.1%) 65.7%(68.6%) 100.0%(100.0%) 301人以上 5,095(4,346) 115(118) 148(122) 4,810(4,086) 22(20) 12,178(12,714) 17,273(17,060) 29.5%(25.5%) 0.7%(0.7%) 0.9%(0.7%) 27.8%(24.0%) 0.1%(0.1%) 70.5%(74.5%) 100.0%(100.0%) ※「@70歳までの就業確保措置実施済み」のうち、「定年の引上げ」は70歳以上の定年の定めを設けている企業を、「継続雇用制度の導入」は定年年齢は70歳未満だが継続雇用制度の上限年齢を70歳以上としている企業を、「創業支援等措置の導入」は定年年齢及び継続雇用制度の上限年齢は70歳未満だが創業支援等措置の上限年齢を70歳以上としている企業を、それぞれ計上している ※本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているが、本表の「21〜300人」及び「21〜30人」の「創業支援等措置の導入」については、小数点第2位以下を切り上げとしている 図表8 70歳までの就業確保措置の規模別・産業別実施状況 (%) @実施済企業割合 A未実施企業割合 規模別 合計 34.8%(31.9%) 65.2%(68.1%) 21〜30人 37.6%(35.1%) 62.4%(64.9%) 31〜50人 36.3%(33.9%) 63.7%(66.1%) 51〜100人 34.1%(31.1%) 65.9%(68.9%) 101〜300人 31.3%(27.6%) 68.7%(72.4%) 301〜500人 29.1%(24.6%) 70.9%(75.4%) 501〜1,000人 28.6%(25.0%) 71.4%(75.0%) 1,001人以上 31.4%(27.8%) 68.6%(72.2%) 産業別 21人以上 31人以上 21人以上 31人以上 合計 34.8%(31.9%) 33.9%(30.8%) 65.2%(68.1%) 66.1%(69.2%) 農、林、漁業 44.1%(41.6%) 43.0%(40.3%) 55.9%(58.4%) 57.0%(59.7%) 鉱業、採石業、砂利採取業 39.0%(37.5%) 34.0%(29.8%) 61.0%(62.5%) 66.0%(70.2%) 建設業 46.9%(43.6%) 45.0%(41.1%) 53.1%(56.4%) 55.0%(58.9%) 製造業 31.0%(27.9%) 29.5%(26.1%) 69.0%(72.1%) 70.5%(73.9%) 電気・ガス・熱供給・水道業 29.6%(25.6%) 29.6%(25.4%) 70.4%(74.4%) 70.4%(74.6%) 情報通信業 19.8%(16.9%) 19.5%(16.6%) 80.2%(83.1%) 80.5%(83.4%) 運輸、郵便業 42.3%(39.3%) 42.0%(38.8%) 57.7%(60.7%) 58.0%(61.2%) 卸売業、小売業 27.7%(24.9%) 26.7%(23.9%) 72.3%(75.1%) 73.3%(76.1%) 金融業、保険業 30.2%(25.8%) 29.6%(26.0%) 69.8%(74.2%) 70.4%(74.0%) 不動産業、物品賃貸業 29.4%(26.4%) 28.7%(25.8%) 70.6%(73.6%) 71.3%(74.2%) 学術研究、専門・技術サービス業 28.7%(26.1%) 27.8%(25.3%) 71.3%(73.9%) 72.2%(74.7%) 宿泊業、飲食サービス業 36.2%(34.1%) 35.6%(33.3%) 63.8%(65.9%) 64.4%(66.7%) 生活関連サービス業、娯楽業 31.5%(29.2%) 30.7%(28.2%) 68.5%(70.8%) 69.3%(71.8%) 教育、学習支援業 28.4%(26.6%) 27.2%(25.1%) 71.6%(73.4%) 72.8%(74.9%) 医療、福祉 42.5%(39.2%) 43.0%(39.5%) 57.5%(60.8%) 57.0%(60.5%) 複合サービス事業 23.3%(18.9%) 22.6%(18.1%) 76.7%(81.1%) 77.4%(81.9%) サービス業(他に分類されないもの) 37.4%(35.4%) 36.9%(34.9%) 62.6%(64.6%) 63.1%(65.1%) その他 0.0%(0.0%) 0.0%(0.0%) 0.0%(0.0%) 0.0%(0.0%) ※0.0%は報告企業が存在しなかった項目である 図表9 企業における定年制の状況@ 全企業 定年制の廃止 3.9% 60歳定年 62.2% 61〜64歳定年 2.9% 65歳定年 27.2% 66〜69歳定年 1.2% 70歳以上定年 2.5% 301人以上 定年制の廃止 0.7% 60歳定年 71.4% 61〜64歳定年 5.2% 65歳定年 21.5% 66〜69歳定年 0.3% 70歳以上定年 0.9% 21〜300人 定年制の廃止 4.2% 60歳定年 61.5% 61〜64歳定年 2.7% 65歳定年 27.7% 66〜69歳定年 1.2% 70歳以上定年 2.7% 図表10 企業における定年制の状況A (社、%) 定年制の廃止 定年制あり 60歳未満 60歳 61〜64歳 65歳 66〜69歳 70歳以上 65歳以上定年合計(定年制の廃止を含む) 報告した全ての企業 21人以上総計 9,367(9,247) 0(0) 147,864(152,776) 6,923(6,930) 64,765(59,693) 2,783(2,716) 6,037(5,690) 82,952(77,346) 237,739(237,052) 3.9%(3.9%) 0.0%(0.0%) 62.2%(64.4%) 2.9%(2.9%) 27.2%(25.2%) 1.2%(1.1%) 2.5%(2.4%) 34.9%(32.6%) 100.0%(100.0%) 31人以上総計 5,428(5,344) 0(0) 113,491(117,116) 5,736(5,743) 46,733(42,775) 1,909(1,878) 3,969(3,695) 58,039(53,692) 177,266(176,551) 3.1%(3.0%) 0.0%(0.0%) 64.0%(66.3%) 3.2%(3.3%) 26.4%(24.2%) 1.1%(1.1%) 2.2%(2.1%) 32.7%(30.4%) 100.0%(100.0%) 21〜300人 9,252(9,129) 0(0) 135,523(140,101) 6,029(6,051) 61,050(56,476) 2,723(2,667) 5,889(5,568) 78,914(73,840) 220,466(219,992) 4.2%(4.1%) 0.0%(0.0%) 61.5%(63.7%) 2.7%(2.8%) 27.7%(25.7%) 1.2%(1.2%) 2.7%(2.5%) 35.8%(33.6%) 100.0%(100.0%) 21〜30人 3,939(3,903) 0(0) 34,373(35,660) 1,187(1,187) 18,032(16,918) 874(838) 2,068(1,995) 24,913(23,654) 60,473(60,501) 6.5%(6.5%) 0.0%(0.0%) 56.8%(58.9%) 2.0%(2.0%) 29.8%(28.0%) 1.4%(1.4%) 3.4%(3.3%) 41.2%(39.1%) 100.0%(100.0%) 31〜300人 5,313(5,226) 0(0) 101,150(104,441) 4,842(4,864) 43,018(39,558) 1,849(1,829) 3,821(3,573) 54,001(50,186) 159,993(159,491) 3.3%(3.3%) 0.0%(0.0%) 63.2%(65.5%) 3.0%(3.0%) 26.9%(24.8%) 1.2%(1.1%) 2.4%(2.2%) 33.8%(31.5%) 100.0%(100.0%) 301人以上 115(118) 0(0) 12,341(12,675) 894(879) 3,715(3,217) 60(49) 148(122) 4,038(3,506) 17,273(17,060) 0.7%(0.7%) 0.0%(0.0%) 71.4%(74.3%) 5.2%(5.2%) 21.5%(18.9%) 0.3%(0.3%) 0.9%(0.7%) 23.4%(20.6%) 100.0%(100.0%) ※「65歳以上定年」の企業数は、図表3の「@定年制の廃止」と「A定年の引上げ」を合計した数値に対応している ※「報告した全ての企業」の企業数は、図表2の「合計」に対応している 【P54-55】 BOOKS 定年年齢引上げと人的資源管理など、いま知っておきたいテーマが幅広く学べる 働く人と組織のための人的資源管理 人的資本経営時代の基礎知識 全国社会保険労務士会連合会編、山本(やまもと)寛(ひろし)編著/中央経済社/4400円  人手不足と採用難を背景に雇用の多様化が進むなか、企業などの組織における人的資源管理の位置づけが重要性を増している。  本書では、人的資源管理について「組織が経営上の資源である従業員をどのようにマネジメントしているか、そして従業員がいかに働きがいをもって働いているかなどの問題」と整理している。そのうえで、採用から評価、退職管理などに加え、労使関係や労働安全衛生など労務管理に関する分野までバランスよく取りあげ、タレントマネジメント、従業員エンゲージメント、キャリア自律といった、新しい課題についても網羅し、例えば、退職管理の章では、定年制の機能や、定年年齢引上げと人的資源管理などをわかりやすく解説している。  さらに、リモートワークや1on1、社内公募制度、アルムナイ制度、多様なハラスメント対策など、現代の組織で具体的に検討、実施されているマネジメントを多数取りあげていることも本書の特徴としてあげられよう。また、新しいリーダーシップ理論、学術的な理論やモデルに基づく新しい考え方や概念についてもカバーしている。いま知っておきたい人的資源管理の基礎知識が詰まった好著であり、テキストとなっている。 人事業務の初心者向けの入門書。全体の流れから困ったときの対処法まで身につく ひとり人事から中堅企業まで使える 人事1年目の教科書 岡田(おかだ)英之(ひでゆき)著/生産性出版/2200円  著者は、コンサルタントなどとして30年間、人事およびコンサルティング業務に従事した経験を持ち、中小規模企業でのひとり人事や中堅規模企業の人事に精通している。そして、「人事のやりがいはなんですか」と問われて、ひと言で答えるなら、「幸せな社員をたくさんつくること」と本書で答えている。幸せな社員が増えていくと、業績も向上し、仕事の成果や達成感も高まり、職場が活性化するからだという。  本書は、人事業務のやりがいや仕事内容、また、ひとり人事という視点から、組織と人事マネジメントについて体系的に説明していく。ここでいう「ひとり人事」とは、「組織内でひとりか2〜3名の人数で、すべての人事関連業務をまわす担当者」を想定しているという。読者対象は、社会人経験1年目から数十年までと幅広いが、いずれも人事業務にはじめて就く人を想定し、人事業務の「全体の流れ」を理解する第1章から、現場の「困りごと」、「緊急事態」への対処を取りあげた第6章まで、人事の仕事に取り組むうえで役立つ考え方や取り組む姿勢などについて詳解。随所に「復習問題」が提示され、理解が進む。きちんと業務を遂行する力を身につけたい人におすすめの教科書である。 1日1ページ楽しく解いて、もの忘れ・認知症を予防! 楽しみながら脳を活性化! 大人の漢字ドリル200日いきいき脳活編 篠原(しのはら)菊紀(きくのり)監修/イースト・プレス/1320円  「物忘れが増えた」、「考えがまとまりにくくなった」など、歳をとると体力だけでなく、脳の働きにも衰えを自覚することがある。それでも、あきらめてはいけない。脳は使うことで活性化し、使えば使うほど元気になるからだ。  監修の篠原菊紀さんは、著名な脳科学者で、本誌では「イキイキ働くための脳力アップトレーニング!」(64ページ)を長期連載中だ。  篠原さんは、脳も筋肉と同じで鍛えることができること、その効果は長く持続することがわかっていると説き、「ある研究では、2千人の高齢者が週1回60分の脳トレを1年間続けたところ、5年後でも効果が持続していました」と紹介している。そして脳トレのポイントは、「毎日続けること」だと、篠原さんは強調する。  本書は1日1ページ、5〜10分程度でできる漢字の読み書きやパズル、難読漢字、ことわざなどの問題を200日分掲載。問題のバリエーションが豊富なうえ、ページが大判で見やすく、書き込みもしやすい。さらに、毎日楽しく脳トレをして、脳の力と語彙力が向上するという、一挙両得の大人向け漢字ドリルである。  脳の衰えを感じる前に、すぐに手に取ってチャレンジすることをおすすめしたい。 ワークルール研修にも活用できる、労働法マニュアルの最新版! 労働法の基本〔第3版〕 本久(もとひさ)洋一(よういち)、小宮(こみや)文人(ふみと)、淺野(あさの)高宏(たかひろ)編著/法律文化社/2860円  本書は、大学および各種専門学校などにおける労働法の講義や、社会人向けのワークルール研修などの場で活用できる、「労働法のマニュアル」としてまとめられた。第2版を2021(令和3)年に刊行して以降の、法令や裁判例の最新動向に対応した最新版である。  全320ページの内容は、第T部「労働法の基礎」にはじまり、「労働法とは何か」、「労働者とは誰か、使用者とは誰か」などを解説。続いて、第U部「労働契約法」、第V部「労働保護法」、第W部「労働組合法」まで、大きく4部で構成されている。法制度の意義や要件、効果の解説に加え、労働法を学ぶうえで欠かすことのできない重要判例を75件ほど精選し、「囲み判例」という形で、事実・判旨をきちんと記載。本文と一体化させた構成で理解を深めやすくしているうえ、必要に応じて「より深く学ぶための道案内」も記載されている親切な内容だ。  執筆陣は、編者3人を含む14人。テーマに準じて専門の研究者、実務家、学会の重鎮、清新な若手を集めた「理想の執筆陣」を実現したという。学生のみならず、初めて人事労務を担当した人や最新の情報を含めて労働法をおさらいしたい人にも価値ある一冊といえるだろう。 50代以降の仕事選びとは? 心構えや現実、さまざまな仕事の実情に迫る この先の、稼ぎ方がわからない。 50歳から考えるお仕事図図鑑 門賀(もんが)美央子(みおこ)著/清流出版/1760円  改正高年齢者雇用安定法の趣旨が浸透し、70歳まで働ける企業が徐々に増えてきている。とはいえ、変化の激しいこの時代に、いま働いている会社で70歳まで勤め続けられると確信が持てる50代はどれくらいいるだろうか。  本書は、おもに50歳以上の人に向けて、人生100年時代を生き抜くための将来の生活に対する不安を直視。前半は、自身を取り巻く現実の厳しさに気づいた著者が、自らのこととしてハローワークに行くなどして中高年齢者の仕事事情をチェック。この先の仕事選びの考え方や心構えを探っている。  後半は、大人の仕事図鑑と題して、「特別なスキルはなくてもできる仕事」、「新地平を目指す仕事」、「国境を越えた仕事」、「新しい自分に出会う仕事」などの視点から、具体的な仕事をあげて、リスクやデメリットを含めた実情に迫る。例えば、家庭内労働を外注することが珍しくなくなったいま、家事代行の仕事に着目。就業形態や想定年収、必要な技能、参入方法などを説明している。ほかにも在宅仕事、コンビニエンスストアの店員などさまざまな仕事を取りあげている。50代や60代における働き方を考える際のヒントが見つかりそうだ。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します 【P56-57】 ニュース ファイル NEWS FILE 行政・関係団体 厚生労働省 「生涯現役地域づくり環境整備事業(令和7年度開始分・第2次募集)」の実施団体候補を決定  厚生労働省は、「生涯現役地域づくり環境整備事業(令和7年度開始分・第2次募集)」の実施団体候補として、3団体の採択を決定した。  この事業は、地方自治体が中心となって構成する協議会からの提案に基づき、地域の特性などをふまえた高齢者の雇用・就業機会の創出に寄与する事業構想を募集し、コンテスト方式で選定された協議会に委託して実施するもの。事業実施を通じて、地域ですでに定着している取組みとの連携を強化し、高齢者の働く場の創出と持続可能なモデルづくりや、他地域への展開を推進する事業となることを目ざしている。  各年度の事業規模は1750万円。事業期間は最大3年度間。  2025(令和7)年度の第2次募集は、同年8月上旬から10月上旬にかけて行われた。  採択された団体とその事業タイトルは次の通り。 @富士市新就労推進協議会(静岡県富士市)「『はたらくライフシフト』〜多様な世代の働き方を未来へつなぐ〜」 Aミナミイズ人と経済活性化推進協議会(静岡県南伊豆町)「誰もが地域で活躍し続けられる生涯現役プラットフォーム」 B一般社団法人豊前(ぶぜん)生涯活躍地域づくり協議会(福岡県豊前市)「おしごとパレットプロジェクト〜重ね合わせることで生まれる新たな活躍の場〜」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66126.html 厚生労働省 「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」を公表  厚生労働省は、「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」を取りまとめ、公表した。  同ツールは、2024(令和6)年に改正された育児・介護休業法で、2025年4月から、事業主に介護離職防止のための措置が義務づけられたことに対応してまとめられたもの。企業の「役割」や「対応すべきこと」を明確にするとともに、それぞれの措置を効果的に実施するためのポイントや利用可能な様式・資料等を掲載している。  具体的には、企業が仕事と介護の両立支援に取り組む際の対応として、企業が行う取組みごとのポイントや、STEP1(介護離職防止のための雇用環境整備)、STEP2(両立支援制度等の早期(40歳)の情報提供)、STEP3(介護に直面した労働者への個別の制度周知・意向確認)の各段階の内容を効果的に実施するポイントなどを提示。様式は、支援ツールの各STEPにあわせて作成されたものである。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61776.html ◆概要 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001521546.pdf ◆支援ツール https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001521425.pdf ◆様式集 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001521431.pdf 経済産業省 「中小企業向け 仕事と介護の両立支援セミナー」を配信  経済産業省は、「中小企業向け 仕事と介護の両立支援セミナー」を同省公式YouTubeチャンネル「METI channel」で配信している。  仕事をしながら家族の介護を行う人は増加傾向にあり、試算によると2030年時点では約318万人にのぼり、経済損失額は約9兆円とされている。特に中小企業では、人材不足が深刻な状況にあり、代替人員の獲得が困難であることから、社員の離職や休職が事業に与える影響も大きい。こうしたことを背景に、従業員が安心して働き続けられる環境づくりを推進するため、「中小企業向け仕事と介護の両立支援セミナー」を実施した。第1弾として、次の3本の動画を配信している。 ◆基調講演「人的資本経営時代の“働き方の戦略”と両立支援」(株式会社ワーク・ライフバランス取締役 大塚(おおつか)万紀子(まきこ)氏)  人的資本経営おける両立支援について解説。 ◆「仕事と介護を両立しやすい環境づくりに向けて」(厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課課長 上田(うえだ)真由美(まゆみ)氏)  2025(令和7)年4月に施行された改正育児・介護休業法のポイントを解説。 ◆「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインについて」(経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課課長 福田(ふくだ)光紀(みつのり)氏)  仕事と介護の両立支援に取り組む意義、組織内で進めるうえでのポイントを解説。 https://www.meti.go.jp/press/2025/11/20251111004/20251111004.html 厚生労働省 令和7年度「現代の名工」を決定  厚生労働省は、その道の第一人者と目され、卓越した技能を有する現役の技能者142人を令和7年度「現代の名工」として決定し、2025(令和7)年11月10日、東京都内で表彰式を行った。  「現代の名工」の表彰制度は、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を、厚生労働大臣が表彰を行うもの。技能の世界で活躍する職人を志す若者に目標を示し、将来をになう優秀な技能者の確保・育成を進め、優れた技能を次世代に承継していくことを目的としている。1967(昭和42)年度に第1回の表彰が行われて以来、今年度で59回目となり、今回表彰された142人を含めてこれまで7376人が表彰を受けている。  今年度のおもな表彰対象者は、陶磁器の空洞収縮率の活用法における業界第一人者であり、握力が弱くても手から抜け落ちないユニバーサルデザインの陶磁器「酒勾瓶(しゅこうびん)」の開発に成功し、自ら生涯現役を貫きながら次世代への技術指導にも取り組んでいる陶磁器製造工の石川(いしかわ)吉彦(よしひこ)さん(80歳)、コール天(コーデュロイ)を中心とした剪毛(せんもう)の仕事に長年たずさわり、アイデアと高い技術により、文字や柄の入ったものなどさまざまな生地を考案して欧州の高級ブランドからも開発発注の依頼があり、さらなる飛躍を目ざして努力を重ね続けている星野(ほしの)秀次郎(ひでじろう)さん(78歳)など。  なお、本誌61ページの「技を支える」では、今年度の被表彰者の一人で、印判師(いんばんし)の長澤(ながさわ)豊(ゆたか)さん(70歳)にご登場いただいている。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65373.html 調査・研究 日本生産性本部 第12回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表  公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所は、「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表した。調査は、2002(平成14 )年からおおむね隔年で実施しており、今回は2023年に続き12回目となる。今回の調査は、2025(令和7)年7月から8月にかけて行い、上場企業171社から回答を得た。  調査結果によると、直近3年間の「心の病」を「増加傾向」と回答した企業が前回調査(2023年、45.0%)より低下するも、約4割(39.2%)と依然高水準となっている。また、「心の病」が最も多い年齢層10〜20代について、前回調査(43.9%)に続き、今回も37.6%と回答した企業の割合が最も多くなっている。なお、50代以上と回答した企業の割合は10.0%と低水準ではあるが、過去最高値となっている。  近年関心が高まっている働き方改革やウェルビーイング推進について、取組みの目的としては、「従業員の心身の健康維持・増進」が65.9%で最も高く、次いで「従業員エンゲージメント向上」が62.9%と、これらが突出して高くなっている。一方で、「費用対効果が不明確」が45.0%、「評価指標の設定が難しい」が43.8%と、取組みをどのように評価するかに関することが課題としてあげられている。 https://www.jpc-net.jp/research/detail/007800.html 旭化成ホームズLONGLIFE総合研究所 65歳以降の就労・社会参加活動に関する調査報告を公表  旭化成ホームズ株式会社LONGLIFE総合研究所は、60歳以降の就労・社会参加活動に関する実態・意識を明らかにする調査を行い、調査結果を分析してまとめた。調査は2025(令和7)年8月、50〜89歳の男女を対象にWebで実施し、5581人から有効回答を得た。  調査結果によると、60代以降に就労・社会参加活動をする人は、65〜74歳では、男性5割前後、女性3割前後が活動している。男女ともに年代が上がるにつれ減少するが、その減り方を見ると、男性は定年を迎える65歳を機に急激に減っていくが、女性の減り方は緩やかである。  65歳以上の就労・社会参加活動のタイプを「経済的必要性」と「自己充足」の二つの軸で整理し、「生活費型」、「現役延長型」、「いきがい型」、「習慣・交流型」、「小遣い型」、「無関心型」の六つに分類すると、年齢が上がるにつれて男女ともに、「生活費型」や「現役延長型」から「いきがい型」にシフトしていくことが明らかになった。また、「現役延長型」は、「収入と自分の満足をうまく両立しながら、これまでの知識や経験を活かす」、「いきがい型」は「他者への貢献と自分の充実を大切にしながら、地域の活動を中心に取り組み、貢献や交流にとても満足している」など、タイプにより、活動から得られるものは異なり、興味があるタイプ、自分に合ったタイプを見つけることが、今後の活動のヒントになるのではないかとまとめている。 https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20251118/index/ 【P58-59】 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト  高年齢者活躍企業コンテストでは、高年齢者が長い職業人生の中でつちかってきた知識や経験を職場等で有効に活かすため、企業等が行った創意工夫の事例を広く募集・収集し、優秀事例について表彰を行っています。  優秀企業等の改善事例と実際に働く高年齢者の働き方を社会に広く周知することにより、企業等における雇用・就業機会の確保等の環境整備を図り、生涯現役社会の実現に向けた気運を醸成することを目的としています。  高年齢者がいきいきと働くことができる創意工夫の事例について、多数のご応募をお待ちしています。 T 募集内容 募集する創意工夫の事例の具体的な例示として、以下の取組内容を参考にしてください。 取組内容 内容(例示) 高年齢者の活躍のための制度面の改善 @定年制の廃止、定年年齢の延長、65歳を超える継続雇用制度(特殊関係事業主に加え、他の事業主によるものを含む)の導入 A創業支援等措置(70歳以上までの業務委託・社会貢献)の導入(※1) B賃金制度の見直し C人事評価制度の導入や見直し D多様な勤務形態、短時間勤務制度の導入 等 高年齢者の意欲・能力の維持向上のための取組 @中高年齢者を対象とした教育訓練、リスキリングの取組、全世代で自律的にキャリア形成を進めていくための(キャリアの棚卸しなどの)キャリア教育の実施 A高年齢者のモチベーション向上に向けた取組や高年齢者の役割等の明確化(役割・仕事・責任の明確化) B高年齢者が活躍できる職場風土の改善、従業員の意識改革、職場コミュニケーションの推進 C高年齢者による技術・技能継承の仕組み(技術指導者の選任、マイスター制度、技術・技能のマニュアル化、若手社員や外国人技能実習生、障害者等とのペア就労や高年齢者によるメンター制度等、高年齢者の効果的な活用等) D高年齢者が働きやすい支援の仕組み(職場のIT化、DXを進めていく上での高年齢者への配慮、力仕事・危険業務からの業務転換) E新職場の創設・職務の開発 等 高年齢者が働き続けられるための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組 @作業環境や作業の改善(高年齢者向け設備の改善、作業姿勢の改善、休憩室の設置、創業支援等措置対象者への作業機器の貸出等) A従業員の高齢化に伴う健康管理・メンタルヘルス対策の強化(健康管理体制の整備、定期健康診断やストレスチェックの実施と結果に基づく就業上の措置、体力づくり、加齢に伴い増加する病気の予防教育や健診・検診、女性の健康課題も含めた健康管理上の工夫・配慮、若い世代からの健康教育等) B従業員の高齢化に伴う安全衛生の取組(安全衛生を進めるための体制整備、危険防止の措置、安全衛生教育) C福利厚生の充実(レクリエーション活動、生涯生活設計に関する専門家への相談) 等 ※1 「創業支援等措置」とは、以下の@・Aを指します。 @70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 A70歳まで継続的に、「a.事業主が自ら実施する社会貢献事業」または「b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業」に従事できる制度の導入 U 応募方法 1.応募書類等 (1)指定の応募様式に記入していただき、写真・図・イラスト等、改善等の内容を具体的に示す参考資料を添付してください。また、定年制度、継続雇用制度及び創業支援等措置並びに退職事由及び解雇事由について定めている就業規則等の該当箇所の写しを添付してください(該当箇所に、引用されている他の条文がある場合は、その条文の写しも併せて添付してください)。なお、必要に応じてJEEDから追加書類の提出依頼を行うことがあります。 (2)応募様式は、JEED各都道府県支部高齢・障害者業務課(※2)にて、紙媒体または電子媒体により配付します。また、JEEDのホームページ(※3)からも入手できます。 (3)応募書類等は返却いたしません。 (4)提出された応募書類の内容に係る著作権及び使用権は、厚生労働省及びJEED に帰属することとします。 2.応募締切日 令和8年2月27日(金)当日消印有効 3.応募先  JEED各都道府県支部高齢・障害者業務課(※2)へ郵送(当日消印有効)または連絡のうえ電子データにて提出してください。 ※2 応募先は本誌65ページをご参照ください ※3 URL:https://www.jeed.go.jp/elderly/activity/activity02.html ホームページはこちら V 応募資格 1.原則として、企業からの応募とします。グループ企業単位での応募は不可とします。  また、就業規則を定めている企業に限ります。 2.応募時点において、次の労働関係法令に関し重大な違反がないこととします。 (1)高年齢者雇用安定法第8条又は第9条第1項の規定に違反していないこと。 (2)令和5年4月1日〜令和7年9月30日の間に、労働基準関係法令違反の疑いで送検され、公表されていないこと。 (3)令和5年4月1日〜令和7年9月30日の間に「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」(平成29年1月20日付け基発0120第1号)及び「裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長による指導の実施及び企業名の公表について」(平成31年1月25日付け基発0125第1号)に基づき公表されていないこと。 (4)令和7年4月以降、職業安定法、労働者派遣法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、労働施策総合推進法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法等の労働関係法令に基づく勧告又は改善命令等の行政処分等を受けていないこと。 (5)令和7年の障害者雇用状況報告書において、法定雇用率を達成していること。 (6)令和7年4月以降、労働保険料の未納がないこと。 3.高年齢者が65歳以上になっても働ける制度等を導入し、高年齢者が持つ知識や経験を十分に活かして、いきいきと働くことができる職場環境となる創意工夫がなされていることとします。 4.応募時点前の各応募企業等における事業年度において、平均した1月あたりの時間外労働時間が60時間以上である労働者がいないこととします。 W 審査  学識経験者等から構成される審査委員会を設置し、審査します。  なお、応募を行った企業等または取組等の内容について、労働関係法令上または社会通念上、事例の普及及び表彰にふさわしくないと判断される問題(厚生労働大臣が定める「高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針」等に照らして事例の普及及び表彰にふさわしくないと判断される内容等)が確認された場合は、この点を考慮した審査を行うものとします。 X 賞(※4) 厚生労働大臣表彰 最優秀賞 1編 優秀賞 2編 特別賞 3編 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰 優秀賞 若干編 特別賞 若干編 クリエイティブ賞 若干編 ※4 上記は予定であり、各審査を経て入賞の有無・入賞編数等が決定されます。 Y 審査結果発表等  令和8年9月中旬をめどに、厚生労働省およびJEEDにおいて各報道機関等へ発表するとともに、入賞企業等には、各表彰区分に応じ、厚生労働省またはJEEDより直接通知します。  また、入賞企業の取組事例は、厚生労働省およびJEEDの啓発活動を通じて広く紹介させていただくほか、新聞(全国紙)の全面広告、本誌およびホームページなどに掲載します。 みなさまからのご応募をお待ちしています 過去の入賞企業事例を公開中! ぜひご覧ください! 「高年齢者活躍企業事例サイト」 JEEDが収集した高年齢者の雇用事例をインターネット上で簡単に検索できるWeb サイトです。「高年齢者活躍企業コンテスト表彰事例(『エルダー』掲載記事)」、「雇用事例集」などの、最新の企業事例情報を検索することができます。今後も、JEEDが提供する最新の企業事例情報を随時公開します。 高年齢者活躍企業事例サイト 検索 主催 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) JEEDでは厚生労働省と連携のうえ、企業における「年齢にかかわりなく生涯現役でいきいきと働くことのできる」雇用事例を普及啓発し、高年齢者雇用を支援することで、生涯現役社会の実現に向けた取組みを推進していきます。 【P60】 次号予告 3月号 特集 令和7年度 生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〜開催レポートU〜 リーダーズトーク 安江啓さん(岡三証券株式会社 理事 グループCHRO) 読者アンケートにご協力をお願いします! よりよい誌面づくりのため、みなさまの声をお聞かせください。 回答はこちらから 編集アドバイザー(五十音順) 池田誠一……日本放送協会解説委員室解説委員 猪熊律子……読売新聞編集委員 上野隆幸……松本大学人間健康学部教授 大木栄一……玉川大学経営学部教授 大嶋江都子……株式会社前川製作所 コーポレート本部総務部門 金沢春康……一般社団法人 100年ライフデザイン・ラボ代表理事 佐久間一浩……全国中小企業団体中央会事務局次長 丸山美幸……社会保険労務士 森田喜子……TIS株式会社人事本部人事部 山ア京子……立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授、日本人材マネジメント協会理事長 JEED メールマガジン 好評配信中! 詳しくは JEED メルマガ 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_elder 編集後記 ●今号の特集では、2025(令和7)年10月に開催された、「令和7年度生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」の開催レポートをお届けしました。2025年のシンポジウムは2回に分けて開催され、今号の「開催レポートT」は、10月16日に行われた「これからのキャリア形成支援 自律的キャリアはなぜ難しい?―ミドル・シニアの学ぶ意思をどう引き出すか」の内容となっています。  70歳就業時代を迎え、就業期間が延伸傾向にあるなか、役職定年や定年後再雇用により職責・役割や仕事内容が変わっていく状況のなかで、会社の戦力として活躍してもらうためには、60歳になってからはもちろん、40・50代のミドル年代から、キャリア自律の意識を磨き、自ら活躍の場を切り拓いていく姿勢が重要となります。もちろんそれだけではなく、企業側がそのための後押しをしていくことも欠かせません。このシンポジウムレポートがその一助になれば幸いです。  また、JEEDのYouTube公式チャンネルでは、当日収録した動画のアーカイブ配信を行っていますので、興味のある方はぜひそちらもご覧ください。 ●「令和8年度高年齢者活躍企業コンテスト」の応募締切は2月27日です。みなさまからのご応募をお待ちしています。 月刊エルダー2月号 No.555 ●発行日−−令和8年2月1日(第48巻 第2号 通巻555号) ●発行−−独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL 043(213)6200 (企画部情報公開広報課) FAX 043(213)6556 ホームページURL https://www.jeed.go.jp メールアドレス elder@jeed.go.jp ●編集委託 株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 TEL 03(3915)6401 FAX 03(3918 )8618 *本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。 (禁無断転載) 読者の声 募集! 高齢で働く人の体験、企業で人事を担当しており積極的に高齢者を採用している方の体験、エルダーの活用方法に関するエピソードなどを募集します。文字量は400字〜1000字程度。また、本誌についてのご意見もお待ちしています。左記宛てFAX、メールなどでお寄せください。 【P61-63】 技を支える vol.360 書の研鑽から生まれる「間合い」の美 印判師(いんばんし) 長澤(ながさわ)豊(ゆたか)さん(70歳) 「余白の均一感が大事。そのためには、字を構成する一つひとつの線や点の位置が重要です。この間合いが整わないと、よい判とはいえません」 「1ミリのなかに何本線を引けるか」の世界  上の写真では、36ミリ四方のスペースのなかに、コンマ数ミリの細い線で微細に表現された白鳳(はくほう)や大日如来(だいにちにょらい)が刻まれている。神奈川県横須賀(よこすか)市の印章(はんこ)専門店「一信堂(いっしんどう)印房(いんぼう)」の二代目、長澤豊さんが手がけた印章は、機械では決して再現できない精緻な仕上がりだ。その卓越した技能が認められ、長澤さんは令和7(2025)年度の「現代の名工」に選出された。  「1ミリのなかに何本線を引けるか。そういう世界です」  長澤さんのもとには、ほかでは対応できない依頼が舞い込む。ある自治体から依頼されたのは、縦4ミリ×横7ミリのサイズに自治体の名称の四文字を縦長の隷書体(れいしょたい)で彫る仕事だった。「機械では穴が開くだけ。よそではできない」という。また、絵と字を組み合わせたオリジナルの印章づくりを依頼されることも多い。  「細かい部分を彫るときも、頭のなかでは全体を俯瞰(ふかん)しています。自分が彫っている姿を、上から見ている自分がいる感覚です」 4年間の修業で「金賞」受賞 書道は40年以上学び続ける  長澤さんは子どものころから手先が器用で、先代の父親から店を継ぐようにいわれた。ものづくりが好きだったこともあり、家業を継ぐのは自然な成り行きだった。  高校卒業後、神奈川県印章高等職業訓練校に入学するとともに、横浜印章事業協同組合で4年間、修業に取り組んだ。同組合は市内三十数社の仕事を請け負う工場で、その5階に職業訓練校があった。平日は仕事のあとに練習し、土日は訓練校に通った。修業4年目、22歳のときに大阪印章技術展覧会で金賞を受賞。若くして彫りの技術を認められた。  しかし長澤さんは「彫ることは器用さでなんとかなる。でも字を知らないことには、よい印章はつくれない」と気づく。彫りの技術というハード≠セけでなく、字の知識というソフト≠熬bえなければならないと思い、書家に弟子入りをした。  「行書のように流れる書ではなく、楷書を得意とするその先生の書は、はんこ屋にぴったりでした。文字を置く位置が1センチずれてもダメなんです」  その厳しさは、方寸の枠に文字を配置する印章彫刻と通じるものがあった。以来、店の仕事と並行して40年以上にわたり書に打ち込んできた。師匠の指導を仰ぎながら毎週2日間は集中して書くことを続け、41歳で日展に念願の初入選を果たした。  長澤さんは「間合い」という言葉を大切にする。  「余白の均一感が大事。そのためには、字を構成する線や点の位置が重要です。この間合いを整えないと落ち着きませんし、よい判とは言えません」  書道で学んだ字の位置の感覚が、コンマ数ミリの世界に生きている。 技能を後進へ伝えることが自らの使命  長澤さんは後進の指導にも積極的だ。2017(平成29)年からは神奈川県印章研究会の主任指導員を務めている。これまで指導した生徒のなかからは、印章技術の全国競技会における大臣賞受賞者も輩出している。  「指導では、字の形を変えさせるのではなく、字の間合いだけを整え、その大切さに気づかせるようにしています。ヒントを与えるだけで、ぐんと伸びる人もいます。教えることで、少しでも若い世代の助けになればと思っています」  また、地域のコミュニティセンターでは、一般向けの篆刻(てんこく)教室を開催している。20名ずつの定員で3カ所で開いたところ、応募者が殺到した。  「趣味でやっている人のなかにもうまい人がいて、うれしくなっちゃいます」  「自分が持っている技術を、できるかぎり伝えていきたい」─唯一無二の印章を彫り続ける「現代の名工」は、その技を次世代につなぐことを、自らの使命と定めている。 有限会社一信堂印房 TEL:046(835)0692 https://www.hancoha.jp/iss.html (撮影・羽渕みどり/取材・増田忠英) 写真のキャプション 印章彫刻の技術を高めるため、書道にも打ち込んできた長澤さん。「書を学ぶことで、字の位置の大切さが非常によくわかるようになりました」 横須賀市久里浜(くりはま)商店街に店を構える「一信堂印房」は1948年創業 愛用の印刀と仕上げ刀。印刀は異なる太さのものを使い分ける。いずれも同じ太さの柄に自ら籐を巻いて、持ち替えても感触が変わらないようにしている 競技会の参考作品として作成した密刻「壺中天(こちゅうてん)」。周囲には後漢書の一説が得意の楷書体で彫られている。密刻とは、細かい文字や図案を精密に彫り上げる技術 印材を固定した篆刻台を回しながら印刀で彫り進めていく。道具は駆け出しのころから使い続けているものが多い かつて指導していた神奈川県印章高等職業訓練校の生徒たちの共同作品。長澤さんが原画を描き、生徒たちが分担して彫って完成させた 修業4年目に大阪・関東の印章技術展覧会「密刻の部」で受賞した作品。「氷壺玉鑑(ひょうこぎょくかん)」(上・大阪・金賞)と「天皇在位五十年」(関東・銅賞)(36ミリ角) 印章づくりの工程は、「字入れ」、「荒彫り」、「仕上げ」と進む。荒彫りでは広い部分を深く彫り、仕上げでは細かい部分を一刀彫りで仕上げる 【P64】 イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  著名な英医学雑誌『ランセット』(The Lancet)の常設委員会は、認知症の14のリスク要因を報告しています。それによると18 歳までの幼少期では、教育歴の短さがもっとも大きな影響を与えることがわかりました。つまり学校の勉強など、頭を使うことによってできる脳の豊富なネットワークは、脳を認知症から守ってくれるのです。脳の再活性化のために、今回の問題にも挑戦してみましょう。 第104回 魔方陣(まほうじん)3×3 目標 5分 1から9までの数を一度ずつ使って、タテ・ヨコ・ナナメに並ぶ3つの数の和が「15」になるように、空きマスに使われていない数を書きましょう。 @ 6   =15  5 3=15    =15 =15 =15 =15 =15 =15 A   8 9   2   B      5  6 1  C   6   1 4   数字を扱う人は認知機能が衰えにくい?  今回の脳トレは、数字を使うことによる脳の活性化を目的としています。数字を扱う活動は、量の比較やパターン認識、予測など多くの情報処理を必要とし、脳の広い範囲を刺激します。特に計算は、注意力やワーキングメモリ、論理的思考力を同時に使うため、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」を中心に血流が増え、脳機能が総合的に高まることが知られています。  また、数字を素早く読み取って答えを導く過程は、脳の可塑性を高め、継続するほど情報処理のスピードや柔軟性が向上します。これは子どもから高齢者まで効果があり、認知症予防や脳の老化抑制にも役立つと注目されています。特に高齢者においては、数字を扱う習慣がある人のほうが、そうした習慣がない人に比べて、認知機能の維持率が高いという報告もあります。  簡単な暗算や数字パズルをくり返すだけでも、脳のスイッチが「集中モード」に切り替わり、勉強や仕事に取り組む前のウォーミングアップとしても効果的です。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。人システム研究所所長、公立諏訪東京理科大学特任教授。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『何歳からでも間に合う 脳を鍛える方法』(徳間書店)など著書多数。 【問題の答え】 @ 618 753 294 A 438 951 276 B 294 753 618 C 276 951 438 【P65】 ホームページはこちら (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  JEEDでは、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。 2026年2月1日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒263-0004 千葉市稲毛区六方町274 千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 高知支部高齢・障害者業務課 〒781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 福岡支部高齢・障害者業務課 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 佐賀支部高齢・障害者業務課 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 長崎支部高齢・障害者業務課 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 熊本支部高齢・障害者業務課 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 大分支部高齢・障害者業務課 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 宮崎支部高齢・障害者業務課 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 鹿児島支部高齢・障害者業務課 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 沖縄支部高齢・障害者業務課 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 【裏表紙】 令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト 〜生涯現役社会の実現に向けて〜 ご応募お待ちしています 高年齢者がいきいきと働くことのできる創意工夫の事例を募集します 主催 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)  高年齢者活躍企業コンテストでは、高年齢者が長い職業人生の中でつちかってきた知識や経験を職場等で有効に活かすため、企業等が行った創意工夫の事例を広く募集・収集し、優秀事例について表彰を行っています。  優秀企業等の改善事例と実際に働く高年齢者の働き方を社会に広く周知することにより、企業等における雇用・就業機会の確保等の環境整備を図り、生涯現役社会の実現に向けた気運を醸成することを目的としています。  高年齢者がいきいきと働くことができる創意工夫の事例について多数のご応募をお待ちしております。 取組内容 募集する創意工夫の事例の具体的な例示として、以下の取組内 容を参考にしてください。 1.高年齢者の活躍のための制度面の改善 2.高年齢者の意欲・能力の維持向上のための取組 3.高年齢者が働きつづけられるための作業環境や作業の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組 主な応募資格 1.原則として、企業単位の応募とします。グループ企業単位での応募は不可とします。また、就業規則を定めている企業に限ります。 2.応募時点において、労働関係法令に関し重大な違反がないこととします。 3. 高年齢者が65歳以上になっても働ける制度等を導入し、高年齢者が持つ知識や経験を十分に活かして、いきいきと働くことができる環境となる創意工夫がなされていることとします。 4.応募時点前の各応募企業等における事業年度において、平均した1カ月あたりの時間外労働時間が60時間以上である労働者がいないこととします。 各賞 【厚生労働大臣表彰】 最優秀賞 1編 優秀賞 2編 特別賞 3編 【独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰】 優秀賞 若干編 特別賞 若干編 クリエイティブ賞 若干編 ※上記は予定であり、各審査を経て入賞の有無・入賞編数などが決定されます。 応募締切日 令和8年2月27日(金) お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)各都道府県支部 高齢・障害者業務課 ※連絡先は65ページをご覧ください。 ※詳細は本誌58・59ページ、またはJEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/elderly/activity/activity02.html 2026 2 令和8年2月1日発行(毎月1回1日発行)第48巻第2号通巻555号 〈発行〉独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 〈編集委託〉株式会社労働調査会