中四国地域の求職者支援訓練で初めて日本語教員養成科を開講しましたが、香川県内外から多くの反響がありました。年々、外国人労働者や外国人観光客が増えている現在は様々な場面で外国人の方に日本語を教える機会が増えているのではないでしょうか。
今回は、日本語教員養成科を修了したばかりのお二人に感想を聞いてきました。
インタビューにご協力いただいたMさんとNさん
● 受講したきっかけを教えてください。
【Nさん】前の職場でベトナム人の技能実習生に仕事を教えていましたが、外国人に日本語を伝えることの難しさを実感して日本語を教えることに興味を持ちました。日本人が日本語を教えるのは簡単だろうと思われがちですが、外国人にとっては第二外国語になるわけで我々が日本語を話す感覚とは全然違うため、きちんとした知識が必要です。
【Mさん】私もフィリピン人の社員に仕事を教える中でうまく伝えることができずに、独学で日本語教師の勉強をしていました。そして、日本語をゼロから教えるというところに興味を持ち、友人から日本語教員養成科のことを教えてもらい応募することにしました。私は、ある事情で最初はハローワークから求職者支援訓練の受講を認められませんでしたが、諦めずにハローワーク担当者に長時間熱意を語って受講を認めてもらえました(笑)。
● クラスの雰囲気はどうでしたか。
【Mさん】受講者の年齢層は幅広かったですが、年配の方も気さくな方ばかりで「同級生だから敬語は使わなくていいよ。」と言ってくれたので、本当に敬語なしで話していました。あとは、たぶんパソコンなどの他の訓練と違って、海外志向の強い方が多いと思います。そのせいか個性的な方も多くて楽しかったです。
【Nさん】私は、年上の受講者にはちゃんと敬語で話していましたので、各人の考え方によると思います(笑)。それから、講師だけでなく、事務の方にもお世話になりました。新型コロナウイルス対策で定期的に換気や机の消毒をしてもらったり、いつも教室をきれいにしてくれたりと訓練に専念できる環境づくりに気を配っていいただきました。
● 実際に受講してみてどうでしたか。
【Mさん】独学でも日本語教師の資格は取れるかもしれませんが、教科書に出てくる専門用語を深く理解することは難しいと思います。日本語教員養成科では、講師がこれまでに培った経験を踏まえて専門用語にまつわるエピソードやニュアンスなども教えてくれるので、本当の意味が分かるというか、理解がより深まったと思います。
【Nさん】講師がとても熱意のある方で知識以外のこともいろいろ教えていただきました。例えば、外国人がアニメを通して日本に興味を持って日本語を学ぶことになった場合、アニメを話題にして教えた方が外国人の生徒も喜んで日本語を覚えてくれます。
職業人講話では、実際に日本語教師として働いている方が生き生きと目を輝かせて話をしていましたが、こういう現場の声を聞くことも大切だと思います。
● 教育実習で実際の外国人の方に模擬授業を行ったと聞きましたが。
【Mさん】生徒役の外国人をアルバイトで雇ってまで模擬授業をやらせてくれたので感謝しています。実際の外国人の反応を経験できたり、事前に授業の指導案を作成するなど準備はしていましたが想定外の質問をされて焦ったりととても勉強になりました。
教育実習を体験して、日本語教師は「生徒のできることを増やす」仕事だと感じました。生徒が分からない場合は、ヒントをそれとなく与えて何とか分かってもらうようにするとか、すぐに不正解と言うのではなくて生徒のモチベーションを下げないように気を付けながら正しい方向に導くとか、少しずつできることを増やして日本語を話せるようになっていくのかなと思います。
【Nさん】1回目は日本語初心者外国人、2回目は中上級者外国人へ模擬授業を行ったのですが、1回目の授業は全然うまくいきませんでした。模擬授業のあとは、講師や他の受講者から模擬授業の感想を聞くのですが、たくさんダメ出しされました(笑)。どんなに準備をしていても、ほとんどの方が1回目の授業はうまくできなくてダメ出しされるので、メンタルの強さというか批判を受け入れる柔軟性は必要だと思います。でも、それが悔しくて2回目の授業は事前準備も含めて頑張ることができましたし、こちらの気づかなかった意見をいただくこともあったので、今から考えるととてもよかったと思います。
教育実習の風景と集合写真(受講者、講師、生徒役)
● 就職活動の状況はどうですか。
【Nさん】新型コロナウイルスの影響で厳しい状況ですが、学んだ知識を活かした仕事につきたいので就職活動を頑張っています。
【Mさん】訓練を受ける前までは漠然と日本語を教える仕事と考えていましたが、今は私が元看護師ということもあって、看護師や介護福祉士として働こうと来日される外国人の方は日本の看護師(介護福祉士)資格取得のための日本語学習にとても苦労しているので、そのような方を助けられる仕事をしたいと考えるようになりました。
【インタビュアーより】
修了式の翌日にインタビューをさせていただきましたが、文章にするのが難しいくらいお二人から、熱意をもって教えてくれた先生への感謝とお礼の気持ちが伝わってきました。また、このインタビューを読まれている方へは、「迷っているのだったら良いきっかけになるので訓練は大変だけど受講してみたらいいのではないか。」と話されていました。
今回のインタビューにご協力いただきましたMさん、Nさん、受講者の皆さん、穴吹カレッジサービスの先生、事務担当者、関係者の皆様ありがとうございました。