BOOKS 大人気シリーズ最新刊!「人を幸せにする経営」を実践する5つの会社の物語 日本でいちばん大切にしたい会社9 坂本(さかもと)光司(こうじ)著/あさ出版/1694円  2008(平成20)年に第1巻を刊行して以降、発刊のたびに話題を集めてきた「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの最新刊。「人を大切にする経営学会」会長で経営学者の著者が8500社超の企業を訪問して、「人を幸せにする経営」を実践している企業を全国から厳選し、そのありのままの姿を、ていねいにヒアリングをして本シリーズで紹介している。  人を幸せにする経営とは、社員とその家族の幸せを重視し、続いて、「社外社員」、「現在顧客と未来顧客」、「地域住民、とりわけ障がい者などの社会的弱者」、「株主・支援機関・地域社会」の幸せを実現する経営を進めることとしている。  本書では、パート従業員が社長になり、新商品の企画開発などで小さなクリーニング会社を北海道有数の「いい会社」に育て上げた札幌市の会社の事例や、誘致した企業が倒産したため、町の有志が若者のために企業の再生に取り組み、紆余曲折を経ながら「関係する人々を幸せにすること」を経営の柱にして挑戦し続け、超優良企業としてよみがえった島根県の金属部品を製造・販売する会社の事例など5社を紹介。  企業経営の目的や働き方などについて、多くの気づきやヒントが得られる良書である。 ロールモデルのない働く女性たち。その定年後を考える一冊 女性たちの定年後 ―お金・仕事・暮らしのリアル 坊(ぼう)美生子(みおこ)著/祥伝社/1155円  1986(昭和61)年に「男女雇用機会均等法」が施行されてから丸40年。当時採用された女性たちが近年続々と定年を迎えており、これからも増えていくことが見込まれている。  40年前は、職場では結婚・出産を機に女性が退職し、育児に専念することが主流であった。働く女性たちの多くは、そのことに悩みながら退職するか、仕事と家庭の両立に努めるか、あるいは未婚などの生き方を選択してきた。退職後に子育てが落ち着いてから再就職した女性も多い。その道筋は一人ひとり異なり、おもに仕事一筋で働いてきた男性たちとも異なる。  本書は、中高年女性のライフデザインを研究してきた著者が、ロールモデルのない女性たちの定年後に向き合い、その最新の状況や年金の男女差、雇用制度が生み出してきたキャリア格差などを解説。さらに、働く11人の女性のライフストーリーを、取材をもとに仕事、お金、親の介護、住まいなど幅広い観点から紹介する。65歳以上の女性の2人に1人はシングルという現実をふまえ、「長寿・おひとりさま時代」の女性の生き方、働き方も考えている。女性はもちろん、女性の能力発揮に取り組む企業の経営層や人事担当者にも一読を推奨したい。 人事管理のこれまでをふり返り、これからを展望するためのテキスト 人事管理 人と企業,ともに活きるために[第2版] 江夏(えなつ)幾多郎(いくたろう)・平野(ひらの)光俊(みつとし)著/有斐閣/2640円  人口減少による人手不足を受けて、日本の企業では、賃上げによる採用力強化やダイバーシティ経営などが注目され、その実施にともない、人事管理を見直す動きが広がりつつある。  本書は、企業が経営を持続させながら、従業員一人ひとりが職業生活を充実させるために、人事管理のこれまでをふり返り、これからを考えるためにまとめられた一冊。2018(平成30)年に刊行された初版を7年ぶりに改訂したもので、2020年代中盤の日本の人事管理の現状に即したデータにあらため、関連する理論の紹介も新たにした。そして、「経営の視点」と「人の視点」の接合を模索しつつ、人的資源管理論の知見に基づいて人事管理の実務を解説する。  高齢者雇用の推進に向けた人事管理の改革については、「年功パラダイム」から「発揮実力パラダイム」への移行を掲げ、そのための仕組みや退出のルールを明確にすること、継続的なキャリア開発などについて言及している。また、生涯現役社会の実現に向けて、企業による雇用に限定しない、多様な就業経路の整備が不可欠になる、とも説いている。  人事管理の実務をになう企業の担当者や経営層に多くの示唆を与えてくれる内容である。 仕事も時間も人づきあいも、60歳からが楽しみになる一冊 60歳からの人生を変える22の発想 医師をやりながらベストセラーを出した僕の方法 松永(まつなが)正訓(ただし)著/小学館/1100円  著者は1961(昭和36 )年生まれの小児外科の開業医であり、作家としても活躍し、小学館ノンフィクション大賞や日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞している。  60歳を過ぎて体力、記憶力、感動力の衰えを痛感した著者だが、安易な方向に流されるのではなく、毅然と立ち上がることを決意。ポジティブな気持ちで考えたことを実践したら、「仕事も余暇の過ごし方も以前より楽しくなった」と綴っている。本書は、60歳からどう生きるかを、著者自身の人生を土台にして考え、「仕事をおもしろくする」、「時間を飼いならす」、また、「人は宝。自分から動けば、思わぬ出会いが次々にやってくる」を柱として、人生を変えていくシンプルで実効性がある22の処方箋を示す。「儲けるより大事なのはスマートに仕事をすること」、「自分の仕事の楽しさを再確認してみる」、「時間を無駄に使わない生き方を選ぶ」、「自分から恩師を作って人生を豊かにする」など、すぐに実践できそうな方法や発想が盛りだくさん。  本書は、医療従事者専用サイト「m3.com」で連載されたエッセイをもとにしており、加齢とともに右肩下がりになりがちな人生を前向きに生きるためのヒントに満ちている。 違反を引き起こすとき、人の心がどう動くのかをやさしく解説 なぜコンプライアンス違反はなくならないのか? 〜法と心理の観点から読み解く〜 波戸岡(はとおか)光太(こうた)著/日本生産性本部生産性労働情報センター/2420円  企業や組織で起きた不祥事の報道などに触れると、「なぜそんなことを」と外側からは批判的に見てしまいがちだ。だが、法律やルールを知っていても、人はコンプライアンス違反を「起こしてしまう」のだという。一体、なぜなのか。  本書は、数多くの企業事例と向き合ってきた弁護士・ビジネスコーチの著者が、コンプライアンス違反の奥にある、だれもが影響を受けている「人の心理」について身近な事例をあげて説くとともに、関連する法律や、企業がコンプライアンス違反を防止する体制を整えるために必要なポイントなどを、ていねいに解説する。  多くのコンプライアンス違反の背景には、人として備わっている自然な心理や、集団・組織内だからこそ強まる心の作用が存在しているという。その一つとして著者は「長年の経験と勘」にまつわる事例をあげている。経験とそれに裏打ちされた勘は組織にとって貴重な財産ではあるが、ときに「これまで問題がなかったから」という思考が働き、誤った方向に導かれていく危険がひそんでいる。これは、熟練者が活躍する職場だからこそ、気をつけたいことがあるという事例だ。さまざまな「人の心理」を本書で学び、職場に適した有効な対策を整えていきたい。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します