Books 「FLEX」能力を身につけ、変化の時代を生き抜くリーダーになる! FLEX 柔軟なリーダーシップ 権威と協調を自在に使い分ける ジェフリー・ハル著、川ア(かわさき)千歳(ちとせ)訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン/2530円  本書は、数十年に及ぶコーチングの経験をもつ著者が、多様なクライアントへの実践と事例、リーダーシップに関する最新の科学をもとに、現代のリーダーに必要な資質とその伸ばし方についてまとめた実践書である。  動きが速く、気まぐれに変化する今日の社会で成功するリーダーには、権威(アルファ型)と協調(ベータ型)を自在に使い分け、状況に応じて柔軟に役割を変える能力、すなわち「FLEX能力」を身につけることが求められるという。本書は「FLEX能力」の重要性と、その能力を効果的に伸ばすための六つの資質(「柔軟性」、「意志力」、「感情的知性」、「真正性(自分らしさ)」、「協調性」、「積極的関与」の知識と身につけるための具体的な方法を説く。第1章「準備作業 自分を知る旅」から、第2章「熟達したリーダーになるためのマインドセット」、第3章「柔軟性を身につける アルファとベータを自在に切り替える」などの10章で構成されている。自分のリーダーシップのスタイルがわかるチェックリストを活用することもできる。  年齢や業界、企業規模にかかわらず、自身の成長を願うリーダー、いま課題を抱えているリーダーに特におすすめの一冊。 困った行動の根拠とその対応へのヒントを、会話形式で具体的に説明 「指示通り」ができない人たち 榎本(えのもと)博明(ひろあき)著/日経BP日本経済新聞出版/990円  管理職として責任感を持って仕事に臨んでいるものの、部下が思うように動いてくれない…。部下の育成と人材マネジメントは、いまも昔も管理職が抱える悩みの上位にあげられる。  かつて、指示がなければ動かない社員が「指示待ち族」と呼ばれたが、指示をしたところでそもそもその通りに動くことがむずかしい、という人もいるという。いったことが、なかなか伝わらないのである。また、自分の力量に気づかず「できる人」のようにふるまって迷惑をかける人や、取引先に一緒に行ってもまったく違う理解で物事を進めてしまう人、状況の変化に対応できず、すぐにパニックになってしまう人などもいる。本書は、このような人材を前にして、どう指導したらよいのかわからず困惑する管理職の声を紹介しながら、その改善策を考えていく。心理学の博士号を持つ著者と悩める上司の会話形式で文章が展開され、多様なケースについて、どのような能力的要因が関係しているのか、改善するにはどうすればよいのかを具体的に示す。  事例のなかに、自分や同僚にもあてはまる内容がみつかるかもしれない。管理職にかぎらず、職場での円滑なコミュニケーションや仕事の進め方のヒントにもなる内容といえるだろう。 子育てと両立できる、多様な働き方とキャリア形成支援のあり方を提示 シリーズ ダイバーシティ経営 仕事と子育ての両立 矢島(やじま)洋子(ようこ)、武石(たけいし)恵美子(えみこ)、佐藤(さとう)博樹(ひろき)著/中央経済社/2750円  本書は、ダイバーシティ経営に関する基本書シリーズの一冊として刊行された。同シリーズのダイバーシティ経営とは、「多様な人材を受け入れ、それぞれが保有する能力を発揮し、それを経営成果として結実させるという戦略をもって組織運営を行うこと」を意味しているという。  本書では、「女性(母親)の活躍」と「男性(父親)の子育て」に着目。企業が「女性」や「子育て」というテーマに限定せず、多様な人材を受け入れるための「多様な働き方支援」と「キャリア形成支援」を行う「ダイバーシティ経営」に向かっているという状況などを考慮しつつ、男女の仕事と子育てが両立できる働き方と企業における支援のあり方を考えていく。  全6章のうち、第3章では女性の育休復職後の就業継続とキャリア形成を、第4章では男性の仕事と子育ての両立課題を、第5章では同僚の働き方と子育て社員との関係を、第6章では夫婦の働き方や希望するライフコースの変化と地域の子育て支援のあり方を考察。1990(平成2)年以降の法整備による国からの働きかけや、夫婦の役割分担、地域における子育て支援の変化をふまえ、企業が検討すべき今日的課題を提示する、新しい視点が得られる一冊となっている。 思考力を鍛えるトレーニングで、仕事ができる人になる! 「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問 権藤(ごんどう)悠(ゆたか)著/SBクリエイティブ/1760円  「解像度」とは、おもに画像を構成する密度のことを意味するが、近ごろのビジネスシーンでは、「仕事ができる人」のことを「解像度が高い」と表現することがあるそうだ。  本書の著者は、経営コンサルタントとして約3000社を担当し、延べ1万人以上のビジネスパーソンに接した経験を持つ。そのなかで、「仕事ができる人」には、「解像度が高い」という共通点があることを実感した。「解像度が高い人」には、「思考が鮮明で、細部まで明確に見えている」、「物事をわかりやすく伝えられる」などの特徴があり、反対に「解像度が低い人」には、「物事の理解が不十分で、考えも粗い」、「話がふわっとしている」などの状況がみられるという。どうしたら解像度の高い人になれるのか。  本書は、解像度が高い人の特徴にみられる三つの思考力(具体化思考力・抽象化思考力・具体←→抽象思考力)を掘り下げて説明し、後半ではそれらを鍛えるためのクイズ形式のトレーニングを多数掲載。例えば、「問26『印鑑』『手』『思考』『辞書』を2つに分類せよ。」などの問いが51問用意されていて、答えを考えたり、解答例を読んだりすることで、思考力を高めていく。視野を広げることや脳トレにもよさそうだ。 先駆者2人に聞く、老後の不安が軽くなる働き方・楽しく過ごせる生き方とは? 人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き 樋口(ひぐち)恵子(けいこ)、坂東(ばんどう)眞理子(まりこ)著/ビジネス社/1540円  本書は、90代の樋口恵子さんと70代の坂東眞理子さんとの対談から生まれた一冊。対談の内容や新たに書かれた文章で、超高齢化社会を、楽しく豊かに生き抜く知恵を紹介している。  樋口さんは、女性の地位向上のために執筆や講演など多方面で活躍中だ。坂東さんは、昭和女子大学総長を務めるとともに、男女共同参画社会の実現などに向けてさまざまな活動をしている。高齢期を明るく楽しく過ごすために二人が揃って大切だと語るのが、「働くこと」である。57歳で公務員を退職して大学教授になった坂東さんは、パソコンに大苦戦したが、約20年後のいま、同じ職場で充実した日々を送っていると綴り、これからは「元気な高齢者が介護を必要とする高齢者をサポートするという考え方を持たないと」と呼びかける。樋口さんは、多くの人の老後の不安として、「お金、健康、生きがい、孤独にまつわること」をあげつつ、「そのすべての不安を軽くし、私たちをハッピーにしてくれるのが働くこと」と綴り、歳だからと遠慮せず、「『私しゃ頑張りますよ、世のため人のため』と前向きに行こうじゃありませんか」と周囲を鼓舞する。多くの後輩に向けてエールを送る一冊。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します