イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  最近、加齢による身体機能の低下は44歳ころと60歳ころに加速するという研究成果が報道されました。何かを記憶しながら知的作業をするワーキングメモリ(作業記憶)の力も同様で、18〜25歳をピークに40歳ころと60歳ころに大きく低下するといわれています。一方で、ワーキングメモリを使うトレーニングでその力が改善しやすいことも知られています。今回のブドウ算でワーキングメモリを鍛えましょう。 第88回 ブドウ算 目標3分 例のように、となり合った数字を足して、その下一桁を線で結ばれた○の中に記入しましょう。例えば、足した数が8ならばそのまま8を、17ならば下一桁の数の7を記入します。 いちばん上、またはいちばん下にたどり着くまでくり返し足していきましょう。 例 1 2 3 4 5 3 5 7 9 8 2 6 0 8 8 4 2 3 1 7 ○○○○ ○○○ ○○ ○ ○ ○○ ○○○ ○○○○ 5 7 4 9 3 ○ ○○ ○○○ ○○○○ 9 2 5 3 4 「脳のメモ」には限界がある  今回の脳トレ課題や、これまでのワーキングメモリ課題を体験してきたみなさんなら、何となくわかってきたと思いますが、脳のメモには限界があります。  何かを覚えた後でする作業が、一つ、二つなら何とかなります。しかし、三つ、四つと重なってくると厳しいのではないでしょうか。  実際に、私たちの脳のメモはせいぜい3枚か4枚程度であり、「あのこと」、「このこと」、「そのこと」くらいは同時処理や入れ子処理(アレしてからコレして、またアレする…といった処理)は可能です。しかし、それを超えてしまうと、いっぱいいっぱいになり、残りはカッコにくるんで棚上げしておくのが限度です。  したがって、ワーキングメモリトレーニングの目的は、このメモ帳の枚数を増やすことではありません。3枚程度の脳のメモを、きちんと使えるようにしておくことです。  本当のメモや電子メモを併用しながらも、脳のメモもしっかり使えるようにしておくことが大切です。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。公立諏訪東京理科大学医療介護健康工学部門長。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『中高年のための脳トレーニング』(NHK出版)など著書多数。 【問題の答え】 4 2 3 1 7 6 5 4 8 1 9 2 0 1 1 6 7 9 3 4 5 2 1 3 2 5 7 4 9 3 3 3 0 8 5 5 1 7 8 7 9 2 5 3 4