イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβ(ベータ)やタウタンパク質などは、睡眠中に排出されることが指摘されています。睡眠時間を十分に取るとともに、原因物質の排出を促進するといわれている、首まわりのストレッチや顔体操を行ったあとに、脳トレに挑戦してみましょう。 第98回 ぴったり天秤 目標 3分 片側に傾いた天秤があります。 右に置かれた重りを「すべて使って」釣り合うようにしてください。 ※すでに天秤に置かれた重りは動かせません @ 40  30 50 30 20 15 15 A 20  10 50 40 25 12 15 5 計算力を鍛えることによる恩恵  今回の脳トレ問題は計算力の向上を目的としています。計算力が向上すると、脳の多様な領域に好影響を与えます。計算は単なる数学的処理にとどまらず、注意力、ワーキングメモリ(作業記憶)、論理的思考力などを総合的に活性化させます。特に前頭前野は、複雑な思考や意思決定、注意の制御をつかさどる部位であり、計算練習をすることで、この領域の血流が増加し、活性化されます。  また、計算練習は脳の可塑性(かそせい)(変化し適応する力)を高めるとされており、継続的なトレーニングにより認知機能の維持・向上に寄与します。これは子どもだけでなく高齢者にも有効であり、認知症予防や脳の老化抑制の一助としても注目されています。  さらに、簡単な計算をくり返すことでも、脳が「集中モード」に切り替わるスイッチとして働き、勉強や仕事などへの導入としても効果的です。  したがって、計算力を鍛えることは、単に数学が得意になるだけでなく、脳全体の機能を活性化し、日常生活のさまざまな場面でのパフォーマンス向上につながるのです。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。人システム研究所所長、公立諏訪東京理科大学特任教授。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『中高年のための脳トレーニング』(NHK出版)など著書多数。 【問題の答え】 @ 左:(40)、30、15、15 右:(30)、50、20 A 左:(20)、50、15、5 右:(10)、40、25、15