特別寄稿 「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査」結果概要 公益財団法人産業雇用安定センター  高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業確保措置が事業主の努力義務となるなか、いわゆる「ミドルシニア」世代におけるセカンドキャリア選択は、本人のみならず企業がシニア人材の活躍のあり方を考えるうえでも、重要になると考えます。  そこで、公益財団法人産業雇用安定センター(愛称:「ジョブ産雇(さんこ)」)では、従業員300人以上の企業に勤務する、45歳以上60歳未満の社員計900人を対象に、セカンドキャリアに関する意識調査を行いました。  本稿ではその調査結果を紹介し、ミドルシニア世代が60歳以降のあり方を見すえたセカンドキャリアの選択について考え、また、シニア人材の経験・能力の活用を考える企業が人材の確保と活用戦略を検討するにあたっての参考になればと考えます。 【本調査の対象者】 「60歳定年−65歳までの継続雇用制度」を有する従業員数300人以上の企業に15年以上勤務する45歳から60歳未満の計900人(45歳から5歳区分ごとの対象者は各300人となるように収集) 1 今後の働き方に対するイメージ  ミドルシニア世代の今後の働き方に対するイメージは、「まだ決めていない」(31.3%)がもっとも多い(45ページ図表1上図)。  それを除いた回答全体を100とすると、「定年前・定年時・雇用延長後に転職(独立)希望」(計32.9%)、「雇用延長後に退職希望」(34.5%)、「定年時に退職希望」(32.7%)がほぼ同率で、働き方の選択が三極化しています。年齢層別にみると、50代後半層では、「定年をもって働くのをやめたい」(22.9%)と考える層が他の年齢層に比べて少なく、「定年前」、「定年時」、「雇用延長後」のいずれかのタイミングで転職を希望する者が多いこと(39.3%)が特徴として表れています(45ページ図表1下図)。 2 定年前、または定年を機に転職を希望する者の転職動機  1で「定年前に転職(独立)したい」、または「定年を契機に転職(独立)したい」と回答した者の動機を年齢層別にみると、40代後半層は「スキル等を生かして活躍したい」(42.9%)、50代前半層では「新しい仕事に挑戦したい」(45.2%)がそれぞれ4割超で最多となる一方、50代後半層では、「新しい仕事に挑戦したい」(26.4%)と、「定年等によって処遇が大きく下がるから」(24.5%)がほぼ拮抗しました(45ページ図表2)。  全体としてセカンドキャリアを新しいキャリアの挑戦ととらえる者が多い一方で、処遇低下への不安などが転職希望に影響している様子もうかがえます。 3 定年後は同じ会社で雇用延長したいとする者の希望理由  1で「定年後に同じ会社(グループ)で雇用延長する」を選んだ者にその理由をたずねたところ、全ての年齢層で「自らのスキル・経験を生かせるから」がもっとも多いが、50代後半層では「転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから」(17.9%)など転職への不安を理由とする者(計46.4%)がほかの年齢層に比べて高かった(図表3)。 4 「今の会社で働くのをやめたい」とする層は中小企業等への挑戦をどう考えているか  1で「定年時に退職希望」、「雇用延長後に退職希望」、「まだ決めていない」と答えた者に中小企業、NPOへの挑戦の意向をたずねたところ、「今の会社で働くのをやめたい」(50.6%)が半数を占める一方、「自分の知識・経験が必要とされれば挑戦してもよい」(19.5%)、「自分に合った職場があれば挑戦してもよい」(18.4%)と中小企業等への挑戦に前向きな回答も4割近くあった(図表4上図)。中小企業への挑戦に前向きな回答は、企業規模が大きいほど多かった(図表4下図)。 5 転職(独立)に役立つと考える会社の支援  1で定年前・定年時・雇用延長後に転職(独立)を希望する者、および4で中小企業等に挑戦してもよいと回答した者に、転職(独立)に役立つと考える会社の支援をたずねたところ、「ライフセミナーの実施」(27.1%)、「出向を利用した転職支援などの制度」(25.4%)のほか、スキルアップ支援や、転職事例の提供、兼業・副業制度など幅広い項目に回答が分散した(図表5)。 公式キャラクター サイジョブさん ◆公益財団法人産業雇用安定センターホームページ https://www.sangyokoyo.or.jp/ 図表1 今後の働き方に対するイメージ 「まだ決めていない」が最多 他社への転職、定年時の退職、雇用延長後の退職を希望する者がほぼ同率 全体:n=900 単位(%) 全体 定年前に、転職または独立したい 5.3% 定年を契機に、転職または独立したい 9.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 7.3% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 23.7% 定年をもって働くのをやめたい 22.4% まだ決めていない 31.3% 単位(%) 全体(n=618)(まだ決めていない層を除く) 定年前に、転職または独立したい 7.8% 定年を契機に、転職または独立したい 14.4% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 10.7% 合計32.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 34.5% 定年をもって働くのをやめたい 32.7%※ほぼ同率 45〜49歳(n=201) 定年前に、転職または独立したい 9.5% 定年を契機に、転職または独立したい 11.4% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 9.0% 合計22.9% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 37.3% 定年をもって働くのをやめたい 32.8% 50〜54歳(n=203) 定年前に、転職または独立したい 6.9% 定年を契機に、転職または独立したい 13.8% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 8.4% 合計29.1% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 28.1% 定年をもって働くのをやめたい 42.9% 55〜59歳(n=214) 定年前に、転職または独立したい 7.0% 定年を契機に、転職または独立したい 17.8% 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこから転職または独立したい 14.5% 合計39.3%※他年齢層より高い割合 定年後は同じ会社(グループ)で雇用延長し、そこで働くのをやめたい 37.9% 定年をもって働くのをやめたい 29.9% 図表2 定年前・定年時に転職を希望する理由 「スキル・経験を生かして活躍したい」、「新しい仕事に取り組みたい」が多いが、50代後半層では「役職定年や定年で処遇が大きく下がる」が多くなる 単位(%) 全体(n=137) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 26.3% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 33.6% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 11.7% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 7.3% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 19.0% その他 2.2% 45〜49歳(n=42) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 42.9% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 31.0% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 9.5% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 2.4% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 14.3% 50〜54歳(n=42) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 16.7% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 45.2% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 16.7% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 4.8% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 16.7% 55〜59歳(n=53) スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したいから 20.8% これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたいから 26.4% 家族の事情(親の介護・孫の世話など)に合わせた働き方をしたいから 9.4% 会社に残ると希望しない仕事をしないといけなくなるから 13.2% 役職定年や定年によって処遇が大きく下がるから 24.5% その他 5.7% ※新しい仕事への挑戦意欲と処遇低下への不安が拮抗 図表3 定年後は同じ会社で雇用延長したいとする者の希望理由 「スキル・経験を生かせるから」が多いが、50代後半層では転職活動の不安を理由とする者が多い 単位(%) 全体(n=279) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 40.9% 働きやすい職場だから 19.0% 新しい職場に馴染めるか不安だから 12.5% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 6.1% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 10.8% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 10.4% その他 0.4% 45〜49歳(n=93) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 37.6% 働きやすい職場だから 25.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 18.3% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 5.4% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 6.5% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 6.5% 合計36.7% 50〜54歳(n=74) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 55.4% 働きやすい職場だから 10.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 10.8% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 2.7% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 16.2% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 4.1% 合計33.8% 55〜59歳(n=112) 自らのスキルや経験を今の会社で生かせるから 33.9% 働きやすい職場だから 18.8% 新しい職場に馴染めるか不安だから 8.9% 労働市場でアピールできるスキルや経験が無いと思うから 8.9% 中・高齢期の転職は難しいと思うから 10.7% 転職すると待遇や労働条件が悪くなる恐れがあるから 17.9% 合計46.4% ※他の年齢層に比べて高い その他 0.9% 図表4 中小企業でのセカンドキャリア挑戦意欲 約4割が中小企業に挑戦してもよいと回答 単位(%) 全体(n=697) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 19.5% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 18.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.5% 今の会社をもって働くのをやめたい 50.6% 定年後は同じ会社で雇用延長し、そこで働くのをやめたい(n=213) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.5% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 23.9% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 16.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 37.6% 定年をもって働くのをやめたい(n=202) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 12.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 10.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 4.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 73.3% まだ決めていない(n=282) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.3% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 19.9% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 13.5% 今の会社をもって働くのをやめたい 44.3% 規模が大きい企業の社員のほうが挑戦意欲が高い 単位(%) 全体(n=763) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 20.8% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 21.1% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.1% 今の会社をもって働くのをやめたい 46.9% 300〜999人以下(n=259) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 16.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 20.5% 合計37.1% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 13.9% 今の会社をもって働くのをやめたい 49.0% 1,000〜4,999人(n=250) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 23.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 20.0% 合計43.6% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 8.0% 今の会社をもって働くのをやめたい 48.4% 5,000人以上(n=254) 自分の知識・経験を必要とする中小企業・NPOがあれば挑戦してもよい 22.4% 中小企業等で生かせる知識・経験はないが自分に合った職場があれば挑戦してもよい 22.8% 合計45.2% 中小企業等で生かせる知識・経験はなく挑戦するつもりはない 11.4% 今の会社をもって働くのをやめたい 43.3% 図表5 転職(または独立)に役立つと考える会社の支援 生活設計から転職支援まで多様な要望 全体:n=457 単位(%) 定年後の年金、資産管理などのライフセミナーの実施 27.1% リスキリングなどのスキルアップ支援 21.9% 労働市場の情報や求人情報、転職事例などの提供 22.1% 具体的な転職先の紹介、出向を利用した転職支援などの制度 25.4% 副業・兼業など多様な働き方が可能な仕組みの整備 21.7% OBや専門家による相談・支援サービスの整備 8.5% その他 0.2% 特にない 35.0%