BOOKS 80歳まで楽しく働き、幸福年収を稼ぐには?豊富なノウハウが詰まった実用書 人生後半の働き方戦略 幸福年収700万円を続けるために 都築(つづき)辰弥(たつや)著/日本経済新聞出版/1980円  2025(令和7)年4月からすべての企業に「65歳までの雇用確保措置」が義務化されたこともあり、65歳まで企業に勤める人が増えている。一方で、転職する人や独立・起業する人もいて、シニアの働き方も多様化している。  本書は、中高年層に特化したキャリアスクールを運営する企業の代表を務める著者が、「人生後半も、働きがいと収入を両立できる充実した職業人生」を目ざすビジネスパーソンに向けてまとめた一冊。80歳まで楽しく働いて充実した人生を過ごすための年収の目標を「700万円」と提案し、達成して継続するために、どのような働き方をいつ選択すべきなのか、そして、選んだ働き方で働きがいと収入を両立するための働き方の戦略と行動、計画について伝授する。それらのノウハウは、2022年に中高年層向けのキャリアスクールを開講して以降、5000人超を支援してつちかってきたもので、一部はウェブサイト「NIKKEIリスキリング」(日本経済新聞社)にも掲載している。  「働きがいと収入」、「複業」、「起業」、「経験を新しい価値に変換」などの言葉に興味や関心のある中高年層や、中高年齢者の雇用に取り組む経営層にとっても有用なヒントが得られそうだ。 「行動」を変えれば、人が変わり、会社も変わる。そのための「教え方」がわかる本 行動科学を使ってできる人が育つ! 新版 教える技術 石田(いしだ)淳(じゅん)著/かんき出版/1540円  多くの企業が人手不足に悩む昨今、かぎられた人数で生産性を向上させるための取組みとして、人材育成がますます重要視されている。  しかし、「思うように部下が育ってくれない」、「部下が育たないのは自分が悪いのか」と悩む上司は多い。著者はその原因が「教え手が『教え方』を知らない、習っていない」ことにあると綴り、「行動科学マネジメント」のノウハウを使った「教え方」を紹介する。  「行動科学マネジメント」とは、著者自身がマネジメントに苦労していた時代に出会った、人の行動を科学的に分析する「行動分析学」に基づくアメリカ生まれのマネジメント・メソッドを、日本に合うように著者がアレンジして提唱したもの。行動を変えれば、人が変わり、会社も変わっていく。そのための教え方として、部下の望ましい行動を引き出す方法やヒントを多様な角度から説いている。  本書は、2011(平成23)年に刊行された「教える技術」に加筆・修正を施した新版である。具体的な項目には、年上の部下への指導や、リモートワークでも信頼関係を築くためのポイント、ハラスメントの問題など、最近注目されている内容も含まれている。 上司から始める「働きがい改革」!職場の働きがいを高めるマネジメントとは 「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる 上司も部下も幸せになるマネジメントの極意 前川(まえかわ)孝雄(たかお) 著/合同フォレスト/1760円  著者の前川孝雄氏は、現場から求められる上司や経営のあり方を長年探求し、人的資本経営やミドル世代のキャリア支援に詳しい。本誌の巻頭コーナー「リーダーズトーク」(2022年5月号)をはじめ、JEED主催のシンポジウムの講演録でも誌面にご登場いただいている。  本書は、いま働く人々の現場に求められているのは「働きがい」であり、そのための上司としてのマネジメントの極意を説く指南書である。  現在進められている「働き方改革」では、「残業を減らす努力や生産性向上、多様な社員の支援など次々と現場の課題解決を迫られる上司は疲弊し、その姿を見て若手は昇進意欲が低下するなど、多くの働く人々が幸せを感じられていない」、と前川氏。大切なのは、働く人々が自分の持ち味を活かせる仕事を任され、努力や工夫が認められて幸せになる「働きがい改革」であると訴え、多様な働きがいのある職場づくりや、ミドル・シニア社員の働きがいの高め方を解説。さらに、上司自身の働きがいが改革推進の原動力になるとして、「自分が動くプレイングマネジャー」から「人の心を動かすマネジャー」へ転身する方法を紹介している。上司にとって、多くの気づきと希望が感じられる一冊である。 多様な人々が働く現場で協働するためのスキルが、豊富な会話例から学べる チームの生産性を高めるアサーション 言いにくいことが伝えやすくなるコミュニケーション 丸山(まるやま)奈緒子(なおこ)著/日本生産性本部生産性労働情報センター/2200円  アサーションとは、「自分も相手も大切にしよう」というコミュニケーションスキルを意味している。本書によると、1950年代のアメリカで心理療法の一つとしてスタートし、現代では一般の人が学ぶべきコミュニケーションスキルとして受け入れられるようになった。特に、国籍や年齢、勤務形態などさまざまな背景や価値観を持つ人々で職場が構成されるようになってから、ビジネスの現場で協働するためのスキルとして求められるようになったそうだ。  アサーションが職場やチームのなかで広がることは、一人ひとりの働く快適さを高めたり、生産性を高めたりすることにつながるという。  本書は、アサーションやストレスマネジメントなど心理学をベースにしたビジネスパーソン向けの講座を開発して講師としても活躍する著者が、研修先で聞いたビジネスパーソンの悩みをふまえ、さまざまなビジネスシーンでのアサーションの会話例や、実際にアサーションを活用したときに生じる疑問への回答など、アサーションの基本から実践のポイントまでていねいにまとめている。ベテランから若手社員までともに働く職場のコミュニケーションづくりにも、大いに役立つヒントが詰まっている。 血液が変われば、体は変わる!健康寿命を延ばす血液の整え方を紹介 世界一の心臓血管外科医が教える善玉血液のつくり方 渡邊(わたなべ)剛(ごう)著・坂本(さかもと)昌也(まさや)監修/あさ出版/1540円  中高年以上になると、血管はだれでも劣化していて、血管が詰まったり破れたりして血液が流れなくなると、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞など命にかかわる病を発症するリスクが高まる。  しかし、これらは時間をかけて動脈硬化が進行した結果として発症するもので、防ごうと思えばリスクを下げられることが知られている。  本書は、血管をボロボロにするドロドロ血液が引き起こす高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病のリスクを明らかにし、正しい生活習慣によって「善玉血液」をつくり、血管に突然起きるトラブルを防ぎ、長生きできる血液の整え方をわかりやすく紹介。自分の血液の状態がわかるチェックシートも掲載している。  ボロボロになった血管は若返ることがないが、血液を変えることはできるとして、2010(平成22)年から毎年世界のベストドクターズに選出されている著者の渡邊氏が、読みやすい文章とイラストを用いて、血管の劣化を遅らせる「善玉血液」のつくり方を説明する。まずは食事の改善として、四つの白い粉(砂糖・小麦粉・塩・プロテイン)の摂りすぎに注意することや知っているようで知らなかった情報も含めて、健康寿命を延ばす多くの情報が得られる。 ※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します