BOOKS 従業員の自発的行動により仕事のやりがいを高める方法を探求 ジョブ・クラフティングのマネジメント 森永(もりなが)雄太(ゆうた) 著/千倉書房/3080円  働く人や働き方が多様化している現代、注目されているマネジメントの手法の一つが、「ジョブ・クラフティング」である。  ジョブ・クラフティングとは、従業員が自らの仕事を主体的にとらえ直し、創意工夫によってよりよく変化させること。それによって、その仕事のやりがいを従業員自ら高めることができる、という考え方である。  本書は、ジョブ・クラフティングのマネジメントを探求した学術書である。第T部では、「従業員のやりがいを引き出すために、どのように職務設計を行うとよいのか」について検討していく。第U部では、「自発的行動であるジョブ・クラフティングを組織がどのように促すことができるか」という問いに対して、研究結果などを通じて、「組織による人事施策の設計と管理者によるリーダーシップの発揮によって間接的に促すことができる」ことを明らかにしていく。  研究者を対象として書かれた内容だが、本書で示されている知見は実務的な示唆を含むことから、経営者や人事・労務担当者、部下の自発性を引き出したい管理職、また、産業保健の専門職にとっても、ジョブ・クラフティングを実践するうえでの手がかりが得られるだろう。 高齢者雇用の実務ポイントをわかりやすく解説 人手不足を解消しよう! 60代採用のススメと人事・賃金制度ガイド 三村(みむら)正夫(まさお) 著/アニモ出版/1980円  日本商工会議所が2023(令和5)年夏に実施した人手不足に関するアンケート調査によると、規模が小さい企業ほど状況が深刻化しており、従業員5人以下では約76%が「非常に深刻」、「深刻」と回答している。  本書は、人手不足を解消するためにも、これからはますます高齢者雇用が重要になるとして、その考え方や現在の日本の高齢者を取り巻く状況、そして、特に中小企業の高齢者雇用の取組みをサポートする実務ポイントをわかりやすい言葉と表現で説明する。  定年後の再雇用と新規の高齢者採用の違いや、60歳以降の賃金を三つのタイプに分類して、労働条件や健康保険料、雇用保険料などとあわせて具体的な賃金シミュレーションを提示して説明。また、「80歳選択定年制度」、「加入月額方式退職金制度」などを提案して実践的に解説している。さらに、労働災害、テレワークなどの在宅勤務、健康管理など高齢者雇用にかかわる内容を幅広く取り上げるとともに、高齢者雇用を積極的に推進する会社の取組み事例も紹介。  会社の経営者や人事・労務担当者はもちろんのこと、高齢者が生涯現役で生きていくための手引きとして活用することもできる。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します