イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  今回は、ストループテストの問題です。もともと心理学の分野から生まれた問題になりますが、背外側前頭前野、内側前頭前野、前部帯状回など、脳トレのなかでも特に使う前頭前野が活動することがわかっています。そのため、前頭前野機能テストとしてよく使われるようになった課題になります。スムーズに速く答えていけるまでくり返しチャレンジすることで前頭前野が鍛えられます。 第83回 目標できるだけ速く、スムーズに 漢字ストループ 「色」の行は、文字の色を読みます。 「読み方」の行は、文字を読みます。 声に出して読んでみましょう。 例)緑…アオ 例)緑…ミドリ 1 色 緑 黒 青 赤 黄 黒 2 読み方 青 赤 黄 青 赤 緑 3 色 緑 赤 青 黄 青 緑 4 読み方 赤 緑 赤 青 黄 黒 5 色 緑 青 黄 黄 緑 赤 6 読み方 黒 緑 黄 赤 青 赤 7 色 黒 黄 赤 黒 緑 青 8 読み方 黒 赤 黄 緑 赤 青 9 色 緑 赤 黄 黒 緑 青 10 読み方 黄 緑 黒 青 緑 黄 ストループ課題と声に出して読む効果  今回の脳トレ問題のような、矛盾した情報を処理していく課題を「ストループ課題」といいます。心理学者のジョン・ストループ氏が心理課題として開発したものですが、この課題を行うときに、注意力や判断力にかかわる「背外側前頭前野」や、自分を観察したり、気持ちと行動の矛盾を調整したりすることにかかわる「内側前頭前野」が活性化することが知られています。  また、声に出して読みながら解くことで、脳の三つの言語中枢をそれぞれ活性化させ、より効果的に脳を鍛えることができます。  「運動性言語中枢」、「感覚性言語中枢」、「視覚性言語中枢」という三つの部位があり、それぞれ別の場所に位置しています。運動性言語中枢はおもに話すことをになっており、「前頭葉」に位置しています。感覚性言語中枢は「側頭葉」にあり、おもに言語を理解することをにない、視覚性言語中枢は「後頭葉」にあり、文字や絵を見て話すことをになっています。  スムーズに読めるようになるまでくり返しましょう。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。公立諏訪東京理科大学医療介護健康工学部門長。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『中高年のための脳トレーニング』(NHK 出版)など著書多数。 【問題の答え】 できるだけ速く答えましょう。つい読んでしまうことを抑えて、切り替えることでワーキングメモリが鍛えられます。抑制力、切り替え力、我慢力も鍛えられます。 @アオ・ミドリ・アカ・キ・クロ・キ Aアオ・アカ・キ・アオ・アカ・ミドリ Bアオ・クロ・アカ・ミドリ・クロ・アカ Cアカ・ミドリ・アカ・アオ・キ・クロ Dキ・ミドリ・アカ・クロ・アオ・キ Eクロ・ミドリ・キ・アカ・アオ・アカ Fアカ・ミドリ・アカ・ミドリ・クロ・キ Gクロ・アカ・キ・ミドリ・アカ・アオ Hキ・キ・アカ・クロ・アオ・ミドリ Iキ・ミドリ・クロ・アオ・ミドリ・キ