BOOKS 定年年齢引上げと人的資源管理など、いま知っておきたいテーマが幅広く学べる 働く人と組織のための人的資源管理 人的資本経営時代の基礎知識 全国社会保険労務士会連合会編、山本(やまもと)寛(ひろし)編著/中央経済社/4400円  人手不足と採用難を背景に雇用の多様化が進むなか、企業などの組織における人的資源管理の位置づけが重要性を増している。  本書では、人的資源管理について「組織が経営上の資源である従業員をどのようにマネジメントしているか、そして従業員がいかに働きがいをもって働いているかなどの問題」と整理している。そのうえで、採用から評価、退職管理などに加え、労使関係や労働安全衛生など労務管理に関する分野までバランスよく取りあげ、タレントマネジメント、従業員エンゲージメント、キャリア自律といった、新しい課題についても網羅し、例えば、退職管理の章では、定年制の機能や、定年年齢引上げと人的資源管理などをわかりやすく解説している。  さらに、リモートワークや1on1、社内公募制度、アルムナイ制度、多様なハラスメント対策など、現代の組織で具体的に検討、実施されているマネジメントを多数取りあげていることも本書の特徴としてあげられよう。また、新しいリーダーシップ理論、学術的な理論やモデルに基づく新しい考え方や概念についてもカバーしている。いま知っておきたい人的資源管理の基礎知識が詰まった好著であり、テキストとなっている。 人事業務の初心者向けの入門書。全体の流れから困ったときの対処法まで身につく ひとり人事から中堅企業まで使える 人事1年目の教科書 岡田(おかだ)英之(ひでゆき)著/生産性出版/2200円  著者は、コンサルタントなどとして30年間、人事およびコンサルティング業務に従事した経験を持ち、中小規模企業でのひとり人事や中堅規模企業の人事に精通している。そして、「人事のやりがいはなんですか」と問われて、ひと言で答えるなら、「幸せな社員をたくさんつくること」と本書で答えている。幸せな社員が増えていくと、業績も向上し、仕事の成果や達成感も高まり、職場が活性化するからだという。  本書は、人事業務のやりがいや仕事内容、また、ひとり人事という視点から、組織と人事マネジメントについて体系的に説明していく。ここでいう「ひとり人事」とは、「組織内でひとりか2〜3名の人数で、すべての人事関連業務をまわす担当者」を想定しているという。読者対象は、社会人経験1年目から数十年までと幅広いが、いずれも人事業務にはじめて就く人を想定し、人事業務の「全体の流れ」を理解する第1章から、現場の「困りごと」、「緊急事態」への対処を取りあげた第6章まで、人事の仕事に取り組むうえで役立つ考え方や取り組む姿勢などについて詳解。随所に「復習問題」が提示され、理解が進む。きちんと業務を遂行する力を身につけたい人におすすめの教科書である。 1日1ページ楽しく解いて、もの忘れ・認知症を予防! 楽しみながら脳を活性化! 大人の漢字ドリル200日いきいき脳活編 篠原(しのはら)菊紀(きくのり)監修/イースト・プレス/1320円  「物忘れが増えた」、「考えがまとまりにくくなった」など、歳をとると体力だけでなく、脳の働きにも衰えを自覚することがある。それでも、あきらめてはいけない。脳は使うことで活性化し、使えば使うほど元気になるからだ。  監修の篠原菊紀さんは、著名な脳科学者で、本誌では「イキイキ働くための脳力アップトレーニング!」(64ページ)を長期連載中だ。  篠原さんは、脳も筋肉と同じで鍛えることができること、その効果は長く持続することがわかっていると説き、「ある研究では、2千人の高齢者が週1回60分の脳トレを1年間続けたところ、5年後でも効果が持続していました」と紹介している。そして脳トレのポイントは、「毎日続けること」だと、篠原さんは強調する。  本書は1日1ページ、5〜10分程度でできる漢字の読み書きやパズル、難読漢字、ことわざなどの問題を200日分掲載。問題のバリエーションが豊富なうえ、ページが大判で見やすく、書き込みもしやすい。さらに、毎日楽しく脳トレをして、脳の力と語彙力が向上するという、一挙両得の大人向け漢字ドリルである。  脳の衰えを感じる前に、すぐに手に取ってチャレンジすることをおすすめしたい。 ワークルール研修にも活用できる、労働法マニュアルの最新版! 労働法の基本〔第3版〕 本久(もとひさ)洋一(よういち)、小宮(こみや)文人(ふみと)、淺野(あさの)高宏(たかひろ)編著/法律文化社/2860円  本書は、大学および各種専門学校などにおける労働法の講義や、社会人向けのワークルール研修などの場で活用できる、「労働法のマニュアル」としてまとめられた。第2版を2021(令和3)年に刊行して以降の、法令や裁判例の最新動向に対応した最新版である。  全320ページの内容は、第T部「労働法の基礎」にはじまり、「労働法とは何か」、「労働者とは誰か、使用者とは誰か」などを解説。続いて、第U部「労働契約法」、第V部「労働保護法」、第W部「労働組合法」まで、大きく4部で構成されている。法制度の意義や要件、効果の解説に加え、労働法を学ぶうえで欠かすことのできない重要判例を75件ほど精選し、「囲み判例」という形で、事実・判旨をきちんと記載。本文と一体化させた構成で理解を深めやすくしているうえ、必要に応じて「より深く学ぶための道案内」も記載されている親切な内容だ。  執筆陣は、編者3人を含む14人。テーマに準じて専門の研究者、実務家、学会の重鎮、清新な若手を集めた「理想の執筆陣」を実現したという。学生のみならず、初めて人事労務を担当した人や最新の情報を含めて労働法をおさらいしたい人にも価値ある一冊といえるだろう。 50代以降の仕事選びとは? 心構えや現実、さまざまな仕事の実情に迫る この先の、稼ぎ方がわからない。 50歳から考えるお仕事図図鑑 門賀(もんが)美央子(みおこ)著/清流出版/1760円  改正高年齢者雇用安定法の趣旨が浸透し、70歳まで働ける企業が徐々に増えてきている。とはいえ、変化の激しいこの時代に、いま働いている会社で70歳まで勤め続けられると確信が持てる50代はどれくらいいるだろうか。  本書は、おもに50歳以上の人に向けて、人生100年時代を生き抜くための将来の生活に対する不安を直視。前半は、自身を取り巻く現実の厳しさに気づいた著者が、自らのこととしてハローワークに行くなどして中高年齢者の仕事事情をチェック。この先の仕事選びの考え方や心構えを探っている。  後半は、大人の仕事図鑑と題して、「特別なスキルはなくてもできる仕事」、「新地平を目指す仕事」、「国境を越えた仕事」、「新しい自分に出会う仕事」などの視点から、具体的な仕事をあげて、リスクやデメリットを含めた実情に迫る。例えば、家庭内労働を外注することが珍しくなくなったいま、家事代行の仕事に着目。就業形態や想定年収、必要な技能、参入方法などを説明している。ほかにも在宅仕事、コンビニエンスストアの店員などさまざまな仕事を取りあげている。50代や60代における働き方を考える際のヒントが見つかりそうだ。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します