ニュース ファイル NEWS FILE 行政・関係団体 厚生労働省 令和5年「就労条件総合調査」の結果を公表  厚生労働省は、令和5年「就労条件総合調査」の結果を公表した。常用労働者30人以上の民間企業6421社を対象に、2023(令和5)年1月1日時点の労働時間制度、賃金制度などについて調査したもの。  労働時間制度についてみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は85.4%(前年83.5%)、「完全週休2日制」は53.3%(同48.7%)となっている。また、年次有給休暇の取得状況をみると、1年間の付与日数(繰越分は除く)は労働者1人平均17.6日(前年17.6日)、そのうち労働者が取得した日数は10.9日(同10.3日)であった。取得率は62.1%となり、前年(58.3%)を3.8ポイント上回り、8年連続で上昇した。  次に、勤務間インターバル制度の導入状況をみると、「導入している」が6.0%(前年5.8%)、「導入を予定又は検討している」が11.8%(同12.7%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が81.5%(同80.4%)であった。勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、その理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が51.9%(前年53.5%)と最も多く、次いで、「当該制度を知らなかったため」が23.5%(同21.3%)となっている。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/ 厚生労働省 「令和5年版過労死等防止対策白書」を公表  政府は2023(令和5)年10月13日、「令和4年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和5年版過労死等防止対策白書)を閣議決定した。  同白書は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、今回で8回目。おもな内容は、以下の通り。 1.「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2021年7月30日閣議決定)に基づく調査分析として、睡眠の不足感が大きいと疲労の持ち越し頻度が高くなり、うつ傾向・不安を悪化させ、主観的幸福感も低くなる傾向があることなどを報告。 2.長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、令和4年度の取組みを中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。 3.企業や自治体における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策、産業医の視点による過重労働防止の課題など、過労死等防止対策のための取組み事例をコラムとして紹介。  「過労死等」とは、「@業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡」、「A業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」、「B死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害」と定義づけられている。  今回の「過労死等防止対策白書」は、左記の厚生労働省ウェブサイトに掲載されている。 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/23/index.html 厚生労働省 令和5年度「輝くテレワーク賞」受賞企業を決定  厚生労働省は、令和5年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞企業を決定し、2023(令和5)年11月27日、東京都内で開催された、「『働く、を変える』テレワークイベント」(内閣府・総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省の共催)において表彰式が行われた。  この表彰制度は、テレワークの活用によって、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果をあげるとともに、他社の模範となる取組みを行っている企業・団体を表彰するもの。今年度は、「優秀賞」1社、「特別奨励賞」4社が受賞した。  また、表彰にあたり、「輝くテレワーク賞」を受賞した企業が、テレワークの活用によりワーク・ライフ・バランスの実現を図っていることをアピールできるようにするため、認定マークを作成した。受賞企業は、認定マークの上部王冠内に「輝くテレワーク賞」を受賞した年を記載したうえで、その認定マークを使用することができる。 受賞企業は次の通り。 【優秀賞】取組みが総合的に優れていると認められる企業・団体に対する表彰 ・東洋ハイテック株式会社 【特別奨励賞】取組みが優れていると認められる企業・団体に対する表彰(五十音順) ・キャップクラウド株式会社 ・株式会社JSOL(ジェイソル) ・株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン) ・大鵬(たいほう)薬品工業株式会社 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35897.html 当機構(JEED)から 生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」を開催  JEEDでは、「高年齢者就業支援月間」である10月、各都道府県支部が中心となって「地域ワークショップ」を開催した(一部は11月に開催)。  地域ワークショップは、生涯現役社会の実現に向け70歳までの就業機会の確保への理解を深めることを目的とし、高齢者雇用に関する学識経験者などによる基調講演、高齢者雇用に先進的な企業の事例発表などで構成される勉強会。今回は2023(令和5)年10月27日(金)に富山支部が主催した地域ワークショップ「高年齢者活躍推進セミナー これからのシニア活用〜コンテスト入賞事例から探る〜」の模様をレポートする。  開会のあいさつに続き、富山県内の高齢者雇用の状況について、富山労働局職業安定部職業対策課の南部(なんぶ)一人(かずひと)さんが、2022年度のデータをもとに70歳までの就業確保措置の実施状況を報告。「運用ではなく、対象者を限定して就業規則に明示化することが大切」と呼びかけた。  続いて、東京学芸大学教育学部の内田(うちだ)賢(まさる)教授による講演が行われ、「70歳就業に向けたシニア戦力化の工夫」をテーマに、高齢者活用の多様な工夫と運用法を紹介した。「高齢者雇用の諸課題の解決には、従来の視点の転換を図ることがポイントになる」とし、肉体的負担や精神的負担は重いものから軽いものへ、文字・音量は小から大、作業スピードは速いから遅いなど、現在の環境の真逆を意識して環境整備を実施するよう提案した。また、高齢者の新規採用の工夫、若手中堅の一体感を生むための工夫などについても、すぐにでも取り入れられる具体的な取組みを紹介し、「高齢者雇用は会社から従業員へのメッセージ。高齢者をしっかり活用している会社を従業員は信頼する」と述べ、人事施策における高齢者雇用の有効性を指摘し、参加者に取組み促進をすすめた。  休憩をはさんで、企業の事例発表が行われた。最初に登壇したのは、富山市内で介護福祉施設を運営する有限会社日和(ひより)の西田(にしだ)朋子(ともこ)取締役。同社では、従業員の勤続年数が延びたことで職員の高齢化が進んだことから、高齢者雇用の取組みを強化し、「勤務形態の整備」として三つの短時間勤務制度を導入。定年後も継続して無理なく就労できるようにするとともに、定年後再雇用を含む職員全員を昇給対象とすることでやる気アップにつなげた。また、子育て世代と高齢職員で助け合ってタイムシェアを行っている取組みなどを紹介した。  続いて、プラント機器を製造する山田工業株式会社の作内(さくうち)浩二(こうじ)常務取締役が登壇。高齢者の新規採用を積極的に実施し、高齢社員が増加したことから勤務形態の整備を行い、短日・短時間勤務が選択可能な制度を導入。60歳以降の賃金については、60歳時点の賃金水準の8割以上を維持し、モチベーションの維持に寄与している。また、高齢社員と若手社員のペア就労を実施し、若手の作業時に安全をチェックする役割を高齢者がになっているほか、技能の継承を進めるうえでも高齢社員の指導が不可欠であることから、「無理なく働いてもらいたい」と高齢社員への期待を込めた。  その後、事例発表を行った2社と内田教授が登壇し、「高齢者が働きやすい職場づくりについて」というテーマでトークセッションが行われた。「高齢者の活用を考えている企業へのメッセージ」を求められると、日和の西田取締役は「人集めを模索しながら高齢者活用にたどりついた。年齢というデメリットに目が向きがちだが、メリットにこそ目を向けるべき」、山田工業の作内常務取締役は「キャリアを確認できる求人サイトなどの仕組みを駆使し、よい人材を見つけたらすぐ働きかけることが重要」とアドバイスを送った。内田教授は「高齢者雇用は若手にもメリットがある。取組みを推進するためには、走りながら、つねに修正を加えて工夫していくことがポイント」とまとめた。  参加した経営者ならびに人事担当者は、県内先進的企業の報告に熱心な様子で耳を傾けていた。終始和やかなムードのなか進行し、2時間の地域ワークショップは終幕した。 写真のキャプション 富山県での「地域ワークショップ」の様子