イキイキ働くための脳力アップトレーニング!  漢字は表意文字であり、単なる発音記号ではなく「形」、「意味」、「音」が複雑に組み合わさっています。そのため、ひらがなやアルファベットよりも多面的な情報処理を必要とします。 ・視覚的処理:部首や形のパターンを認識する=右脳的要素が強い ・意味理解:語義や使い方を思い出す=左脳の言語野が関与 ・音韻(おんいん)処理:読み方(訓読み、音読み)を想起する  これらにより、記憶・注意力・ワーキングメモリの同時活性化がうながされます。 第101回 四字熟語リング 目標 5分 〈リスト〉の四字熟語を四角の中に時計回りにあてはめます。 四字熟語の最初の文字がどこから始まるかは、推理しながら解いてください。 【例】 投 合 帯 気 意 誠 温 候 誠 心 〈リスト〉 意気投合 温帯気候 誠心誠意 会 〈リスト〉 □一方通行 □液体燃料 □会者定離(えしゃじょうり) □学位論文 □三位一体(さんみいったい) □戦国大名 □通常国会 □日常会話 □薬師三尊(やくしさんぞん) 脳を鍛える漢字トレーニング  漢字を使った脳トレでおすすめしたいのが、まずは「手で書くこと」です。スマートフォンやパソコンより、手書きのほうが理解や思い出しに有利という研究もありますし、そもそも脳は手書きによってより活性化します。  次に、「声に出す」などの出力する行為を加えましょう。これはプロダクション効果と呼ばれ、声に出して読むほど思い出しやすくなる現象です。最近の実験でも、声出しが記憶の手がかりを強くすることが示されています。  三つめは「思い出す」ことです。読み返すだけではなく、自力で引き出すことが、長い目で見ると効果的です。これは「テスト効果」や「想起(そうき)練習」と呼ばれ、短い文章の学習でも、再読より想起のほうが成績がよくなるといわれています。  四つめは「間隔をあけて、何度も行う」ことです。勉強の世界では間隔効果がよく知られており、例えば、1日後、1週間後、1カ月後と間隔をあけて復習することで、その内容が身につき、脳に定着していきます。認知機能の向上につながりますので、おすすめします。 篠原菊紀(しのはら・きくのり) 1960(昭和35)年、長野県生まれ。人システム研究所所長、公立諏訪東京理科大学特任教授。健康教育、脳科学が専門。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『中高年のための脳トレーニング』(NHK出版)など著書多数。 【問題の答え】 名 戦 者 定 大 国 会 離 日 常 通 行 燃 料 話 会 方 一 体 液 学 位 三 尊 文 論 師 薬