はじめての障害者雇用
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巻末7 資料編6 就労支援機関5 障害特性と配慮事項5 障害特性と配慮事項113〇失語症言語の障害です。会話と読み書きの両方、また、相手の言葉を理解することと、自分の意思を言語で表現することの両方に不自由が生じます。失語症の人が体験している世界は、母国語が通じない外国で暮らすことに似ているかも知れません。〇遂行機能障害(パターン化された作業はこなすことができても、) 複雑な職務を自分で計画を立てて行うことが難しかったり、臨機応変な判断が必要な状況で要領よく対応できなかったりします。〇社会的行動障害例えば、些細なことで怒る、自己中心的(に見える)行動をするといった、本来のその人らしくない様子が見られる場合があります。障害の影響と、環境の影響(ストレスなど)の両方が関係する場合があります。3 職業上の配慮〇記憶障害「覚えなくても見ればわかる」作業環境を整えることが望まれます。例えば、スケジュール表や作業手順書を用意することや、連絡事項はメモにして渡すといった配慮が考えられます。作業環境や作業手順は、変更が少ない方がよいでしょう。〇注意障害集中しやすい静かな作業環境とし、連絡や指示は一度に一つずつ伝えます。ミスが起きやすい作業については、見直し用のチェックリストを用意するとよいでしょう。また、作業の合間に小休憩を設けると、集中力の回復に有効な場合があります。〇半側空間無視注意が向きやすい側(多くの場合は右)を活かします。例えば、連絡事項を書いたメモは本人から見て右側に置きます。衝突や転倒などの事故を防ぐため、職場内をよく整理するとよいでしょう。〇失語症短い文でゆっくりと話しかけ、返事はゆっくりと待ちます。口頭だけのやりとりよりも、文字や絵、写真などを併せて使うと意思疎通がスムーズになります。作業手順を伝えるときは、実際にやって見せるとよいでしょう。

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