ニュース ファイル NEWS FILE 行政・関係団体 厚生労働省 2023年「労働災害発生状況」、「高年齢労働者の労働災害発生状況」  厚生労働省がまとめた2023(令和5)年の労働災害発生状況(確定値)によると、労働災害による死亡者数は755人となっており、前年と比べ19人(2.5%)減少し、過去最少となった。  死傷災害(死亡災害および休業4日以上の災害)についてみると、死傷者数は13万5371人となっており、前年と比べ3016人(2.3%)増加し、3年連続で増加となった。  死傷災害を事故の型別にみると、「転倒」が最も多く3万6058人(前年比2.2%増)、「動作の反動・無理な動作」が2万2053人(同5.6%増)、「墜落・転落」2万758人(同0.7%増)。  2023年「高年齢労働者の労働災害発生状況」から、「転倒による骨折等」の労働災害について、年齢階層別・男女別の労働災害発生率(死傷年千人率)をみると、特に女性の場合、60歳以上(平均2.41)は20代(平均0.16)の約15.1倍となっている。このため厚生労働省では、中高年齢の女性労働者に多い転倒災害の発生状況の周知を行うとともに、転倒災害防止のための基本的事項(チェックリスト)の周知指導を行うとしている。  また、2023年の雇用者全体に占める60歳以上の割合は18.7%(前年比0.3%増)。労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の割合は29.3%(同0.6%増)となっている。 注:死亡者数、死傷者数はいずれも新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除いたもの 厚生労働省 2023年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」  厚生労働省は、2023(令和5)年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(」確定値)を公表した。  2023年における職場での熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1106人で、前年より279人増加した(34%増)。業種別にみた死傷者数で最も多いのは製造業の231人(全体の20.9%)、次いで、建設業209人(同18.9%)、運送業146人(同13.2%)、商業125人(同11.3%)、警備業114人(同10.3%)など。年齢別の発生状況をみると、50歳以上が587人(全体の53.1%)。月別の発生状況では、死傷者数は7月431人、8月493人で、この2カ月で8割以上を占めている。  また、熱中症による死亡者数は31人で、前年より1人増加した。業種別の死亡者数をみると、最も多いのは建設業で12人、次いで警備業で6人。年齢別では、50歳以上が19人(全体の63.3%)、このうち60歳以上は11人(同35.5%)となっている。  死亡災害の被災者は男性30人、女性1人で、発症時・緊急時の措置の確認・周知していたことを確認できなかった事例が28件、WBGT(暑さ指数)の把握を確認できなかった事例が25件、熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例が18件、糖尿病や高血圧症など熱中症の発症に影響をおよぼすおそれのある疾病や所見を有していることが明らかな事例は12件あった。 https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100761.pdf 厚生労働省 「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表  厚生労働省は、2023(令和5)年度の厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(調査実施者:PwCコンサルティング合同会社)の報告書を公表した。調査は、企業と労働者等を対象に、3年ぶりに実施した。  報告書によると、過去3年間に各ハラスメントの相談があったと回答した企業の種別割合をみると、パワハラ(64.2%)、セクハラ(39.5%)、顧客等からの著しい迷惑行為(27.9%)、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(10.2%)など。ハラスメント予防・解決のために実施している取組みは、「相談窓口の設置と周知」が最も高く、約7割以上の企業が実施。次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」で、約6割以上が実施している。  労働者への調査結果から、過去5年間に就業中に妊娠・出産した女性労働者のなかで、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けた者の割合をみると、26.1%となっている。また、過去5年間に勤務先で育児にかかわる制度を利用しようとした男性労働者のなかで、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、24.1%となっている。  次に、2020〜2022年度卒業でインターンシップ中に就活等セクハラを一度以上受けたと回答した者の割合をみると、30.1%。インターンシップ以外の就職活動中に受けた者の割合は31.9%となっている。 https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001256082.pdf 中央労働委員会 2023年「賃金事情等総合調査」(賃金事情調査・退職金、年金及び定年制事情調査)  中央労働委員会は、2023(令和5)年「賃金事情等総合調査」(「賃金事情調査」と「退職金、年金及び定年制事情調査」)の結果をまとめた。  調査は、資本金5億円以上・労働者1000人以上の企業(運輸・交通関連業種を除く)380社を対象に同年8月から9月にかけて実施した。  「賃金事情調査」の結果から、2023年6月分の平均所定内賃金についてみると38万1300円で、前年に比べ6700円増加。平均所定外賃金は6万5300円で、同1700円増加している。  次に、「退職金、年金及び定年制事情調査」の結果から、定年制に関する部分をみると、定年制を採用している企業は99.4%で、制度のある企業で定年を「60歳」としているのは76.3%、「65歳」が21.2%となっている。  続いて、継続雇用制度に関する部分をみると、継続雇用制度を採用している企業は、定年制のある企業の95.5%で、そのすべてで再雇用制度を採用している。再雇用時の雇用形態は、「嘱託社員」が54.1%と最も多く、ほかでは「契約社員」29.1%、「正社員」4.7%、「パート・アルバイト」が4.1%などとなっている。  再雇用時と定年退職時の基本給の時間単価を比較すると、「50%以上80%未満」が63.8%と6割を超えており、ほかでは「50%未満」が18.8%、「定年退職時と同じ」が4.0%、「80%以上100%未満」が3.4%などとなっている。 https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/dl/07.pdf 東京都 「東京キャリア・トライアル65」募集スタート  東京都は、生涯現役社会の実現を目ざして、「東京キャリア・トライアル65」を実施している。その参加者として、都内で就業を希望する65歳以上の高齢者と、都内に事業所を有し高齢者を受け入れることができる企業を募集している。  この事業は、高齢者の希望・能力と、企業の受入れニーズとをマッチングするとともに、短期間、派遣社員として就業することで、高齢者は「就業先の業界で働くスキル」を、企業は「シニアを活用するノウハウ」を、それぞれ習得することができるとしている。参加申込みをした高齢者は、就業相談後に派遣社員として1週間〜最大2カ月間のトライアル就業(有給)を行う。職種は、事務職、営業職、TT・技術職など。派遣就業中の困りごとなどは専任のキャリアアドバイザーがサポートする。  この派遣就業に要する派遣人件費・通勤交通費は、東京都が全額負担する。また、派遣から直接雇用契約への切替えが可能で、その際の紹介料も東京都が全額負担する。前年の2023(令和5)年度の実績は、約900件の求人案件(複数ポジションの案件を含む)のなかで505人の高齢者が派遣された。  参加者の募集期間は、2025年3月7日まで。参加は無料。詳細や申込みは、左記ウェブサイト「東京キャリア・トライアル65(※)」、または「東京シニア雇用促進・トライアル65」事務局の電話へ。※https://career-trial65.jp/recruiter/ ◆「東京シニア雇用促進・トライアル65」事務局 電話:0120−536−034(フリーダイヤル) 調査・研究 LIFULL(ライフル) 「シニアの就業に関する意識調査」を実施  株式会社LIFULLは、65歳以上の働く高齢者300人と、企業の採用担当者300人を対象に、「シニアの就業に関する意識調査」を2024年3月に実施した。その結果、経験を活かして働きたいと考える高齢者は多くいる一方で、高齢者を積極的に採用している企業は少なく、こうした双方のギャップにより、就業を希望する高齢者が職を得られない場合の経済損失について、「国民生活基礎調査」等のデータをもとに試算したところ、約1兆390億8200万円であることがわかったという。  「シニアの就業に関する意識調査」の結果によると、現在希望通りの仕事に就いている高齢者は79.3%で、「5年以内に仕事探しをした人」に絞ると70.5%となっている。希望通りの仕事に就けていないと回答した高齢者にその理由をたずねると、「自身の年齢が高いため」80.6%、「応募できる企業が少ないから」30.6%などとなっている。  また、「これまでの経験やスキルを活かすことのできる職種で働きたいと思うか」という質問に対しては、83.0%が「はい」と回答している。採用担当者への調査では、83.0%が人手不足と回答する一方で、現在65歳以上の人材の採用を積極的に行っているのは21.0%。65歳以上の人材を採用しない(できない)理由は、「体力・健康面に不安」が最多で42.2%、次いで「任せられる仕事がない、わからない」が34.3%、「即戦力として活躍が期待できないから」が24.5%となっている。