労務資料 生活設計と年金に関する世論調査 (令和5年11月調査) 内閣府  内閣府では、生活設計と年金に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とするため、2023(令和5)年11月に実施した「生活設計と年金に関する世論調査」の結果を公表しました※。  同調査は、全国18歳以上の日本国籍を有する者5000人を対象に、老後の生活設計や公的年金・私的年金への意識やニーズについて調査したもので、有効回収数は2833人でした。今回は同調査の結果を抜粋して紹介します(編集部)。 1 老後の生活設計について ●何歳まで仕事をしたいか、またはしたか(図表1)  何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいと考えるか、既に退職し、今後働く予定のない場合は、何歳頃に収入を伴う仕事を退職したか聞いたところ、「50歳以下」と答えた者の割合が7.8%、「51歳〜60歳」と答えた者の割合が14.8%、「61歳〜65歳」と答えた者の割合が28.5%、「66歳〜70歳」と答えた者の割合が21.5%、「71歳〜75歳」と答えた者の割合が11.4%、「76歳〜80歳」と答えた者の割合が6.1%、「81歳以上」と答えた者の割合が3.6%、「これまで働いておらず、これから働く予定もない」と答えた者の割合が2.0%となっている。  性別に見ると、「51歳〜60歳」と答えた者の割合は女性で、「66歳〜70歳」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。  年齢別に見ると、「51歳〜60歳」と答えた者の割合は50歳代で、「61歳〜65歳」と答えた者の割合は18〜29歳から50歳代で、「66歳〜70歳」と答えた者の割合は60歳代で、「71歳〜75歳」と答えた者の割合は70歳以上で、それぞれ高くなっている。 ●その年齢で退職したい、またはした理由(図表2)  収入を伴う仕事を「61歳〜65歳」、「66歳〜70歳」、「71歳〜75歳」、「76歳〜80歳」、「81歳以上」までしたい、またはしたと答えた者(2016人)に、その年齢まで働きたい理由は何か、既に退職した場合は、退職した年齢まで働いた理由は何か聞いたところ、「生活の糧を得るため」を挙げた者の割合が75.2%と最も高く、以下、「いきがい、社会参加のため」(36.9%)、「健康にいいから」(28.7%)、「時間に余裕があるから」(14.6%)などの順となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位4項目まで掲載)  性別に見ると、「いきがい、社会参加のため」、「健康にいいから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。  年齢別に見ると、「生活の糧を得るため」を挙げた者の割合は40歳代、50歳代で、「いきがい、社会参加のため」を挙げた者の割合は50歳代、60歳代で、「健康にいいから」を挙げた者の割合は60歳代で、「時間に余裕があるから」を挙げた者の割合は60歳代、70歳以上で、それぞれ高くなっている。 ●老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(図表3)  老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけているか聞いたところ、「全面的に公的年金に頼る」と答えた者の割合が26.3%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた者の割合が53.8%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた者の割合が11.7%、「公的年金には全く頼らない」と答えた者の割合が1.6%となっている。  性別に見ると、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた者の割合は女性で、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。  年齢別に見ると、「全面的に公的年金に頼る」と答えた者の割合は70歳以上で、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた者の割合は40歳代から60歳代で、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた者の割合は18〜29歳から40歳代で、それぞれ高くなっている。 ●老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産(図表4)  老後に向け、公的年金以外の資産をどのように準備したいと考えるか、または、準備をしてきたか聞いたところ、「預貯金」を挙げた者の割合が67.6%と最も高く、以下、「退職金や企業年金」(32.9%)、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」(20.9%)、「民間保険会社などが販売する個人年金」(14.5%)などの順となっている。なお、「老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった」と答えた者の割合が12.5%となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位4項目まで掲載)  都市規模別に見ると、「預貯金」を挙げた者の割合は中都市で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた者の割合は大都市で、それぞれ高くなっている。  性別に見ると、「預貯金」、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた者の割合は女性で、「退職金や企業年金」を挙げた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。  年齢別に見ると、「預貯金」を挙げた者の割合は18〜29歳で、「退職金や企業年金」を挙げた者の割合は18〜29歳、40歳代、50歳代で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた者の割合は18〜29歳から40歳代で、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で、それぞれ高くなっている。  性・年齢別に見ると、「預貯金」を挙げた者の割合は女性の18〜29歳から50歳代で、「退職金や企業年金」を挙げた者の割合は男性の40歳代から60歳代、女性の18〜29歳で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた者の割合は男性の18〜29歳から40歳代、女性の18〜29歳から40歳代で、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた者の割合は女性の30歳代から60歳代で、それぞれ高くなっている。 2 公的年金制度への意識・ニーズについて ●厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方(図表5)  厚生年金を受け取りながら会社などで働く場合、一定以上の収入があると、受け取る年金額が減ることとなる。厚生年金を受け取る年齢になったとき、どのように働きたいと思うか、また、既に厚生年金を受け取っている場合は、現在の就労状況に近いものはどれか聞いたところ、「働かない」と答えた者の割合が23.6%、「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」と答えた者の割合が44.4%、「年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く」と答えた者の割合が14.0%、「会社などで働かず、自営業主・自由業などとして働く」と答えた者の割合が9.1%、「厚生年金の加入期間・加入予定がなく、受給する見込みがない」と答えた者の割合が3.7%となっている。  都市規模別に見ると、「働かない」と答えた者の割合は中都市で高くなっている。  性別に見ると、「働かない」、「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」と答えた者の割合は女性で、「年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く」と答えた者の割合は男性で、それぞれ高くなっている。  年齢別に見ると、「働かない」と答えた者の割合は70歳以上で、「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」と答えた者の割合は18〜29歳から50歳代で、それぞれ高くなっている。  性・年齢別に見ると、「働かない」と答えた者の割合は男性の70歳以上、女性の60歳代、70歳以上で、「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」と答えた者の割合は男性の18〜29歳、30歳代、50歳代、女性の18〜29歳から50歳代で、「年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く」と答えた者の割合は男性の40歳代、60歳代、70歳以上で、それぞれ高くなっている。 3 私的年金制度への意識・ニーズについて ●加入している、またはしていた私的年金(図表6)  現在、私的年金のいずれかに加入しているか、また、現在60歳以上で国民年金・厚生年金の被保険者でない場合は、以前私的年金のいずれかに加入していたか聞いたところ、「厚生年金基金#1」を挙げた者の割合が35.7%と最も高く、以下、「国民年金基金#2」(18.6%)などの順となっている。なお、「#1から#5のいずれにも加入していない、または加入していなかった」と答えた者の割合が41.4%となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位2項目まで掲載)  都市規模別に見ると、「国民年金基金#2」を挙げた者の割合は小都市で高くなっている。  性別に見ると、「厚生年金基金#1」を挙げた者の割合は男性で、「国民年金基金#2」を挙げた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。  年齢別に見ると、「国民年金基金#2」を挙げた者の割合は70歳以上で高くなっている。  性・年齢別に見ると、「厚生年金基金#2」を挙げた者の割合は男性の60歳代、70歳以上で、「国民年金基金#2」を挙げた者の割合は男性の70歳以上、女性の70歳以上で、それぞれ高くなっている。 ※ https://survey.gov-online.go.jp/r05/r05-nenkin/ 図表1 何歳まで仕事をしたいか、またはしたか (%) 50歳以下 51歳〜60歳 61歳〜65歳 66歳〜70歳 71歳〜75歳 76歳〜80歳 81歳以上 これまで働いておらず、これから働く予定もない 考えたことがない 無回答 (該当者数) 総数(2,833人) 7.8 14.8 28.5 21.5 11.4 6.1 3.6 2.0 3.1 1.1 〔性〕 男性(1,336人) 4.8 12.1 29.0 24.4 12.0 7.7 4.6 0.7 3.4 1.2 女性(1,497人) 10.5 17.2 28.0 19.0 10.9 4.7 2.7 3.1 2.9 1.1 〔年齢〕 18〜29歳(279人) 12.5 15.8 34.1 17.9 4.7 2.2 1.8 0.4 10.8 − 30〜39歳(309人) 10.4 15.9 36.2 19.4 7.1 3.2 2.3 0.3 4.5 0.6 40〜49歳(400人) 12.0 10.8 35.3 21.0 8.5 3.5 3.8 0.8 4.6 0.3 50〜59歳(498人) 4.4 23.7 32.7 19.1 9.6 4.4 2.0 0.6 3.2 0.2 60〜69歳(540人) 5.6 12.0 26.5 34.1 11.9 4.3 2.2 2.0 0.6 0.9 70歳以上(807人) 6.7 12.4 19.0 17.0 17.6 12.3 6.6 4.6 1.1 2.9 図表2 その年齢で退職したい、またはした理由 (%) 収入を伴う仕事を「61歳〜65歳」、「66歳〜70歳」、「71歳〜75歳」、「76歳〜80歳」、「81歳以上」までしたい、またはしたと答えた者に、複数回答 総数n=2,016人、M.T.=185% 生活の糧を得るため75.2 いきがい、社会参加のため36.9 健康にいいから28.7 時間に余裕があるから14.6 定年退職の年齢だから10.6 職場に頼まれたから8.8 その他6.5 特に理由はない1.9 無回答1.5 図表3 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ 全面的に公的年金に頼る 公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる 公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える 公的年金には全く頼らない 考えたことがない 無回答 (%) (該当者数) 総数(2,833人) 26.3 53.8 11.7 1.6 4.8 1.7 〔性〕 男性(1,336人) 25.8 51.8 13.0 2.7 4.8 1.9 女性(1,497人) 26.8 55.6 10.6 0.7 4.8 1.5 〔年齢〕 18〜29歳(279人) 8.2 47.3 24.7 4.3 13.3 2.2 30〜39歳(309人) 10.4 54.7 25.9 1.9 6.1 1.0 40〜49歳(400人) 16.3 60.3 15.0 1.8 5.8 1.0 50〜59歳(498人) 24.7 58.4 9.6 0.6 5.0 1.6 60〜69歳(540人) 28.5 59.1 7.2 0.7 2.4 2.0 70歳以上(807人) 43.2 46.2 4.5 1.7 2.4 2.0 図表4 老後に向け準備したい、またはした公的年金以外の資産 (複数回答) 総数 n=2,833人、M.T.=187.5% (%) 預貯金67.6 退職金や企業年金32.9 NISAと呼ばれる少額投資非課税制度20.9 民間保険会社などが販売する個人年金14.5 NISA以外の株式や債券、投資信託などの証券投資11.7 国民年金基金11.6 iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金8.9 不動産投資2.9 その他2.0 老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった12.5 無回答2.0 図表5 厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方 (%) 働かない 年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く 年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く 会社などで働かず、自営業主・自由業などとして働く 厚生年金の加入期間・加入予定がなく、受給する見込みがない その他 無回答 (該当者数) 総数(2,833人) 23.6 44.4 14.0 9.1 3.7 2.2 3.0 〔性〕 男性(1,336人) 21.0 41.9 18.4 12.0 2.3 1.6 2.8 女性(1,497人) 26.0 46.6 10.2 6.6 4.9 2.7 3.1 〔年齢〕 18〜29歳(279人) 15.1 57.7 15.1 8.6 1.4 1.1 1.1 30〜39歳(309人) 11.3 64.1 14.2 6.8 2.3 0.3 1.0 40〜49歳(400人) 11.3 57.8 13.8 12.0 2.0 1.0 2.3 50〜59歳(498人) 14.9 58.6 12.2 8.2 3.2 1.0 1.8 60〜69歳(540人) 25.9 40.4 16.3 8.3 3.9 2.6 2.6 70歳以上(807人) 41.3 19.5 13.4 9.9 5.9 4.3 5.7 図表6 加入している、またはしていた私的年金 (複数回答) 総数n=2,833人、M.T.=121.5% (%) 厚生年金基金#1 35.7 国民年金基金#2 18.6 企業型DCとも呼ばれる企業型確定拠出年金#3 12.0 iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金#4 6.7 DBとも呼ばれる確定給付企業年金#5 5.3 #1から#5のいずれにも加入していない、または加入していなかった 41.4 無回答 1.8