特集(メールマガジン第120号)
【障】ジョブコーチ支援についてご紹介します!
ジョブコーチ支援とは
ジョブコーチ(※)が職場に訪問し、障害のある方と雇用している企業の双方に対して個別・具体的な支援を通じて問題解決を図ります。
支援を開始するタイミングは就職と同時期のほか、就職後しばらく経過してからでもご利用いただけます。
ジョブコーチの種類には、当機構(JEED)地域障害者職業センターの「配置型職場適応援助者」と社会福祉法人などの「訪問型職場適応援助者」があり、必要に応じて両者が連携して支援を行います。
また、企業に在籍し、障害のある従業員に対して支援を行う「企業在籍型職場適応援助者」もあり、地域障害者職業センターの配置型ジョブコーチと連携して支援を行うことが可能です。
(※)ジョブコーチ:対象障害者が職場に適応できるよう、支援する人をさす。「職場適応援助者」ともいう。
ジョブコーチ支援の利用状況・効果
2002(平成14)年の事業開始以降、全国の地域障害者職業センターにおいて66,000人以上の方にJEEDによるジョブコーチ支援を利用いただきました。
2022(令和4)年度はジョブコーチ支援の対象者の70%が精神障害・発達障害・高次脳機能障害のある方でした。
また、職場定着率(支援終了後6カ月時点での数値)は90%を超えており、多くの方の職場定着を実現しています。
ジョブコーチ支援の内容
ジョブコーチは複数人体制で以下のとおり支援を実施します。
<ご本人への支援>
・作業遂行力の向上支援
・職場でのコミュニケーション支援
・職場でのルール、マナー等習得支援
<企業(上司・人事・同僚等)への支援>
ジョブコーチが職場へ訪問し、
・障害特性の理解促進
・対応方法に関する助言
・配置、職務内容の設定に関する助言
・作業指導の方法に関する助言
をおこないます。
<ご家族・関係機関などへの支援>
・就労にあたっての障害の理解促進
・生活関連の課題改善への依頼等
のために状況共有や協力依頼を行います。
数多くの企業担当者から、ジョブコーチ支援を通じて「障害のあるご本人との接し方が分かった」や、「課題解決の方法を専門家と相談でき、具体的な解決策を提案してもらうことができた」との感想をいただいています。
ジョブコーチ支援の期間(企業在籍型職場適応援助者の場合を除く)
支援期間は最大8カ月間まで設定できますが、標準的には2~3カ月間で設定することが多いです。支援期間のなかで職場適応上の課題を改善し、職場の上司や同僚などからの適切なかかわり(ナチュラルサポート)が得られるように支援します。
支援終了後も、必要なフォローアップを通じ安定して働き続けられるようにします。
事例1~上司のかかわりによって業務遂行上の課題が改善したケース
発達障害(ADHD)の診断を受けているAさんは、仕事の締切りがたびたび間に合わず、上司はAさんに対して指導をくり返すも改善に至らず、対応に苦慮していました。
ジョブコーチは上司に、Aさんの障害特性のひとつに優先順位をつけることが苦手であることを伝え理解を図りました。そのうえで、Aさんがいま受け持っている業務をホワイトボードに書き、上司と一緒に作業の優先順位をつけてもらうように依頼しました。
この取組みにより、最優先にすべきことが明確になり、仕事を締切りまでに終えられるようになりました。上司もAさんの特性を理解できたことで、Aさんについて「優先順位を示せばしっかりと仕事ができる人」という認識に変わりました。
事例2~日誌を活用し体調管理の支援を行ったケース
精神障害(気分障害)の診断を受けているBさんは、仕事上でのミスや対人関係への不安から不眠になりやすい傾向があり、生活リズムが崩れて勤怠に影響を及ぼすことがありました。また、自身の体調や不安感を他者に説明することが苦手なため、上司はBさんの抱えている問題に対し、適切な対応をできずにいました。
そこでジョブコーチが日誌の活用を提案したところ、上司はBさんの体調や職場で困っていることを把握できるようになり、早期のうちに必要な対策をとれるようになりました。また、Bさんも不眠が生じて受診をした際、主治医と日誌を共有することで自身の体調を説明しやすくなりました。
ジョブコーチ養成研修について
JEEDでは、訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)を養成するため、援助を行ううえで必要となる専門的知識および技術を習得するための研修を実施しています。
研修は、集合研修(障害者職業総合センターまたは大阪障害者職業センターが実施)と実技研修(地域障害者職業センターが実施)の2部構成で、体系的に実施しています。なお、令和5年度は8月期と2月期の集合研修の一部日程をオンラインで実施予定です。
集合研修は、職業リハビリテーションの理論や職場適応援助者の役割についての講義、作業指導の演習など、基本的な内容となっています。
実技研修は、企業での実習やケーススタディなど、地域の実情に即した内容となっています。
上記研修のすべてのカリキュラムを履修した方に対して、修了証書を交付します。各養成研修の対象となる方、日程、申請方法、お問合せ先などにつきましては、以下のリンクをご覧ください。また、今号の「注目のトピックス」でも、9月期・10月期の研修についてご案内しています。あわせてご覧ください。
なお、受講料はいずれも無料です。
企業在籍型ジョブコーチ養成研修の受講者等の声
<受講者の声>
・障害者雇用や各種障害に関する知識を体系的に学ぶ機会となり、大変有意義な時間となった。グループワークにおいては、他社の障害者雇用担当者の方々とお話しする機会を持つことができ、同じ悩みを抱えている方と話す安心感や、新たな工夫などの知見が得られた。研修で学んだことを実践に活かしたいと思う。
・地域の支援機関について知ることができた。研修を受講するまでは、ジョブコーチだけで支援するものと思っていたが、今後は地域の支援機関にも協力を得ながら支援していきたい。
<受講者の上長の声>
・研修受講により、障害特性をふまえた支援を行えるようになった。その結果、支援対象者は単独でできる仕事が増え、意欲的に働いている。
・受講者が社内で勉強会を開くなど、他のスタッフに対しても障害に関する知識を付与し、みんなで支援をしていこうという風土ができつつある。
企業のみなさまへ
障害者雇用に関することでお困りの点がありましたら、お気軽にご相談ください。都道府県をまたいだ広域での障害者雇用の取組みについても、各地域障害者職業センター間で連携し支援を行っています。まずは最寄りの地域障害者職業センターまでご連絡ください。
全国の地域障害者職業センターの所在地・連絡先は以下URLより覧ください。
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/index.html
当機構の事業主に対する障害者雇用関係の支援内容は以下URLよりご覧ください。
https://www.jeed.go.jp/disability/employer/index.html