【表紙2】 産業別 高齢者雇用推進事業のご案内  高齢者雇用を進めるためのポイントは、業種や業態によって違いがあります。  そこで当機構では、産業別団体内に推進委員会を設置し、高齢者雇用に関する具体的な実態を把握し、高齢者雇用推進のために解決すべき課題などを検討して、高齢者雇用を促進するために必要な事項を「ガイドライン」として取りまとめています。そしてこれまでに、82業種の高齢者雇用推進ガイドラインが完成しています。  平成30 年度には、以下の5つのガイドラインを作成しました。いずれのガイドラインも、当機構のホームページで全文を公開中です。 1 一般社団法人 日本砂利協会 『多世代共働による職場づくり 〜砂利採取業 高齢者活躍に向けたガイドブック〜』 2 電機・電子・情報通信産業経営者連盟 『シニア社員が活躍できるキャリアのつくり方 ―電経連版キャリア再設計研修プログラムの提案―』 3 一般社団法人 情報サービス産業協会 『情報サービス産業高齢者雇用推進ガイドライン 〜未来を見据え、活躍し続けられる IT人材を育成〜』 4 一般社団法人 日本旅行業協会 『旅行業高齢者雇用推進ガイドライン〜シニア人材の活躍に向けて〜』 5 一般社団法人 日本結婚相手紹介サービス協議会 『結婚相手紹介サービス業における高齢者雇用推進ガイドライン 結婚相手紹介サービス業のシニア人材活躍サポートマニュアル』 【P1-4】 Leaders Talk リーダーズトーク No.48 最高齢90歳、「四世代同居」の家族的社風働く意欲を生み出すチームコーケンの幸せ コーケン工業株式会社 代表取締役社長飯尾祐次さん いいお・ゆうじ 1957(昭和32)年、静岡県浜松市生まれ。20代の頃は呉服屋で働いていた経験を持つ。その後、縁あって1989(平成元)年にコーケン工業株式会社へ入社。営業をはじめ、製造や技術に従事。2015年12月より代表取締役社長に就任。コーケン流「三方良し」を、チームコーケンのみんなで実施できるような経営を目ざしている。  コーケン工業株式会社では、18歳から90歳まで、四世代にわたる人材が、同じ職場でともに働いています。高齢者や障害者の雇用に積極的に取り組み、すべての社員を大切にする家族のような社風で、2017(平成29)年には、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の中小企業庁長官賞を受賞しました。今回は同社の飯尾祐次社長に、同社が追求するチームコーケンの幸せ≠ノついて、お話をうかがいました。 折込チラシで高齢者の求人をスタート翌日、会社前には高齢者の大行列が ―貴社では、高齢者や障害者の雇用に積極的に取り組み、2017(平成29)年に「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞中小企業庁長官賞を受賞されました。高齢者雇用のきっかけについて教えてください。 飯尾 当社では現在、60歳以上の社員が約90人働いています。社員総数は約290人ですから、約3分の1が60歳以上となります。  高齢者雇用の取組みの始まりは、社員が100人前後だったバブル経済のころにさかのぼります。仕事が忙しい一方で、高校、大学に求人募集をかけても見向きもされず、深刻な人手不足に悩んでいた時代です。そんなとき当時の社長の村松(久範氏、現会長)が、日中にスーパーで買い物をしたり、カラオケに興じている元気な高齢者がたくさんいることに気づきました。そこで、カラオケ店で何人かの高齢者に「そんな時間があるならうちで働かないか」と声をかけたところ、実際に数人の高齢者が働くことになりました。そして働く意志があって真面目に仕事に取り組んでもらえれば、60歳を過ぎてもチームの仲間として貢献し、ものづくりの戦力になることを発見したのです。  これをきっかけに、地域には働きたいと考えている高齢者がもっといるのではと考え、「健康なおじいちゃん! おばあちゃん! 大募集、85歳まで」という折込チラシで求人を始めました。1990年のことです。  すると、翌日には会社の前に何十人ものお年寄りの行列ができていました。そんなに来るとはだれも思っていなかったので驚きました。なかには手押し車を押してきた人もいました。同業者には「そんなに年寄りを集めてどうするんだ」と笑われたそうですが、そのときから高齢者の雇用が本格的に始まったのです。 ―経営理念に「全社員が物心ともに豊かに、健やかになる事を追求する。雇用の継続に努め、地域社会の繁栄に貢献する」という言葉を掲げています。高齢者の雇用を含めてどういう思いが込められているのでしょうか。 飯尾 社員が楽しく働くことは、コミュニケーションを活性化させ、アイデアやいろいろな発想が生まれ、結果としてよい製品ができ、お客さまに喜んでもらえます。しかし、仮によい製品ができたとしても、社員が疲弊していたら楽しい会社ではなくなるし、コミュニケーションも悪くなり、よい製品を継続的に生み出し続けることができなくなるでしょう。  つまり、社員が楽しく働くことが会社のためになるのだという考えのもとで経営理念をつくりました。また、経営方針には「チームコーケンの幸せ」として、「社員一人ひとりを尊重し、働きがいのある会社の実現を目指します」と書いています。社員がチームの一員として貢献することの幸せを感じられる会社でありたいと思っています。  現在、当社では農業機械や建設機械の部品に使われる金属パイプの製造を手がけています。約20年前は二輪、四輪メーカーの部品が売上げの6割を占めていましたが、国内メーカーの生産拠点の海外移転が進み、厳しい価格競争にさらされていました。そのときに、安い輸入品に対抗してわれわれが生き残るために、大手がやりたがらない1本からの注文に応じる「多品種少量、短納期生産」にシフトすることが必要と判断し、それが可能な技術力を磨いてきました。その結果、いまでは地元以外にも顧客が広がりました。製品の数が増えれば、材料を運ぶ作業など工程の段取りを考えて、効率化する工夫も求められます。そういった意味では、社員一人ひとりの工夫や貢献が現場を支えているといえるでしょう。 高齢者雇用をきっかけとしてつちかわれた四世代が同居する家族のような社風 ―現在は、高卒で入った18 歳の社員から、上は90歳まで、幅広い世代の社員が働いているそうですね。 飯尾 会長の村松は、家族のような関係が大事だと常々話していますが、私もそう思います。18歳から90歳までの社員が在籍する当社は、いわば四世代が同居する家族のようなものです。親はわが子に厳しく接するものですが、じいじ、ばあばは孫にはやさしいですよね。同じように、うちの職場でも高齢社員は新人や若い人に対して面倒見がよく、やさしく教えながら育ててくれています。指導マニュアルとは別の自然体の教えもあるのです。  障害者が新しく入れば、できる仕事を見つけていねいにフォローする。教えるじいじ、ばあばにとっても、若い人と接することは、楽しく働くことにつながり、一緒に働く若い社員はそれを見習い、人に対するやさしさや思いやりの心を学び、身につきます。それが職場の働きやすさや気持ちよく仕事ができる環境につながっていくのです。  こうした家族的社風はビジョンがあってできたわけではなく、この30年間に自然につちかわれてきました。私もそれを引き継いで大切にしていきたいと思っています。 ―すばらしい社風ですね。その一方で企業としては利益を出していくための効率的経営も求められます。同じ職場で高齢者と若者、障害者が協同しながら働くために作業工程などで工夫している点はありますか。 飯尾 もちろん最新のNC旋盤やロボットの操作は若い人たちが中心になります。製品が完成するまでには、パイプ素材の加工・切断・曲げ・溶接・表面処理などさまざまな工程がありますが、それぞれの工程内での段取り作業や、前工程から後工程への物の運搬など、人のたずさわる仕事が多く存在します。特に多品種少量生産は機械と人の力をうまくマッチングさせることが大切です。工程には部品の組つけや製品の梱包など高齢者にもできる仕事が豊富にあり、実際に活躍してくれています。  そういった意味では、ものづくりの経験がなくても本人に意欲があれば仕事はあるのです。実は一昨年、昨年と72歳の新人が2人続けて入社しました。いままで就職活動をしても年齢を理由に面接さえ受けられなかったそうですが、面接をすると、「働きたい」という純粋で真面目な気持ちが伝わってきました。専門知識はなくても健康で働く意欲があるということで採用し、いまも元気に働いてくれています。 高齢者の「やさしさ」や「思いやり」がチームをまとめ、人材を育む ―高齢になるほど健康状態に個人差も生じます。また、家庭の事情などでフルタイム勤務がむずかしくなることも想定されます。どのように配慮されていますか。 飯尾 当社の所定労働時間は8時間ですが、フルタイムの正社員と2時間短縮のパートタイマーがいます。現在、66歳以上の社員は69人いますが、パートタイマーは数人で、ほとんどがフルタイムの正社員です。高齢になれば体力も低下しますし、個々の家庭の事情もあります。ルールに縛られるのではなく、実情に応じて職場のなかで判断しながら臨機応変に対応しています。  例えば膝の手術後に退院し、1カ月のリハビリを経て、いまもコルセットをつけて働いている社員がいます。本人から「座り仕事であれば支障がないので復帰したい」という申し出があり、対処しました。本人が意欲を持って働きたいのであれば、会社もどうすれば希望を叶えることができるかを考え、できることを探します。  なお、家族の介護などの事情がある場合は、 一定期間休む、あるいは短時間勤務に切り替えるなど、本人と話し合って納得する形で決めています。ときには突然の体調不良で出勤できないこともあります。当社は総務や営業スタッフも、男女かかわらず溶接など現場の経験がありますので、急に休む者がいてもサポートが可能な体制です。  また、この地域は公共交通機関がないため自動車で通勤をする高齢者もいますが、家族からすると事故を起こさないかと心配なものです。そこで当社では、ワンボックスカーによる送迎も行っています。なかには免許証を返納して利用している人もいますよ。 ―定年延長など高齢者雇用に取り組む中小企業へのアドバイスをお願いします。 飯尾 もし生産性だけを追求するのであれば、高齢者は若者にはかなわないでしょう。しかし高齢者がいることで、先達(せんだつ)の技能・経験を若い人に教えたり、やさしさや思いやりを持って接することなどによりチームが一つにまとまり、働く喜びやモチベーションの向上につながりました。これは高齢者に教わる体験学習です。前向きに挑戦していけば、必ず新しい企業文化をつくり出すことができると思います。 (聞き手・文/溝上憲文 撮影/上木鉄也) にこやかな表情で仕事をする八木きく子さん(87歳)と、それを見守る飯尾社長 【もくじ】 エルダー(elder)は、英語のoldの比較級で、”年長の人、目上の人、尊敬される人”などの意味がある。1979(昭和54)年、本誌発刊に際し、(財)高年齢者雇用開発協会初代会長・花村仁八郎氏により命名された。 2019 April ●表紙のオブジェ イラストレーター 柳田ワタル(やなぎだ・わたる) 1947年 大阪府堺市生まれ。1970年 多摩美術大学卒業。アニメーション制作会社勤務ののち、1974年よりフリーのイラストレーターとなる。1977年よりオブジェ、立体クラフトなどの制作を開始。90年代からは写真撮影も始める。 特集1 6 業界別 シニア人材の活かし方 〜産業別高齢者雇用推進ガイドライン〜 7 特別インタビュー シニア期に活躍するためには「変化対応行動」を磨くことがカギ 中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール) 教授 佐藤 博樹氏 10 「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」の概要 12 「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」の紹介 一般社団法人日本砂利協会/電機・電子・情報通信産業経営者連盟/一般社団法人情報サービス産業協会/一般社団法人日本旅行業協会/一般社団法人日本結婚相手紹介サービス協議会 ほか 特集2 18 人生100年時代 継続雇用・定年延長を考える ―生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム― 19 講演 高齢社員の人事管理 ―現状と今後の展望― 千葉経済大学経済学部経営学科 准教授 藤波 美帆氏 20 講演 60歳代前半層の人事管理の整備と定年延長 ―現役(59歳以下)正社員の人事管理との継続性に注目して― 玉川大学経営学部国際経営学科 教授 大木 栄一氏 21 大阪会場 企業事例発表@ サントリーホールディングス株式会社 企業事例発表A 大和ハウス工業株式会社 パネルディスカッション「継続雇用・定年延長を考える」 1 リーダーズトーク No.48 コーケン工業株式会社 代表取締役社長 飯尾祐次さん 最高齢90歳、「四世代同居」の家族的社風 働く意欲を生み出すチームコーケンの幸せ 27 日本史にみる長寿食 vol.307 若竹煮の春 永山久夫 28 マンガで見る高齢者雇用 トヨタ自動車株式会社《第1回》 34 江戸から東京へ 第79回 誤った忖度を正す御隠居さま 上杉重定 作家 童門冬二 36 高齢者に聞く 生涯現役で働くとは 第60回 公益社団法人目黒区シルバー人材センター・レストラン「奈古味」スタッフ 内藤久美さん(75歳) 38 高齢者の現場 北から、南から 第83回 徳島県 四国交通株式会社 42 ケーススタディ 安全で健康に働ける職場づくり[最終回] 46 知っておきたい労働法Q&A《第12回》 家永 勲 50 高齢者雇用と働き方改革 治療と仕事の両立支援のポイント 最終回 立石 清一郎 52 労務資料 第13回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況 56 2019年度 高年齢者雇用開発コンテスト募集案内 58 BOOKS 59 ニュース ファイル 60 次号予告・編集後記 61 技を支える vol.299 布に生命を吹き込んで一期一会の洋服づくり 婦人・子供服注文仕立職 秋間知子さん 64 イキイキ働くための脳力アップトレーニング! [第23回] 漢字しりとり 篠原菊紀 【P6】 特集1 業界別 シニア人材の活かし方 〜産業別高齢者雇用推進ガイドライン〜  人手不足に対応する一つの答えとして、また生涯現役時代における高齢者の活躍の場として、高齢者雇用の推進は、今後ますます重要となります。しかし、産業により労働者の雇用形態や高齢化の状況などが異なることから、各産業の特性に合わせた雇用対策を行っていくことが肝要となります。そこで当機構では、各産業別団体による高齢者雇用を支援する「産業別高齢者雇用推進事業」の一環として、「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」を取りまとめ、現在までに82業種のガイドラインを策定しています。  今回は、中央大学大学院の佐藤博樹先生へのインタビューを交え、活躍するシニア人材の特徴や、2018年度に策定された5つの産業のガイドラインについてご紹介します。 現在までに策定された82業種の産業別ガイドラインを、当機構WEBサイトにて公開しています。ぜひご覧ください。 産業別 高齢者 ガイドライン 検索 【P7-9】 特別インタビュー シニア期に活躍するためには「変化対応行動」を磨くことがカギ 中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)教授 佐藤 博樹氏 聞き手●独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 部長 浅野浩美 活躍する人材には世代を超えた共通点がある ―当機構の「情報サービス業高齢者雇用推進委員会」の部会長として、ガイドラインをまとめていただき、ありがとうございました。そのなかで、「高齢者雇用を進める」ことだけにとどまらず、「年齢を重ねても活躍し続けられる人材」に着目され、30代、40代にも目を向けられました。その理由を教えてください。 佐藤 高齢者雇用といえば一般的に50代後半から60代に焦点があたりますが、情報サービス産業はその世代のウエイトがそれほど大きいわけではありません。50代後半以降も視野に入れながら、いまの30代、40代が変化の激しい業界で企業に貢献するために、どのように仕事をするべきかに焦点をあてました。  分析にあたっては、各年代ごとに相対的に活躍している「活躍人材」と、そうでもない「普通人材」に分けました。そして30代の普通の人がより活躍するためには何をすべきか、さらに40代、50代の人が活躍するためには何が必要なのかを明らかにしようというのが、今回の調査研究で設定したテーマです。  「いま何が必要なのか」という視点でいえば、現時点で不足しているスキルや身につけるべきスキルが何かということはわかります。しかし、スキルが陳腐化するのは速いですし、いまの30代が40代に、40代が50代になったときに、どんなスキルが必要になるかはわかりません。そこで今回着目したのは、「コンピテンシー」つまり「行動特性」です。例えば40代で活躍している人の行動特性を30代が取れるようになれば、40代になっても活躍できるでしょうし、50代で活躍している人の行動特性がわかれば、40代の人が50代になっても活躍できます。 ―変化に対応していくために必要なコンピテンシーとは何でしょうか。 佐藤 明らかになったのは、「活躍人材」には世代を超えて共通の特徴があることです。調査では30代、40代、50代以上の人材を「360度評価」によって行動特性を得点化し、平均値を超えた人を「活躍人材」、平均値以下を「普通人材」としました。  例えば30代の活躍人材と普通人材の行動特性のポイントの差を見ると、差が大きかった行動特性の上位三つは「独創性」、「挑戦力」、「好奇心」です。独創性とは、既存の枠にとらわれずアイデアを生み出す力、挑戦力とは困難な事柄に立ち向かいやり遂げる力、好奇心は、あらゆることに関心を持ち未知の事柄に取り組む力です。普通人材との差が最も大きかったのが「独創性」でした。  40代になると、プロジェクトをマネジメントする役割をになう人が多くなりますが、活躍人材の行動特性でポイントが最も高いのは「挑戦力」であり、普通人材との差が最も大きかったのも挑戦力です。また、入手した幅広い情報を取捨選択する「情報取捨選択力」、予期しない状況でも臨機応変に対応する「状況対応力」なども求められます。  50代の活躍人材の行動特性のポイントが最も高いのは「探求心」(よりよい成果・品質を求める)で、2番目に「状況対応力」が入っています。興味深いのは、普通人材との差が大きかった行動特性として「学習力」があげられることです。新たな知識やノウハウを修得する力です。実は、ここに出てきた挑戦力、好奇心、学習力は業界を超えて必要な能力でもあります。 新しい学びで「変化対応行動」を ―先生は「どのような人材が変化に対応できるか」、という研究もされています。具体的に教えてください。 佐藤 いまの仕事に必要なスキルは学べますが、いまの時代は、不確実性が高まっており10年、20年後に備えて何を勉強すればよいかはだれにもわかりません。確実なのは、新しいことを学ばないといけないということです。そのときに大事なことは「知的好奇心」、「チャレンジ力」、「学習習慣」の三つを持っていること。この三つを備えていると「変化対応行動」を取れることが、私たちの研究でわかっています。  今後どのような変化が起こるのかわかりませんが、変化にあわてないためには、世の中の出来事に常に関心を持つ知的好奇心が必要です。また、新しいことに取り組むチャレンジ力、そして新しいことを学ぶ学習習慣があることが大事になります。  この三つを日ごろからやれていれば変化対応行動が取れますし、将来への不安も低いことが明らかになっています。特に情報サービス産業にたずさわっている人は、自分は5年後、10年後も仕事ができるのか強い不安を持っていますが、逆にいえば、三つの行動が取れていれば不安も小さくなるということです。 ―どのようにすれば、変化対応行動を取れるようになるのでしょうか。 佐藤 変化対応行動力が高い人と低い人にわけた電機産業のホワイトカラーの調査があります。両者のこれまでの仕事の経験や仕事以外の行動の違いを調べたものです。  わかったことは、変化対応行動力が高い人は、比較的変化の激しい職場で仕事をしてきたということです。つまり新しい仕事にチャレンジする必要に迫られ、新しいことを学ばなければいけない職場にいた人は変化対応行動を取りやすい。逆に、これまでに仕事の変化が少なく、順風満帆だった人は、変化対応行動が取れない可能性もあります。  変化対応行動における学びとは、知識をひたすら詰め込むことではありません。新しい学びとは、これまでにつちかった知識・経験と対立することも学ばないといけません。なぜなら、いままでの仕事のやり方が、全部とはいいませんが一部通用しなくなるわけです。これからの学習習慣は、「これまでのやり方と違うよ」といわれたことも学ぶ。つまり、正しいと思っていた価値観を変えられるかどうか、アンラーニング、学習棄却※できるかも重要になります。 多様な価値観の人材との交流を ―価値観の転換を含めて、企業としてはどのような支援をしていけばよいのでしょうか。 佐藤 変化対応行動力が高い人は、企業内で自分と違う価値観を持っている人と一緒に仕事をしたり、交流することが多いこともわかっています。例えば、女性の上司に仕えた、組織風土が違う関連会社に出向して働いた経験などです。また、企業内だけではなく、企業の外でもさまざまな交流を経験していたこともわかっています。  したがって社員の変化対応行動力を高めるには、自分と違う価値観の人と交流する機会を増やすことです。その点では、多様な人材が活躍できる職場づくりを推進するなど、企業のダイバーシティマネジメントも極めて重要です。  また、働き方改革によって生まれた時間をどう使うかも大事です。自分のために使ってもいいし、外に出ていろんな人と交流することも、社員が変化対応行動力を高めることにつながります。例えば、私が教えているビジネススクールでは企業の役員、部長、課長も学んでいますが、みんな学生であり、同級生です。社内での役割から学生という役割に変わるために、会社のなかの価値観を捨てざるを得ないし、単に学ぶこと以外に得られる学びもあるのです。マンションの管理組合の役員などをやってもいいでしょう。会社の役割とは違うため、自分の言い分を周りは会社の部下のように忖度(そんたく)もしてくれない。これが学びになるのです。 ―前述の「高齢者雇用推進ガイドライン」でも、同じ仕事に慣れているからずっと任せるのではなく、あえて違ったことをやってもらうことを、30代から積み重ねていくことも大事だと指摘しています。 佐藤 そうですね。ガイドラインでも多くの仕事・経験を積ませるとともに、研修などを活用して「予期しない状況」をつくり出し、ロールプレイで解決する練習を経験しておくことを推奨しています。  個別のスキルはすぐに役に立たなくなる可能性があるので事前に学ぶことはできません。会社がこれを勉強しろといって役に立たなかったら会社の責任問題にもなりかねませんしね(笑)。何かを学べという必要はありません。学習習慣を確立することが大切で、学ぶ内容は問いません。  リクルートワークス研究所が実施した社会人の学びの研究調査によると、OJT、OFFJT以外に、いまの仕事に必要なスキルを勉強している人は約4割でした。ところが翌年も継続して勉強し続けている人は少ない。必要がなくなれば学ばなくなってしまう人が結構多いのです。企業の役割としては、世の中に関心を持ち、社内外で違う価値観に触れ、学び続ける社員をどのようにつくっていくかが重要です。そのためには学ぶ時間を用意してあげること、そして学んだ中身ではなく、自分と価値観が違う人と交流し、気づきを得るなど学んでいる社員を素直に褒(ほ)めてあげることが大切でしょう。 さとう・ひろき 中央大学大学院戦略経営研究科教授。専門は人的資源管理。内閣府の男女共同参画会議議員やワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議委員、経済産業省のダイバーシティ経営企業100選運営委員長、当機構の高年齢者雇用開発コンテスト審査委員長などを務める。『人材活用進化論』(日本経済新聞出版社)、『職場のワーク・ライフ・バランス』(共著、日経文庫)など著書多数。 ※所属・役職はインタビュー時のものです ※ アンラーニング、学習棄却……すでに学んだ知識や既存の価値観を捨て、新たに学び直すこと 佐藤博樹教授 【P10-11】 「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」の概要 編集部  日本では高齢化が進むなか、中長期的に労働力人口の減少が見込まれ、労働者が社会の支え手として意欲と能力のあるかぎり活躍し続ける「生涯現役社会」の実現が求められています。  高齢者が長年つちかった能力を十分発揮しながら満足感を得て働き続けるためには、賃金・処遇、技術・技能の伝承、能力開発などの仕組みづくり、そして、産業全体で高齢者を雇用できるシステムづくりなどを、中長期的な視点で進めることが重要です。  こうした課題解決に向けて、産業ごとの労働力人口の高齢化の状況や、求められる労働者の性質、雇用形態など、高齢者雇用に関する諸条件をふまえて検討し、産業全体の活性化につなげる取組みが必要です。そこで当機構では、各産業別団体による高齢者雇用を支援する「産業別高齢者雇用推進事業」の一環として、「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を取りまとめています。 「産業別高齢者雇用推進事業」とは  「産業別高齢者雇用推進事業」は、産業別団体が高齢者の雇用推進のために解決すべき課題について検討し、その結果をもとにガイドラインを作成し、これを用いて会員企業に普及・啓発することで、高齢者雇用を一層効果的に推進することを目的としたものです。  この事業では、高齢者雇用の推進に取り組もうとする全国規模の産業別団体を公募し、当機構と契約(2年以内の委託事業)を結びます。現在までに建設、製造、サービス、ITなど、多岐にわたる分野で、80以上の業種がこの事業に取り組み、成果を上げています。 ガイドラインの策定  ガイドライン策定への具体的な流れとしては、初年度に、産業別団体内に高齢者雇用推進委員会(以下、「委員会」)を設置します。大学教授などの学識経験者を座長とし、団体に所属する会員企業の経営者や人事担当者など10人程度で構成。年4回程度委員会を開催し、その産業における高齢者雇用の実態把握を行います。  委員会ではまず、高齢者雇用における課題は何かを検討します。そして、あげられた課題をより明確に把握するため、会員企業へのアンケートや先進的な企業へのヒアリングといった調査を実施します。  2年目は、初年度の調査結果で浮彫りとなった課題とその解決策を整理し、ガイドラインを策定します。  なお、ガイドラインでは、以下の点を主な課題として取り上げています。いずれを重視するかは産業ごとに異なり、各産業の実態をふまえた実用的な一冊に仕上げています。 ・雇用・人事管理制度のあり方 ・能力開発のあり方 ・職場改善のあり方 ・職場管理のあり方 ・健康管理のあり方  ガイドラインは、会員企業に配付し、理解を深めるためのものであるため、企業担当者などが参照しやすいよう編集しています。  さらに、普及啓発活動として全国で高齢者雇用推進セミナーを開催することで、ガイドラインをより効果的に活用できるようにするとともに、企業への浸透を促しています。 業種を超えたガイドラインの活用  当機構ホームページでは、ガイドラインをはじめ、実際に活用できるワークシートやチェックリストなどの各種ツールを公開しています。  ガイドラインは、業種や時代による変化があったとしても、共通して参考となる点も多くあります。ぜひご覧いただき、高齢者雇用の取組みにお役立てください。 産業別 高齢者 ガイドライン 検索 機構委託 産業別団体 ガイドラインの策定/普及・啓発 ○○○業高齢者雇用の手引き 会員企業 改善 高齢者の活用 「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」一覧 (直近4年間に作成したガイドライン) 採石、砂利採取業 採石業 高齢者活躍に向けたガイドブック 〜高齢者の持つ貴重な経験を現場で活かし、かつ、次世代に伝える〜(2016年) 多世代共働による職場づくり 〜砂利採取業 高齢者活躍に向けたガイドブック〜(2018年) 建設業 機械土工工事業 高年齢従業員活用のためのガイドブック 〜Q&Aからわかる、高年齢者の活躍促進のために今すべきこと〜(2015年) 建設揚重業 高齢者の活躍に向けたガイドブック 〜クレーンオペレーターがいつまでも活躍するために〜(2017年) 製造業 金属工作機械製造業 高齢者雇用推進ガイドブック 〜ものづくりの継承、そして未来へ〜(2015年) 金属熱処理業 高齢者雇用推進の手引き 〜高齢者の方にいきいきと働いてもらうために〜(2015年) バルブ製造業 〜会社と従業員がともにつくるベテランがいきいきと活躍できる会社〜(2016年) フルードパワー産業 高齢者の活躍に向けたガイドライン 〜シニアの活力を未来のものづくりに活かすために〜(2017年) シニア社員が活躍できるキャリアのつくり方 〜電経連版キャリア再設計研修プログラムの提案〜(2018年) 情報通信業 コンピュータソフトウェア業 高齢者雇用推進ガイドライン(2016年) 情報サービス産業 高齢者雇用推進ガイドライン(2018年) 運輸業 トラック運送事業 高齢者雇用推進の手引き 〜高齢ドライバーを活用するために〜(2015年) 小売業アパレル・ファッション産業 高齢者雇用ガイドライン 〜高齢者の戦力化のために〜(2015年) 生活関連サービス業 ブライダル業 高齢者雇用推進の手引き 〜知識と経験はブライダル業の宝〜(2016年) 保育サービス業 高齢者雇用推進ガイドライン 〜シニアベビーシッターのイキイキ積極的な活用に向けて〜(2016年) 旅行業高齢者雇用推進ガイドライン 〜シニア人材の活躍に向けて〜(2018年) 結婚相手紹介サービス業における高齢者雇用推進ガイドライン 〜結婚相手紹介サービス業のシニア人材活躍サポートマニュアル〜(2018年) 医療福祉業 有料老人ホーム事業 高齢者活躍に向けたガイドブック 〜高齢者の持ち味を活かしていくために〜(2017年) サービス業 (他に分類されないもの) 今から求められる高齢者の活躍 〜製造請負・派遣業における高齢者雇用推進ガイドライン〜 (2016年) 職業紹介業 高齢者雇用推進ガイドライン 〜活躍するシニア5つのタイプ〜シニア人材が企業を強くする〜(2017年) ※(  )内の数字はガイドライン策定年度を表します 【P12】 「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」の紹介 1 産業別高齢者雇用推進ガイドライン 一般社団法人 日本砂利協会 多世代共働による職場づくり 〜砂利採取業 高齢者活躍に向けたガイドブック〜  本ガイドブックは2004(平成16)年に作成した「砂利採取業高齢者雇用推進の手引き」の改訂版である。前回から10年余りが経過し、少子高齢化による人手不足はさらに進み、安定的な労働力の確保は砂利採取業界においても重要課題の一つになっている。  こうした状況を背景に、高齢者雇用の実態を把握するためのアンケート調査を実施。高齢者が活躍できる工夫を各社・各現場で積み重ねていること、これらの取組みによって高齢者の活躍の場が広がっていることが明らかになった。その一方で、業界全体として高齢者の活躍の場を考えていく必要性が求められている。  本ガイドブックでは、調査結果に基づき、全編において企業の好事例を紹介し、高齢者活用の一助となることを目ざして作成している。  「1 砂利採取業における高齢者の活躍に向けた考え方」では、若年者不足と高齢化により、さらなる高齢者の活躍が求められている背景を説明し、よりいっそう高齢者に活躍してもらうための五つのポイントを導いている。  「2 砂利採取業における高齢者の活躍に向けた5つのポイント」では、1で整理した五つのポイントを具体的に解説している。  ポイント1「人手不足の解消に向けて中高年者のさらなる活躍方法を見出す」では、一人ひとりの能力や適性にふさわしい仕事・役割を付与し、必要に応じて変更する「個別管理」が重要であると述べている。  ポイント2「次世代の育成を図り『少数精鋭』を進めるために高齢者の保有する『現場力』を継承する」では、人手不足の状況下では、少数精鋭で業務を遂行していく体制の構築が必要であり、若手社員の現場力を高めるための育成係として、高齢者の役割が重要だとしている。  ポイント3「職場の一体感を生み出すために世代を超えたコミュニケーションを円滑にする」では、連帯感のある職場は、結果的に若年者の定着につながるとし、経営者が間に入り、若手・中堅・高齢者を融和に導く仕組みづくりが必要であると提唱している。  ポイント4「長期にわたって働くことを前提とした雇用管理制度を整備する」では、高齢者を積極的に活用するという方針を持ち、次のような人事管理を行うことを奨励している。 ・高齢者が安心して働くための定年制の確立、定年年齢の再検討 ・高齢者のモチベーションを高めるための賃金・処遇制度の見直し ・人事評価・査定による高齢者のモチベーションの向上  ポイント5「安心・安全に働くために安全対策の徹底と健康管理面の配慮を行う」では、高齢者に大きく依存する業界だからこそ、日々の安全対策や会社としてできる健康管理面の配慮・対策の徹底が必要であるとしている。職場環境の改善ポイントをチェック項目にしており、そのまま活用することができる。  「3 参考資料」では、統計資料などを交え、高齢者雇用の仕組みづくりを考える際に参考になる資料を掲載している。 一般社団法人 日本砂利協会 連絡先:東京都千代田区神田駿河台3―1 日光ビル5階 TEL:03―5283―3451 FAX:03―5283―3452 HP:http://www.disclo-koeki.org/06a/00836/ 【P13】 2 産業別高齢者雇用推進ガイドライン 電機・電子・情報通信産業経営者連盟 シニア社員が活躍できるキャリアのつくり方 〜電経連版キャリア再設計研修プログラムの提案〜  電機・電子・情報通信産業は、会員企業へのアンケート調査により、シニア社員の現状と活躍に向けての課題を明らかにするとともに、シニア社員とその上司を対象としたヒアリング調査を実施。活躍するシニア社員の成功要因を抽出し、その成功要因に基づき、「電経連版キャリア再設計研修プログラム」を開発した。同書は、同プログラムを運用する際に手引きとして活用できる。  「T はじめに〜本事業の問題意識と取り組み概要〜」で本事業の概要を述べたうえで、「U 当業界の高齢者雇用をめぐる状況と課題」において、シニア社員の割合、定年制度・継続雇用の仕組み、評価と処遇などアンケートの調査結果を概観し、シニア社員の活躍に向けた課題を提示している。  「V 『電経連版キャリア再設計研修プログラム』のねらい、開発手順、骨格」では、同プログラムを50代向けの「(1)準備の段階」と、実際に再雇用された60代前半層向けの「(2)活躍する段階」に分類(※同書は「(1)準備の段階」に対応したものと位置づけられている)。次にプログラムの受講対象者、研修名、目的、構成といった事柄から、事前準備、研修実施の流れなどを骨格として提示しており、研修を実施する際の概要と手順を把握することができる。  「W 研修プログラム」では、まず、企業が研修を実施する目的と目標が明示され、研修実施時の留意事項をあらかじめ把握できる。なお、内容の詳細・構成は、自社の状況や既存研修プログラムに合わせてつくり変えたり、あるいは必要事項のみを抽出して活用することもできる。  「研修カリキュラム」のページは、各事業所でそのままカリキュラムとして活用できる具体的な内容になっている。研修の目的は「60歳を越えてもいきいきと働くための戦略をたてる」。構成は大きく「事前課題」、「研修前半」、「中間課題」、「研修後半」に分かれ、それぞれの講義内容、所要時間、手法(講義・個人ワーク・グループワーク)、「使用する物」などの項目が記載されておりわかりやすくなっている。  また、同章末に綴じ込まれた「シート1:棚卸シート」、「シート2:キャリアReデザインシート」、「シート3:計画シート」、「別紙:スキル一覧」がそのまま研修で使えるツールとなっており活用しやすい。  「X 研修プログラム 企画立案者用テキスト」は、研修を組み立てる際の基本的な考え方と受講者に考えさせるポイントや、教材作成に資する事例をまとめている。W章で提示されているカリキュラムに対応しており、研修目的、研修のポイント、コンテンツの考え方を解説し、個人ワーク・グループワークの題材例が具体的に例示されている。各社へのヒアリングで得た「先輩社員の声」、「上司の視点」なども紹介されている。 「【参考】活躍する段階」は、X章と同様の構成になっており、企画立案者が「(2)活躍する段階」に関して研修を組み立てる場合に参考にするものとなる。 電機・電子・情報通信産業経営者連盟 連絡先:東京都千代田区一番町17―4 電機工業会館5階 TEL:03― 3556―5896 FAX:03 ― 3556―5897 HP:http://denkeiren.com/ 【P14】 3 産業別高齢者雇用推進ガイドライン 一般社団法人 情報サービス産業協会 情報サービス産業高齢者雇用推進ガイドライン 〜未来を見据え、活躍し続けられる IT人材を育成〜  「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(経済産業省)によると、2019(平成31)年をピークに、情報サービス産業の従事者数は減少に向かうと予想されている。IT人材の平均年齢については、2030年には約3割が50歳以上のシニア層になることが示されている。  情報サービス産業における高齢者雇用推進事業では、現在活躍しているシニア人材が、どんなコンピテンシー(行動特性)を持っているかに着目し、検証することにより、30〜40代の人材が将来にわたって活躍していくための「道しるべ」となることを目ざし、本ガイドラインを作成。情報サービス業界で「活躍する人材」について考えるとともに、従業員が活躍しながら、長く働き続けるためには、企業として何に取り組むべきかを解説している。  「第1章 情報サービス業を取り巻く環境の変化」では、人口減少社会の影響と、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進化によって、従来のビジネスモデルを抜本的に変革する「デジタルトランスフォーメーション:Digital transformation」(以下、DX)が世界的に進展していることを解説。DXを背景に、情報サービス産業は各産業にとってますます大きな役割をになうことになると述べ、これから変化する情報サービス産業の「ビジネス」と、IT人材に今後求められるスキルについて提起している。  「第2章 『行動特性』、『仕事・経験』からみる活躍人材の特徴」では、現在の情報サービス産業で活躍している人材の特徴として、行動特性や仕事・経験を概観している。  2017年度実施の情報サービス産業協会アンケート調査(従業員向け調査)、およびヒアリング調査の結果から、活躍している人材の特徴を「30代」、「40代」、「50代以上」別に紹介。それぞれの世代で活躍している人材が、これまで担当したプロジェクトや職種・工程などの「仕事・経験」、あるいは彼らが持っている探究心、主体性、課題解決力などの「行動特性」をランキング形式に提示し、活躍している人材の特徴を探っている。  「第3章 IT人材が長期にわたって活躍し続けるには〜活躍し続けられるIT人材の育成に向けた示唆〜」では、第2章で明らかになった活躍している人材の特徴を分析し、今後、情報サービス産業で活躍し続ける人材になるため、あるいは育成するためにはどうすればよいかを年代別に示唆している。各年代で伸ばすべき能力を示唆することで、より具体的なキャリアプランの設計に一役買う内容となっている。  50歳以上のIT人材の活躍については「人事担当者からの声」として好事例が紹介され、60歳以上の人材に対する配慮や取組みについてのアンケート調査の結果なども掲載されている。  巻末に「参考資料」を設け、日本の高年齢者雇用をめぐる法制度のほか、企業支援の仕組みなどをまとめている。 一般社団法人 情報サービス産業協会 連絡先:東京都千代田区内神田2―3―4 S―GATE 大手町北6F TEL:03―5289―7651 FAX:03―5289―7653 HP:http://www.jisa.or.jp/ 【P15】 4 産業別高齢者雇用推進ガイドライン 一般社団法人 日本旅行業協会 旅行業高齢者雇用推進ガイドライン 〜シニア人材の活躍に向けて〜  旅行業は、運送・宿泊機関などの企画、手配、あっせんなどを行う事業であり、人手に負うところが大きい労働集約型産業である。一方で、旅行業は大きな資本を必要としないビジネスであることから、約90%を中小企業が占めており、人材確保は業界の喫緊の経営課題となっている。  日本旅行業協会の会員企業を対象に調査を実施した結果、現在雇用されているシニア人材が従業員全体に占める比率は低く、現時点では高齢者雇用を喫緊の課題とする企業は少ないものの、今後5年後、10年後に経営課題になるという結果が得られた。これは、同業界において、「シニア人材の活用」が近い将来の課題であることを意味している。  当ガイドラインは、各社が高齢者雇用推進に向けて取り組む際の指針として策定されている。本編と資料編で構成され、本編では高齢者雇用推進について「なぜ取組みが必要なのか」、「どんな取組みが必要なのか」という二つの観点で構成して解説。資料編は、日本における高齢者雇用をめぐる法制度や、企業支援の仕組みなどをまとめている。  「1 なぜシニア人材の活用に取り組むの?」の「(1)旅行業界を取り巻く環境の変化」では、業界が今後10年で大量のシニア人材を抱えることをグラフや図で示し、環境変化に向けて、いま取り組むことの重要性を提示している。「(2)シニア人材の活用から得られるメリット」では、調査結果に基づくシニア人材の活躍ぶりの評価と企業が得ているメリットを図解し、先進企業の声を紹介している。  「2 どうやってシニア人材の活用に取り組むの?」の「(1)シニア人材活用戦略の策定」では、10〜20年後に自社を取り巻く環境はどう変わるのか、シニア人材に期待するものは何か、シニア人材を活用するためにはどのような人事制度が必要か、という三つの項目をあげて、シニア人材活用戦略の策定方法を指南している。さらに「(2)従業員の年齢に応じた支援・取組み」では、シニア期の活躍に向けて、プレシニア期の従業員への働きかけが大切だが、取組みが十分に進んでいないと指摘。特に力を入れるべき取組みを従業員の年代(@プレシニア期、A定年を迎えるタイミング、Bシニア期)に分け、三つのステップとして紹介している。いずれも先進企業の好事例を多数紹介しており参考になる。 ■プレシニア期/長期的な視点に立って定年後の就業について考え、準備を進めてもらうために、定年後の働き方や暮らし方に関する情報提供の仕方を紹介している。 ■定年を迎えるタイミング/定年にともなう変化について理解と納得を得るために、個別面談を推奨している。面談の際の、ていねいで重点的な説明を要するポイントを解説している。 ■シニア期/人事制度を工夫してシニア人材の活躍を実現させるための、就業継続意欲の維持に向けた取組みについて説明している。実際に自社の制度を確認し活用できる「制度設計チェックリスト」を掲載している。 一般社団法人 日本旅行業協会 連絡先:東京都千代田区霞が関3―3―3 全日通霞が関ビル3階 TEL:03―3592―1271 FAX:03―3592―1268 HP:https://www.jata-net.or.jp/ 【P16】 5 産業別高齢者雇用推進ガイドライン 一般社団法人 日本結婚相手紹介サービス協議会 結婚相手紹介サービス業における高齢者雇用推進ガイドライン 結婚相手紹介サービス業のシニア人材活躍サポートマニュアル  結婚相手紹介サービス業では、すでに多くのシニア人材が婚活カウンセラーとして活躍中である。婚活カウンセラーの仕事は年齢と経験を重ねるほど利用者の信用を得られるという特徴があり、本業界においては若年層よりシニア人材の方が仕事に適していると考えられている。よって、他業種からの転職など、今後のシニアの就業と活躍への期待は大きい。  本書は、いま活躍しているシニア人材だけでなく、これから本業界に就職を希望するシニア人材も対象にし、長く活躍し続けるための職業マッチングなどについて紹介している。  「T 本業界で活躍するシニア人材について」は、アンケート調査の結果から、現在、シニア人材が活躍している企業の状況を概観している。多くの企業がシニア人材にカウンセラーや仲人として第一線での活躍を期待し、処遇や責任についても年齢による変化はないと述べている。  次に本業界で活躍しているシニア人材の人物像、あるいは向いていない人物像の分析や、当初は活躍できなかったものの企業の支援を得て力を発揮できた事例などを紹介。企業による支援が、ポイントになることを示している。「特にシニア人材に対する支援」と「シニア人材だけに限らない支援」に整理し項目別にしているためわかりやすい。  章末では、本業界で働く人材の特徴をまとめている。子育てが終わって初めて就職した人や、他業界からキャリアチェンジしている人が多いため、40代後半からでもカウンセラー業務を始められる、とまとめている。  「U 活躍するシニア人材に求められる能力」では、ヒアリングの調査結果から、活躍するシニア人材が身につけている要素を@行動面、Aスキル面、B態度面の三つの面から抽出。もっとも、これら三つの要素を支える土台に基礎力(心身ともに健康であること、働こうという意志と働ける環境)があるとしたうえで、シニア人材には三つの要素の上に、さらに経験や訓練で身につけた高度専門能力があると述べている。  そして@行動面、Aスキル面、B態度面の三つの要素別に、活躍しているシニア人材の状況とそれを支えるための企業の取組みを、図表で紹介している。シニア人材が三つの能力をより発揮できるように、企業のどのような支援が必要か、シニア自身はどう努力し、どんな心がけをしたらよいかがわかる。  最後に、今後シニア人材が一層活躍していくための、企業の課題として「今後、さらに推進していく必要があるポイント」と、「現在行っているところは少ないが、今後、必要となるであろうポイント」をあげている。さらに「各企業で対応するのは難しく、業界全体で対応していくポイント」については、業界全体で検討していく必要があると結んでいる。  「V シニア人材の雇用を取り巻く社会背景と業界の実態」には、高齢者雇用に関する統計と、アンケート調査の結果が掲載されている。  「W 参考資料」は、高齢者雇用に関して事業主が制度の整備を進める際に参考になる制度や行政サービスの情報を集約している。 一般社団法人 日本結婚相手紹介サービス協議会 連絡先:東京都文京区本郷3―32―6 ハイヴ本郷401 TEL:03―5689―8769 FAX:03―5689―8796 HP:http://www.jmic.gr.jp 【P17】 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 高齢社員戦力化のためのヒント集 〜産業別団体による取り組みから〜  本書は、当機構が実施している「産業別高齢者雇用推進事業」において作成した82業種のガイドラインから、事例や提案内容を抽出し、四つのテーマ別に分類して構成したものである。  T部のテーマは「意欲を持って働いてもらえる制度にするには?」。高齢社員の豊かな知識、経験を活用しつつ、企業の活性化を図るためには、高年齢者雇用安定法に基づく雇用確保措置だけではなく、戦力化を図ることが重要になってきている。そこでT部では、高齢社員を戦力化するために制度を見直した企業の事例を、「定年年齢や継続雇用上限年齢を延ばす」、「役割や能力に見合った賃金設定を行う」といった対策別に整理して紹介している。  U部では、「どのような役割・仕事を求めるか?」として、「プレーヤーとして活躍してもらう」と「サポーターとして活躍してもらう」という二つの視点から、高齢社員の役割と責任の明確化を図った企業の事例を掲載している。高齢社員に力を発揮してもらうには、これまでの経験を活かせる仕事についてもらうことが一番であることから、「プレーヤー」として業務面で活躍してもらう場合、管理職の「サポート役」として貢献してもらう場合、あるいは技能・ノウハウの「伝承役」として期待する場合などの、それぞれのヒントを紹介している。  またU部では、各産業別ガイドラインから抽出した「提案」もあわせて掲載。例えば「高齢社員の強みを把握する」や、「技能の『見える化』にタブレット端末を活用する」などの提案を取り上げている。  V部では「高齢になってもこの会社で働きたいと思ってもらうには?」がテーマである。役職の降任、賃金の低下、仕事内容の変更などにより、モチベーションが低下してしまう高齢社員が少なからずいる。モチベーションを維持して活躍してもらうために企業が行った取組みとして、「キャリアプランを考えてもらう」、「会社と高齢社員の認識を共有する」、「『学び続ける』『学び直す』ことを支援する」といった事例を紹介。50代から定年後のキャリアプランについて考える場を提供するとともに、企業が何を求めているかをしっかり伝えるといった支援を行っている企業の好事例を紹介している。  また、「職場の雰囲気づくり」や、「中高年における学びの重要性」に関係する企業事例なども掲載している。  W部は「健康・安全のために必要な配慮は?」として、高齢になると低下しがちな体力、注意力などに注目し、安全対策を講じている企業事例を紹介。例えば、「健康管理対策に力を入れる」、「体力負荷を軽減する」など、高齢社員の健康増進と安全に努める対策事例をあげている。  巻末には「付録1 産業別高齢者雇用推進ガイドライン一覧(業種別)」が掲載され、「付録2 業種別ワンポイント・ヒント」には建設業、製造業、情報通信業、運輸業・運送業、宿泊業、社会福祉・介護業の主要6業種について、高齢社員を取り巻く環境と戦力化へのヒントを簡潔にまとめた。  「付録3 高齢・障害・求職者雇用支援機構が行う支援サービス等のご案内」は、高齢者雇用に関して活用できるサービス、助成金、マニュアル・事例集などを紹介している。 【P18】 特集2 人生100年時代継続雇用・定年延長を考える ―生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム―  前号に引き続き、「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」の開催レポートをお届けします。今回は1月に開催された大阪会場の模様を中心に、有識者による基調講演や企業事例発表、パネルディスカッションの模様を紹介します。シニア人材の活用、戦力化に向け、ぜひご一読ください。 ※シンポジウムでの配付資料については、当機構ホームページ(http://www.jeed.or.jp/elderly/activity/haifusiryou.html)に掲載しています ※宮城・東京・愛知・広島・福岡会場の模様は本誌3月号をご覧ください ※講演者・発表者等の所属・役職は、シンポジウム開催時のものです 【P19】 講演 高齢社員の人事管理―現状と今後の展望― 宮城会場 千葉経済大学経済学部経営学科 准教授 藤波 美帆  本日は、60歳以降の人事管理の今後について、最新の研究成果をふまえてお話しさせていただきます。  高齢社員の人事管理についてお伝えしたいことの一つは、「人手不足だからとりあえず雇う」といった短期的な視点での高齢社員活用は、もううまくいかない時代になっているということです。そうではなく、通常のマネジメントに組み込む、あるいはパートタイマーやアルバイトなどと同様に、60歳以降を1グループであるという視点でとらえ、活用方針を明確にして、そのグループの人事管理を整えていくということが大事になっています。  まずは、65歳までの人事管理をしっかり考えることが重要です。制度設計はもちろんですが、それを上手に動かすための仕掛けも必要となります。その二つを合わせて人事管理を整備すると、65歳以上の継続雇用や定年延長、定年廃止もやりやすくなることが、研究の結果からわかっています。  一方、60歳以降の方々は、会社から期待されている役割、あるいは、自分の強みが何かを認識することが、まずは求められます。会社が自分に期待している役割がわからない場合は、会社にそれを確認します。なかには、上司が高齢社員に遠慮して、期待する役割を伝えていないケースもありますが、それではお互いに十分なパフォーマンスを発揮できません。期待される役割を高齢社員自身が認識することは大変重要です。  また、ぜひ実施していただきたいこととして、60歳以降の仕事と生活について、早い段階で考える場をつくるということがあります。50歳、55歳などの節目に行う退職準備教育などです。働く方は、「自分のキャリアは自分でつくる」という意識を持って、60歳以降のことを早いうちから考えて準備し、働くイメージを明確にしておく。自分はどういう働き方をしたいのかを考えて、会社に伝えることが重要になります。  高齢社員の人事管理を考える際のポイントは、高齢社員に企業の業績に貢献してもらうための仕組みを整えることです。貢献に対する成果として、例えば報酬については、高齢社員に対しても、働きに見合った支払いができるような仕組みをつくっていく必要があります。  また、ほかの従業員に認識してもらうことも大事なポイントです。高齢社員がいることで、「前の上司がいてやりにくい」などの声が聞こえる職場では、生産性が下がってしまいます。そうならないよう「高齢社員の人たちにしっかりと働いてもらう仕組みを会社は考えていて、こういう役割を期待している」ということを、ほかの社員に伝えて理解してもらう。そうして初めて、高齢社員の能力が100%発揮できる、会社の求めている状況が得られるのです。  なお、研究成果の一部は、高齢・障害・求職者雇用支援機構の『継続雇用制度の現状と制度進化』※に掲載されていますので、よりくわしくお知りになりたい場合は、そちらもお読みいただければと思います。 ※『継続雇用制度の現状と制度進化』  https://www.jeed.or.jp/elderly/news/2018/q2k4vk000001t5bt-att/q2k4vk000001t5d0.pdf 【P20】 講演 60歳代前半層の人事管理の整備と定年延長 ―現役(59歳以下)正社員の人事管理との継続性に注目して― 福岡会場 玉川大学経営学部国際経営学科 教授 大木 栄一  これまでの日本の企業社会では、定年は一つの区切りで、60歳を境に人事管理を大きく変えてきた経緯があります。ところが、高齢化が進む(年金の支給年齢も上がる)なか、人手不足社会となり、60代前半層について、会社としてはより戦力化を図っていきたい、働く側もがんばって働いていきたいというケースが増えています。その場合、現役正社員の人事管理と、60歳以降も引き続き雇用する社員の人事管理の継続性を意識しないと、働く側としては、残念ながらモチベーションが下がってしまいます。  その要因の一つが給与の問題です。60代前半層の戦力化を図るためには、定年を機に給与が下がったとしても、その人の努力や働きぶりによって再び上がるような仕組みを工夫し、整えていく必要があると考えています。そうした人事管理の整備は、働く人の納得性を高め、モチベーション向上につながり、そのことが職場の生産性を高めることに貢献するからです。  人事管理を設計するうえで重要な点は、どのような仕事に配置して仕事をしてもらうかという配置管理と、どのような就業形態で活用するのかという労働時間管理、つまり「雇用管理」と、働きぶりに対応してどのような報酬を与えるのかという「報酬管理」とのバランスを図ることです。このことは60代前半層にもあてはまります。  高齢・障害・求職者雇用支援機構で、「60歳以降の社員に関する人事管理」についてアンケート調査を実施し、その結果を昨年、『継続雇用制度の現状と制度進化』※にまとめました。  結果のなかから、60代前半層の「昇給」の実施状況をみると、雇用確保措置企業(定年年齢64歳以下かつ継続雇用制度で雇用上限年齢が65歳以下)では、「全員にない」が最も多く73・6%、次いで「一部にある」が15・0%、「全員にある」が10・8%となっています。一方、定年65歳以上企業では、「全員にある」が44・3%、次いで「全員にない」が36・4%、「一部にある」が17・7%となっています。  60歳定年後に給料が下がったとしても、昇給機会があればモチベーションは高まる可能性があります。しかしこの結果をみると、雇用確保措置企業でその機会が「全員にある」企業は約1割です。がんばっても給料が上がらないとなると、働く側としてはやはりつらいところです。  また、現役正社員と異なる人事管理を採用する場合には、企業が60代前半層の活用方針を明確にすることと、それを60代前半層と現役正社員に浸透させるための支援策を実施することも求められます。  60代前半層の働き方のニーズは人によって違いがありますので、現役正社員と継続性を維持する人事管理を行うことが、必ずしも合理的とはいえない場合もあります。大事なことは、どのような仕事に従事してもらうのか、そしてどの程度働いてもらうのかを重視して、人事管理制度を検討する必要があるということです。 ※『継続雇用制度の現状と制度進化』  https://www.jeed.or.jp/elderly/news/2018/q2k4vk000001t5bt-att/q2k4vk000001t5d0.pdf 【P21】 企業事例発表1 65歳定年制の導入でシニアのモチベーションが向上 大阪会場 サントリーホールディングス株式会社 ヒューマンリソース本部 人事部 部長 千(せん) 大輔  当社は、1899(明治32)年に「鳥井商店」として開業してから120年、飲料や酒類の製造事業にたずさわり、現在の従業員数は3万7745人、そのうち国内で働く従業員が約1万8000人です。  2001(平成13)年に再雇用制度を導入し、2013年からは、当時の60歳定年を延長し、65歳定年制度を導入しました。  定年延長の一番の目的は、元気なシニアに、より一層活躍してもらいたいということ。また、年金受給の空白期間を埋めて従業員の充実した生活を支えたいという考えもありました。  これにより、処遇は、従前の水準より大きく上がりました。正社員なので転勤の可能性があり、住宅サポートを含めて、福利厚生制度も65歳まで継続されます。企業年金の支給開始年齢も60歳から65歳へ引き上げました。  また、制度を構築する一方で、65歳まで活躍してもらうためのサポート施策を、「キャリア」と「ライフ」という二つの軸を設けて拡充しました。「キャリア」では、53、58歳時に、1泊2日のキャリアドック研修を全員に受けてもらいます。53歳時点では成長の再認識を、58歳時点では定年まであと7年ですので、シニアとしての成長の継続を考えてもらいます。「ライフ」では、人事制度や年金制度などについて理解し、将来を考えるライフプランセミナーを、50〜52歳、58歳、63歳の3段階で実施します。  65歳定年制導入にともない、役職勇退制度の改定も行いました。部長の場合、従前は55歳から57歳までを勇退期間としていましたが、勇退開始の年齢はそのままにして、62歳まで役職をになえるように改めました。  65歳定年制の導入以降、60代の従業員の意識調査を継続して実施しています。2015年から3年間の調査結果をみると、定年延長に対する評価は上昇しており、非常に高いモチベーションを持っていることが見てとれます。  また、職域の開発にも取り組み、このほど「TOO制度(隣のおせっかいおじさん、おばさんの略)」を取り入れました。豊富な経験を活かし、若手や転入者、支店長、工場長らに声かけをしてもらい、相談役として職場の活性化に貢献してもらっています。 65歳定年制の導入 ◆元気なシニアに、より一層活躍してもらいたい ◆年金空白期間の生活を支え、充実させたい ◆世の中に一歩先んじて、社会の要請に応えたい <再雇用制度> 60歳で退職し、新たに再雇用嘱託として採用 <雇用> ●最長65歳まで単年契約嘱託での雇用 <処遇> ●常勤:350万円/年 ●非常勤:180万円/年 ●住宅等のサポートはなし <退職給付制度> ●60歳から企業年金支給 <65歳定年制> 65歳で定年退職 <雇用> ●正社員として65歳まで雇用  ※60歳以降非常勤嘱託も選択可(業務がある場合のみ) <処遇> ●60歳時点の資格に基づき、新資格へ移行  年収水準:60歳時点の6〜7割程度       ※役割・資格により異なる ●福利厚生制度(含む住宅サポート)継続 <退職給付制度> ●65歳から企業年金支給 【P22】 企業事例発表2 大和ハウス工業における定年延長と生涯現役への取組み 大阪会場 大和ハウス工業株式会社 経営管理本部 執行役員 人事部長 能村(のうむら) 盛隆(もりたか)  当社は住宅やマンション、商業施設などの幅広い建築事業を手掛けており、社員数は単体で約1万6000人強です。  2003(平成15)年に60歳定年後の嘱託再雇用制度を導入し、2013年には65歳定年制度を導入しました。さらに2015年には、65歳定年後の嘱託再雇用制度として「アクティブ・エイジング制度」を導入しています。  65歳定年制度の導入は、経験豊富な人材が、定年を機に社外へ出てしまうのはもったいないということと、それまでの嘱託雇用制度が社員にとって魅力的かどうかを調べたところ、「がんばっても報酬は変わらない」、「やる気が出ない」などの声があり、決して魅力的とはいえなかったことから、改定の検討を始めました。  社員と会社のウィンウィンの関係を築くには、60歳からの社員の人生に対しても、会社は大きく関与する責任がある、そう判断して「安定的な雇用」、「能力や実力が反映される処遇」、「やれば報われる制度」として、65歳定年制度となったのです。  この制度では、60歳で役職定年となりますが、引き続き期間の定めのない社員として処遇します。61歳以降の異動は原則としてありません。退職金は、60歳到達年度末に支給し、企業年金は引き続き社員の規定にて積立てをします。給与などについては、基本給にあたる部分は従前とほぼ同水準としましたが、各種手当と賞与は、一般社員と同様に、組織業績および個人査定により変動します。ただし、賞与の支給率は60歳までの社員と比較して、3分の2程度としています。  役職定年後のシニア社員の役割は、「理事」、「メンター」、「生涯現役」の3コースを設定しています。  65歳以降の嘱託再雇用制度として整備した「アクティブ・エイジング制度」は、嘱託で1年更新など一定の条件はありますが、上限年齢は設けていない生涯現役制度です。定年退職者の7割がこの制度を選択し、65歳以上の社員は現在120人ほどおり、貴重な戦力の確保につながっています。  人件費は、コストでもあり投資でもあります。当社は投資の側面を重視し、結果的にこれらの新制度導入以降の経営数値は右肩上がりとなっています。 「アクティブ・エイジング制度」の内容 65歳定年以降の「嘱託再雇用制度」を導入(2015年)。年齢の上限に縛られることなく、働き続けることが可能に。 社員 60歳(役職定年) シニア社員 (理事/メンター/生涯現役) 65歳(定年) 嘱託再雇用 (1年更新) アクティブ・エイジング 年齢上限なし アクティブ・エイジングとは… =生活の質を落とさず、社会と関わりを持ちながら年齢を重ねるという考え方 【P23-26】 大阪会場 パネルディスカッション 「継続雇用・定年延長を考える」 コーディネーター 今野(いまの)浩一郎氏 学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長 パネリスト 千 大輔氏 サントリーホールディングス株式会社 ヒューマンリソース本部 人事部 部長 能村盛隆氏 大和ハウス工業株式会社 経営管理本部 執行役員 人事部長 浅野浩美 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部長 企業プロフィール サントリーホールディングス株式会社 ◎創業 1899年 ◎業種 酒類、飲料、健康食品などの研究開発および製造販売 ◎従業員数  3万7,745人(2017年12月31日時点) ◎特徴的な高齢者雇用の取組み  定年を65歳に延長。同時に、シニア期のサポート施策を整備した。 大和ハウス工業株式会社 ◎創業 1955年 ◎業種 住宅、集合住宅、商業施設などの建築 ◎従業員数  1万6,275人(2018年4月1日時点) ◎特徴的な高齢者雇用の取組み  65歳定年制度と生涯現役の「アクティブ・エイジング制度」を導入した。 今野 本日は、定年を60歳から65歳に延長した2社の方々からお話をうかがってまいります。  さっそくですが、両社とも60歳を契機にして賃金体系が変わり、やはり賃金が下がるようですが、その人たちの仕事の内容なども変わるのでしょうか。変わるとすると、その変え方は意外とむずかしいと思うのですが、スムーズな転換をはかるうえで、工夫をされたことがあればお聞かせください。 60歳を契機に資格が変わり求められる役割も変わる 千 ご指摘の通り、当社では60歳になると資格が変わり、それに基づいて、求められる役割や行動の内容が変わります。担当業務で貢献してもらうことに変わりはありませんが、その比率が低くなり、新たに後進の育成、技術の伝承といった役割が加わります。  具体的な仕事内容は、それまでのキャリアでつちかってきたものを活かせる業務を基本とし、人事と本人、上司と本人で面談をしたうえで調整を行います。その結果として、60歳到達時点の部署で仕事を継続する場合も、異動する場合もあります。  例えば、生産の現場から品質管理部門への異動、大手スーパーを担当していた営業社員が、お得意さまに実施するセミナーの担当に変わるなど、仕事の内容も役割も変わるということになります。 今野 つまり、うまくマッチングをはかることが重要なポイントですね。どのような仕組みでやっているのでしょうか。 千 当社ではシニアの社員にかぎらず、全社員に「タレントマネジメント」※を標榜(ひょうぼう)しており、一人ひとりの特性をみて適材適所に、という配置を行っています。  また、58歳時に行うキャリアドックで、自身の強みや周りが自分に期待していることなどについて、自分で答えをみつけてもらう機会をつくり、60歳以降の働き方のイメージを描けるようにしていることも、マッチングの重要なポイントだと思います。 60歳到達の年度末が役職定年 その後の最初の1カ月間は特別休暇 能村 当社では、60歳到達の年度末に役職定年で管理職を退き、その後の役割として「理事コース」の場合は役職が変わらず、「メンターコース」、「生涯現役コース」では、同じような領域ではあっても、なるべく職種を変えるようにしています。  ただ、例えば地方に転勤していた社員が、そのまま地方での勤務を望む場合、役職定年後にそれまでの部下が上司になることがあり、そこは、割り切って受け入れてもらうことになります。希望する部署に残るためには「管理職としての仕事ではなく、一担当としての仕事をしてください」という話をして、それが無理であれば別の部署への異動、あるいは、残ることはできないという話をすることもあります。  また、その年度に60歳を超える社員には、5月頃から人事制度についての説明をはじめ、夏頃から直属の上司と面談し、必要に応じて人事からも話す機会をつくり、61歳以降の勤務について説明します。  さらに、60歳到達後の最初の1カ月間(4月)は特別休暇とし、休みにしていますが、この期間に、自分が休んでも会社は変わらないということを実感されるようです。 今野 ありがとうございます。処遇も大事ですが、仕事が変わる場合、その人に合う仕事に就けるということがとても重要だと思います。  浅野さんは、さまざまな会社の調査をされていますが、役割や仕事が変わるときの工夫などについてどう思いますか。 浅野 はい、高齢社員の場合は、能力やどのような勤務がしたいのか、あるいは、健康面などに多様性が出てきます。また、役割を変えるとなると、よほどていねいに進めていかないと、なかなか納得が得られません。  いまお二人にお話しいただいた、個人面談やキャリア研修、1カ月間のお休みといったマインドリセットの仕組みは大いに参考になると思います。 60歳を過ぎてからの賃金の設計とその考え方、社員の反応について 今野 続いて、賃金についてお聞きします。両社とも、60歳を超えると賃金は60歳到達時点の6〜7割になるとのことですが、そうされた理由、背景などをお話しいただけますでしょうか。 能村 当社の賃金設定は、2003(平成15)年に60歳定年後の「嘱託再雇用制度」を整備した際に取り入れた考え方で、当時は60歳定年で辞めても年金が受給できたので、公的年金に企業年金を足した額を一つの水準とし、それより高くなるように、賞与を含めて月額14カ月分を目安に設計しました。  65歳定年制の導入時も、基本給部分はこの考え方を踏襲(とうしゅう)しています。ただし、基本給に残業相当額をプラスしたことと賞与も加えたことで、現行制度では60歳到達時の賃金の6〜7割、場合によって8〜9割の社員もいます。61歳以降でも業績がよく、個人査定も高い場合は、賞与の支給率は現役の3分の2ですが、かなり高い賃金になっています。 千 当社で定年を延長した2013年当時は、ほかの企業の事例がほとんどなく、かなり苦労したと聞いています。60 歳以降は資格・役割が変わるので、60歳到達時点の水準より下げることが前提としてありましたが、下がるとはいえ、一定の水準の生活を送ってもらいたいということと総額人件費をみながら決めていきました。 今野 60歳を境にして賃金が変わることについて、社員からの不満や、それに対する説明の仕方などについてお聞かせください。 千 制度移行期は、従前の再雇用制度の水準から上がるので不満は出ていませんでしたが、定年延長から5年が経過し、いまは比較対象が60歳到達時点の水準になるので、少し不満が出始めているのかなととらえています。  ただ、その一方で60代の社員意識調査のスコアが年々上がっているのです。賃金が一定の水準を保っていれば、仕事の中身ややりがいなどのほうが大事になっているのではないかと思っています。 能村 当社でも全社員に100の質問をするという定点観測をしているのですが、満足度は年々上がってきています。また、65歳を超えてからの「アクティブ・エイジング制度」の社員も、生涯現役の道を示せていることがよいのか、不満の声が出ているという状況は見受けられません。 今野 ありがとうございます。浅野さん、これらの点について、ご見解をお願いします。 浅野 賃金のことは、水準の話に加えて、どのような考え方で決めたのかも重要です。企業の考え方や事情があらわれる点だと思います。  生活費を勘案して水準を設定する、という考え方がある一方で、やる気を出して仕事をしてもらうために59歳以前よりも成果主義的な設定をし、うまくいっている会社もあります。  また、制度の設定後についても、職場の意見を吸い上げる仕組みを工夫されていたり、あるいは一度つくった制度もその後にいろいろな見直しをされているといった事例もあります。  当機構の事例集にもさまざまな事例を掲載しているので、参考にしていただければと思います。 65歳以降の雇用について検討を開始社外での活躍も視野に入れる 今野 最後に、これだけはいいたい、強調しておきたいということをお聞かせください。 千 当社の60歳以上の社員の構成比は、いまは約10%でそれほど高くはないのですが、次第に高くなるでしょうし、65歳以降の雇用についても検討を始めているところです。  そうなると、学び直しの機会なども会社が提供しながら、社員のキャリア自律をもっとうながしていくことが大事になってくるということも考えています。その際にキャリアの領域が、社内に留まるのか、社外や地域社会にも向いていくのか。社外の活躍も視野に入れたとき、会社としてどういうことができるのか、このことも同時に検討していきたいと考えています。 トップを巻き込んで人事が本気で取り組むことが重要 能村 いわゆるシニアの活用について考えると、例えば取締役といった方々にはシニア世代が多い。つまり、会社を支えている経営層は、シニアの活躍をご自身で実践しているわけです。ですから、定年延長や継続雇用などの取組みを具体的に進める際には、経営層を巻き込んで、人事が真剣に本気で取り組んでいくことが、導入にあたってはとても大事になるということをお伝えしたいと思います。 浅野 当機構の調査でも、この取組みにはトップを巻き込むことが大事だということが明らかになっています。一方で、人事のみなさんには、トップを本気にさせる、その力と役割があると、お話をしていて常々感じているところです。各社いろいろな課題、ご苦労があると思いますが、当機構では多様な支援策、ツールを準備していますので、ぜひご活用いただきたいと思います。 今野 みなさん、ありがとうございました。本日は、「年齢にかかわらず、つまり、シニアも活用しないと損だぞ」、ということと、そのためには「本気にならないと動かない」、ということ。そして、「本気になった後、具体的にどういう手を打っていくか」についてお聞きすることができました。  企業の事情に合わせて、それぞれの取組みを進めていくしかないのですが、千さん、能村さんから、大変参考になる施策や考え方をお話しいただけました。したがって、答えはすべてみなさんのなかにある、というまとめで終わりたいと思います。  3人のパネリストのみなさん、どうもありがとうございました。 ※ タレントマネジメント……自社の人材(タレント)の能力や保有するスキルを把握し、それを活かせる人材配置や教育などを行うこと コーディネーター 今野浩一郎氏 (学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長) 千 大輔氏 (サントリーホールディングス株式会社 ヒューマンリソース本部 人事部 部長) 能村盛隆氏 (大和ハウス工業株式会社 経営管理本部 執行役員 人事部長) 浅野浩美 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部長) 【P27】 日本史にみる長寿食 FOOD 307 若竹煮の春 食文化史研究家● 永山久夫 タケノコは伸びるのが速い  昔の日本人は、季節にあわせ、その季節に伸び盛りのものを選んで食べました。  それが旬のもの。生命力が躍動していて、野菜や山菜は栄養が満ち、果物だったらビタミンが増すため、健康によいのです。  春になると、生命力がいっせいにはじけます。  陽気がよくなって、植物の若芽もぐんぐん伸びますが、そのスピードからいえば、タケノコはトップクラス。速いときには、1日に1m前後も成長するというから驚きます。  タケノコは『古事記』のなかに、イザナギノミコトの命を救う特別な力を持った食べ物として出てきます。  当時の呼び名は「タカムナ」。その語源は、竹の芽、つまりタケノコの菜から「竹芽菜(たけめな)」。あるいは、形が巻き貝に似ていて、貝のように味がよいところから「竹蜷(たかみな)」などといわれています。  古代のタケノコはマダケやハチクが中心ですが、現在ではほとんどがモウソウチクです。 味の相性がよい「若竹煮」  モウソウチクは、江戸中期に沖縄から薩摩に持ちこまれた株から、日本での栽培が始まったことが知られています。  タケノコほど季節の到来を感じさせてくれる食材も少ないでしょう。食物繊維やミネラルなどが豊富なうえ、カロリーが低いため、ダイエット食として女性に人気があります。えぐみのもとはシュウ酸で、その量は1日置いただけで、2倍にも3倍にも増えます。したがって、買い求めたら、できるだけ早く下ゆでし、アク抜きをします。  米ぬかと赤トウガラシ2本ほどを入れた熱湯で、竹串が通るくらいやわらかくゆでて、ゆで汁につけたまま冷まします。  姫皮と呼ばれる先端は、うま味成分のグルタミン酸やアスパラギン酸、チロシンなどのアミノ酸が多く、これらは疲労回復や脳の老化防止に役立つそうです。タケノコの皮に梅干しをはさんで、子どものころにしゃぶりましたが、夏バテ予防の知恵だったのです。  味の相性がよいのが「若竹煮」。新タケノコと新ワカメの煮物です。タケノコを煮て、最後に新ワカメを加え、仕上げに木の芽(サンショウの若葉)を天盛りにしてできあがり。 【P28-32】 マンガで見る高齢者雇用 60歳をすぎても“いきいき働く”ための「いきいき健康プログラム」 第1回 「いきいき健康プログラム」始動! 中高年の体力をみえる化 トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市) ※1 いきいきセミナー……60歳以降の働き方を多角的に学びながら考えるセミナー ※2 ミネソタ……オセロのようなコマ20個をひっくり返し、その時間を計測する ※3 足把持力……足の指の握る力。足把持力の低下は転倒災害や糖尿病とも関連する つづく 【P33】 解説 マンガで見る高齢者雇用 60歳をすぎても“いきいき働く”ための「いきいき健康プログラム」 第1回 「いきいき健康プログラム」始動! 中高年の体力をみえる化 <企業プロフィール> トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市)  従業員約36万人(連結)、日本を代表するグローバル企業であるトヨタ自動車株式会社。同社では、従業員の高齢化などを背景に、60歳をすぎても「いきいき」と働くための職場環境の整備に向け、体力維持向上の観点から「いきいき健康プログラム」を策定。2015年4月より中高年を中心に従業員の健康・体力づくりを目ざす全社的な取組みをスタートさせた。 「いきいき健康プログラム」  従業員の高年齢化の進展に対応するため、製造部署をはじめ、人事部・生産管理部・安全健康推進部が一体となった取組みとして、「いきいき委員会」を発足。高年齢者に戦力として活躍してもらうために、勤務制度や製造工程の見直しなど、多面的な検討を実施。その一環として、高年齢者がいきいき働くための体力づくりの検討を行い、健康・体力維持のための「いきいき健康プログラム」を策定した。  「いきいき健康プログラム」は、身体・体力への気づきをうながす「体力みえる化(体力測定)」、身体のメンテナンス・体力維持の方法を指導する「運動指導会」、日々の運動習慣を支援する「自助努力支援」で構成される。 体力みえる化(9種目の体力測定)  「体力みえる化」では、柔軟性をみる「上腕チェック」、「肩チェック」、「座位体前屈」、筋力をみる「握力」、「足把持力」、バランス感覚をみる「2ステップ」、筋持久力をみる「反復立上り」、敏捷性をみる「座位ステッピング」、器用さをみる「ミネソタ」の9種目を実施している。  測定後は各種目を3段階で評価し、経年変化や、同年代と比較した自分の体力などが確認できる。 9種目の体力と“いきいき”との関連  調査により、9種目の総合得点が高い人ほど、「業務に生きがいややりがいを感じている人の割合が高い」、「肉体的・精神的疲労を感じる人の割合が低い」、「健康上の異常項目数(健康診断の数値)が少ない」ことがわかっている。 【P34-35】 江戸から東京へ 作家 童門冬二 第79回 誤った忖度(そんたく)を正す御隠居さま 上杉重定(しげさだ) 「鷹山改革」に猛反対  上杉重定は、出羽(でわ)国(山形県)・米沢藩の八代目の藩主だ。上杉家は、謙信以来の名家だったが、関ケ原の合戦で徳川家康に敵対したため、それまでの石高(こくだか)百二十万石を一挙に三十万石に減らされた。その後も問題があって、さらに十五万石に減らされる。しかし、上杉家は名門の面目にかけて人員整理を絶対に行わなかった。百二十万石当時の定数をそのまま守り続けた。そのために、年々の予算に示す人件費の比率が実に八十パーセントになったこともあるという。明治維新まで赤字続きの貧乏藩だった。重定のとき、これを回復するために英明の噂が高かった高鍋(たかなべ)藩(宮崎県)秋月家の次男坊を養子にした。上杉家に入って「治憲(はるのり)」と名乗り、後に隠居して「鷹山(ようざん)」と号する。  重定は豪邁(ごうまい)な性格で、特に謡曲や能楽を好んだ。自分がハマっただけでなく、家臣にもしきりにすすめた。真っ赤っ赤な財政状況のなかで、殿様がそういう有様だから決して評判はよくない。それに加えて、幕府は米沢藩にお手伝い(公共事業のアゴアシ※1持ちの分担)≠命じた。しかし、そのころの米沢地方は大飢饉の真最中で、農民も城下町の町民もしきりに一揆(いっき)を企てた。重定はキレた。そしてついに、  「領土を返上する」  といい出した。明治維新に行われた「廃藩」を、この時期(宝暦年間・一七六〇年)に断行するというのである。家臣たちが諌止(かんし)※2し、また親戚の尾張藩主・徳川宗勝が止めた。やむを得ず、重定は治憲(鷹山)に家督(かとく)を譲り隠居した。重定はまだ四十七歳だった。  治憲の改革は目覚ましかった。しかし次々と断行されるその内容は、保守的な米沢藩の重役たちの嫌うところで、ことごとく反対された。重役たちは、重定の性格を考え、  「おそらく、大殿様(重定)もわれわれの考えに賛成のはずだ。われわれは、大殿様のお気持ちを忖度して、現主人(治憲)に反対するのだ」  と思い込んでいた。あるとき、この保守的な重臣たちが七人集まって、突然治憲に意見状を出した。それは、  「いまの改革をやめてわれわれ重臣に藩政を任せるか、それとも藩主の座から降りて郷里の高鍋にお帰りになるか」  と、二者択一を迫ったのである。このとき治憲は、  「大殿様に相談する」  といって、この件を重定に報告した。重役たちはニンマリと笑い、(大殿様は、われわれを支持するに違いない)と思っていた。 激怒するご隠居様  ところが治憲の報告を聞いて重定は真っ赤になって怒った。そして、  「重役たちはとんでもない奴等だ!」  と怒声(どせい)を放った。治憲を連れて重役たちのいる広間に乗り込んできた。そして上段に立ちはだかったまま、重役たちを怒鳴りつけた。その内容は、  「自分はすでに隠居し、治憲殿にすべてを任せてある。その治憲殿の指示に従わないとは何事か!わしはおまえたちの考え方に絶対に反対だ」  と大声をあげた。重役たちはびっくりした。明らかに、思惑が外れたのである。大殿様によかれと思ったことが、逆に重定の怒りを買ってしまったのだ。重役たちは顔を見合わせた。(見込みが違ったな)と目と目で語り合った。  その通りだった。隠居した重定はそれなりに勉強していた。彼自身も初めのうちは、治憲のやり方が、(少しやり過ぎだ)と思っていた。つまり、重役たちの思惑と同じ考え方に立っていた。しかしまったく私心がなく、自ら節約の見本を示し、また重定に対しても養父というより実父に対するような孝行の証を示し続ける治憲に、重定は次第に心を打たれた。  (この若い養子は、心から信頼できる誠実な人物だ)  と感心した。治憲を見る目が変わった。同時に、重定自身が、  (わし自身も変わらなければならぬ)  と反省した。  したがって、年月を経ているうちに、重定の人間性は重役たちが考えるかつての重定ではなくなっていたのである。いってみれば、重定自身が、「急激な自己改革」を行ったということだ。だから、重定の隠居生活は決して呑気(のんき)なものではなかった。昔のように、謡曲に現(うつつ)を抜かしているような日常ではない。  重定なりに、「隠居としての責任」を感じ、過去を反省し、  「これからの米沢藩政をどうするか」  ということを、真剣に考えていたのである。その結果として、  「現藩主である治憲殿の改革を、全面的に支持しよう」  と思い立っていた。  「なせば成る なさねば成らぬ何事も ならぬは人のなさぬなりけり」  というメッセージで有名な治憲の改革は、現在でも経営者やリーダーの一つの教本になっている。しかし、その「鷹山改革」は決して彼一人の力によるものではない。背後に、前藩主であった重定の、いわば隠居力≠ェ、強力な支えになっていたのである。重定の隠居時代はまさに、重定自身の、「自己改革の日々」であった。保守的な重役たちは、それを正しく理解せずに、  「昔通りのやり方で、藩政は乗り切れる」  という、甘い考え方をしていたのだ。治憲の改革に反対した七人の重役は、切腹を含めて厳重に罰を受けた。しかし、治憲はその七人の重役の子息たちに対しては、父の旧職をそのまま与えた。 ※1 アゴアシ……食費(アゴ)、交通費(アシ)のこと ※2 諌止……いさめてやめさせること。部下からの命がけの忠告 【P36-37】 第60回 高齢者に聞く生涯現役で働くとは  内藤久美さん(75歳)は、地元に愛されるすし店のおかみさんとして40年間働き続けた。その後、目黒区シルバー人材センターが直営するレストランで調理の仕事に就いて10年が経った。接客業の経験を活かしていきいき働く内藤さんが、働き続ける喜びを笑顔で語る。 公益社団法人 目黒区シルバー人材センター・レストラン「奈古味(なごみ)」 スタッフ 内藤(ないとう) 久美(くみ)さん 国家資格に挑戦して  私は東京都江戸川区小岩(こいわ)の生まれですが、戦争中に両親の実家がある秋田県湯沢(ゆざわ)町に疎開、高校を卒業するまで疎開先で過ごしました。6人兄弟の末っ子の私が、家業の床屋(とこや)を継ぐことになって、高校を卒業すると東京の理容専門学校に入学、母の知人の床屋さんで見習いをしながら、渋谷にあった学校に2年間通い、免許を取得しました。  郷里に帰って家業を継ごうと思っていた矢先、当時東京の美容院に嫁いでいた一番上の姉から仕事を手伝ってほしいと声がかかりました。しかし、理容と美容とは免許が違います。そこで今度は美容学校へ通い直して、美容師の免許も何とか取得しました。  人生は面白いと思うのは、ここからです。美容師の免許を取ると、姉が小さな美容室を持たせてくれました。恵まれた出発だったと感謝していますが、姉の嫁ぎ先は多角経営の実業家で、美容院のほかにすし店なども経営しており、ここですしを握っていたのが後に夫となる人でした。  縁あって25歳で結婚、2人の子どもを育てながら夫と40年間、すし屋稼業に専念することになります。二つの国家資格は宙に浮きましたが、新たに調理士免許を取得、働きがいのある、宝物のような40年でした。  地元の人たちに支えられ、二人三脚で半世紀近くのれんを守り続けてきた。そのご主人が病に倒れ、10年におよぶ闘病の末、2年前に亡くなった。壮絶な闘病生活だったが、内藤さんは笑顔で支えた。 シルバー人材センターとの出会い  64歳になったとき、いろいろな事情が重なってついに店を閉じることに。店を閉めたとたん、夫が病に倒れました。その前から病気のデパートのような人でしたから、思い切って看病に専念しようと思いました。  しかし、高校を卒業してから働き詰めだった身体は、動き回っていないと、かえって具合が悪くなりそうでした。60歳を過ぎてから働くところがあるのかと不安でしたが、友人が東急目黒線の武蔵小山駅近くの商店街にあるレストランが、高齢者を募集していると教えてくれました。友人はときどき食事に訪れるそうで、味もよく、高齢の従業員がいきいき働いていること、レストランを直営するのが、目黒区シルバー人材センターであることも教わって、気がついたら本部に電話していました。  恥ずかしながらそのときまでシルバー人材センターについて詳しく知らなかったのです。センターの会員が運営するレストラン「奈古味(なごみ)」で面接を受け、その足で本部に出向きました。会員登録させてもらい、翌日から「奈古味」の調理場で働かせてもらうことになりました。早いものでそれから10年が過ぎました。夫を看病しながら働かせてもらえたことに感謝するばかりです。  公益社団法人目黒区シルバー人材センターは会員1300人を擁(よう)し、平均年齢は75歳である(2018年8月現在)。2003年に女性会員で運営するレストラン「奈古味」を開業。2015年8月号の本誌では、同センターの取組みを紹介している。 同世代の仲間たちに支えられ  はじめはホール勤務を打診されたのですが、40年間もお客さまに接してきたので、調理場に入ってみたいとお願いして実現しました。  お店が商店街の真ん中にありますから、扱う食材はほとんど商店街で仕入れます。地元の活性化につながりますし、何よりも新鮮です。商店街のみなさんとお話しするのも楽しみで、うちの目の前の八百屋のおかみさんはたしか90歳近くじゃなかったでしょうか。まさに八百屋ひとすじ、生涯現役です。  また、商店街の名前が「平和通り商店街」というのも気に入っています。このあたりも空襲で焼けたそうですが、終戦後見事に再生しました。温かい雰囲気が大好きです。  「奈古味」で働いてきた日々は、そのまま夫の看病に明け暮れた日々でした。入退院をくり返していましたから、近くの病院ならまだしも、遠方に転院したときは気が滅入ることもありましたが、同世代の働く仲間たちとわいわい話すことでつらいことも乗り越えてこられました。私は世間知らずのところがあり、高齢者に対するさまざまな公的サービスなども仲間から教えてもらい「これで生活が楽になったわ」と言ったらあきれられました。やさしい同僚に囲まれて、いまは毎日がとても楽しいです。  シルバー人材センターで働いた報酬は配分金という形で支払われる。内藤さんはこれまで自営だったため、64歳で初めて給与振込明細をもらった。病床の夫に見せたときの嬉しそうな顔をいまも覚えているという。 出会いを糧(かて)に生涯現役を  「奈古味」の営業時間は11時30分から17時30分。朝番は8時30分から15時まで、昼から入るときは12時から閉店まで、調理とホールで2交替のローテーションを組み、週2〜3回勤務しています。1日5人で営業していますから結構忙しいですが、みなさん私と同じか、もっと年配の人も頑張っているので負けてはいられません。  朝番のときは、下ごしらえなどにすぐに取り掛かり、午後からのシフトのときは洗い場も担当します。自分たちで運営しているという気持ちが、全員の心の支えになっているような気がします。  夫が亡くなったときにリーダーの決断で8カ月間の長期休暇をいただきました。「奈古味」のお役に立つことで感謝の気持ちを示したいと思っています。「奈古味」ではつくるのも高齢者ですが、お客さまも高齢の方が多く、毎日コーヒータイムを楽しむ常連さんもいます。40席が満席になると実ににぎやかで、あちこちで話に花が咲いて、私たちまで笑顔になります。料理が根っから好きな私には、いまの仕事は天職かもしれません。  料理と食べることが趣味なので、日ごろから一人の食卓にも手をかけています。仕事帰りに仲間とご飯を食べるのも楽しみの一つで、ときには少しお酒を飲むこともあります。休日にはときどき、姉と近郊の温泉を巡っています。昔はゴルフをやりましたが、最近は行っておらず身体を積極的に動かしていないので、せめて店まで自転車を使わずに歩こうかと思っています。  若いときに取得した国家資格はその後の人生であまり活用していませんが、いままでずっと髪を自分で染めているのが密かな自慢です。そのうち資格が役立つときがくるかもしれません。だから人生は面白いのです。 【P38-41】 高齢者の現場 北から、南から 第83回 徳島県 このコーナーでは、都道府県ごとに、当機構の65歳超雇用推進プランナー※(以下「プランナー」)の協力を得て、高齢者雇用に理解のある経営者や人事・労務担当者、そして活き活きと働く高齢者本人の声を紹介します。 徳島県 ドライバーは50歳超が過半数。事業継続に欠かせない存在 企業プロフィール 四国交通株式会社(徳島県三好市) ▲創業 1957(昭和32)年 ▲業種 一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業 ▲従業員数 39人 (60歳以上男女内訳)男性(9人)、女性(0人) (年齢内訳)60〜64歳 7人(17.9%) 65〜69歳 2人(5.1%) ▲定年・継続雇用制度 定年60歳。定年後は67歳まで希望者全員を再雇用 本社。社屋は今年度建替えを予定している  徳島県は四国の東部に位置し、およそ8割を山地が占めています。1000mを超える険しい山々で構成される四国山地を擁し、北は讃岐(さぬき)山脈が連なります。水量の豊富な那賀川、吉野川が流れ、山と川に囲まれた自然豊かな県です。  徳島には鳴門(なると)の渦潮や祖谷(いや)のかずら橋、阿波踊りなどの魅力的な観光資源があります。夏の一大イベントである阿波踊りには、海外からも観光客が訪れ、連(踊り子のグループ)も多数参加し、県全体が熱気に包まれます。  産業は農業と畜産業が盛んで、金時(さつまいも)、にんじん、すだちなどの生産のほか、同県上勝町(かみかつちょう)では高齢者が活躍する「葉っぱビジネス」(「つまもの」の生産)が脚光を浴び、生涯現役社会を体現しています。  工業においては、100社以上のLEDメーカーが集積する「LED先進地域」となっています。白色LEDの生産量は世界トップクラスを誇り、世界に先駆けて青色LEDを製品化したのも徳島の企業です。  また、女性が経営する企業の割合や女性管理職の割合も全国上位と、女性の社会進出が進んでいます。  当機構の徳島支部高齢・障害者業務課の山下満前課長は、「当課は各関係団体と提携し、助成金の説明会や各種セミナーなどを行っています。企業訪問にはプランナーとともに支部職員が同行することもあり、より幅広い目線で相談・援助業務を行っています」と日々の取組みを語ります。  今回は、同支部で活躍するプランナー・金澤(かなざわ)憲治(けんじ)さんの案内で「四国交通株式会社」を訪れました。 阿波池田で昭和初期からバスを運行  四国交通株式会社は、昭和初期から、阿波池田(あわいけだ)地域を拠点に、渓谷に深く分け入る路線バスを運行していました(当時は美好自動車株式会社)。太平洋戦争下の戦時統合により、他事業者とともに徳島西部交通株式会社に統合されましたが、戦後情勢が安定した1957(昭和32)年に各事業者が再び独立。1963年からは、現在の親会社である徳島バス株式会社の子会社として再出発しました。  近年は三好市内および近隣町の生活路線にとどまらず、阿波池田バスターミナルを拠点にした大阪・神戸路線の高速バスと、地元の学校などが利用する貸切バスを運行しています。  また、秘境として人気のある大歩危(おおぼけ)・祖谷を周遊する観光線を運行しており、祖谷のかずら橋などの、観光スポットに、よりアクセスしやすい停留所を新設するなど、利用者目線でのサービス提供や運用改善を行っています。 67歳まで希望者全員を再雇用  四国交通の定年年齢は60歳。再雇用の上限年齢を、2008(平成20)年に65歳、8年後の2016年に67歳まで引き上げました。引上げの経緯について近藤幸男(ゆきお)常務取締役は、「バス業界では乗務員不足が深刻です。当社の場合は、運転士の半数を50歳以上が占めていることから、将来のことを考え、運転士に長く勤めてもらうために、再雇用の上限年齢の引上げを行いました」と話します。現在は、定年を迎えたほとんどの社員が再雇用で67歳までの勤務を希望しています。  高速バスや貸切バスの場合、深夜勤務もあることから、高齢従業員の負担の大きさや安全面を配慮し、同社では貸切バスと高速バスの運転は原則60歳までとしており、60歳以降は路線バスを担当します。  例外として、60歳を超えた運転士が1名、高速バスを担当しているとのこと。近藤常務は「高齢の方は特に個人差があると感じています。この運転士とは身体面の相談も含め、意欲や技術、安全面に問題がないかなど総合的に検討したうえで高速バスの担当をお願いしています」と話します。  一方、路線バスの場合は、再雇用の上限年齢である67歳以降も運転士として非常勤で勤務することが可能です。月に15日ほどの勤務とし、毎年、契約更新を行い、給与は日給制としています。  2008年6月に、金澤プランナーは初めて同社を訪問しました。希望者全員を65歳まで継続雇用する際の訪問だったといいます。「人の命を預かるバスの運転士の場合、何歳まで雇用可能だろうか」という観点でアドバイスをしたと振り返ります。  金澤プランナーはその後も、「運転士がバスを降りた場合に、職域の拡大はできないか」など、現状を見極めることに努め、現実的な着地点を探って提案を行っています。 高齢従業員は若手指導の要  「50歳以上の運転士が半数を占める当社において、高齢従業員は事業継続に欠かせません。技術の伝達という面でも、若手指導の要となっています」と話す近藤常務。若手運転士が挑む空車教習(お客さまを乗せない空車で運転)では、高齢従業員が同乗し、視野、死角の確認、狭い道で対向車とうまくすれ違うためのコツなど、運行上のポイントを伝授しています。  若手従業員との関係性については、「休憩室をのぞくと高齢従業員と若手従業員が仲よさそうに会話をしているところをよく見かけます。世代間でうまくコミュニケーションがとれていると思います。高齢従業員からすれば、自分の子どもと話すような感覚ではないでしょうか」と営業部の原田佳彦(よしひこ)係長は話します。  今回は、ともに勤続年数20年を超えて会社を支える、ベテランドライバーのお二人にお話をうかがいました。 「人の役に立っている」というやりがい  西文男さん(67歳)は、勤続年数33年のベテラン運転士です。週5日、1日2〜3回、市内の路線を回っています。若いころに一度、車掌として同社に入社し、運転以外の業務に従事していました。事情によりいったん同社を離れましたが、34歳のときに運転士として同社に再就職し、貸切バスを担当。54歳からは路線バスを担当しています。  長年バスに乗務する西さんは、「昔は運転士の業務は運転だけでしたが、いまはワンマンバスなので、一人で車内の機械操作をしたりと、やることがいろいろ増えましたね。その一方で、バスの性能も進化しており、ハンドルが軽くなって楽になりましたよ」とバスの今昔(こんじゃく)について教えてくれました。  健康の秘訣はしっかり睡眠をとることと、好き嫌いなく何でも食べること。「タバコはどうしてもやめられないですよ」といいながら困ったように笑っていました。  67歳を迎え、会社の規定により3月31日付で契約は終了となりましたが、4月からは月あたり15日ほどの非常勤職員として働いています。「人の役に立っていることがやりがい」と語る西さんに、何歳まで働きたいかをたずねると、「元気であれば70歳まで働きたいです。これからも安全運転に努めます」と頼もしい返事が返ってきました。 かわいい孫のために働き続けたい  宮本竹幸さん(64歳)は、44歳で四国交通に就職しました。それまではトラックの運転手をしていましたが、学生時代の同級生が同社で働いていたことがきっかけとなり、同社に転職しました。「運転が好きで、自分が好きなことを仕事にしました。だから仕事はまったく苦ではありませんよ」と話します。  西さんと同様に、市内を走る路線バスに乗り、1日3回ほどバスを運転します。いくつものルートがあり、毎日別のルートを割り振られます。山間の狭い道を走るのは常に神経を使うそうで、「今日も何事もなく一日が終わった」という、安堵感がやりがいだと語ります。  宮本さんの元気の素は二人のお孫さんです。家のなかでサッカー、野球をするくらい活発な姉妹で、休みの日に二人と遊ぶことを楽しみにしています。「孫がいなかったら、とっくに仕事を辞めていたと思います。これからも稼いで孫のために使ってやりたい」と、家族の存在が生きがいになっている宮本さん。「67歳まで元気に勤めたい」と話してくれました。  元気に勤めるために健康づくりにも取り組んでいます。好きだったお酒を3年前にやめ、間食もやめ、ご飯は「お茶碗に少なめ」を守っています。さらに、一日一万歩を目標に休憩時間を活用してウォーキングを続けています。  近藤常務は「二人とも温厚で周りから慕われています。これからも働けるかぎり勤めてもらい、若手の手本になってほしいです」とその働きぶりを高く評価していました。  四国交通は今年2月に新神戸への路線の乗り入れを開始しました。近藤常務は「今後も地元利用者のニーズに応え、既存路線の運行時間を見直すなど、サービスの向上に努めていきます」と抱負を語り、高齢者雇用については、「経験者であれば60歳以上であっても新規採用の可能性はある」との見解を示しました。 (取材・文 西村玲) ※65歳超雇用推進プランナー……当機構では昨年度から、高年齢者雇用アドバイザーのうち経験豊富な方を65歳超雇用推進プランナーとして委嘱し、事業主に対し、65歳を超えた継続雇用延長・65歳以上への定年引上げなどにかかわる具体的な制度改善提案を中心とした相談・援助を行っています 金澤憲治 プランナー(72歳) アドバイザー・プランナー歴:12年 [金澤プランナーから] 「訪問先企業の希望などに応じた無理のない最適なアドバイスを行っています。人との出会いこそが最大の情報収集であり、情報発信の場であると考えています」 高齢者雇用の相談・助言活動を行っています ◆徳島支部の山下前課長は、「金澤プランナーは、長年にわたる社会保険労務士としての豊富な経験と専門的知識、温厚誠実な人柄で、事業所から厚い信頼を得ています。企業診断システムを積極的に活用し、課題解決に向け将来の方向性を導く的確な相談・助言・提案を行っています。社会情勢に常にアンテナを張り、多種多様な“引き出し”を持っている、行動力抜群のプランナーです」と話します。 ◆徳島支部高齢・障害者業務課はJR徳島駅から徒歩約10分(600m)、ハローワーク徳島の5階にあります。近隣には、小学校、総合体育館、文化会館があり、駅からも近く、閑静な地区です。 ◆徳島県内では、5人の65歳超雇用推進プランナーが、長年の経験と豊富な知識をいかして相談・助言などの活動を行っています。2017年度は、約250社の事業所で相談・助言を行い、企業診断システム運用を26件、企画立案サービスを1件実施しました。 ◆相談・助言を無料で実施しています。お気軽にお問い合わせください。 ●徳島支部高齢・障害者業務課 住所:徳島県徳島市出来島本町1−5 ハローワーク徳島5階 電話:088(611)2388 近藤幸男常務取締役 原田佳彦営業部係長 観光地を周遊するボンネットバスに乗る西文男さん 路線バスの運転席でハンドルを握る宮本竹幸さん 【P42-45】 ケーススタディ 安全で健康に働ける職場づくり 高齢労働者が安全・健康に働ける職場づくりについて、労働災害や業務上疾病などの事例をもとに専門家が解説。今回は、東内一明先生に、高齢労働者の職場環境改善について解説していただきました。 最終回 高齢労働者の職場環境改善 ―改善費用はコストではなく、未来への投資― 一般社団法人労務安全監査センター 東内(ひがしうち) 一明(かずあき) 職場環境改善費用はコストでなく投資  いまから20年余も昔、私がまだ現役の労働基準監督官であったころ、アメリカの安全衛生状況を視察することになり、シリコンバレーを代表する、とある企業を視察することになりました。本社の建物は、カリフォルニアの鬱蒼(うっそう)と茂った広大な森のなかにあり、何となく大学のようなたたずまいで、応接をしていただいた安全衛生を担当するバイスプレジデント※も、医学部出身ということでした。  彼は、知的な雰囲気を漂わせながら、「当社は、売り上げの30%を研究費用に回して、未来への投資を続けている革新的な企業である」と自慢するのです。そこで、当時若くて生意気だった私は、「ならば、安全衛生のためのコストはどのくらいか」と、意地悪く質問しました。すると彼は、少し頬を紅潮させて、「安全衛生の費用はコストではない、投資だ、あなたは間違っている」と私を非難し、「コストであるなら、当社の株主は支出することを承知しないだろう。リターンのある投資だから許されており、来年度はもっと多くのリターンを求めて増額する予定だ。株主もそれをよしとするだろう」と胸を張りました。  私は恥じ入り、少し頭を下げました。同時に、自信たっぷりに予算を公表し、当時日本では聞いたことのない株主の意向を理由とする説明に、とても新鮮な感覚を覚えました。  ともあれ、いま日本は、比類ない速さで高齢化が進み、現在でも、高齢者を受け入れなければ、職場は到底成り立ちません。将来ますますその傾向は高まります。高齢者のために職場を改善することは、企業活動の維持・発展という貴重なリターンを得るための、必要不可欠な投資そのものです。 まずは転倒の防止を (1)通路、作業床、物置き場の分離と表示  高齢者は簡単に転倒します。転倒すると骨折して寝たきりになったり、余病を併発して死亡する場合があります。しかもその原因は、単純に、床の不具合です。  職場の床は、通路、作業床、物置き場の三つに分けられます。この三つに分けられるのは、作業者の行動と注意の払い方に、大きな違いがあるからです。  通路は、歩行にはまったく安全であると保障された場所。作業床は、作業者が各種の機械設備などに囲まれ、作業に意識を集中する場所。物置き場は、材料や道具などを置いてある場所で、それを出し入れする以外は、作業者の意識にのぼらない場所です。  転倒防止対策の第一歩は、作業者に、この三つ の場所が明確に区別できるようにすることです。  図1は、通路、作業床、物置き場を色分けした線で区別した例です。このように区別すると、置いたものの角に足をひっかけてつまずくといったことはなくなります。 (2)床のつまずき・滑りの防止  普通に歩いているとき、足は床から1pも上がっておらず、まして高齢者となると、ほとんど上がっていないといっていいでしょう。だから、自宅のような慣れた場所でも、1oや2o程度の畳のヘリにつまずいて転倒してしまいます。  職場で作業をしているとき、床の凸凹(でこぼこ)に気を遣っている余裕はありません。だから、ほんの少しの床の凸凹でも、つまずき転倒します。そのため、職場での床材の剥(は)がれ・めくれは、ただちに修理しなければなりませんし、また、修理できるまでは、目立つように注意喚起をする必要があります。  また、建物の床には凸凹が多数あります。特に一般的なのは、ドアの下の敷居として5oから1p程の突起があることです。したがって、この敷居の部分で転倒するのはごくありふれた事故です。「段差注意」、「止まれ」などの標示で危険を知らせなければなりません(図2)。 (3)履物の脱着場  履物の脱着は、片足立ちになったり、腰をかがめたりするような、高齢者には苦しい姿勢のため、よく転倒します。防止策は手すりを設置し、安全に靴の脱着をできるようにすることです。玄関だけではなく、靴の履き替えが必要となるトイレなどにも設置するとよいでしょう。 (4)踏み台  機械などを使用する際に使う道具として「踏み台」があります。しかし、踏み台も見方を変えれば床の凸凹ですから、とても危険です。転倒すれば墜落のような衝撃が加わり、死亡災害につながることもあります。この踏み台における転倒防止策はとても簡単で、これも手すりをつけることが大切です。すべての踏み台に手すりをつけてください(図3)。 (5)階段  階段は危険な踏み台を幾層にも積み重ねたものです。そのため、多くの人が、階段で転倒・転落して死亡しています。図4は、転倒防止用の手すりが両側につき、真ん中にも設置してあります。しかも、矢印で昇降が指定されており、衝突防止にもなっています。階段には、このような措置が必要不可欠です。 不自然な作業姿勢をなくすための改善  高齢者にとって、中腰や前かがみの作業姿勢は、腰痛の最大の原因です。また、普段の姿勢以上に疲れを誘発しやすく、転倒の大きな原因にもなっています。したがって、中腰や前かがみの姿勢にならないように、作業台の高さを作業者に合わせなければなりません。その方法は二つ。作業台の高さを調節するか、床自体の高さを上げ下げするかです。  ベルトコンベアーの流れ作業などで、作業台そのものの高さを調節できない場合は、床の高さを調節しなければなりません。図5は、床を掘って、作業台の高さを作業者にとって適切な高さに改善した例です。 重量物の持ち上げ・保持作業の改善  高齢者にとって、重量物を持ち上げ、かつ保持するような作業は、非常にたいへんです。図6は、一斗缶を持ち上げて内容物を別の容器に注ぐ作業をなくすために、一斗缶の専用置台を作成し、一斗缶には、別途購入したコックを取りつけ、コックの下に容器を据えて注げるようにしています。  図7は、生産の最終場面で製品を梱包し、出荷する際、従来は手作業で積み込んでいたものを、クレーンで積み込むことにした例です。 より望ましい未来への投資  ここでご紹介した改善策は、一般的で、かつ比較的安価に実行できるものもあります。しかし、それなりの費用が必要になります。特に最後にご紹介した機械化による製品の積込み作業には、高額の費用が投入されています。  しかし、いずれの場合も、企業の担当者は、作業自体が大幅に効率化し、生産性が大きく向上しており、元は十分に取れていると話しています。  振り返ってみると、ほぼ100年前に始まった安全第一の運動もそうでした。安全第一の運動の推進のために投じられた人々の時間と知恵と費用が、圧倒的に安全な職場と生産性の向上を実現しました。だからこそ実利主義のアメリカで、大いに盛んになったのです。これが日本にも伝わり、私がこの仕事を始めるべく旧労働省に入省した半世紀前と比べても、安全性と生産性の向上は実に歴然としています。  この道に誤りはありません。かつて私が視察したシリコンバレーのバイスプレジデントのように、私もいささか頬を紅潮させて、次のように、主張したいと思います。  「高齢者のための環境改善は、より望ましい未来への投資」です。 〈資料提供〉 図1〜4・7……株式会社不二家        図5・6……山崎製パン株式会社 ※イラストはご提供いただいた資料を元に編集部で作成したものです。 ひがしうち・かずあき 一般社団法人労務安全監査センター代表。1966(昭和41)年旧労働省入省、熊本・茨城労基局長などを歴任。現在、一般社団法人労務安全監査センターの代表、大手製造業などの顧問を務める。『働く高齢者の安全・健康管理』(労働新聞社)など著書多数。 ※ バイスプレジデント……法人の代表(プレジデント)を補佐または代理する役員の名称 図1 色分け線などで区画化された通路・作業床・物置き場 図2 凸凹部分の危険表示・注意喚起例 図3 踏み台への手すりの設置例 図4 階段への手すりの設置例 図5 負担の少ない作業姿勢のために作業床を掘り下げた例 図6 一斗缶の専用置台の設置例 図7 クレーンによる積み込み作業例 【P46-49】 知っておきたい労働法Q&A  人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。  本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。 第12回 有給休暇の消化義務、産業医の役割の拡大と権限強化 弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 Q1 有給休暇の消化義務についてくわしく知りたい  働き方改革にともない、使用者に有給休暇の消化が義務づけられたとのことですが、いったいどのような制度なのでしょうか。 A  2019(平成31)年4月1日以降に法定の有給休暇が一度に10日以上付与された労働者を対象として、当該付与された日から1年の間で5日以上の有給休暇を消化することが罰則つきで義務づけられました。  制度を遵守していくためには、消化義務の制度に加えて、休暇という制度自体の理解も整理しておかれるべきでしょう。 1 有給休暇の消化義務について  働き方改革関連法の改正により、使用者に対して、有給休暇の消化が義務づけられました。これまで、有給休暇といえば労働者の権利であり、使用者が手出しできるような権利ではなかったわけですが、今回の改正によって有給休暇制度自体に大きな転換があったといえるでしょう。  有給休暇の消化については、厚生労働省からは、「原則として丁寧に指導し、改善を図っていただく」と表明されていますが、罰則つきで義務づけられている以上、企業としては違反するということがないような体制を整えていく必要があります。  今回の有給休暇の消化義務を理解するにあたって、そもそも有給休暇の制度の理解が必要であり、有給休暇以外の特別休暇との区別も、社内で確認しておく必要がありますので、まずは、休暇制度自体を見直しておきたいと思います。 2 カウントされない休暇について  今回の規制の対象となるのは、労働者が労働基準法に基づき権利として取得する「有給休暇」です。  企業においては、有給休暇だけが会社の休暇とはかぎりません。例えば、会社の創業記念日などを休暇としている場合もあるでしょうし、最近では、労働者の誕生日などをバースデー休暇としている企業もあらわれています。このようなもの以外には、慶弔休暇などの設定も一般的に行われていることでしょう。  このように、休日とは異なる本来労務提供が義務づけられた日について、労務提供を免除することで休暇とするケースがあります。こうした休暇を有給にするか、無給にするかについては、企業の就業規則に明記することで自由に定めることができますが、この場合の休暇をたとえ「有給」にしたとしても、労働者が労働基準法に基づき権利として取得する「有給休暇」とは異なります。このような休暇は、企業が独自の基準で設けている「特別休暇」として整理されており、「有給休暇」の消化とはカウントされません。  このほか、注意していただく必要がある休暇として、時間単位の有給休暇取得について、労使協定を締結して認めている場合には、当該時間単位での有給休暇取得は、カウントされないことになっています。こちらは、特別休暇という異なる制度であることが理由ではなく、「有給休暇」の取得ではあるものの対象外とされています。基本的には、労働者の身体的疲労を回復させ、健康維持を増進するという背景もあることから時間単位ばかりの有給休暇を取得することは、その趣旨にそぐわないことが背景にはあると思われます。  なお、時間単位の有給休暇と類似の制度である、半日単位の有給休暇制度(労使協定の締結がなくとも就業規則の規定により導入できます)がありますが、こちらで有給休暇を取得した場合には、0・5日としてカウントすることができます。導入にあたっては、半日の単位を企業ごとに明確にするために、就業規則において半日の定義などを記載しておくことが望ましいでしょう。 3 対象者の整理と基準日について  有給休暇の消化義務の対象となるのは、一度の有給休暇の付与において、法定の有給休暇が10日以上付与される労働者です。累計10日以上の有給休暇が残っている労働者が対象ではありませんので、間違わないようにしましょう。  したがって、所定労働日数が少ないパートタイム労働者などにおいては、有給休暇の比例付与が実施されている場合には、10日以下の有給休暇の付与が行われることもありますので、対象外となる労働者も出てきます。  また、有給休暇制度に関連して、労働者ごとに、有給休暇を与えた時季、日数および基準日を明らかにした「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければならないことも定められました。  1年間のカウントの起算点となる基準日は、有給休暇の付与日から1年間となります。法定通りに有給休暇を付与している場合には、入社日ごとに基準日が異なりますので、中途採用を中心にしている企業においては、労働者の数だけ基準日があるという状況も生じる場合があります。  有給休暇の付与日については、一斉付与などを採用して、付与日の統一を図っている企業もあろうかと思いますが、その場合は、有給休暇の消化義務の基準日の設定が特殊になります。  まず、@前倒して10日付与した場合には、当該付与した日を基準日として1年間の間に5日消化する必要があります。次に、A1年の間に付与日の重複が生じる場合には、1年目の基準日から2度目の付与日までの間(α日とします)と2度目の付与日を基準とした1年を経過する日までの間(1年+αの期間となります)で、長さに応じた比例按分をもって消化することも許容されることになっています。最後に、B一部の前倒し付与をしている場合は、前倒し付与した日から合計10日の有給休暇を付与された日までの間(β日とします)と当該合計10 日の有給休暇を付与された日から1年間(1年+βの期間となります)の間で5日消化する必要があります。Bに該当する場合は、2年目以降にAと同じ状況が生じるため、2年目はAと同様の基準で消化させることも許容されることになります。  こうみると、Bの付与方法を採用している企業は、3年目を迎えるまで、基準日が異なることになり、消化義務のカウントの管理が煩雑になるおそれがあります。 4 実際の有給休暇指定の方法について  有給休暇が消化されていないことを把握して、適宜指定を実施しなければなりませんが、そのための準備も必要です。  一つは、就業規則の改定です。有給休暇の指定命令については、現在の就業規則には記載がないはずですが、休暇に関する記載は絶対的必要記載事項であるため、記載することなく指定することはできず、記載せずに指定する場合には罰則の適用があると考えられています(労働基準法120条)。  また、実際の指定にあたっては、労働者の意見を尊重することが求められているため、メールやそのほかの方法で、労働者の意見聴取を実施したうえで、有給休暇の指定日を決定する必要があります。  企業における繁忙期に有給休暇の取得が困難であるなど、各企業の事情もふまえて、基準日から6カ月経過するまでに労働者からの意見聴取を実施したうえで、当該意見聴取の日から5カ月経過するまでの日を指定するようにすれば、労働者ごとに基準日が異なることを気にすることなく、5日の有給休暇を消化することができるのではないでしょうか。 Q2 労働基準法以外の働き方改革関連法について教えてほしい  働き方改革において、有給休暇消化義務や時間外労働の上限規制が取りざたされていますが、ほかに留意すべき規制や変更はないのでしょうか。 A  労働安全衛生法の改正によって、産業医の権限強化とともに、労働時間の把握義務の対象が管理監督者や裁量労働制、事業場外労働者にまで拡大されるなど、無視することができない変更が含まれていますので、留意する必要があります。 1 労働安全衛生法の改正  労働安全衛生法により、事業場における労働者が50名を超える場合には、産業医を選任する必要があります。同法の改正前における、産業医の役割としては、どちらかというと、非常時における面接指導や復職判断における主治医からの診断と比較するためのセカンドオピニオンとしての役割などが中心であり、日常的な関与が大きくない側面があったことは否定できないと思われます。  今回の改正において、産業医の権限が拡大され、期待される役割や職務の範囲も広がりました。そして、それにともない、企業の産業医に対する情報提供義務が強化された結果、企業においては労働時間管理を徹底していかなければならなくなりました。  また、労働者の健康管理に対する関与も強められています。これまでは、労働者と産業医が直接コンタクトを取ることは少なかったかもしれませんが、健康相談対応に必要な体制として、社内において選任した旨を周知するよう努めるものとされました。 2 産業医に対する情報提供義務  産業医を選任した企業は、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として、以下の情報を提供する義務を負うことになりました。 @健康診断の実施後の措置、長時間労働者に対する面接指導実施後の措置、ストレスチェックの結果に基づく面接指導後の措置などに関する情報 A1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月あたり80時間を超えた労働者の氏名と超えた時間に関する情報 Bその他健康管理に必要な情報(作業環境、作業不可の状況、深夜労働の回数・時間数など)  特に、Aの情報については、速やかに(2週間以内を想定)提供する必要があると整理されており、時間外、休日の労働時間把握を毎月適切に行っておく必要があります。なお、該当する労働者がいない場合においては、該当者がいない旨を通知する必要があり、また、このAに関しては、産業医だけではなく、労働者本人に対しても通知する義務があります。  Aに該当し、かつ、「疲労の蓄積が認められる」労働者は、産業医による面接指導の対象者となりますので、産業医と労働者の双方に通知することで、長時間労働による健康への影響の早期発見に資するための制度改正になっているといえるでしょう。時間外労働が80時間を超えた労働者が存在しない場合においても、該当労働者がいない旨を通知しなければならないため、時間外労働が少ない企業においても、産業医に対する情報提供義務が軽減されるわけではありません。  なお、時間外労働が80時間を超えている場合には、該当する労働者自身に対しても、通知する義務があり、該当労働者からの面接指導の申出が増加する可能性があります。 3 労働時間把握の対象について  前記A記載の事由に該当する労働者には、管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者を含め、すべての労働者が含まれることとなりました。  これまでの労働時間の適正な把握に関するガイドラインにおいては、管理監督者や事業場外労働によるみなし労働時間の適用がある場合は除外されていましたので、これまでの取扱いから変更されています。  「労働時間」そのものの把握ではなく、「労働時間の状況」の把握とされ、労働者の労働日ごとの出退勤記録や入退室時刻を把握することが求められています。労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態であったかを把握することとされていますが、「労働時間」そのものの把握との線引きは困難でしょう。  改正法の施行後は、管理監督者に関して労働時間の管理をすることは、管理監督者として評価されるために必要な時間管理を受けていないという要素との関係が問題となり、事業場外労働に関しては、「労働時間を算定し難い」という要件との関係が問題となるでしょう。  管理監督者についても、労働安全衛生法に基づき「労働時間の状況」の把握を行う必要がある以上、単にタイムカードを使用していることなどを理由として管理監督者性が否定されることはあってはならず、今後は、始業・終業時刻の拘束がないことの表れとして、遅刻や早退に対して制裁をもって不利益な処分をされないことが重要な要素になっていくものと考えられます。  事業場外労働については、労働時間の状況を把握することができれば、「労働時間を算定し難い」という要件を充足し難しくなることは否定しがたく、客観的な方法により把握できない場合に許容される自己申告制による労働時間の状況の把握を適切に尽くしていくほかないのではないかと考えられます。なお、自己申告制が許容されるためには、@労働者への適正な申告をするよう事前説明すること、A管理者にも同様に適正な申告をさせるよう事前説明をすること、B実態との合致について、必要に応じて実態調査を行い、相違があれば補正すること、C自己申告時間以上の労務提供が見受けられる場合には、労働者に報告させ、内容の適正さを確認すること、D適正な申告を阻害する措置を講じないことなどが必要とされたうえ、翌労働日までの申告が適当とされています。これらの要素を見直しながら、事業場外労働を適正に実施可能か確認しておくべきでしょう。 【P50-51】 高齢者雇用と働き方改革 治療と仕事の両立支援のポイント  「働き方改革」で重要なのは、長時間労働の是正や処遇改善だけではありません。高齢従業員の増加にともない、病気を抱える高齢者が、持っている能力を安心して発揮できるよう、病気の治療と仕事の両立を支援する取組みがいままで以上に重要になります。そこで、事業者に求められる両立支援のポイントについて解説します。 最終回 まとめ・その他の留意事項 産業医科大学 保健センター 副センター長 立石清一郎 事業者にとっての両立支援を行う意義  これまでの連載のなかで、両立支援を行う体制整備、個人情報の取扱い、職場復帰プランの策定、がん・循環器疾患の支援の特徴などについて紹介してきました。読者の方のなかには、「たいへん」や「めんどう」という印象を持っている方もいるかもしれません。  そこで最終回の今回は、「なぜ、事業者が両立支援を行う必要があるのか」についてお話したいと思います。  これまでは「労働者を雇おう」と思ったら簡単に雇える時代でした。しかしながら、すでに日本の人口はピークを迎え、これからは人口減少時代に突入し、生産年齢人口とされてきた15〜65歳は実数・割合ともに低下していきます。高齢であったり病気を持っている労働者が社会参加しなければ、必要な労働力が足りなくなる時代がすぐそこまで来ているのです。  安定的な経営を行うために、働く能力のある人材を活かす仕組みを持っていることはたいへん重要といえます。画一的な人材ばかりをそろえている企業は、視点も画一的になりがちで、イノベーションが起きにくく、場合によっては消費者から置き去りにされてしまうということになるかもしれません。多様な人材を企業のなかで抱え、活躍できるよう、柔軟な対応をすることが企業の成長につながることでしょう。  健康経営に対する意識の高まりが出てくると、自然に「労働者を大事にしたい」という視点から、病気を持った人たちへの支援の必要性に気づき始めてくるのではないかと思います。  事業者が両立支援を行うことのメリットとしては、以下のような点があげられています。 ・従業員の定着率の向上および人材確保 ・企業イメージの向上 ・当該社員と同僚のモチベーションや安心感の向上 ・モラール(士気)の向上  一義的には両立支援は病気を抱えた労働者のサポートですが、企業価値を高めることにも寄与することが期待できます。 両立支援についての社会資源  両立支援の際は病状に合わせて必要な配慮(安全配慮、合理的配慮)を実施することが求められます。したがって、病気により発生する症状と仕事を調和させるための取組みが必要になります。  しかしながら、特に中小零細企業などでは、そのような専門職が不在であることもしばしばです。そのような場合には社会資源として、(独)労働者健康安全機構が各都道府県に設置している産業保健総合支援センターの両立支援促進員(看護師、保健師、社会保険労務士など)を活用することができます。事業者への個別訪問や事業者と労働者の個別調整など、幅広い支援を請け負っています。  また、両立支援コーディネーターという資格を持つ者もいます。両立支援コーディネーターは、企業と医療の情報共有を円滑にするための研修を受けています。企業や従業員が受診している医療機関内に資格取得者がいる場合には、相談してみるのもいいのではないかと思います。  さらに、各都道府県労働局では、中小企業が就業規則を整えたうえで両立支援を行った際に、助成金を支給する制度もあります。助成基準などの詳細については、厚生労働省のホームページ※をご覧ください。 障害者雇用安定助成金 両立支援 検索 病気になってもあわてないために  ほとんどの人は、明日病気になることを想定して日々の生活を送っていません。今日と同じ明日があると信じ、仕事をし日常を過ごしているのではないかと思います。  そんななかで突然病気を宣告された場合、診断・治療に向けてさまざまな意思決定が必要になります。  例えば、がんであれば、健康診断受診、精密検査受診、結果説明、診断・病気の確定、治療方針の決定、治療費の計画などを、そのときどきに対応し、決断することが要求されます。しかも、それらは仕事や社会生活に大きな影響を与え、さまざまな調整要件が重なることになります。考えなければいけないことが急激に増える状況が発生するのです。  もともと人間は、マルチタスクが苦手です。そのうえ、がんの診断を受けたショックや副作用の問題なども発生します。見た目は元気そうにしていても、多くの方がそのような状況を何とか乗り越えようとしているわけです。これらについて、少しでも負担を少なくするには、業務上の配慮もさることながら、普段からの準備も必要になってきます。  病気にかぎらず、急に休まざるを得ない状況というのはだれしも訪れることです。業務内容の共有化、代替可能性の確保など、だれかが急に休まざるを得なくなっても対応できる可塑性(かそせい)を、組織として持っておくことが必要です。  また、従業員教育として、生涯二人に一人はがんになることを想定するような訓練を積ませておくことも、今後は必要になってくると考えられます。いざというときに本人がパニックにならないように、そして周囲もその状況をしっかりと受け入れられるように、大人のがん教育が、今後展開されることが期待されます。 すべての人が労働者として輝けるために  いろいろと書いてきましたが、実はほとんどの企業が、すでに両立支援にかかわる対策を実行していると思います。  例えば、治療のために半日休暇を許可して病院への受診を認める、気分が悪いときに休憩室の利用を認める、体力が弱った人に自動車通勤を認める、などは、気がついていないかもしれませんが、何らかの体調不良に対して「お互いさま」の気持ちでサポートしている現状があるのではないかと思います。  こういった対応は立派な両立支援の活動です。可能な範囲で本人の希望を検討すること、これは合理的配慮の精神そのものです。あまりむずかしく考えずに、無理のない範囲で、「いまできることをしっかり行う」、くらいの軽い気持ちから始めていくと、数年後には素晴らしい両立支援を実施する職場になっていることと思われます。最初から100点を狙うのではなく、小さな一歩を積み重ねて、よりよい支援体制の構築を目ざしていただければ幸いです。 ※ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000162833.html 【P52-55】 労務資料 第13回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況 厚生労働省 政策統括官付参事官付世帯統計室  厚生労働省は、2005(平成17)年度から、団塊の世代を含む、全国の中高年者世代の男女を追跡して、その健康・就業・社会活動について、意識面・事実面の変化の過程を継続的に調査しています。このほど、第13回(2017年)の結果がまとまりましたので、「就業の状況」を中心にその結果を紹介します。  この第13回調査の対象者の年齢は62〜71歳(2005年10月末現在で50〜59歳の全国の男女)、調査の期日は2017年11月1日、調査対象は2万2253人、回収数は2万1168人、回収率は95・1%でした。 (編集部) 1.就業の状況 (1)就業状況の変化  この12年間で、「正規の職員・従業員」の割合は減少、「自営業主、家族従業者」、「パート・アルバイト」の割合はほぼ横ばい  第1回調査から第13回調査までの12年間の就業状況の変化をみると、「正規の職員・従業員」は、第1回38・3%から第13回5・4%と減少している。一方、「自営業主、家族従業者」は、第1回15・6%から第13回13・8%、「パート・アルバイト」は、第1回16・6%から第13回17・4%とほぼ横ばいの状況である。(図表1)  また、性、第1回の就業状況別に第13回の就業状況をみると、男の「(第1回)正規の職員・従業員」では「仕事をしていない」の42・6%が最も多く、次いで「労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託」の17・5%、「パート・アルバイト」の16・8%、「正規の職員・従業員」の11・4%となっている。女の「(第1回)パート・アルバイト」では「仕事をしていない」の51・5%が最も多く、次いで「パート・アルバイト」の39・9%となっており、「(第1回)正規の職員・従業員」では、「仕事をしていない」の51・6%が最も多く、次いで「パート・アルバイト」の22・6%、「正規の職員・従業員」11・2%となっている。(図表2) (2)離職経験がある者の第13回調査の就業状況  離職経験がある者について、第13回調査で仕事をしている者は、男が47・9%、女が34・9%となっている  離職理由は、男女とも「定年のため」が高く、次いで、男は「契約期間が満了したから」、女は「健康がすぐれなかったから」となっている  第1回調査から第13回調査までの12年間に離職経験がある者のうち、第13回調査で「仕事をしている」者は、男は47・9%、女は34・9%となっている。「仕事をしている」者の仕事のかたちの割合をみると、男女ともに「パート・アルバイト」が多くなっている。(図表3)  また、離職理由の割合を性別にみると、男女とも「定年のため」が最も高く、次いで、男は「契約期間が満了したから」、女は「健康がすぐれなかったから」となっている。これを、性別の割合の差でみると、「定年のため」、「契約期間が満了したから」は、男が女より、「家族の介護・看護のため」、「健康がすぐれなかったから」は、女が男より大きくなっている。(図表4) 2.その他のポイント (1)日常生活の行動と健康状況  日常生活のなかで、友達づきあいや家事などをいつもしている者は、「しない」者より、健康状態が「よい」と思っている割合が高い(図表5)。 (2)運動状況の変化  第1回調査時(12年前)から運動を続けている者は、「第1回から運動していない」者より、健康状態が「よい」と思っている割合が高い(図表6)。 図表1 第1回調査から第13回調査までの就業状況の変化 仕事をしている 第1回 自営業主、家族従業者 15.6% 会社・団体等の役員 4.7% 正規の職員・従業員 38.3% パート・アルバイト 16.6% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 3.8% 家庭での内職など、その他 2.3% 仕事のかたち不詳 0.2% 仕事をしていない 18.6% 不詳 0.1% 第2回 自営業主、家族従業者 15.2% 会社・団体等の役員 4.9% 正規の職員・従業員 35.5% パート・アルバイト 17.4% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 4.3% 家庭での内職など、その他 2.6% 仕事のかたち不詳 0.3% 仕事をしていない 19.8% 不詳 0.0% 第3回 自営業主、家族従業者 15.2% 会社・団体等の役員 4.7% 正規の職員・従業員 32.5% パート・アルバイト 17.2% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 5.7% 家庭での内職など、その他 2.5% 仕事のかたち不詳 0.4% 仕事をしていない 21.7% 不詳 0.0% 第4回 自営業主、家族従業者 15.3% 会社・団体等の役員 4.5% 正規の職員・従業員 29.3% パート・アルバイト 17.5% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 6.9% 家庭での内職など、その他 2.4% 仕事のかたち不詳 0.3% 仕事をしていない 23.8% 不詳 0.0% 第5回 自営業主、家族従業者 15.3% 会社・団体等の役員 4.2% 正規の職員・従業員 25.6% パート・アルバイト 16.9% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 7.7% 家庭での内職など、その他 2.4% 仕事のかたち不詳 0.3% 仕事をしていない 27.6% 不詳 0.0% 第6回 自営業主、家族従業者 15.1% 会社・団体等の役員 4.3% 正規の職員・従業員 22.1% パート・アルバイト 17.3% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 8.2% 家庭での内職など、その他 2.3% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 30.5% 不詳 0.1% 第7回 自営業主、家族従業者 15.1% 会社・団体等の役員 4.1% 正規の職員・従業員 18.4% パート・アルバイト 17.1% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 9.2% 家庭での内職など、その他 2.5% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 33.4% 不詳 0.1% 第8回 自営業主、家族従業者 14.8% 会社・団体等の役員 4.0% 正規の職員・従業員 15.6% パート・アルバイト 17.1% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 9.1% 家庭での内職など、その他 2.6% 仕事のかたち不詳 0.0% 仕事をしていない 36.4% 不詳 0.4% 第9回 自営業主、家族従業者 14.6% 会社・団体等の役員 3.8% 正規の職員・従業員 12.7% パート・アルバイト 17.5% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 9.0% 家庭での内職など、その他 2.8% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 39.4% 不詳 0.1% 第10回 自営業主、家族従業者 14.5% 会社・団体等の役員 3.9% 正規の職員・従業員 10.3% パート・アルバイト 17.4% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 9.4% 家庭での内職など、その他 2.6% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 41.6% 不詳 0.2% 第11回 自営業主、家族従業者 14.3% 会社・団体等の役員 3.7% 正規の職員・従業員 7.9% パート・アルバイト 17.7% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 9.0% 家庭での内職など、その他 2.5% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 44.5% 不詳 0.2% 第12回 自営業主、家族従業者 14.1% 会社・団体等の役員 3.5% 正規の職員・従業員 6.4% パート・アルバイト 17.7% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 8.6% 家庭での内職など、その他 2.5% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 46.8% 不詳 0.2% 第13回 自営業主、家族従業者 13.8% 会社・団体等の役員 3.5% 正規の職員・従業員 5.4% パート・アルバイト 17.4% 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 7.7% 家庭での内職など、その他 2.7% 仕事のかたち不詳 0.1% 仕事をしていない 49.3% 不詳 0.2% 図表2 性、第1回調査の就業状況別にみた第13回調査の就業状況 (単位:%) 第13回の仕事の有無・仕事のかたち 総数 仕事をしている 自営業主、家族従業者 会社・団体等の役員 正規の職員・従業員 パート・アルバイト 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 家庭での内職など、その他 仕事をしていない 性・第1回の仕事の有無・仕事のかたち 総数 (100.0)100.0 50.5 13.8 3.5 5.4 17.4 7.7 2.7 49.3 仕事をしている (81.3)100.0 59.0 16.3 4.1 6.5 19.8 9.3 2.9 40.9 仕事をしていない (18.6)100.0 13.2 2.5 0.6 0.7 7.2 0.8 1.5 86.3 男 (100.0)100.0 61.9 18.4 5.8 8.3 13.7 13.1 2.5 38.0 仕事をしている (95.0)100.0 63.9 19.1 6.1 8.6 13.9 13.5 2.5 36.1 自営業主、家族従業者 (18.8)100.0 84.0 68.3 4.5 2.2 4.4 2.4 2.1 16.0 会社・団体等の役員 (8.0)100.0 72.1 11.7 37.2 6.1 7.2 7.0 2.9 27.9 正規の職員・従業員 (60.7)100.0 57.3 6.2 3.1 11.4 16.8 17.5 2.2 42.6 パート・アルバイト (2.2)100.0 53.2 7.5 0.5 2.2 29.6 8.6 4.8 46.8 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 (3.8)100.0 58.4 7.9 − 5.8 16.7 24.0 4.0 41.6 家庭での内職など、その他 (1.3)100.0 61.6 12.5 0.9 6.3 20.5 7.1 14.3 38.4 仕事をしていない (5.0)100.0 24.5 4.4 1.9 3.0 9.7 3.9 1.6 75.0 女 (100.0)100.0 40.9 9.8 1.4 3.0 20.6 3.2 2.8 58.9 仕事をしている (69.8)100.0 53.5 13.1 1.9 4.1 26.5 4.4 3.4 46.4 自営業主、家族従業者 (12.9)100.0 72.8 58.2 2.4 0.8 7.7 0.5 3.0 27.2 会社・団体等の役員 (1.9)100.0 70.3 15.4 37.9 6.7 6.7 1.0 2.6 29.7 正規の職員・従業員 (19.3)100.0 48.2 2.7 1.1 11.2 22.6 7.9 2.6 51.6 パート・アルバイト (28.8)100.0 48.4 2.1 0.2 1.3 39.9 2.6 2.3 51.5 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 (3.7)100.0 54.2 2.4 0.5 2.6 29.1 17.2 2.4 45.5 家庭での内職など、その他 (3.1)100.0 42.9 4.8 0.3 0.6 13.5 3.2 20.2 57.1 仕事をしていない (30.1)100.0 11.7 2.2 0.4 0.3 6.8 0.3 1.5 87.9 注:総数には第1回の仕事の有無・仕事のかたち及び第13回の仕事の有無・仕事のかたちの不詳を含む 図表3 第1回調査から第13回調査までに離職経験がある者の性、離職理由(複数回答)別にみた第13回調査の就業状況 (単位:%) 第13回の仕事の有無・仕事のかたち 総数 仕事をしている 自営業主、家族従業者 会社・団体等の役員 正規の職員・従業員 パート・アルバイト 労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託 家庭での内職など、その他 仕事をしていない 性・最後にやめた仕事の離職理由(複数回答) 男 (100.0) (47.9) (8.8) (2.2) (5.5) (16.8) (11.7) (2.8) (52.0) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 定年のため 30.5 33.4 23.7 27.5 42.0 31.7 42.4 25.4 27.8 契約期間が満了したから 19.3 17.0 12.0 11.5 10.1 21.9 18.0 17.2 21.5 希望退職に応じたから 3.4 3.9 4.2 1.5 4.6 3.4 4.5 4.7 3.0 倒産したから 1.8 2.6 2.5 2.3 5.2 2.1 2.7 0.6 1.1 解雇されたから 4.4 6.0 5.5 4.6 6.4 7.3 5.5 3.0 2.9 新しい仕事がみつかったから 2.9 5.8 3.3 9.9 10.1 4.3 7.3 4.7 0.2 健康がすぐれなかったから 10.5 7.3 12.2 3.1 3.1 7.4 5.2 12.4 13.4 家族の介護・看護のため 3.2 2.3 3.8 2.3 1.2 2.4 1.6 1.8 4.1 子・孫の育児のため 0.4 0.3 0.2 - - 0.2 0.7 - 0.5 人間関係がうまくいかなかったから 4.0 5.0 2.9 1.5 5.2 6.3 5.6 3.6 3.0 労働条件が不満になったから 4.3 5.6 2.7 4.6 8.0 6.8 5.3 4.1 3.1 年金を受給し始めたから 6.1 4.0 4.2 5.3 1.5 4.7 3.7 4.7 8.0 その他 8.8 8.3 9.8 13.7 6.7 7.8 6.9 10.1 9.2 女 (100.0) (34.9) (5.2) (0.6) (1.6) (21.1) (2.9) (3.3) (64.9) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 定年のため 14.5 14.6 4.8 18.9 28.1 14.2 26.0 14.9 14.4 契約期間が満了したから 10.9 11.3 5.4 - 12.5 12.4 21.5 5.4 10.7 希望退職に応じたから 3.3 3.2 1.9 5.4 9.4 3.5 1.7 1.5 3.3 倒産したから 2.8 3.5 1.6 - 3.1 4.5 2.8 2.0 2.3 解雇されたから 4.2 5.5 1.0 2.7 3.1 7.3 4.5 4.0 3.5 新しい仕事がみつかったから 2.4 6.6 2.6 2.7 21.9 6.7 11.3 1.5 0.2 健康がすぐれなかったから 14.2 10.6 10.2 8.1 5.2 11.7 5.1 11.4 16.1 家族の介護・看護のため 7.1 5.5 7.7 5.4 3.1 5.4 4.0 5.4 8.0 子・孫の育児のため 3.9 2.9 3.2 - 1.0 3.4 1.7 2.5 4.4 人間関係がうまくいかなかったから 4.6 6.8 1.6 2.7 11.5 8.7 5.1 3.0 3.4 労働条件が不満になったから 4.7 7.5 2.2 5.4 11.5 9.2 6.8 3.5 3.2 年金を受給し始めたから 3.6 2.6 2.2 2.7 1.0 2.7 1.7 4.0 4.1 その他 14.5 14.5 13.4 35.1 12.5 14.3 11.3 18.3 14.5 注:1)第13回までに仕事をやめた経験がある者を集計。複数回の仕事をやめた経験がある者については、直近の離職理由を計上している 注:2)総数には最後にやめた仕事の離職理由及び第13回の仕事の有無・仕事のかたちの不詳を含む 図表4 性別にみた離職経験がある者の最後にやめた仕事の離職理由(複数回答) 定年のため 男30.5% 女14.5% 契約期間が満了したから 男19.3% 女10.9% 希望退職に応じたから 男3.4% 女3.3% 倒産したから 男1.8% 女2.8% 解雇されたから 男4.4% 女4.2% 新しい仕事がみつかったから 男2.9% 女2.4% 健康がすぐれなかったから 男10.5% 女14.2% 家族の介護・看護のため 男3.2% 女7.1% 子・孫の育児のため 男0.4% 女3.9% 人間関係がうまくいかなかったから 男4.0% 女4.6% 労働条件が不満になったから 男4.3% 女4.7% 年金を受給し始めたから 男6.1% 女3.6% その他 男8.8% 女14.5% 注:第13回の性別ごとの総数を100とした割合である 図表5 日常生活の行動と健康状態 健康状態が「よい」と思っている者 いつもする 近所づきあい80.7% 友達づきあい82.2% 家事79.3% 自分の孫や子供の世話79.5% 健康状態が「よい」と思っている者 しない 近所づきあい69.8% 友達づきあい61.8% 家事65.2% 自分の孫や子供の世話74.4% 図表6 運動状況の変化 健康状態が「よい」と思っている者 第1回から運動している 息がはずまない軽い運動(ストレッチ、軽い体操など)83.1% 多少息がはずむ運動(ウォーキング、ジョギングなど)87.9% 激しく息がはずむ運動(エアロビクス、水泳など)90.9% 健康状態が「よい」と思っている者 第1回から運動していない 息がはずまない軽い運動(ストレッチ、軽い体操など)74.4% 多少息がはずむ運動(ウォーキング、ジョギングなど)72.2% 激しく息がはずむ運動(エアロビクス、水泳など)76.7% 【P56-57】 2019年度 高年齢者雇用開発コンテスト 〜生涯現役社会の実現に向けて〜 高年齢者がいきいきと働くことのできる職場づくりの事例を募集します 主催 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構  当コンテストは、高年齢者が長い職業人生のなかでつちかってきた知識や経験を職場で有効に活かすため、企業などが行った創意工夫の事例を広く募集・収集し、優秀事例について表彰を行っています。  優秀企業等の改善事例と実際に働く高年齢者の働き方を社会に広く周知することにより、企業などにおける雇用環境整備への具体的な取組みの普及・促進を図り、生涯現役社会の実現を目ざしていきます。  多数のご応募をお待ちしています。 T 募集テーマ 働くことを希望する高年齢者が、年齢にかかわりなく生涯現役でいきいきと働くことができるようにするため、各企業などが行った雇用管理や職場環境の改善に関する創意工夫の事例を募集します。なお、創意工夫の具体的な例示として、以下の改善項目を参考にしてください。 改善項目 1.制度面の改善 内容(例示) @定年制の廃止・定年年齢の延長・継続雇用制度 A賃金・評価制度の改善 B短時間勤務等柔軟な雇用形態 C役割の明示  等 改善項目 2.高年齢者の戦力化 内容(例示) @高年齢者の力を活用した生産性の向上 Aミスの防止やムダな動きの削減などの取組み B安全衛生管理(5S 活動、安全衛生委員会、事故防止対策)  等 Cその他 改善項目 3.意識・風土面の改善 内容(例示) @職場風土の改善 A職場コミュニケーションの推進 B従業員の意識啓発の取組み  等 改善項目 4.能力開発(研修、資格取得、OJTなど) 内容(例示) @高年齢者を対象とした教育訓練やキャリア形成支援の実施 A高年齢者による技能継承(技術指導者の選任、マイスター制度、マニュアル化、高年齢者と若年者のペア就労)  等 改善項目 5.健康対策 内容(例示) @高年齢者を対象とした健康管理・メンタルヘルス(健康管理体制、健康管理上の工夫・配慮) A福利厚生(休憩室の設置、レクリエーション活動、生活設計相談体制)  等 U 応募方法 1.応募書類など イ.指定の応募様式に記入していただき、写真・図・イラストなど、改善等の内容を具体的に示す参考資料を添付してください。 ロ.応募様式は、各都道府県支部高齢・障害者業務課にて、紙媒体または電子媒体により配布します。また、当機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/elderly/activity/2019_koyo_boshu.html)からも入手できます。 ハ.応募書類などは返却いたしません。 2.応募締切日  2019年4月15日(月)当日消印有効 3.応募先 各都道府県支部高齢・障害者業務課へ提出してください。 V 応募資格 1.原則として、企業からの応募とします。 2.応募時点において、次の労働関係法令に関し重大な違反がないこととします。 (1)平成28年4月1日〜平成30年9月30日の間に、労働基準関係法令違反の疑いで送検されておらず、また、公表されていないこと。 (2)「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県局長等による指導の実施及び企業名の公表について」(平成29年1月20日付け基発0120 第1号)に基づき公表されていないこと。 (3)平成30年4月以降、職業安定法、労働者派遣法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に基づく勧告又は改善命令等の行政処分等を受けていないこと。 (4)平成30年度の障害者雇用状況報告書において、法定雇用率を達成していること。 (5)平成30年4月以降、労働保険料の未納がないこと。 3.希望者全員が65歳まで働ける制度を導入(※)し、高年齢者が持つ知識や経験を十分に活かして、いきいきと働くことができる職場環境となる創意工夫がなされていることとします。 ※高年齢者雇用安定法の経過措置として継続雇用制度の対象者の基準を設けている場合は、希望者全員が65歳まで働ける制度には該当しないことから、当コンテストの趣旨に鑑み、対象外とさせていただきます。 4.応募時点前の各応募企業における事業年度において、平均した1月あたりの時間外労働時間が60時間以上である労働者がいないこととします。 W 各賞 【厚生労働大臣表彰】 最優秀賞 1編 優秀賞  2編 特別賞  3編 【独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰】 優秀賞  若干編 特別賞  若干編 ※上記は予定であり、次の「X 審査」を経て入賞の有無・入賞編数等が決定されます。 X 審査 当機構に、学識経験者などから構成される審査委員会を設置し、審査します。 Y 審査結果発表など 2019年9月中旬をめどに、厚生労働省および当機構において各報道機関などへ発表するとともに、入賞企業等には、各表彰区分に応じ、厚生労働省または当機構より直接通知します。 また、入賞企業の取組み事例は、厚生労働省および当機構の啓発活動を通じて広く紹介させていただくほか、本誌およびホームページなどに掲載します。 Z 著作権など 提出された応募書類の内容にかかわる著作権および使用権は、厚生労働省および当機構に帰属することとします。 [ お問合せ先 みなさまからのご応募をお待ちしています ●独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 研究開発課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3丁目1番3号 TEL:043-297-9527  E-Mail:tkjyoke@jeed.or.jp ●独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課 連絡先は65頁をご参照ください。 事例の紹介 当機構のホームページでは、入賞企業の取組み事例を紹介する事例集を掲載しています。高年齢者雇用を含め、よりよい雇用環境整備にご活用いただけると幸いです。詳しくは、「jeed 表彰事例 資料」でご検索ください。 jeed 表彰事例 資料 検索 【P58】 BOOKS ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します 実務につなげる視点から、法改正の要点と対応を詳解 「働き方改革関連法」改正にともなう就業規則変更の実務 岩出(いわで) 誠 編著/ 清文社(せいぶんしゃ)/ 3000円+税  働き方改革関連法の改正に合わせて、多くの企業では就業規則の変更に取り組んでいるものと思われる。とりわけ長時間労働の是正を目的とした労働時間制度の見直しは、企業の人事労務管理に大きな影響をおよぼすものであり、コンプライアンス重視の観点からも、適切な対応が求められている。  本書は、主として働き方改革関連法の改正にともなって企業に求められる対応を就業規則変更の観点から整理し解説したもの。2014(平成26)年以降の労働関係法の改正の概要と実務上の留意点を簡潔に示すとともに、就業規則などの変更のポイントがまとめられている。さらに具体的な対応策として、就業規則と労使協定の変更の事例が48事例掲載されているので、自社の就業規則や労使協定と比較することで、ピンポイントで対応することが可能である。  最近の法改正の全体像を追いながら、各年の法改正のポイントが説明されているため、通読することに加えて、自社で求められるテーマについて目を通し対応すべき内容を把握することもできる。実務に役立てようという視点が強く感じられる書籍であり、人事労務担当者の座右の書として活用することをおすすめしたい。 社員の人生を充実させる「働き方改革」を目ざすときに役立つ一冊 実践 健康経営 健康的な働き方への組織改革の進め方 吉岡拓也、根本大介、折本敦子グレイス 著/ 日本能率協会マネジメントセンター/ 2000 円+税  本書は、生産性向上と社員の健康増進を両立させるための考え方と取組みの方向性、実現に向けた組織改革の進め方を、実例を示しながら解説する実践書。ある企業の取組みを描いた物語が盛り込まれており、主人公が組織のなかで健康的な働き方の仕組みを構築していく経緯を楽しみながら読み進めることができる。  物語は、新米の経営企画室長・松田が、ある日、専務の西本から「働き方を変えていくことだけにとどまらず、社員が幸せに、健康に、人生を充実させていくような取組み」を進めるよう命じられることから始まる。仕事に没頭することが心身ともに充実した過ごし方であると考えてきた松田が、いまの時代に合った働き方を学び直すことから行動するという導入部に続き、本書のパート1では健康的に働く意義や必要性などを整理し、パート2では健康的な働き方を目ざすうえでの取組みの方向性を提示、パート3では組織改革の進め方を説明する。  「『働き方を考える』ということは、『自分の人生の大半を考える』ということであり、ひいては『定年後にどのような人生を送るか』を考えることでもある」と意識する松田。取組みを通して彼の考え方が変化する様子も興味深い。 【P59】 ニュース ファイル NEWS FILE 行政・関係団体 厚生労働省 「働きやすく産性の高い企業・職場表彰」決定  厚生労働省は、第3回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の受賞企業を発表した。本表彰は「生産性の向上」と「魅力ある職場づくり」の両立の取組みを促進するため、2016(平成28)年度から実施している。今回は、最優秀賞に3社、優秀賞に3社、キラリと光る取り組み賞に7社が選ばれた。  最優秀賞の大企業部門には株式会社ハクブン(神奈川県)【柔軟な働き方の提供、作業のマニュアル化とポイント化等により働きやすさと生産性向上の両立を実現】、同中小企業部門にはアップコン株式会社(神奈川県)【健康増進の取組みや資格取得の推進により、従業員の自主性・モチベーションを高め生産性を向上】と株式会社荒木組(岡山県)【社内コミュニケーションの活性化を図る施策及び協力会社との連携強化により生産性を向上】が選ばれた。  優秀賞の大企業部門には株式会社ディノス・セシール(東京都)、同中小企業部門には株式会社友安製作所(大阪府)と株式会社ハートメディカル(旧株式会社タケダ第一事業部)(愛知県)が選ばれた。キラリと光る取り組み賞の大企業部門には株式会社ジャックス(東京都)と株式会社東邦銀行(福島県)、同中小企業部門には株式会社エスバイエス(静岡県)、株式会社協和工業(秋田県)、株式会社YKA(岐阜県)、東軌工業株式会社(宮城県)、リベラル株式会社(東京都)が選ばれた。 内閣府 「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」結果  内閣府はこのほど、「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」結果を公表した。  調査対象は、全国18歳以上の日本国籍を有する5000人。有効回収数は2919人(回収率58・4%)。2018(平成30)年11月に行った。  主な調査項目は、「老後の生活設計について」と「公的年金制度への関心および広報について」。  結果によると、「何歳まで仕事をしたいか(したか)」に対しては、「61歳〜65歳」が最多の30・7%。次いで、「66歳〜70歳」が21・5%、「51歳〜60歳」が18・8%、「71歳〜75歳」が9・2%となっている。また、この問いに「66歳以上」と答えた1100人に対して、「その年齢まで働きたい(いた)理由」をたずねると、「経済的にゆとりある生活を送りたいから」が最多で28・9%、「働き続けないと生活費が足りないと思うから」が24・9%、「仕事をするのが好きだから」が16・9%と続いている。  次に、「老後の生活設計を考えたことの有無」の問いに、「考えたことがある」は67・8%、「考えたことがない」は31・3%。さらに、この問いに「考えたことがある」と答えた1979人に対して、「考えた理由」をたずねると、「老後の生活が不安だから」が最多で44・6%、「無計画な生活はしたくないから」が25・9%、「老後が近い年齢になったから」が21・8%と続いた。  「公的年金制度に関して知りたいこと」は、「給付額・給付水準の見通し」が最多で48・3%、次いで「公的年金の積立金の運用状況」が32・0%などとなっている。 発行物 東京都 テレワーク業界別ハンドブック『TELEWORK活用ヒント』  東京都は昨年12月、テレワーク活用に向けた支援策の一環として、「建設業」、「製造業」、「卸売業・小売業」の業界別ハンドブック『TELEWORK活用ヒント』を発行した。  ハンドブックはA5判で、各14ページ。テレワーク導入企業の好事例をもとに、各業界の特性に沿ったテレワーク活用法を紹介している。  主な掲載内容は、各業界を取り巻く現状と課題およびICT活用に関する情報から、テレワーク導入企業の事例を5社ずつと、テレワーク導入に向けた情報として、導入のタイミングやセキュリティ、労務管理などについてまとめている。  導入企業の事例には、育児・介護中の社員を対象に自宅での作業を可とした事例や、在宅勤務の実施により通勤の身体的・精神的負荷が軽減されて社員の健康増進に役立ち、健康経営の実現に寄与しているといった事例などがある。  ハンドブックは、東京テレワーク推進センター(東京都文京区)※で無償配布している。または、「TOKYOはたらくネット」のサイト内の『テレワーク活用に向けた支援』からダウンロードできる。 ※東京テレワーク推進センター……企業におけるテレワークの導入をワンストップでサポートするセンター。東京都と国が連携して設置した。テレワークに関する相談や体験、情報収集をすることができる。 【P60】 次号予告 5月号 特集 年下管理職のための年上部下のマネジメント術 リーダーズトーク 堤内真一さん(ミサワホーム株式会社 執行役員) 『エルダー』読者のみなさまへ 2019年5月号は、大型連休の関係から、お手元に届く日程が通常よりも数日遅れることが見込まれています。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。ご不明の点は当機構企画部情報公開広報課(電話:043-213-6216)までおたずねください。 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方ぜひご覧ください! 〈高齢・障害・求職者雇用支援機構〉 メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 お知らせ 本誌を購入するには− 本誌の定期購読は株式会社労働調査会にお申し込みください。1冊ずつの購入もこちらで受けつけます。 ★定期購読についてのお申し込み・お問合せ先:株式会社労働調査会  〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5  電話03-3915-6415 FAX 03-3915-9041 ★雑誌のオンライン書店「富士山マガジンサービス」でご注文いただくこともできます。  URL http://www.fujisan.co.jp/m-elder 編集アドバイザー(五十音順) 今野浩一郎……学習院大学名誉教授 大嶋江都子……株式会社前川製作所コーポレート本部人財部門 金沢 春康……サトーホールディングス株式会社人財開発部 人事企画グループ人事企画担当部長 菊谷 寛之……株式会社プライムコンサルタント代表 阪本 節郎……株式会社博報堂エルダーナレッジ開発 新しい大人文化研究所所長 清家 武彦……一般社団法人日本経済団体連合会 労働政策本部 上席主幹 深尾 凱子……ジャーナリスト、元読売新聞編集委員 藤村 博之……法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科教授 真下 陽子……株式会社人事マネジメント代表取締役 山ア 京子……アテナHROD代表、学習院大学特別客員教授 編集後記 ●少子高齢化による人手不足や、健康寿命の延伸などを背景に、ますます機運が高まる高齢者雇用ですが、企業によっておかれている状況が異なるように、産業によってもその傾向は異なります。若手の入職者が少なく高齢者の戦力化が急がれる産業や、現在は高齢者の割合が少ないながらも、数年後の急増が見込まれる産業など、その状況はさまざまです。  そこで当機構では、各産業の状況にあわせて高齢者雇用を支援するため、各産業別団体と共同で「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」を毎年作成しています。本号の特集では、昨年度に取りまとめた、5業界の産業別高齢者雇用推進ガイドラインを中心にお届けしました。  特に今回注目していただきたいのは、業界ごとに活躍するシニア人材の行動特性や特徴を分析しており、それに基づいて企業に求められる取組みなどを紹介していること。さらに、活躍するシニア人材の特徴についてお話しいただいた、中央大学大学院の佐藤博樹先生への特別インタビューも必見です。  今回ご紹介した5業界を含め、これまで作成した82業種のガイドラインを当機構WEBサイトにて公開していますので、ぜひご覧ください。 ●2年間にわたってお届けした「ケーススタディ安全で健康に働ける職場づくり」、半年間にわたってお届けしてきた「高齢者雇用と働き方改革 治療と仕事の両立支援のポイント」が、今号で最終回となりました。両連載では、多くの先生方にご協力をいただきました。ご執筆いただいた先生方にも改めてお礼申し上げます。次号からの新連載にもご期待ください。 月刊エルダー4月号 No.474 ●発行日−−平成31年4月1日(第41巻 第4号 通巻474号) ●発 行−−独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2  TEL 043(213)6216(企画部情報公開広報課) ホームページURL http://www.jeed.or.jp  メールアドレス elder@jeed.or.jp ●発売元 労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5  TEL 03(3915)6401  FAX 03(3918)8618 *本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。 (禁無断転載) 読者の声 募集! 高齢で働く人の体験、企業で人事を担当しており積極的に高齢者を採用している方の体験などを募集します。文字量は400字〜1000字程度。また、本誌についてのご意見もお待ちしています。左記宛てFAX、メールなどでお寄せください。 【P61-63】 技を支える vol.299 布に生命を吹き込んで一期一会の洋服づくり 婦人・子供服注文仕立職 秋間(あきま) 知子(ともこ)さん(82歳) 「着る人の個性を活かす洋服づくりの楽しさを次の世代に伝えつつ、自らも探究し続けていきます」 次の世代へ 服づくりの楽しさを伝えたい  埼玉県越こし谷がや市で洋裁教室「創イングパルあきま」を主宰する秋間知子さんは、2018(平成30)年度の「現代の名工(卓越した技能者の表彰)」を受賞した。  秋間さんは公益社団法人全日本洋裁技能協会の常務理事や全技連マイスター会埼玉県支部の理事などの要職を務め、洋装界の若手人材育成にも力を注いでいる。取材当日、教室は休みだったが、3月1日(金)から兵庫県で開催された「第30回技能グランプリ」に挑戦する佐々木美咲さんが仕上げの指導を受けていた。  「美咲さんは、縁あって看護師の仕事からこの世界に飛び込んできました。技能グランプリには全国から熟練の技能士が集まります。頂点を目ざして一緒に腕を磨いてきましたから、私の方がつい熱くなってしまいます」と、裁断、縫製に集中する佐々木さんの手元を優しく見つめた。 自分が着たい洋服を自分でつくる楽しみ  秋間さんの実家は製粉工場で、洋裁とは無縁の世界で育った。共立女子大学短期大学部家政科を卒業後結婚、しばらくは育児に追われたが、35歳のときに転機が訪れる。子どもが小学生になったこともあり、都内の洋裁学校に通い始めたのである。  「動機は単純で、既製服のなかに自分が着たいものを見つけられなかったのです。なければ自分でつくろうと思いました」。  洋裁学校を首席で卒業し、日本のオートクチュールの基盤をつくったといわれる細野久(ひさし)服装学院で学んだ。今回の「現代の名工」の受賞では「服地の柄の一部を切り抜き立体的に見せる技法」が縫製技術として高く評価されているが、細野久服装学院で学んだことが原点となっている。その後、百貨店で仕立職人の経験も重ね、1981(昭和56)年に自宅で洋裁教室を開設。現在、10代から70代までの幅広い年齢層が洋服づくりを楽しんでいる。 ドレスに絵を描く大胆な発想  工房の隅には、コンクールで賞をとった作品をまとったトルソー※が並ぶが、ひときわ目を引く作品 があった。何と素材は黒い皮革(ひかく)で、パンツスーツとして完成させてから秋間さんが絵の具で絵を施したものである。目を凝らしてみれば上着には海の風景が描かれ、パンツの裾にはビル群が描かれていた。  「これは2011年の東日本大震災へ鎮魂の思いを込めてつくった作品です。裾に描かれたビルは、復興を願ったもので、背中の右肩には未来へ飛び立とうとするカモメを描きました。私ができることは洋服づくりしかありませんから、洋服というアイテムで東北の人たちにエールを送りたかったのです。私の場合、洋服をすべて縫い終わってから絵を描きます。洋服の前に立って描くので躍動感が出ると思っています。絵の腕を上げて、ドレスに絵を描く手法を極めていきます」。 ものづくりは人づくり  「時代を先駆けた細野久先生からは大きな影響を受けましたし、百貨店の仕事では仕立て職人として厳しく鍛えられました。教室を開いてからは生徒に学ぶことも多く、たくさんの出会いに支えられ、今日まで歩いてくることができました。また、家族の協力が常に背中を押し続けてくれたことにも感謝しています。まさに『ものづくりは人づくり』だと、受賞を機にあらためて気を引き締めています。『現代の名工』の名に恥じないよう、精進します」という秋間さんの言葉に、佐々木さんはじっと耳を傾けていた。  佐々木さんをはじめ、教室の仲間たちは、さまざまなコンテストへ意欲的に挑戦しており、秋間さんの指導にも力が入る。伝統の継承というバトンが確実に手渡されていく。 創イングパルあきま TEL:048(986)6785 http://sewingakima.web.fc2.com (撮影・福田栄夫/取材・永田佳) ※ トルソー……衣服やファッションの陳列に用いるマネキン人形の一種 佐々木美咲さん(左)を指導する秋間さん。日ごろの修練が実り、佐々木さんは「第30回技能グランプリ」の婦人服制作部門で金賞に輝いた 生徒や来訪者を四季折々の花が迎える 平成30年度現代の名工の楯 裁断の作業中。仕上がりをイメージしながら鋏はさみを動かす 教室風景。閑静な住宅街で熱い指導が続く 東日本大震災からの復興の願いを込めたパンタロンスーツ。背中のカモメに東北の未来を託した 【P64】 イキイキ働くための 脳力アップトレーニング!  漢字の脳トレは人気です。その理由の一つは、漢字力のような語彙(ごい)力のピークは案外遅く、マサチューセッツ工科大学の調査によると、そのピークは67歳といわれています。それも緩(ゆる)やかなピークなので、歳をとってからでも「伸び感」を体感しやすいのです。 第23回 漢字しりとり 目標15分 STARTからGOALまで、漢字でしりとりをつくってください。 単語の最後の文字と次の単語の一文字目は同じ漢字です。 読み方は違ってもかまいません。 ヒント:むずかしい場合は、わかるところから埋めていきましょう。 START 風 発電→電  → 実 健→健 管 → 学療 → 律 → 系 → 画 作→作 衣→衣帯一 → 戸紫→紫  → 紅柳 → 地 園 GOAL 「書いて、覚えて」脳を若返らせる  人はだれでも加齢とともに記憶力が衰えます。しかし、若々しい脳を保ち、元気に生活している高齢者はたくさんいます。  いきいきした脳を保ち続けるためにいちばん必要なのは、健康な心と体を保つことです。健康を損なうと脳にも影響が出ます。規則正しい食生活や適度な運動、社会とのコミュニケーションを心がけましょう。  また、老化予防のためには、毎日頭をしっかり使い、手や指先を使い、記憶を刺激し、脳を活性化させることも大事になってきます。  そこでおすすめしたいのが、今回の問題のような漢字の読み・書きです。日本に生まれ育った私たちにとって慣れ親しんだ日本語ですが、正しい漢字を使いこなすのは案外むずかしいものです。  特に現代では、携帯・スマートフォン・パソコンといったツールのおかげで、文字を「書く」ことがめっきり減ってしまいました。しかし、この「書く」作業こそが、漢字の記憶の定着につながっているのです。「書いて覚え、思い出して書く」という作業が、錆(さ)びつき始めたあなたの脳の活性化に役立ちます。 【問題の解答例】 風力発電(ふうりょくはつでん)→電解質(でんかいしつ)→質実剛健(しつじつごうけん)→健康管理(けんこうかんり)→理学療法(りがくりょうほう)→法律家(ほうりつか)→家系図(かけいず)→図画工作(ずがこうさく)→作務衣(さむえ)→衣帯一江(いたいいっこう)→江戸紫(えどむらさき)→紫陽花(あじさい)→花紅柳緑(かこうりゅうりょく)→緑地公園(りょくちこうえん) 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。公立諏訪東京理科大学医療介護健康工学部門長。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『中高年のための脳トレーニング』(NHK出版)など著書多数。 【P65】 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。2019年4月1日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〃 〃 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 奈良県橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 高知支部高齢・障害者業務課 〒780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 福岡支部高齢・障害者業務課 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 佐賀支部高齢・障害者業務課 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 長崎支部高齢・障害者業務課 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 熊本支部高齢・障害者業務課 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 大分支部高齢・障害者業務課 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 宮崎支部高齢・障害者業務課 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 鹿児島支部高齢・障害者業務課 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 沖縄支部高齢・障害者業務課 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 【裏表紙】 『65歳超雇用推進事例集(2019)』を作成しました 65歳以上定年企業、65歳超継続雇用延長企業の制度導入の背景、内容、高齢社員の賃金・評価などを詳しく紹介した『65歳超雇用推進事例集』を作成しました。 継続雇用延長を行った企業の事例を増やすとともに、賃金・評価制度についての記述を充実し、新たに23事例を紹介しています。 23事例を紹介 図表でも わかりやすく紹介 索引で検索 この事例集では、65歳以上定年制、雇用上限年齢が65歳超の継続雇用制度を導入している企業について ●定年、継続雇用上限年齢の引上げを行った背景 ●取組みのポイント ●制度の内容 ●高齢社員の賃金・評価  −などを詳しく紹介しています。 ★制度改定前後の状況について表で整理しました ★企業の関心が高い賃金・評価・退職金などの記載を充実しました! 事例を大幅に入れ替えた『65歳超雇用推進マニュアル(その3)』もつくったよ 事例集は、ホームページでご覧いただくことができます。 http://www.jeed.or.jp/elderly/data/manual.html 65歳超雇用推進事例集 検索 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用推進・研究部 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550 2019 4 平成31年4月1日発行(毎月1回1日発行) 第41巻第4号通巻474号 〈発行〉独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 〈発売元〉労働調査会定価(本体458円+税)