TOPIC1 新たな「高年齢者等職業安定対策基本方針」を策定 厚生労働省 職業安定局 高齢者雇用対策課  人口減少と高齢化が進むわが国においては、働く意欲のある高年齢者が年齢にかかわらず、その希望や能力に応じて、活躍し続けられる環境を整備していくことがいっそう求められています。このため、厚生労働省では、2026(令和8)年度から2029年度までの4年間にわたる高年齢者の就業機会の増大に関する目標を設定するとともに、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本等を示した新たな「高年齢者等職業安定対策基本方針」を策定し、2026年3月31日に公表しました。その概要を抜粋して紹介します(編集部)。 策定の趣旨 ●「高年齢者等職業安定対策基本方針」(以下「基本方針」という。)は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)第6条第1項に基づき、厚生労働大臣が、人口や高齢化の推移、高年齢者の雇用・就業の状況等を踏まえ、就業率等の今後の高年齢者の就業機会の増大に係る目標を設定するとともに、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本等を策定するもの。 ●現行の基本方針の対象期間は、令和3年度〜令和7年度までの5年間とされており、本年度がその最終年度となることを踏まえ、令和8年度からの新たな基本方針を策定する。 ●労働政策審議会(雇用対策基本問題部会)における議論(1月21日)を経て、労働政策審議会(3月11日 雇用対策基本問題部会・3月27日 職業安定分科会)に諮問。新たな基本方針は妥当との答申を得て、3月31日に告示、令和8年4月1日より適用。 新たな「高年齢者等職業安定対策基本方針」の概要 1 高年齢者の就業の動向に関する事項 @人口及び労働力人口の高齢化 ・65歳以上の高年齢者の人口は、2040年には推計3928万人(20年間で約325万人増加)、2.9人に1人が65歳以上の高年齢者となる見込み。 A高年齢者の雇用・就業の状況 ・高年齢者の就業率(2024年)は、60〜64歳層が74.3%(2014年比:13.6pt上昇)、65歳〜69歳層が53.6%(2014年比:13.5pt上昇)。諸外国と比べ群を抜いて高い水準。 B高年齢者に係る雇用制度の状況 ・70歳までの就業確保措置の実施率(2025年)は34.8%。 ・企業における定年後の賃金水準について、定年前の8割以上とする企業が2024年は39.6%(2019年比:15.1pt上昇)。 C高年齢者の職業能力開発の状況 D高年齢者の労働災害の状況 ・労働災害の発生率が高く、加齢に伴い労働災害発生リスクが高まる傾向にある。 E高年齢者の就業意欲 ・「70歳位まで」又はそれ以上の年齢まで仕事をしたいと考える者は8割超。 2 高年齢者の就業の機会の増大の目標に関する事項 令和11年(2029年)までに、高齢社会対策大綱(令和6年9月13日閣議決定)で示された以下の政策目標の達成を目指す ▲60〜64歳の就業率79.0%以上(2024年実績:74.3%) ▲65〜69歳の就業率57.0%以上(2024年実績:53.6%) ▲70歳までの就業確保措置の実施率40.0%以上(2025年6月1日現在実績:34.8%) 3 事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項 @事業主が行うべき諸条件の整備に関する指針 ・作業施設の改善等、高年齢者の知識・経験等を活用できる配置・処遇の推進等 A再就職の援助等に関する指針 ・再就職援助措置の実施、ハローワーク等による支援の積極的な活用等 B職業生活の設計の援助に関する指針 ・職業生活の設計に必要な情報の提供・相談等、キャリア形成の支援 4 高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項 @高年齢者雇用確保措置等の円滑な実施のための施策の基本となるべき事項 ▲65歳までの雇用確保措置(義務) ・令和7年4月に全面施行した「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」について、全ての企業で確実に実施されるよう指導等を徹底。 ・意欲と能力に応じた雇用の確保を図るため、賃金・人事処遇制度を見直し、高齢期の処遇改善等に取り組む企業への助成措置を強化。 ・高齢期を迎える就職氷河期世代の将来を見据えた支援に取り組み、定年前に有期雇用労働者の無期雇用への転換を図る企業への助成措置を強化。 ▲70歳までの就業確保措置(努力義務) ・企業の実情を踏まえつつ、政策目標の達成に向け70歳までの就業確保措置の更なる普及・拡大を図るための企業への助成措置を強化。 ・雇用契約によらない創業支援等措置は、高年齢者雇用安定法の指針やフリーランス新法の遵守が図られるよう企業への指導を徹底するとともに、高齢期の特性やニーズを踏まえた多様な就業選択が可能となるよう、好事例の普及、制度の活用を図る。 ▲定年後継続雇用時の待遇の確保 ・見直し後の「同一労働同一賃金指針」の周知及び指導を図り、不合理な待遇の相違の解消に向けた法の履行確保の一層の徹底を図る。等 A高年齢者の再就職の促進のための施策の基本となるべき事項 ▲ハローワークの生涯現役支援窓口※における再就職支援等 ・高齢期の多様なニーズに応じたきめ細かなマッチングの推進に加え、関係機関と連携したハローワークへの誘導、65歳以降のセカンドキャリア研修の実施等、在職中からの支援に取り組むとともに、高齢期を見据えたキャリア形成、AI・デジタルの進展を踏まえた能力開発支援に取り組む。等 Bその他高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項 ▲シルバー人材センター等による多様な就業機会の提供 ・高年齢者の多様な就労・社会活動のニーズを、各種産業の人材ニーズや地域課題とマッチングし、健康状態に合わせ活躍できる社会参加の促進や高齢女性、ホワイトカラーのニーズを踏まえた就業先の拡大等、シルバー人材センター事業の活性化等により、高齢期の幅広い活躍機会を提供。 ▲高年齢者が安心・安全に働ける職場環境の推進 ・高年齢者に作業環境の改善等の措置を講じることが事業者の努力義務とされたことから、改正安衛法に基づく指針の事業者への周知指導に取り組む。等 ※全国の主要なハローワーク300箇所に設置する高年齢者の再就職を重点的に支援する専門窓口